宇佐見りんのレビュー一覧

  • 私の身体を生きる

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    女性として生きて来た中での、著名&人気作家さんたちが悩みを赤裸々に綴られた連載が一冊に。

    自分が女性でいることを肯定するために背中を押してくれるような内容だった。

    無神経な数多の男性達に加害されてきた傷への癒し 自分だけではなかった、という、女友達と行ってきた、経験を分かち合って貰えることへのありがたみ

    女性の身体の不安 妊娠や性行為、体調不良、弱さ
    見た目への若い頃の過剰な拘り、ジャッジされることへの抵抗感と迎合

    まるっと。

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    2025年12月07日
  • 私の身体を生きる

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    「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
    各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。

    痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを

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    2025年12月04日
  • 推し、燃ゆ

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    ネタバレ

    面白かった。あかりさん、ダメ人間のようだけど推しを推すことにかけては極みまでたどり着いた感がある。こういう子ってホストにはまっちゃったりしないかとかいらない心配したけど、最後の綿棒でちょっと安心した。這いつくばってでも少しずつ何かを拾っていってほしい。
    作者さんのあとがきがめちゃめちゃ作品の深いとこまで語っていて純文すごいと思ったりした。文章も鮮やかで読み応えありました。

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    2025年11月25日
  • 推し、燃ゆ

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    芥川賞とタイトルに釣られて購入。
    本をもっと読みたいと思うきっかけになりました。

    私に推しがいるからこそ主人公の気持ちが痛いほどわかり、しばらく何とも言えない感情に取り憑かれました。。

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    2025年10月27日
  • くるまの娘

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    ネタバレ

    父方の祖母が亡くなり、かんこと両親は車で祖母の家へ向かう。
    車中泊をしながら。
    家を出て暮らしている兄と弟もそれぞれやってきて…という話なのだが、彼女の作品を説明するのに、あらすじなど書いたところでしょうがない。

    傍から見ればかんこの家族は壊れている。
    些細なことですぐかッとし暴力をふるう父、脳梗塞で倒れて以来自分の感情を持て余すかのように時々爆発する母。
    家を出て自分の力で生きている兄と、遠くの高校へ通うために家を出ている弟。

    家族それぞれが傷つけあい、血を流しながらも愛している。
    それは歪なこと?
    逃げ出さなくてはならないこと?
    かんこはそうは思わない。

    ”もつれ合いながら脱しようと

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    2025年09月29日
  • 私の身体を生きる

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    様々な『自分の』性との向き合い方について書かれている。メタ的な性との向き合い方でないのは、女性の作家たちだからだと思う。
    女性も誰かの性を搾取することもあるだろうが、しかし圧倒的に搾取される側であり、自分の生命と性とが紙一重に近い存在だと思い知る。
    アンソロジーの最初の島本理生さんの作品が個人的ににとても響いた。
    なぜ自分の性と向き合うだけで傷ついてしまうのか。男性も同じなのだろうか。傷ついたことを思い出さないで自分の性について語れる人間がいるならば、どんな人生なのか知りたいと思う。

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    2025年09月20日
  • 推し、燃ゆ

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    非常に面白かった。
    自分にはファンで応援しているアーティストや作家はいるが、推すという言葉はそういったものとは違う形の熱量を持っている気がして、自分では使わないようにしている。この本を読んで、やはり推すという行為はファンであるというのはおそらく違う性質を持っているのだなと再確認した。(まぁ、ファンというのと変わらない感覚で使っている人もいるとは思うが)
    しかし、この作品で書かれていることは推すという行為を心の支えにし、生きづらさを抱えながら生きている人間がそれを失いその生きづらさをより突きつけられていく様だ。
    おそらく、私と同じように推すという行為に対して懐疑的で違和感を持つ人間は多いと思う。

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    2025年09月18日
  • かか

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    純文学を読んでいるなあと思いつつ読んだ。かかとうーちゃんの不可分な共依存関係、信仰、孤独が、「かか弁」で語られることによって、その息苦しさや温度まで伝わってくる。

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    2025年09月15日
  • 推し、燃ゆ

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    ネタバレ

    薄くて文字が大きくて行間の広い本なのに、読むのに時間がかかる。
    作者は、見たものを丸ごと記憶する力を持っているのか、主人公が目にする世界のことごとくが、こと細かくて、しかも多分正確だ。
    デビュー作『かか』では、その特異な文体ゆえあまり気にならなかった、選択される語彙の的確さ。
    その文章の持つ圧倒的な力に気圧されて、読むのに時間がかかる。

    読み進めるとまた、その圧倒的なまでの自己肯定感の低さというか、生きることに対する不器用さに圧倒される。
    生きにくい生きにくい生きにくい。
    声にならない悲鳴のような思いの強さに、デビュー当時の金原ひとみを思い出す。

    推しを思う気持ちは、理解できる。
    ファンの

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    2025年09月10日
  • 推し、燃ゆ

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    推しに全霊を懸ける女子高校生の話。推しがファンをなぐって炎上した、という意味でのタイトルではあるが、最後まで読むと主人公の心情がそのまま表現されているタイトルでもあり、上手いなぁと感動しています。

    宇佐見りん氏については受賞のニュースで若手で才能のある作家さんが出たんだなぁ、くらいの認識でしたが、今回はじめて作品を読み、これは賞を獲らないほうがおかしいな、と冒頭から納得してしまう表現力でした。この視点とか表現とかどうやって身につけたんだろ、と思いながら読み進めていくうち、自身の遠い過去に全霊を注ぎ込んで好きになった人がいたことや、その時の感情が見事によみがえってきて、これはたぶん来るなぁと思

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    2025年09月08日
  • くるまの娘

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    ページをめくるのが辛く、これ以上は知りたくないと思いながら読んだ。読後にとんでもない疲労感はあるが素晴らしい作品。

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    2025年09月06日
  • かか

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    地獄のような親子関係。愛とケア。
    怖い自然の中にあって、かかはずっと一人相撲をしている。しかし信仰とは途方もない一人相撲ではなかったか。神の怒りや恩寵を探し求める。
    その中にTwitterでの小さな嘘が混ざる。

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    2025年09月03日
  • くるまの娘

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    かんこや私みたいな人は結局自分で解決して落とし込むしかないのだと思った。家族みんなで遊園地で楽しく遊んでいた頃に戻りたいと願い、今からでも同じ思い出を繰り返そうとする母の気持ちが切なかった。家族から距離を置いて自分の生活スタイルを築いている兄や弟とは違い、かんこは家族から逃げようとせず一緒に地獄を生きようとしている。誰かを加害者にすることで終わりたくないという気持ちが家族愛に満ちていると思った。車の中という狭くて逃げられない空間の中で行われる口論がリアルで、あれほど喧嘩したのに時が経てば曖昧に流れていく様も既視感ありすぎた。

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    2025年08月17日
  • かか

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    母と娘の特殊な結び付きが痛々しくて切なかった。
    パッと分かりやすい不幸でないと不幸と認めてもらえないこと、行き詰まった心の吐き出し先がない苦しさなど、読みながら胸が痛くなった。
    小さな子供にとっては誰でも母は信仰の対象だ。例え子供っぽくて、父から捨てられ、鬱で半狂乱になる母でも、その信仰を子供は捨てることができない。特に娘にとっては同性である女であることが呪いのようにもなってしまう。
    ラストの後、信仰の対象がなくなったことがどうか良い方に転んでほしいと思った。

    また、身内でありながら第三者ポジションの「おまい」への語り口調が家族間の関係性を浮き彫りにさせていて、より主人公の孤独感が際立ってい

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    2025年08月11日
  • 私の身体を生きる

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    女性作家、芸術家たちの生と性、身体をテーマにしたエッセイ集
    自分も漠然と感じてた「女性であること」への違和感、敵対心、恐怖、いろんな言い尽くせない気持ちをそれぞれの人が言語化してくれるよう
    現代日本で高らかに女性讃歌を謳うのは難しいことを痛感する
    それでも次代はと願いたい

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    2025年08月10日
  • くるまの娘

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    この方は、人の醜い部分のリアリティが読んでいて苦しくなるほど鮮明だと毎回思ってしまう 醜いけれども愛おしくも思えるような人々というか
    醜い部分を抱えて必死にお互いを支えながら生きて、やがて克服ではなく受け入れるという、ある一種の解放へ向けて、前進する

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    2025年08月01日
  • くるまの娘

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    4.3/5.0

    絶対に切っても切れない「家族」というものを題材に、主人公、かんこの儚く脆い心情が繊細に描写されている。
    父や母、兄妹に対して、ある時は憎らしく感じ、でも根底には太く繋がった一本の線があり、やはりどこか家族を頼りながら生きている。

    微妙な距離感の中で、時にはお互いを敬遠しながら、でも結局は見えない糸で繋がっている、繋がってしまっている家族という組織のやるせなさと温かさを感じた。

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    2025年07月13日
  • 私の身体を生きる

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    ここまで赤裸々に書いちゃうの?と驚くような内容もあり。
    だけど今まで言語化できなかった気持ちが表現されている部分もあって、あの時のあの感情ってこう言葉にするんだと感動もした。
    作家さんは流石だなと改めて感じた一冊。

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    2025年06月21日
  • くるまの娘

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    ネタバレ

    声にならない痛みを全身で叫んでいるような作品だった。
    なんでもないかのように振る舞う主人公につられて、そういうものかと読み進めていったら、家族はとうに崩壊していることが徐々に明らかになってくる。
    父と母と娘、もはや自分たちだけではどうにもできない状態なのだが、主人公は当事者であるため冷静に考えることができていない。それは無理もないことで、親への愛情も愛着もあるだろう。たとえそれが最善だと言われても、両親を置いて離れることに苦痛を感じているようなのが、また悲しかった。
    家族間の長年かけて築いてきた空気感が見事に表現されていて、ほんとうに苦しかった。死は思ったよりもすぐそばにあるが、今この瞬間は平

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    2025年05月02日
  • くるまの娘

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    ネタバレ

    辛い時に自分をものだと思うとか、痛いほど共感できる。こんなものを書きたい。自分に足りないものを一々考えさせられる。自然、光の描写が多い。

    確かに、「自分は自分で守れ」は、見捨てられる側にとっても残酷な言葉。

    母の病気がきっかけと言っても、それは母のせいでないから父が悪いと。弟に「だからいじめられるんだ」、かんこの鬱を責めるのはひどい。でも作中にあった通り、それは祖母のせいであり、それも遡れば原因はあり、それ以外にもきっと原因はある。
    「なんで生きてきちゃったんだろうな」

    車で住むようになって学校に行けるようになったのは両親と離れたからだと思う。それでも兄弟の中で1番見放さないかんこは偉い

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    2025年04月23日