宇佐見りんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレなぜかもっとハッピーなポップな小説だと思っていたら!しっかり昏くてよかった。この小説が流行る日本の社会をちょっとだけ憂いでしまったり、この小説を評価するひとたちが多いという事実にむしろちょっと安心したり。抑圧されたコロナ禍だったから余計かもしれないな。
不器用なあかりが「背骨」と表現するもの、世界と自分を繋ぎ止めるもの、世界を生きていくにはそういうものが必要であることを肯定してくれるストーリー。「毒のような薬」に感じた。
私には芸能界やIPなどに明確な「推し」がいなくて、ずっと推しごとに忙しいひとたちをどこか羨ましく感じてきたけど、わたしにとっては恋人や酒がそれだったのだと気付かされた。
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Posted by ブクログ
こわかった。「家族」と「暴力」と「依存」をテーマにしながら、そこから抜け出せない(抜け出したくない)、このまま「生」が続くことの恐怖が文章からにじみ出ていた。
車の中は家族の息苦しさの象徴なのかもしれないけれど、そうやって無理にでも家族という形の中に自分を置いて、置いてしまえばその方が生き続けられる。兄や弟は逃げるという選択をしたが、逃げることだけが必ずしも「正解」ではないという、新しい視点だった。
家族の中で生じる暴力(言葉を含め)も、夜の闇に溶けて、なんだか自分が悪かったようにも思い始めて、そしてまた暴力が起きて憤って、その沼のような繰り返しがあまりにもリアル。 -
Posted by ブクログ
以前読んだ朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』と似たテーマだが、こっちは御伽話で、本作は劇っぽいと思った。純文学らしく、推しの炎上と引退を受けた主人公の内面の変化に表現のフォーカスを当てた150ページ。とはいっても、主人公がまだ高校生だからか、はたまた目の前の生活に手一杯だからか、なかなか具体的な表現をもって心情を吐露してくれる場面は少ない。あとがきでも触れられていたが、主人公のあかりは自分でも自身の気持ちがしっかり把握できておらず、ゆえに「言い切り」の形で文章が登場することが多い。この言い切りの文体が奇しくも文章をスラスラ読み進めるために一役担っていた。
生きる理由を自分以外に求める -
Posted by ブクログ
推しを中心に生活がまわっている女子高生が推しにまつわる出来事により変化していく姿と内面を描いた作品。
推しを語るひとつひとつの言葉が、同じようにオタクとしてその想いを適切に表現するすべを持たない私自身にとても響いた。推しに抱く気持ちに対して的確に言葉をもらった気がした。
その一方でだからと言って主人公の行動は理解できないし、推しを持つ人たちに世間が抱くステレオタイプに当てはめられているような気がして気持ち悪いと感じた。
苦痛を和らげるために推す、生活がままならないけど推しがいれば生きていける、というのは私はオタクの世界の一部だと思う。この作品は推し活が流行っているいまの時代を映すと言われるが、 -
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『推し、燃ゆ』は、推しを生きる支えとすることの危うさを、一人の少女の日常を通して描いた作品である。
主人公は、日常生活に適応することの困難を抱えながら、推しを追う行為に多くの時間と金銭を費やしていく。本作が描いているのは、単に趣味へ没頭する姿ではない。現実を十分に受け止めきれない人間が、他者に生きる意味を託し、その存在によって、かろうじて自己を維持しようとする過程である。
私はこれまで、推し活には、自分自身の力では得にくい達成感や自己肯定感を、応援や消費を通して補完しようとする側面があるのではないかと考えていた。主人公の姿には、そうした見方と重なる部分がある。推しに対する愛情は確かなもの -
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以前姉がこういう静けさで勉強に打ち込んでいた瞬間があったなと思った。全身全霊で打ち込めることが、あたしにもあるという事実を推しが教えてくれた。
やめてくれ、あたしから背骨を、奪わないでくれ。推しがいなくなったらあたしは本当に、生きていけなくなる。あたしはあたしをあたしだと認められなくなる。
現代人の多くは、この糸の切れた風のような浮遊の中で無意識的に、自分を世界に、自分を日常に、自分を生に結びつけてくれるものを求め、推しを推しているのではないだろうか。コロナ禍で推しを持つ人が増えたのも、社会はいとも簡単に機能不全となる、死ぬ時は一人である、という事実がわかりやすく提示されたという理由からか -
Posted by ブクログ
芥川賞受賞作ということで読んでみました。これこそ現代の若手作家にしか書けないようなとても近代的な物語だと思います。
読んでいてずっと主人公のあけみの考え方や生き方が自分としては納得感が無く、読みながらどうしてそう思ってしまうのだろう、なぜこうしないのだろうととても疑問に思ってしまいました。
中々個人的には理解の難しい人物像で、それはそれで面白く、こういう人もいるのだなあと1つ発見と学びにもなりました。
ただ一方で、推しに限らず、自分の中で生きる背骨となるもの、生きていくエネルギーを生み出し人生の中での大きな心の拠り所となるものを持っていることが如何に人生において救いとなるかをまざまざと見させら -
Posted by ブクログ
性というか性別(性自認や対象)というか、性欲というか性癖とか、性体験とか。
「性」のことはご法度的で親子、恋人、親友でも避けたりするわけで、孤独な世界だと思ってきたけれど。それが女性作家が17人も語るわけで下品上等、生々しくて面白い。
面白い、と言ってる事を下品と言う人もいると思いますが、多様性?とあえて言葉にすれば線引きしないでよ、と。
面白いというのは具体的に変えれば興味深い、が適切か。いやらしい意味でなく、前述のようにご法度な他者の世界に興味があるわたしは、作家がこうもあけすけにエッセイとして実体験や思想を語ってくれてありがたく。
本として残るので結構なカミングアウトもあったりするわ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「推し、燃ゆ」のじわじわしみて来る文体に押されて、デビュー作を読んでみた。 10代で書かれたという驚異の新文学。
世代の違いをまざまざと感じながら、それでもなにか身に迫ってくる娘(うーちゃん)と狂っていく母親(かか)との切り離せない愛情の物語と思えば、世代を超えた心情がよくわかってくる。
「かか」の手術前日に家を出て熊野に詣でる旅に出る。冒頭近く
かかはとある手術を翌日に控えていました。旅の出発日は入院日でもありました。それを放り出して旅を計画したうーちゃんをおまいは決してなじることはありませんでしたが、なんでそいなタイミングでうーちゃんがひとり旅立ってしまったかおまいにはよく把握できていな