宇佐見りんのレビュー一覧

  • 推し、燃ゆ

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    小さいときから日常生活をうまく過ごせないあかりは推しがいることでなんとか生きられている状態。その推しがファンを殴って炎上、解散することになり、ラストライブを迎えた。あかりはその自分を支えていた『背骨』が無くなることで受ける衝撃の大きさを徐々に実感する。読んでいて、バイトも勉強もうまくいかないあかりに若干のイライラはもってしまった。推しがいる人生は楽しい、でも、それが失われた時の絶望、そしてそれを人生の軸としてしまっていた人には絶望の大きさに人生そのものが脅かされることにもなりかねない。推しは大切だけど、自分の人生も大切。

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    2026年09月19日
  • 推し、燃ゆ

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    ネタバレ

    内容は今どきだなと思ったけれど、描写がとても美しくて良いな、と思って読んでいたら後書きで純文学と書かれていて納得。純文学というと堅苦しくて古めかしいイメージだったけれど、こういう本もあるのかと思った。

    あかりの何をやってもいまいち上手くできない、
    上手に生きられない描写が生々しくて、自分と重なって苦しかった。それを見つめるお姉ちゃんの「頑張ってるって言わないで。責めないで」の気持ちもすごく理解できて、読んでてしんどかった。自分はすごく苦しんでるのに大して努力してないように見える人が「頑張ってる」と言ってて苦しい気持ちを「責めないで」という言葉に集約させた作者さんの表現力がすごいと思った。

    思っていた展開と違って、あかりが前向きに生きるのかどうか最後まで分からなくて読んでてハラハラした。
    読んだタイミングが現実ニュースとリンクしてあまりにタイムリーすぎて、同じように打ちひしがれてる人も実際に存在するんだろうなぁと思ってしまった。

    後書きの「頼れる大人は一見厳しく寡黙で、とっつきにくく見える。頼れない大人は自分を持ち上げてくれる生徒にだけ調子のいいことを言い、そうでない生徒を、言葉を持たない未成年であるのをいいことに傷つける。口を閉じている存在を軽んじる先輩や大人にはどうか背を向けて、心の柔らかい部分をまもって生きてもらえたら」が、個人的にすごく刺さった。本当にその通り。ここだけでも子どもに読んで欲しいと思った。

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    2026年09月17日
  • 推し、燃ゆ

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    アイドルを推す女子高生の姿を描いた物語。
    自分の生活がままならない中で、推しの状況も変わってゆき、それでも生きていく。
    現代らしい部分はあるが、あくまで人を支えるものみたいな普遍的なテーマに対峙している気がしてよかった。

    あとがきに「この作品の作風は著者にとって異質なもの」みたいなことが書かれてあったが、他の作品も読んでみたくなった。

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    2026年09月17日
  • 推し、燃ゆ

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    推しという概念がある人には是非読んでもらいたい本。
    いま推している推しはもう8年ぐらい応援しているけど、明日は我が身だな。と思う内容だった。 身体が壊れないように、適度に楽しく推していこうね。
    自分が笑顔じゃないと推しを笑顔にできないよ!

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    2026年09月12日
  • 推し、燃ゆ

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    ネタバレ

    なぜかもっとハッピーなポップな小説だと思っていたら!しっかり昏くてよかった。この小説が流行る日本の社会をちょっとだけ憂いでしまったり、この小説を評価するひとたちが多いという事実にむしろちょっと安心したり。抑圧されたコロナ禍だったから余計かもしれないな。

    不器用なあかりが「背骨」と表現するもの、世界と自分を繋ぎ止めるもの、世界を生きていくにはそういうものが必要であることを肯定してくれるストーリー。「毒のような薬」に感じた。

    私には芸能界やIPなどに明確な「推し」がいなくて、ずっと推しごとに忙しいひとたちをどこか羨ましく感じてきたけど、わたしにとっては恋人や酒がそれだったのだと気付かされた。

    あかりが堕ちていく描写が非常にリアル。自分自身にもそういう瞬間はあって、家族が嘆くあかりの生活、そしてそんなことをまるで気にしないあかりの感覚が、実は自分のほんのすぐそばにあったのだろうと思う。

    背骨を失いながらも綿棒を拾いきったあとのあかり、別の背骨を見つけられているといいな。

    推しごとの良さをうまーく言語化してるなと思った文、
    「携帯やテレビ画面には、あるいはステージと客席には、そのへだたりぶんの優しさがあると思う。相手と話して距離が近づくこともない、あたしが何かをすることで関係性が壊れることもない、一定のへだたりのある場所で誰かの存在を感じ続けられることが、安らぎを与えてくれるということがあるように思う。」

    「日が翳っていくのにかかった時間の分だけ心のなかに黒っぽい焦りがつのっていく。何もしないでいることが何かをするよりつらいということが、あるのだと思う。」

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    2026年08月31日
  • 推し、燃ゆ

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    生の軸になっているものを他人依存で背骨とする危うさをこの作品で知ることができた。

    背骨となるものを自ら見つけていくことは、現代では難しいのかもしれないが、もし他人依存ではないものを見つけている人がいれば、強く生きていけるのだと思った。

    まだ自分にとってこの作品の理解が難しいので、もう少し力をつけてから再読していきたい。

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    2026年08月30日
  • くるまの娘

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    こわかった。「家族」と「暴力」と「依存」をテーマにしながら、そこから抜け出せない(抜け出したくない)、このまま「生」が続くことの恐怖が文章からにじみ出ていた。
    車の中は家族の息苦しさの象徴なのかもしれないけれど、そうやって無理にでも家族という形の中に自分を置いて、置いてしまえばその方が生き続けられる。兄や弟は逃げるという選択をしたが、逃げることだけが必ずしも「正解」ではないという、新しい視点だった。
    家族の中で生じる暴力(言葉を含め)も、夜の闇に溶けて、なんだか自分が悪かったようにも思い始めて、そしてまた暴力が起きて憤って、その沼のような繰り返しがあまりにもリアル。

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    2026年08月18日
  • 推し、燃ゆ

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    以前読んだ朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』と似たテーマだが、こっちは御伽話で、本作は劇っぽいと思った。純文学らしく、推しの炎上と引退を受けた主人公の内面の変化に表現のフォーカスを当てた150ページ。とはいっても、主人公がまだ高校生だからか、はたまた目の前の生活に手一杯だからか、なかなか具体的な表現をもって心情を吐露してくれる場面は少ない。あとがきでも触れられていたが、主人公のあかりは自分でも自身の気持ちがしっかり把握できておらず、ゆえに「言い切り」の形で文章が登場することが多い。この言い切りの文体が奇しくも文章をスラスラ読み進めるために一役担っていた。

    生きる理由を自分以外に求めるということがどれだけ不安定なことなのか、『イン・ザ・メガチャーチ』を読んだときも痛感させられたが、『推し、燃ゆ』でも同様に、いやそれ以上にグロく突きつけられた。

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    2026年08月11日
  • 推し、燃ゆ

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    推しを中心に生活がまわっている女子高生が推しにまつわる出来事により変化していく姿と内面を描いた作品。
    推しを語るひとつひとつの言葉が、同じようにオタクとしてその想いを適切に表現するすべを持たない私自身にとても響いた。推しに抱く気持ちに対して的確に言葉をもらった気がした。
    その一方でだからと言って主人公の行動は理解できないし、推しを持つ人たちに世間が抱くステレオタイプに当てはめられているような気がして気持ち悪いと感じた。
    苦痛を和らげるために推す、生活がままならないけど推しがいれば生きていける、というのは私はオタクの世界の一部だと思う。この作品は推し活が流行っているいまの時代を映すと言われるが、たしかに推し活、オタクへの世間の解像度がここに記録されているように感じる。

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    2026年08月10日
  • 推し、燃ゆ

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    些細な発言や行動から推しを可能な限り解釈しようとする熱意、ファンの立場からだけでは解釈できない限界に辿り着いたときのつらさ。
    あかりが高校生のときアイドルに夢中だった自分と重なって、懐かしくて切なかった。

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    2026年08月06日
  • 推し、燃ゆ

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    推し活つながりで、インザメガチャーチの続けて読んでみた。推し活をしてない私からすると、推し活入門書のような一冊。芥川賞作品にしてはとても読みやすい。

    ただ、読む順番が逆だった。
    この本を先に読んでから、インザメガチャーチ読んだ方が、より深くどちらも味わえる気がする。

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    2026年08月03日
  • 推し、燃ゆ

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    つい最近までアイドルを推していた。
    解散してから、自分は推しではなくアイドルとしての推しが好きだったと痛感。
    この本の主人公だったら推し続けるだろうな

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    2026年07月27日
  • 推し、燃ゆ

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     『推し、燃ゆ』は、推しを生きる支えとすることの危うさを、一人の少女の日常を通して描いた作品である。
     主人公は、日常生活に適応することの困難を抱えながら、推しを追う行為に多くの時間と金銭を費やしていく。本作が描いているのは、単に趣味へ没頭する姿ではない。現実を十分に受け止めきれない人間が、他者に生きる意味を託し、その存在によって、かろうじて自己を維持しようとする過程である。
     私はこれまで、推し活には、自分自身の力では得にくい達成感や自己肯定感を、応援や消費を通して補完しようとする側面があるのではないかと考えていた。主人公の姿には、そうした見方と重なる部分がある。推しに対する愛情は確かなものとして描かれているが、その情熱は同時に、自らの能力や生活状況、置かれた境遇と向き合うことを回避するための逃避先としても機能している。
     物語が進むにつれて、主人公の推しへの傾倒は一層深まり、その日常生活は次第に破綻していく。それでも、推しに意識を集中させている間だけは、内面的な空虚を一時的に埋めることができる。精神的な充足と現実生活の崩壊が同時並行的に進行していく点が、特に印象に残った。
     推しを持つこと自体が問題なのではない。しかし、精神的な支えを一つの対象のみに委ねれば、その対象を失ったとき、自分自身の生活や精神状態まで立ち行かなくなる危険がある。好きなものや関心の対象を複数持ち、自らの生活のなかにも安定した基盤を確保しておくことが必要なのだと思う。
     明るい題材を扱った作品を想像していたが、実際には、依存と喪失を静かに描いた重厚な作品であった。主人公に全面的に共感することはできなかったものの、他者を心の支えとすることと、自分の人生そのものを他者に明け渡すこととの違いについて、深く考えさせられる一冊である。

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    2026年07月25日
  • 推し、燃ゆ

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    面白い。
    笑える、という意味ではなく、推す事の「苦しさ」も含め、あまりにも繊細に感情を表現する文章力にとにかく惹きつけられて、あまりにも面白い。
    何かに依存する習慣のある人程、強く共感できる作品な気がしています。

    本を読む習慣のまだ浅い私にとって、テンポが良くて一気に駆け抜けたくなる読みやすさでした。
    そして、言い回しや使われる言葉、表現等が現代的。

    それが作家さんによるものなのか時代によるものなのかはまだ私には分からないけど、新しい世界に触れた感じが心地よかったです。

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    2026年07月12日
  • 私の身体を生きる

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    こんなに赤裸々に描かれているのか、と思うのは、それもまた性を隠す大人の無意識に引っ張られているのだろうか。作家さんによって「身体」に対する感じ方がこんなにも違うのだなと興味深かった。

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    2026年06月08日
  • 私の身体を生きる

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    性というか性別(性自認や対象)というか、性欲というか性癖とか、性体験とか。

    「性」のことはご法度的で親子、恋人、親友でも避けたりするわけで、孤独な世界だと思ってきたけれど。それが女性作家が17人も語るわけで下品上等、生々しくて面白い。
    面白い、と言ってる事を下品と言う人もいると思いますが、多様性?とあえて言葉にすれば線引きしないでよ、と。

    面白いというのは具体的に変えれば興味深い、が適切か。いやらしい意味でなく、前述のようにご法度な他者の世界に興味があるわたしは、作家がこうもあけすけにエッセイとして実体験や思想を語ってくれてありがたく。
    本として残るので結構なカミングアウトもあったりするわけですが、それはどういう心境なのだろうか、とも思ったり。
    他にもこの手の本はあるのかな?と探したくなったほど。
    男性作家版も出して欲しい所存です。

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    2026年06月07日
  • 私の身体を生きる

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    いつも読んでる大好きな作家さんたちの身体にまつわるエッセイ。作家さんたちにも過去や苦しみや葛藤があると知ってしまった。

    「誰かから指弾される前に、違う、お前は違うと「私の中の世間」が言ってくる。」

    ☁️ 世の中には女性であることで苦しんでる人がいないわけないのに、言語化されてしまうと本当にいると見えてしまう、なんて、自分勝手さに嫌になりながら読み進めました。

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    2026年06月02日
  • くるまの娘

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    心を抉る感慨深い小説だった。純文学として難しいことは言えないし読み取れなかったけど、これほど鬱屈さを曝け出す小説は他にない。

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    2026年05月30日
  • かか

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    ネタバレ

    一人称かつ方言? で進んでいく文体が読み進める度に癖になっていく。『推し、燃ゆ』に繋がるなと思うSNSやファン文化の話も出てきて嬉しくなった。うーちゃんの生き方が読んでいて息苦しくなる。

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    2026年05月24日
  • かか

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    アダルトチルドレン。幼少期に大好きで神格化していた母親を次第に憎むようになっていく過程の心理描写が、私自身の経験とも重なった。けれど、私は目を背けて気付かないようにしていた感情だったので、この書籍で言語化されて向き合わざるを得なくて、読み進めていく中で辛かった。
    記憶の中の優しい母親が大好きなのに、現実に目の前にいる母親は自分より子供のように感じてしまって、その感情に見て見ぬふりをしていたけれど、うーちゃんが”憎い”と言ってくれた。私なんかよりずっとうーちゃんの方が、正直に生きている。

    会える時に、母親に会っておこうと思った。

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    2026年03月02日