宇佐見りんのレビュー一覧

  • くるまの娘

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    ネタバレ

    「あのひとたちはわたしの、親であり子どもなのだ、ずっとそばにいるうちにいつからかこんがらがって、ねじれてしまった。まだ、みんな、助けを求めている。相手が大人かどうかは関係がなかった。」
    繰り返される地獄の渦中で育った一人として、溢れる涙を止められなかった。ここまであの地獄とその中の愛を言語化している小説には今まで出会ったことがなかった。

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    2025年02月05日
  • くるまの娘

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    ネタバレ

    しばらく読みづらかったけど、半分過ぎたあたりから入り込んで読んだ。
    「機能不全家庭」「ヤングケアラー」という言葉が頭に浮かんだ。
    こんなにも娘に愛されているのに、この父親ときたら自分の傷にしか目がいかない。可哀想な生い立ちだったとは思う。結局、受けた傷や空虚感や渇きはその人の中に残り続け、貰えなかった愛情を死ぬまで欲しがるようになってしまうんだろうか。私は自分を省みても、自分の親のことを考えても、そう思ってしまうのだ。

    かんこは最後、車で寝泊まりする事によって両親から物理的に少し距離を置けた。それによって見なくていいもの聞かなくていいものをある程度避ける事が出来るようになり、自分の生活に集中

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    2024年11月05日
  • くるまの娘

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     いたい…いたい…
     傷つけあっても、また寄り添えあえるのが家族だと、おめでたく思っていたけれど、ちがうよね。家族でも許せないことは許せない。だけど、とりあえず一緒にいるから、時の流れに「溶けていく」だけ。
     他人なら、傷つけられた人のことは避けたり、抗議したり出来るが、「帰る家」の中で傷つけられると逃げ場がない。けれど、優しいときも楽しい時も温かい時もあるから、やっぱりそこが居場所になって、「怒り」や「悲しみ」は「保護」や「権力」に塗り込められてしまう。私は自分が親になってからは、自分が塗り込んでしまった「壁」しか見ていなかった。
     かんこの父は生家で母親に可愛がられなかったため、一人で強く

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    2024年06月26日
  • くるまの娘

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    驚いた。こんな小説だったとは思わなかった。作者はこのような境遇の女性の心境をどうして描くことができたのだろう。「なんらかの制度と自分の苦しみはつながっているのかもしれない。だが何もかも遅かった。人が傷つく速度には芸術も政治も追い付かない。」すごい威力のある言葉が満載。表紙。メリーゴーランドのシーンはつらかった。いとおしい家族。おぞましい家族。くるまに守られ、くるまに閉じ込められている女性の話。濃い。

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    2024年06月22日
  • くるまの娘

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    キター!宇佐美りん節炸裂ー!
    わたしのHPが持ちません!

    この作者の小さな刃で深く抉って、いつまでも疼いて痛む傷つけ方を知っている恐ろしさたるやなんなのだろうか。(めちゃくちゃ惚れ惚れしているという意味です!)
    宇佐美さんの言葉ひとつひとつを飲み込みながら、言葉は、本当に人を傷つけることができる、と思うのです。(そしてそれを正しく使われ、表現を浴びた今、畏怖と多幸感でいっぱいです!)

    本作は世代間連鎖のお話です。
    主人公は自分の受ける痛みと、その家族が受け続けてきた痛みをも背負い込もうとしてしまう、愛情深い女の子、かんこ。
    自分だけが楽になることは火事場で子供を手放せと言われているのと同等

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    2024年07月10日
  • かか

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    ネタバレ

    19歳のうーちゃんとかか、弟、祖父母、従姉、犬の日常。一見するとありふれた家族のように思えるけど、かかは酒を飲んで荒れるし、祖父母とはぎくしゃくしたような関係。家族との複雑な関係や、何で生まれてきたのかのような問いかけが出てきて、読んでて苦しくて仕方なくなってくる。
    だけど合間にうーちゃんの、かかが好きな気持ちが見え隠れしてるし、旅の途中で突発的に嘘をSNS に投稿しては自分の気持ちを確かめ整理してて、とても目が離せなかった。

    まず冒頭の『女の股から溢れ出る血液』が衝撃を受けた。幼少のうーちゃんが『一疋の金魚』の正体を知らないのは当然のことだけど、知らないからこその好奇心、誰かに見せたいとい

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    2024年05月28日
  • くるまの娘

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    とてもとても良かった。著者の書く家族の姿はどの作品でも本当にリアルだ。とりわけ本作では親と子の共依存関係(この関係性を依存と呼ぶことを主人公は拒否している)の描写がリアルすぎて始終胸が苦しい。最後はどんなに地獄でもその中に少しだけ見える希望に縋ってしまう。やはり家族なのだと思わされてしまう。
    いく先が地獄だとしても家族というくるまに乗ってどこまでも行くしかないのかもしれない。

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    2024年05月19日
  • 推し、燃ゆ

    購入済み

    正直、主人公が僅かに羨ましい

     アルコールやギャンブルと同じように推し活も、病気として治療が必要な依存症の域に達することがある。主人公は推し依存症であるが、何かに沼ることで憂き世を忘れて生きる活力を得て、そこで歯止めが効かなくなることは誰しもあり得る。
     さて、五十路の自分はつまらない人生を歩み、今はマッサージ屋で肩をほぐしてもらうこと、TRPGのニコニコ動画を観ること、ラジオで問わず語りの神田伯山を聴くことを、ささやかな楽しみに生をつないでいる。推し活に燃えたひとときに一片の悔いも残していない若い主人公が、僅かに羨ましい。

    #切ない

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    2023年09月22日
  • 推し、燃ゆ

    ネタバレ

    アイドルも、おたくも必読な本

    推しが存在したことも燃えたこともある身からすると、主人公の思いも行動もリアルで心抉れました。 推し活とは推しに自分を重ね託すことで、どうしようもない自分の生活が救われ、承認欲求が満たされる行為です。誰かのために生きるという観点からすると、子供や親や恋人のために仕事・生活を頑張ることと同義です。主人公の行き過ぎた推しへの想いや熱度を私は愛しいと感じました。
    そして、自分の全てをかけ生きる糧としたファンがいたことが上野真幸にも伝わっていればいいとも思ってしまいました。
    誰かを推したこと、推されたことがある全ての人に読んでほしい作品です。
    生きていく意味を失ったあかりが次の生きる糧を見つけられるこ

    #切ない

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    2023年09月03日
  • くるまの娘

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    おそらく『推し、燃ゆ』が何十万部売れようと、この人には関係ないんだろうなというのが、まず読み終えた第一印象であり、23歳という若さに似合わぬ、その堂々とした佇まいから放たれる、大胆にして理知的でありながらも、平和そうに見える現実の奥底に深く沈み込んでいる絶望的な闇を、その客観的視点で見つけ出し、なんとかしようと孤軍奮闘している。そんな印象を私に与えてくれた本書は間違いなく衝撃作だと思う。

    本書で扱っている問題は、いわゆる家庭内暴力が当然のように繰り返される、どうしようもない家族の在り方であり、普段は人が好くても時折子供のようにカッとなる父親と、脳梗塞の後遺症を引き摺る不安定な母親と共に暮らす

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    2024年11月08日
  • 推し、燃ゆ

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    史上3番目の若さでの芥川賞受賞ということで話題になったやつ。
    主人公にとって「推し」は趣味や娯楽
    じゃなく、 身体を支える骨格みたいなもの。
    だから推しが炎上した瞬間に世界観、自分の立ち位置、生き方、全部が揺れる。

    「推し」という主人公の「背骨」=人生の軸、体の軸が揺らいでいく物語。

    若い才能に感嘆

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    2026年03月21日
  • 推し、燃ゆ

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    宇佐美りんの中では好みではない方だけど、宇佐美りんの書く小説がとても好きなので、面白かった。

    ラストの冴え方が、すごい。身体感覚がすごいというか、身体に作用させる言葉の使い方がすごいというか。
    全ての写真は遺影に似ている。仏壇に備えた蜜柑を食べた記憶から、推しの誕生日に買ったケーキを食べた記憶へと繋がる。夜明けは光で視認するのではなく、夜に浸していたはずの体が奇妙に浮くような感覚で認識する。死体が水中から浮かんでくるように。
    あらゆる記憶やイメージが死に結び付けられて行く。バスに乗り、川の流れに乗るようにマンションへ着く。そこで女が洗濯物というあまりにも現在の生活、生そのものを示すような光景

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    2026年03月09日
  • 推し、燃ゆ

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    タイトルからはミーハーな印象を受けるが、感情表現の秀逸さが際立っている。万人におすすめ出来るわけではないが、一風変わった小説が読みたいという人におすすめ。

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    2026年03月09日
  • かか

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    アダルトチルドレン。幼少期に大好きで神格化していた母親を次第に憎むようになっていく過程の心理描写が、私自身の経験とも重なった。けれど、私は目を背けて気付かないようにしていた感情だったので、この書籍で言語化されて向き合わざるを得なくて、読み進めていく中で辛かった。
    記憶の中の優しい母親が大好きなのに、現実に目の前にいる母親は自分より子供のように感じてしまって、その感情に見て見ぬふりをしていたけれど、うーちゃんが”憎い”と言ってくれた。私なんかよりずっとうーちゃんの方が、正直に生きている。

    会える時に、母親に会っておこうと思った。

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    2026年03月02日
  • 推し、燃ゆ

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    普通じゃないし、推しも追うことができなくなって、とても辛いはずなのに死のうとしないのかと思いました。

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    2026年02月23日
  • 推し、燃ゆ

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    共通点が多くて、自分と重ねて読んでしまった。
    終始古傷をえぐられているようで文章を読みながら痛みを感じていました。
    何も出来ないけど、推しがいたら全ては意味のあるものになる、という人生はとても危ういように思える。
    その一方で、それはすごく強い力を与えてくれる。
    この少し矛盾した、ツギハギな感触がそのまま文章に流し込まれて、悩みだったり諦めが描写されている。
    だから、これを読んで恐怖と痛みを感じるんだと思った。

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    2026年02月14日
  • 推し、燃ゆ

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    この小説のはじまり、
    「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」

    とても好き。

    推しってひとだけでなく、漫画や某テーマパークのキャラクター。スポーツ選手やアーティスト。
    様々あると思うので、自分の推しがもしも不祥事を起こしたらなんて考えながら読んでいた。

    アルバイトや仕事を週5日休みなく頑張れるのは、支えるものがあるからなんだなと思ったな。


    あと、この小説が書かれたときコロナ禍だったんだね。
    不安な時も支えがあると少しは違うよね。

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    2026年02月12日
  • 推し、燃ゆ

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    全身全霊で推すことは楽しい。気持ち良い。嬉しい。高揚する。その空間だけになる。浸る。
    アイドルに、だけではない。
    スポーツ、趣味、習い事、好きなこと、仕事…。
    没頭することは何にも変え難い。

    なぜか。

    楽だから。

    色んなことが身の回りで起こるけど、一つに、シンプルに、それだけに、のめり込めるのが楽だから。

    でも、
    推ししか勝たん…。

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    2026年02月08日
  • かか

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    「推し、燃ゆ」のじわじわしみて来る文体に押されて、デビュー作を読んでみた。 10代で書かれたという驚異の新文学。
    世代の違いをまざまざと感じながら、それでもなにか身に迫ってくる娘(うーちゃん)と狂っていく母親(かか)との切り離せない愛情の物語と思えば、世代を超えた心情がよくわかってくる。
    「かか」の手術前日に家を出て熊野に詣でる旅に出る。冒頭近く
    かかはとある手術を翌日に控えていました。旅の出発日は入院日でもありました。それを放り出して旅を計画したうーちゃんをおまいは決してなじることはありませんでしたが、なんでそいなタイミングでうーちゃんがひとり旅立ってしまったかおまいにはよく把握できていなか

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    2026年02月05日
  • かか

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    この人やっぱり天才だよなぁ。
    描かれている苦悩はあまり自分に近くない環境で共感しづらいものだったけど、それでも文章の持つ力強さが凄くて、ぶん殴られてる感じがした。
    特にかかを「にんしんしたかった」わけが分かるときの、改行が一切入らない語りは圧倒された。
    個人的には最後SNSに絡めるところはいらなかったというか、かかの話で完結して欲しかったとは思ってしまう。

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    2026年02月02日