宇佐見りんのレビュー一覧
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推しのアイドルが傷害事件を犯した結果、芸能界引退に追い込まれ、それを悲観する話。
以下、ネタバレあり。
女子高生のあかりは男女混合アイドルグループ、まざま座のメンバー上野真幸を推している。かつて演劇の舞台で見た子役の彼に惹かれ、アイドルになった後も、楽曲のCDやライブDVDにグッズ等の収集に励み、さらには出演作品はもちろん発言のほとんどをファイリングし、推し活に血を注いでいる。ある日、その真幸が一般女性を殴ったことが世間に知れ渡り、SNSで炎上する。ネット上では色々な噂が飛び交う中、グループの人気投票では遂に最下位に転落してしまう。そのせいもあってか、真幸は芸能界の引退を突然発表する。 -
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何この本、すごく面白い。止まらない。
そんなつもりで読んだんじゃなかったんだけど…となった。
タイトルから察するに、「推しが炎上してセンセーショナルな出来事が巻き起こる」のをひたすら描写するのかと思ったら、全然違った。
推しは炎上するしちゃんとその後の推しの話もされてるんだけど、
気持ちの描写がうますぎて、もっと、もっと気持ちを聞きたい、となってページがどんどん進んでいった。まだ、もっと読みたい。
初めは、「やたら描写が多くて酔ってるみたいだな…」と読みづらさを感じていたのに、いつのまにか夢中になって追っていた。
主人公の気持ちの言語化の中に、過去の自分の消化できていなかった気持ちが呼び起 -
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「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。
痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを -
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ネタバレ父方の祖母が亡くなり、かんこと両親は車で祖母の家へ向かう。
車中泊をしながら。
家を出て暮らしている兄と弟もそれぞれやってきて…という話なのだが、彼女の作品を説明するのに、あらすじなど書いたところでしょうがない。
傍から見ればかんこの家族は壊れている。
些細なことですぐかッとし暴力をふるう父、脳梗塞で倒れて以来自分の感情を持て余すかのように時々爆発する母。
家を出て自分の力で生きている兄と、遠くの高校へ通うために家を出ている弟。
家族それぞれが傷つけあい、血を流しながらも愛している。
それは歪なこと?
逃げ出さなくてはならないこと?
かんこはそうは思わない。
”もつれ合いながら脱しようと -
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母と娘の特殊な結び付きが痛々しくて切なかった。
パッと分かりやすい不幸でないと不幸と認めてもらえないこと、行き詰まった心の吐き出し先がない苦しさなど、読みながら胸が痛くなった。
小さな子供にとっては誰でも母は信仰の対象だ。例え子供っぽくて、父から捨てられ、鬱で半狂乱になる母でも、その信仰を子供は捨てることができない。特に娘にとっては同性である女であることが呪いのようにもなってしまう。
ラストの後、信仰の対象がなくなったことがどうか良い方に転んでほしいと思った。
また、身内でありながら第三者ポジションの「おまい」への語り口調が家族間の関係性を浮き彫りにさせていて、より主人公の孤独感が際立ってい -
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ネタバレ声にならない痛みを全身で叫んでいるような作品だった。
なんでもないかのように振る舞う主人公につられて、そういうものかと読み進めていったら、家族はとうに崩壊していることが徐々に明らかになってくる。
父と母と娘、もはや自分たちだけではどうにもできない状態なのだが、主人公は当事者であるため冷静に考えることができていない。それは無理もないことで、親への愛情も愛着もあるだろう。たとえそれが最善だと言われても、両親を置いて離れることに苦痛を感じているようなのが、また悲しかった。
家族間の長年かけて築いてきた空気感が見事に表現されていて、ほんとうに苦しかった。死は思ったよりもすぐそばにあるが、今この瞬間は平 -
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ネタバレ辛い時に自分をものだと思うとか、痛いほど共感できる。こんなものを書きたい。自分に足りないものを一々考えさせられる。自然、光の描写が多い。
確かに、「自分は自分で守れ」は、見捨てられる側にとっても残酷な言葉。
母の病気がきっかけと言っても、それは母のせいでないから父が悪いと。弟に「だからいじめられるんだ」、かんこの鬱を責めるのはひどい。でも作中にあった通り、それは祖母のせいであり、それも遡れば原因はあり、それ以外にもきっと原因はある。
「なんで生きてきちゃったんだろうな」
車で住むようになって学校に行けるようになったのは両親と離れたからだと思う。それでも兄弟の中で1番見放さないかんこは偉い