飲茶のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自由、平等(功利主義)、宗教の三つの価値観を主人公と3人の登場人物が議論を交わす形で話を展開していくので、わかりやすくてめちゃ面白い。
功利主義には、幸福度を客観的に計算できるのかという問題、身体的な快楽が本当に幸福だと言えるのかという問題、強権的になりがちになるパターナリズムの問題がある。
自由主義には、富の再分配の停止による格差の拡大や弱者が排除される問題、自己責任や個人主義の横行によるモラルの低下という問題、当人同士の合意による非道徳的行為の増加の問題がある。
人類の歴史を遡れば道徳、つまり善や正義といった理想を持っている人間の方が悪人よりも大勢人間を殺している。 ニーチェは、神や善や道徳を普遍的なものではなく、支配者が人間に都合よく大人しくさせるための抑圧の道具に過ぎないと主張し、現実の存在に目を向けた生き方をせよと訴えた(実存主義)。これ以降の哲学史において、超越的な存在を肯定する哲学は全く出てこなくなった。
ロールズは、無知のヴェールによる思考実験を行うことにより、差別をせず、自由を保障するという自由の原理と、社会的・経済的不平等が最も不遇な人にとって最大の利益になるような形で存在するのであれば認めるという格差原理の二つが、万人共通の正しさとして浮かび上がってくるだろうと結論付けた。
構造主義は、人間は何らかの社会構造に支配されており、決して自由に物事を判断しているわけではないと考える。ミシェル・フーコーは「監獄の誕生」の中で、刑務所というシステムが歴史的にどのように誕生し、それが人間にどのような影響を与えたかについて分析し、刑務所は悪人の生活を監視して正常な人間に矯正する装置であると考えた。街を歩く人のほとんどがスマートフォンなどの情報機器を持っている現在は、監視カメラを持ち歩いて互いを監視しあっている状態と言える。
内容的には学生向けなんだろうけど、今まで読んだ本のベスト10に入りそう。 -
Posted by ブクログ
著者の飲茶さんは哲学の専門家ではなく、元理系のサラリーマン。著書に「14歳からの哲学入門」など哲学や科学などの学問を平易に解説する本を書いています。
本書も哲学を全く知らない人向けに書かれた、大変面白い本になっています。
「相対性理論」、「カオス理論」、「エントロピーの法則」等を大雑把にかつわかりやすく解説したあと、「2重スリット実験」、「コペンハーゲン解釈」、「シュレディンガーの猫」といった量子力学の入口まで読者を導き、だんだんと科学から哲学や倫理問題の領域に議論を移してゆき、科学論理の脆さを突いてゆくのはうまい流れと思いました。
「哲学的な視点で『科学的な正しさ』を問いかけていくと、実はそれがかなり危ういものだと気づかされるだろう。
いままで確かだと思っていた景色がガラガラと崩れる瞬間は、怖いけども、ちょっぴり楽しかったりもする」
終盤では「意識」の問題に入ります。「どこでもドア」の寓話はかなり怖いけど「意識」の本質がモヤモヤながらも見えてきました。
哲学の難しさよりも面白さに重点を置いた本。文庫版の面白い本です。哲学の入門の入門として手に取って損はないと思います。
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Posted by ブクログ
キリスト教の権威が失墜し、人々は神に頼らず、自分達の理性で物事を考え始めた。そこで、人間が認識できる範囲はそもそもどこからなのかを考えたのが、デカルトやカントといった近代哲学者だった。彼らの主張は合理主義と言われる。
合理主義的は、人間の性質を抽象化したものである。でも個人個人の思考はそんな簡単に一括りできないだろう、現実をもっと重視しよう。そんな実存主義が、キルケゴールやサルトルらによって広まった。
その後、人間の思考は、属する社会や文化によって異なる「構造」によって決まってしまう。だから、どんな構造があるのか考えようという、ウィトゲンシュタインらによる構造主義が現れる。
構造主義のあとは、反哲学主義。デリダは構築なんて解釈次第でなんとでも捉えられるという脱構築を主張した。
そして、いま。新しい哲学はもう現れないという。ボードリヤール曰く「哲学は死んだ」。だが、偉大な哲学者達は、現状の常識では思いもつかない考え方を編み出しできた。哲学は死んだ。そんなこと知るかとばかりに新しい常識を生み出す人物は現れるのか?否、常に常識を疑い続けよう。そうすることでなにか見えてきそうなものだ。
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Posted by ブクログ
哲学と倫理の繋がりを知り、難しいのに面白い本だった。
倫理は善く生きるための学問で、大きく「平等、自由、宗教」が根幹にある。
平等は功利主義といい、最大多数の最大幸福を目指す。
自由は自由主義といい、個人の自由を重んじる。
宗教は直観主義といい、イデア、あるかないか分からないが信じるものがある。
どれも欠点がある。
功利主義は幸福を言及できないし測れないこと。
自由主義は弱者が生まれること。
直観主義は説明がつかないこと。
そして生まれた構造主義。思考も事象も枠の中でしかないこと。
刑務所の中では囚人は囚人らしく、看守は看守らしく演じるように、社会でも同じように社会の中のその特定の環境下の存在として振る舞う。
そこから抜け出すことはできない。
だから、それらを加味した上で自分の善を進めればいいのではないか?という結論。
すごく分かった。し、それぞれに共感した。
まず、善を3つにわけて、それらの主義、主張を知れたのが大きくて、それの反論も論理的で分かりやすかった。
構造主義に対してと、ポスト構造主義に対しても説明があり、とてもとても分かりやすかった。
あと、「原典をあたる」のを伝えていたのにも共感した。
読みながら、自分は自由主義であり直観主義だと思ったけど、功利主義も構造主義も理解したつもりだった。それに自分がそこまで「主張していない存在かも」と思って、つまり「〜〜主義だ」って言わないことで、どっちつかずの自分だったと思った。そして、そこについて考えが及んでいないことも感じた。
フーコーの研究についてを読んで、追究の目線と姿勢に感銘を受けた。
どっちつかずの人間になってきているんかな?
AIが発展したり、新たな生物と関わる瞬間に、決断が起こるだろうし、そのために今のうちに詰められるところは詰めとかないとと思う。
それと思考するってやっぱり大事なことだと思った。
考えないと言葉にならないし、言葉がないと主張できないし、主張できないと決まらないし、決まらないと進まない。
一人でも考えることが増えて質が上がれば最善が尽くされるだろう。 -
Posted by ブクログ
「14歳からの」とタイトルについているけど、他の著作とは被らない内容なので、著者の著作が好きだったら手に取って欲しい本。
永劫回帰のニーチェに始まり
合理主義
演繹法で神の存在証明まで行ってしまったデカルト、帰納法&経験主義のヒューム、精神で合理論と経験論を統合するカント、弁証法で絶対精神に行っちゃうヘーゲル
実存主義
ネガティヴすぎて絶望し神に可能性を見出すキルケゴール、実存>本質で社会にEngagementすることを呼びかけるサルトル
構造主義
(無意識を発見したフロイト)、構造を無意識に選ぶというレヴィ=ストロース、言語は無根拠なルールによって成り立っているとして哲学をおわらせたウィトゲンシュタイン、そして客観的な手法がないために構造主義が廃れる。
ポスト構造主義
真の意味は知りようがないので二項対立で脱構築を訴えるデリダ、消費される記号は無限に生産できるので資本主義社会は破綻しないというボードリヤール、ポスト構造主義=システムの内側に囚われた人間はその範囲内でしか思考できない。
これからの哲学
経済を回すために仕事し、記号消費する現代にあってニートは社会システムを変える希望。働かない社会。目的やするべきことを持たず幸せに生きていく哲学。
いわば、真理探究に関する哲学史。