飲茶のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西洋哲学編は、ほんとに「階段状」というように、最初から最後に向かって理解の階段を登っていくような読書だった。
つまり、普通の読書だった。
対してこの東洋編。やっぱり、冒頭で著者が述べてることが全てで「ピラミッド型」であり本質的に「わからないもの」。
その触れ込み通り、内容はずっと一貫していて、通奏低音は変わらない。そして思想の内容よりは「わからない」ことをどう越えようとしたか、その挑戦方法を知ることに意義を感じた。
これを読んだあとで「わかった」「わからなかった」「わかりやすかった」「わかりづらかった」と言うのは少し無粋かもしれないなと思ったので、面白かった、にとどめておこうと思います -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白くて一気に読んでしまった。1冊目の西洋哲学の方を読んでから読み始めたら、その始まりやアプローチのされ方がまるで真逆で面白かった。悟りとは何かをインド哲学でしっかり説明されたうえで、言葉では伝えられない「体験による理解」がいかに伝承されてきたかを、中国哲学、日本哲学という流れを通して理解できるようになっていた。それぞれの哲学がいかに必然的にそうなったかを歴史的な流れと分かり易い例えを多用しながら説明していて、物語に入り込みながら読み込むことができた。
仏教でいう悟りの正体を知識として掴むことができた。不幸とは自分自身の思考が作り出しているものにすぎないので、無分別智の境地(悟り) -
Posted by ブクログ
著者の飲茶さんは哲学の専門家ではなく、元理系のサラリーマン。著書に「14歳からの哲学入門」など哲学や科学などの学問を平易に解説する本を書いています。
本書も哲学を全く知らない人向けに書かれた、大変面白い本になっています。
「相対性理論」、「カオス理論」、「エントロピーの法則」等を大雑把にかつわかりやすく解説したあと、「2重スリット実験」、「コペンハーゲン解釈」、「シュレディンガーの猫」といった量子力学の入口まで読者を導き、だんだんと科学から哲学や倫理問題の領域に議論を移してゆき、科学論理の脆さを突いてゆくのはうまい流れと思いました。
「哲学的な視点で『科学的な正しさ』を問いかけていくと、実 -
Posted by ブクログ
キリスト教の権威が失墜し、人々は神に頼らず、自分達の理性で物事を考え始めた。そこで、人間が認識できる範囲はそもそもどこからなのかを考えたのが、デカルトやカントといった近代哲学者だった。彼らの主張は合理主義と言われる。
合理主義的は、人間の性質を抽象化したものである。でも個人個人の思考はそんな簡単に一括りできないだろう、現実をもっと重視しよう。そんな実存主義が、キルケゴールやサルトルらによって広まった。
その後、人間の思考は、属する社会や文化によって異なる「構造」によって決まってしまう。だから、どんな構造があるのか考えようという、ウィトゲンシュタインらによる構造主義が現れる。
構造主義のあとは、 -
Posted by ブクログ
哲学と倫理の繋がりを知り、難しいのに面白い本だった。
倫理は善く生きるための学問で、大きく「平等、自由、宗教」が根幹にある。
平等は功利主義といい、最大多数の最大幸福を目指す。
自由は自由主義といい、個人の自由を重んじる。
宗教は直観主義といい、イデア、あるかないか分からないが信じるものがある。
どれも欠点がある。
功利主義は幸福を言及できないし測れないこと。
自由主義は弱者が生まれること。
直観主義は説明がつかないこと。
そして生まれた構造主義。思考も事象も枠の中でしかないこと。
刑務所の中では囚人は囚人らしく、看守は看守らしく演じるように、社会でも同じように社会の中のその特定の環境下の存在