【感想・ネタバレ】「最強!」のニーチェ入門 幸福になる哲学のレビュー

あらすじ

誰よりも楽しく、わかりやすく哲学を伝えてくれる飲茶が鉄板「ニーチェ」に挑む意欲作。孤独、将来への不安、世間とのズレ……不条理な世界に疑問を感じるあなたに。心に響く哲学入門書!

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著者の飲茶氏による**『「最強!」のニーチェ入門 幸福になる哲学』**は、難解とされるニーチェの思想を、読者の「生き方を変える」ための指南書として、噛み砕いて解説した作品である。本書は、ニーチェの思想が、私たちを絶望させつつも、最終的には前向きな生き方へと導く力を持つことを示唆している。

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### 哲学の二つの概念と「背後世界」

本書では、哲学を「**白哲学(本質哲学)**」と「**黒哲学(実存哲学)**」の二つに分類している。「白哲学」は「意味」や「価値」など、物質を超えたものを探求する学問であるのに対し、「黒哲学」は物事に本質的な意味はないと主張し、「現実の存在(実存)」に目を向けることを促す。

ニーチェは、人間が、目に見えない「真実の愛」や「運命」といった幻想的な世界を「**背後世界**」として信じ込み、それが現実の世界に重なっていると考えることで、不幸になると指摘する。私たちは、社会から押し付けられた「架空の価値観」にとらわれ、本来存在しないハードルを自ら設定し、それを超えられないことに失望してしまうのだ。

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### ニヒリズムと「奴隷道徳」

しかし、すべての意味や価値を否定すると、「**ニヒリズム(虚無主義)**」に陥り、人生の充実感を失ってしまう。ニーチェは、ニヒリズムに陥った人間を「**末人**」と呼んだ。「末人」とは、目標や夢を持たず、ただトラブルを避けて時間を潰すだけの人生を送る人々のことである。

また、ニーチェは、一般的な道徳が「弱者の嫉妬心や恨み(ルサンチマン)」から生まれた「**奴隷道徳**」であると批判する。これは、強い人間を悪とし、大人しくて弱い人間を善とする価値観であり、現代では「**社畜道徳**」や「**道化道徳**」として形を変えて存在している。例えば、不幸な出来事を「笑い話」にすることで、本来の怒りや不満を消化し、解決への行動を放棄してしまう状態がこれにあたる。ニーチェは、このような道徳にとらわれると、人間本来の生き方ができなくなると訴えている。

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### 「永劫回帰」と「力への意志」

ニーチェは、人生の不条理を乗り越えるための方法として、「**永劫回帰**」という概念を提唱する。これは、人生が永遠に同じことを繰り返すという「最悪の世界」を想像することで、私たちが「**今、この瞬間を力強く肯定して生きよう!**」という意志を持つことを促す思想である。

さらに、ニーチェは、生物が持つ「**力への意志**」に注目する。これは「より強く成長したい」「精神的な欲求を満たしたい」という、生物本来の自然な欲求である。ニーチェは、この「力への意志」を「**芸術**」として表現することで、不条理な人生を雄々しく生きていくことが可能になると主張する。

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### 「事実」と「解釈」の区別

ニーチェの最も重要な言葉の一つに「**事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである**」というものがある。私たちは、「リンゴが赤い」というような客観的な事実だと思っていることも、実は人間が勝手に貼り付けた「ラベル(解釈)」に過ぎない。私たちは、常に自分の立場や価値観によって物事を「解釈」しており、最初から意味付けが固定された「事実」は存在しない。

この視点を身につけることで、他者から押し付けられた「こうあらねばならない」という解釈が、宇宙の絶対的な法則ではなく、単なる一つの見方に過ぎないと理解できるようになる。そして、自分自身の「実存」を第一に考え、他人から与えられた非現実的なものに振り回されずに生きることができるのだ。

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

ニーチェ大好きになった
この思考を完全に身につけるのは大変だろうけど、意識はしていきたい

物語形式で堅くなく読みやすい
読んでいくと「だからどうなるの?」って疑問が湧くけど、その疑問をピンポイントで解説してくれる、それそれってなった

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2025年01月14日

Posted by ブクログ

世の中の常識とか、当たり前とかの固定概念をぶち壊してくれる本

当たり前とか世の中が作り上げた常識にとらわれずに、自分らしく生きたい。

変人と思われるぐらいがちょうど良い

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2024年11月10日

Posted by ブクログ

★感想/考察
・YouTubeにてニーチェ解説の動画を見まくっていた時、まこなり社長のニーチェ解説に出てきたので気になって読んでみた。とにかく、分かりやすい。ただ本当に"ざっくり"なので、ニーチェ思想の概要を"簡単に学びたい人"にはおすすめ、というか本書を入門にすべきと思う。私は先に副島隆彦さんの本を読んだので、この本は復習的な意味で手に取った。そして今は副島さんおすすめの適菜収さんの某書を読んでいる。副島さんがすすめるだけありやっぱり面白い。そして何より本書同様に分かりやすい。
順番としては本書→副島さん→適菜さんで読むべきだったけど、遠回りもアリだなとw
とりあえず私はニーチェの思想を受け入れ、そして実践するつもりだ。ただ、他にも好きな哲学者がいるのでニーチェも含め、偉人達の好きなところをミックスさせて自分の思想を出したいと考えている。
・私が今後学びを深めていきたい哲学者は以下の人物だ→アリストテレス、ソクラテス、ディオゲネス、ショーペンハウアー
・哲学は、爆発だ(死語)

★まとめ
【第一章】
⚫︎哲学とは大きく分けて「白哲学」と「黒哲学」の2種類がある。
⚫︎「白哲学(本質哲学)」とは、物事の「本質」について考える学問である。
⚫︎「黒哲学(実存哲学)」とは、「現実存在(実存)」について考える学問である。
⚫︎黒哲学(実存哲学)は、「本質についてばかり考える既存の哲学(白哲学)」を批判するために、生み出された反逆の学問である。
【第二章】
⚫︎「ありもしない。架空の価値観」を信じ込んで不幸になっていないか、背後世界の構図で確認する。
⚫︎人間は実存(現実の存在)であり、生まれながらの「生きる意味」など持っていないが、すべてに意味(価値)がないとしてしまうと、人間は「ニヒリズム(虚無主義)」に陥って「生の高揚(充実感)」を失ってしまう。
⚫︎ニーチェは、現代において「末人(忙しく働いて暇を潰すだけの人間)」が現れるだろうことを予言した。
⚫︎神は死んだ。宗教、恋愛、仕事、人生の支えになるあらゆる絶対的な価値観は、遅かれ早かれ、いつか必ず壊れる。
【第三章】
⚫︎「能力的に優れた人」より「おとなしくて弱そうな人」の方が「善い人間」に見えるのはキリスト教の影響である。(と、ニーチェは考えた)。
⚫︎奴隷にされた弱い民族の「ルサンチマン(嫉妬)」が道徳の起源である(と、ニーチェは考えた)。
⚫︎「奴隷道徳」とは、「嫌なことに文句を言わずに受け入れる人が善い」と言う不自然な価値観のこと。
⚫︎「奴隷道徳」は構図で理解すべし。「架空の価値観」を持ち出して「現実の気持ち」をごまかして生きていないか、自分自身を振り返ってみる。
【第四章】
⚫︎「永劫回帰」は、「最強最悪のニヒリズムの世界」であり、宇宙全体が永遠に同じことを繰り返すことである。
⚫︎永劫回帰の論理的説明については、「フィクション(方便)」であると割り切って、細かい事は気にしない。
⚫︎「永劫回帰」を乗り越えるには、「今、この瞬間を力強く肯定して生きよう」と言う強い意志が必要である。また、そういう意志を持つ人間を「超人」と呼ぶ。
⚫︎「未来に目指すべき何かがある」という西洋的な思考法は、いつか必ず破綻する。現在の「今この瞬間」を肯定して生きていくことが大切である。
※「絶望は死に至る病だ」キルケゴール(実存哲学の始祖)
【第五章】
⚫︎実存哲学の核心は、「あなたと言う現実存在(実存)を、ないがしろする非現実な価値観の正体を暴き立て破壊すること」にある。
⚫︎人間は誰しも「力への意志(より優れたものを目指したいと言う思い)」を持っており、それを芸術に消化させることが「幸福」に至る道である。
※ここでいう芸術とは、自分が「したい(美しい、面白い)」と思うことを自分なりに追求し、その行為を心から楽しんだ」つまり現実として「自分の生が高揚(充実)したこと」となり、何でもいい。
※「大いなる正午がやってくる」とは、「すべての価値観、すべての意味付け、すべての常識が消え去り、何ひとつ「こうである」と言えるものがない世界」それこそが「世界の本来の姿」であることを体験すると言うこと。ニーチェの哲学において1番重要な事は、「世界には固定された絶対的な価値観は存在しない」と言うことを理屈としてではなく、「大いなる正午」という体験を通して理解すること。

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2024年09月24日

Posted by ブクログ

わっかりやす!!もう哲学の本では飲茶さんしか勝たん!!
飲茶さんが、その女の子と知りあっえてくれたおかげで、こういう分かりやすい哲学の本を読める自分がいるんだー!わおー!(^。^)!
ニーチェって…不思議。

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2024年09月22日

Posted by ブクログ

ニヒリズムの世界が生み出す末人。
「なんの目標もなく、トラブルを避けて、ひたすら時間を潰すだけの人生を送る人間」100年以上前にニーチェが予言した人々。

人は思考なる生き物。
私は至高なる超人になるべく、今、この瞬間を賛美し、自らの生を芸術へと昇華する。

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2024年05月25日

Posted by ブクログ

作者と架空の女性キャラの会話形式で進んでいく本でした。
ちょっとイタタタとなりますが、噛み砕いて説明されており、とても読みやすいです。
作者の他の本も読んでみたいと思えるレベル。
永劫回帰を乗り越えた日々を過ごしたいと思う。

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2024年05月23日

Posted by ブクログ

ニーチェの入門書。カバーの女の子のインパクトが強くて、書店で手にとるのがためらわれるほど。

ただ、入門書としてよくできている。人生に迷った(カバーの)女の子が、筆者との対話の中でニーチェの思想・思索が語られれるという「嫌われる勇気」と同様のスタイルで、ニヒリズム、ルサンチマン、永劫回帰、超人、大いなる正午、といったニーチェを理解するために必要なキーワードがテンポよく分かりやすく説明されていく。

永劫回帰とか最初出会った時は「ちょっと設定に無理があるんじゃないか」と思ってさじを投げたものだが、本書では女の子の適切なツッコミもあって入門者もぐっと我慢して読み進めることができると思う。

秀逸なのは、筆者がニーチェに出会うことによって人生観にどのような影響を与えたのかという部分。筆者も「実存哲学は理屈で理解してもダメ」と本書で語っているが、「あ、そうなんだ!」という経験を一度でもすることが哲学へのほんとの意味での入門。本書ではその疑似体験をさせてくれるだろう。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

ルサンチマン 弱者の嫉妬
キルケゴール 絶望は死に至る病だ。
実存哲学(黒哲学)
本質哲学(白哲学)

ニーチェおもろいな。
末人
永劫回帰
なんか、今までの人生をなぞってきているようだ。。。

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2024年03月18日

Posted by ブクログ

面白かった!私はニーチェでいうところのニヒリズム気味。それに気づけたのは良かったし、ではその後の世界でどうするかが分かりやすく書かれていて、参考になった。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

末人、奴隷道徳、超人思想、実存哲学、いまここを生きる。
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実存ではない組織の在り方について興味あり。

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2023年12月31日

Posted by ブクログ

これこそブッダの見た
世界ではないか。

悟りとは則ち永劫回帰
への気付きであり、

解脱とは超人の目覚め
のことではないか。

と鼻息荒く宣ったけど、
まあ違うんでしょうね
・・・

でも、ちょっと待てよ
と。

これまで掴みどころの
なかった悟りや解脱と
いうものの、

輪郭が垣間見えた気が
ます。

私もいざ大いなる正午
へ!

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2023年10月21日

Posted by ブクログ

ニーチェ。「神は死んだ」「ニヒリズム」・・・
聞いたことある言葉は沢山あるんだけど、全く意味を分かっていなかった。。
虚無主義とかいうくらいだし、なんだか薄暗いイメージの哲学者という認識でしたが、理想論ではなく実存哲学の目線で人間が幸せになるためにどうなるべきかというニーチェの考えを作者の飲茶さんが非常に分かりやすく解説してくれます。当然勉強にもなりますが、社会に縛られてる人、自分自身を肯定して生きてない人、とにかく今幸せじゃないかもという人みんなに読んで欲しい本でした。おすすめです。

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2023年10月03日

Posted by ブクログ

やはり、飲茶さんの話は凄くわかりやすい。だが、哲学の内容だからか1回読んだだけではしっかりと理解できているとは言い難いと感じた。何回も読んで様々な体験をする中でニーチェの考えが理解できるようになれたらいいなと思う。

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2023年07月31日

Posted by ブクログ

哲学の入門書として最適。
自身の経験を踏まえての対話形式なので、非常に読みやすいし、面白い。
読み終えると、くだらないけど夢中になれる瞬間を大切にしようと思う。

★背後世界
 外部から押し付けられた価値観。
 勝手なラベル付け。事実ではなく、全ては解釈。

★末人
 人生には意味はない。
 毎日忙しく働いて、暇を潰すだけの人間。

★ルサンチマン、奴隷道徳、社畜道徳
 弱者を善いとする歪んだ価値観
 嫌なこと、惨めなことに文句を言わずに受け入れる人が善い
 だから、人間本来の生き方ができなくなってしまう

★超人
 永劫回帰により、同じことを繰り返す世界
 時間を直線ではなく、円で考え、今この瞬間を肯定する。

★力への意志
 常に自己を拡大させたいというノリ


子供は横断歩道の白線だけで渡ろうと一生懸命。
なんの価値もない正解に自らの意志で価値を作り出し、積極的に楽しみながら生きている。さらに、失敗しても不幸にはならない。

確かに自分の子供達を見ていると、大人からすると無駄だと思えることに一生懸命になって楽しんでいる。
しかし、それこそが超人なのだろう。

子供こそ最強!

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2023年02月12日

Posted by ブクログ

水王舎出版の「飲茶の最強のニーチェ」と全く内容同じです。
出版社もタイトルも違うから別物だったらいいなと思ってただけにちと残念。
でも水王舎の方はAudibleで聴いただけで活字で読んでなかったので、おさらいの意味も込めて再読。

やはりオススメです。

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2023年02月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 いやいや、今どきの人たちも、原理的には、やはり「奴隷道徳的なもの」にとらわれていると僕は思うんだ。ここからはニーチェではなく、僕オリジナルの考えになっちゃうんだけど、今の人々は「奴隷道徳」から少し価値を変えた「道化道徳」にとらわれているように思う。
ーー道化道徳? なんだか言いにくいですね。
 芸人道徳とか、自虐道徳でもいいかな。つまり、自分の境遇の悪さを「ネタ的な笑い」にすることで「それをよし」としてしまう考え方のことだよ。たとえば、残業が月一00時間を超えてるとしてさ、その惨めさを「笑い話」っぽく話してくる人って多くない?
ーーあ、それはいますね!「残業一00時間やったよ、社会人として当然だよ」という人はさすがにいませんが、「もう最悪でさ(笑)、あり得ないよ(笑)」みたいに言ってくる人はメッチャいます! というか、だいたい職場の人と食事に行くと必ずその手の話になりますね。
 まあ、社会人あるあるだよね。ダメな上司の話とか、お客にひどい目にあわされた話とか、急に仕様が変わった話とか、詳細設計が終わってないのに製造が始まった話とか、そういう仕事の愚痴トーク合戦。恋愛の愚痴もそうだけど、こういう身に起きた不条理や不幸って、みんな案外、楽しそうに話したりするんだよね。「やってられない(笑)」「最悪だわ(笑)」「ほんとひどいでしょー(笑)」みたいな感じで。
ーーなぜそうなるのでしょう?
 もちろん、単純には、明るく話してストレスを解消したいというのもあるとは思うけど、実は、そこには、人間関係において「人を笑わせる会話は善い」「面白味のない会話は悪い」という……、これまた、どっかの誰かが勝手につくり出した架空の価値観がるんじゃないかな。
ーーあ、それ、わかります。誰かと会ってるとき何か面白い話をしなければならない、という気持ちがすごくあります。もしかしたら、単純に、今時のトーク力を重視するバラエティ番組の影響かもしれませんが……。
 それって、奴隷道徳のときと同じ話だと思うんだよ。「ウケる=善い」「ウケない=悪い」という「架空の価値観」があり、それにいつの間にかとらわれて「本来の気持ち」が覆い隠されてしまう感じ。だって、現実の世界でひどい目にあっているんだから、普通に考えたら「笑い話」にしてる場合じゃないよね。本来なら、怒ったり文句を言ったり、逃げるなり戦うなり解決に向けて何かをするべきなんだ。でも、「笑い話」として人に話すことで、その気持ちが「消化」されてしまう。

 でも、ある日、ニーチェの哲学、実存哲学が教えてくれたんだ。人間とは、意味も目的もなく世界に放り出された「現実の存在(実存)」であり、そして世界の中にはあらかじめ設定された意味や価値などないということを、その考えに従うなら、もちろん世の中に「人間としてこうしなくてはならない」という意味付けや価値なんてあるわけがない。それらは、どっかの誰かが勝手に考えた解釈のひとつ、すなわち「非現実的な架空の価値観」にすぎない。でも、それなのに、僕の頭の中は、その「架空の価値観(しなくてはならない)」で埋め尽くされ、まさにそれによって不幸になっていたんだ。
ーーあ、それ、背後世界の説明のときに出てきた話ですよね。人が不幸になるのは、社会(他人)から押し付けられた「架空の価値観」に振り回されているからだって。
 そうそう。でも、多くの場合、本人はそのことになかなか気づけない。なぜなら、背後世界にあるものは、たいていその人にとっては常識であるからだ。「挨拶はしなくてはならない」「人前では明るく話さなくてはならない」「友達の冗談には笑って受け答えをしなくてはならない」、それらが、今はたまたまこの時代のローカルな「架空の価値観」だなんてどうして気づけるだろうか。

 まず、押さえるべきポイントとしては、何もニーチェは、あらゆる価値観や意味付けを否定しているわけではないということ。彼がずっと問題にしてきたのは「伝統的な社会の慣習」とか「弱者の妬み(ルサンチマン)」とか、自分自身に由来しない価値観に無条件に従うことで、生が縮小したり(つまり、萎縮してやりたいことをやらなかったり)、自分自身の生を否定したり(つまり、不幸になったり)してしまうことなんだ。だから、逆に、自分自身に由来する「自然本来の欲求から生じた価値観」を自分の意志で自覚的に採用したのであれば何も問題ない。むしろそれが「生を増大させる」ことにつながるとしたら、ニーチェ的に喜ばしいことだと言える。それにだよ、「力への意志」により生じた価値に基づく目標は、失敗しても不幸にはならないんだ。
ーーえ、そうなんですか?
 たとえば、「美しいコップを作りたい」という人がいたとしよう。どうしてかわからないけど、とにかく、それがたまたま「彼の自然な欲求」であり、彼は無意味な世界の中で「美しいコップを作ること」を価値のあることだと選択したわけだ。で、そんな彼が、自分が満足できるコップを作れなかったとする。それはとても納得がいかず、悔しいことだろう。でも、だからといって、「この世界から消えてしまいたい」と思うような、そういう種類の惨めさを感じるだろうか?
ーーなるほど。悔しいとは思うかもしれませんが、たしかにそこまで惨めになったりしなさそうですね。というか、そこまでツラいなら、やめればいいだけの話でしょうし。
 そうだね。ダメならダメで創意工夫するし、もしどうやっても本当にダメなら、それはそれで受け止めて素直に別のことをするよね。何せ自分で選択したことで、やめるのも自由なのだから。これが逆に、自分で選択したことでもなく、やめる自由もなかったらどうだろう?

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2022年10月10日

Posted by ブクログ

ニーチェの思想をわかりやすく面白く解説

毎回著者の言葉による説明の
分かりやすさに驚きを覚えていたが、
第五章の個人的な体験談を読んで納得

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2022年07月26日

Posted by ブクログ

ニーチェの哲学は人々に生きる勇気を与えてくれる…。
道徳観、倫理観はラベリングされた価値にすぎない。

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2022年06月27日

Posted by ブクログ

【星:♾】
今まで読んだ本の中でダントツナンバー1。それぐらいよかった。

内容はタイトルの通りニーチェの哲学をわかりやすく説明したもの。著者と女性との対話形式で最後まで進んでいく。

この本がすごいのは、実体験にもとずく著者なりのニーチェに対する深い理解と、その理解を何とかして読者に伝えたいという強い熱意である。
まさに「最強」のニーチェ本である。

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2022年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ニーチェをここまで分かりやすく、しかも面白く解説している本はないのでは。
一気読みした。

一章
哲学には白哲学と黒哲学がある。
白哲学は物事の本質を考える。
黒哲学は現実存在(実存)について考える。
黒哲学は白哲学を批判するための反逆の学問

二章
ありもしない架空の価値観を信じて不幸になっていないか。
人間は実存であり、生まれながら「生きる意味」はないが、それをそのまま受け止めると「ニヒリズム(虚無主義)」になり、「生の高揚(充実感)」を失う。
「神は死んだ」宗教、恋愛、仕事、人生のあらゆる絶対的な価値は必ず壊れる

三章
「奴隷道徳」とは「嫌なことに文句を言わず受け入れる人が善い」という不自然な価値観
「架空の価値観」を持ち出して「現実の気持ち」をごまかしていないか。

四章
「未来に目指すべき何かがある」という思考方は必ず破綻する。「今、この瞬間」を肯定して生きていくことが大切である。

まとめ
①人間は社会から押し付けられた「架空の価値観」に振り回されて、自分が不幸だと思いがち
②そもそも人間は「現実の存在(実存)」であり、意味や価値などない。
③だから「押し付けられた価値観」にとらわれて不幸になることはない。
④だからといってすべての意味を否定すると「ニヒリズム」になり、「生の高揚感(充実感)」を失う。
⑤だからこそ「ニヒリズムな世界」をまるごと受け入れ、「今、この瞬間」を肯定して生きよう。

過去に囚われず、未来を憂うることはやめよう。
今、この瞬間を肯定して、生きていこう。

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2022年05月02日

Posted by ブクログ

読んだ小説のいくつかでニーチェの言葉が出ていたので、この本を読んでみました。作者の体験を踏まえた熱い語り口や対談形式の軽妙なやりとりが面白かったです。まだ理解できていませんが、実存の考えや向上心について生きる上でのヒントをもらえた感じです。ちょっと世界観が変わった気持ちになりました。読みものとしても非常に良かったです。時々読み返したいと思います。大好き度❤️❤️❤️

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2022年03月25日

購入済み

すごく読みやすいです。

哲学とかニーチェとか聞いたことはたくさんありますが、正直全然ピンと来なかったんです。
この本は対話文になっていて、表紙の子も哲学にくわしくないので、いろいろ私のかわりに質問してくれる感じがします。そのためいちいち用語とか探しながら読む必要がなくてよかったです。

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2021年03月26日

Posted by ブクログ

わ、わ、わかりやすー!!すごい。ニヒリズムに落ちかけ、いやそもそも人生虚無じゃないか、とあっさり淵に立ちかけた時に手に取ったら、刺さる刺さる。。。自分が抱える悩みなんてすでに確実に誰かが通ってきた悩みなんだと言うことを思い知らされる。私が感じていた絶望はすでにニーチェが言語化していた。有名な哲学者なので、名前だけはもちろん知っていた。けれど、彼の提唱した概念を1つずつ噛み砕いて知る事は、人生に対してどう向き合えば良いのかの姿勢を提示してくれるものだ。それにしても、ニーチェの生涯、幸せだったのかなあ。。超人になるには、長い修行が必要そうだ、、

メモ

魂の震える体験をする
ルサンチマン
科学 物質的なもの
哲学 物質を超えたもの
ソフィー 知、知を愛する フィロソフィー


末人:横断歩道を渡ることに何の意味もない。でも、渡らないとトラブルが起きるから、しょうがない渡るか……。あー、早く渡り終わらないかな……。

奴隷:横断歩道をわたることには重要な価値と意味がある。大きく手を挙げて、周りをよくみて、すれ違う人には笑顔で挨拶して渡らなくてはならない! そうしなければダメなんだ!

超人:白いとこだけ踏んで渡ろう! よーし、せーの! うわあーおしいなー! よし、もう一回だ!

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

対話式でとにかく読みやすいうえにとてもわかりやすかった。ニーチェの有名なフレーズの意味もある程度の理解は出来たと感じられる。ニーチェを学んだ筆者の活かし方生き方が後半に書かれており、哲学の実践はなかなかないので短い中にも大変読み応えがあり、心に入りやすかった。とにかく筆者の読み手へ対する伝えたいという優しさが感じられるものだ。もっと難しい本もチャレンジしようと感じた。入門書としてはこれがベストであろう。

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

「神は死んだ」「奴隷道徳」「超人思想」……。聞いたことはあっても核心までは知らないニーチェの思想を、人気哲学作家が分かりやすく解説。
人生に効くニーチェ入門書。


人気の哲学作家さんの書く、「ニーチェの思想の入門書」。
ニーチェの哲学とその思想の面白さを、「先生」と「アキホちゃん」2人の会話形式でざっくり簡単に教えてくれます。深くはないけど、とても分かりやすい。本当に入門として芯となる部分を知るにはちょうどいいと思います。
学ぶにはハードルの高い、哲学の一歩目を踏み出しやすくしてくれます。

また、ニーチェの入門書であると同時に、この本だけでも人生をより良く生きるために思想を転換する一助にもなりそうな一冊です。
今までの常識や道徳にとらわれ過ぎないこと。より強く成長したいという気持ちに基づいた目標を持つこと。この思想が救いになる人も多そう。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

やはり分かりやすい。人生の意味について考えちゃう事はありますが正直まだよく分かってません。結局意味などいつか消えてしまうのだから考え込む必要はない!と解放してくれる考えだと感じた。後半のやりたい事を私の芸術と捉えるというのはすごく良いと思いましたし、最近の私の傾向かもしれませんw

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2024年07月21日

Posted by ブクログ

先日「嫌われる勇気」を読み、哲学にも興味が湧き購入しました。

難しい内容かな?と思ったのですが、嫌われる勇気と同じ対話式で話が進んでいく構成となっており、とても読みやすかったです。イラストでの説明も多く用いられており、特に「永劫回帰」の説明についてはイラストありきで分かりやすかったです。

正直なところ、読み始めて半分くらいまでは何を伝えたい本なのか、なかなか掴むことが出来ませんでした。しかし、上記に挙げた永劫回帰の説明が終わったあたりから、話の束が1本に収束していくかの如く、面白くて夢中で読み進めました。

本著を読み終え「今、この瞬間を生きる」を胸に、日々を精一杯生きていきたいと思いました。

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2023年10月25日

Posted by ブクログ

ニーチェの哲学について、女の子と先生の対話形式で分かりやすく説明してくれている。

ニーチェはまるで現代社会のことを書いたかのような、世の中に何も考えず過ごしてただ時間を潰すだけの「末人」が増えると予言している。

そんな末人にだけはならない様、ニーチェの考える方法とは。

世の中をただなんとなく過ごしている方は、是非本書を取ってみてニーチェの哲学に触れてみてはどうだろう。

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2023年04月11日

Posted by ブクログ

1 どんな本?
哲人ニーチェの哲学の概要とその使い方を著者
の経験を例に教えてくれる本。哲学を自身の人生に
役立てている話は初めて聞いた。入門書としてこれ
を超えるものはあるのかな?

2 なんで読んだの?
(1) 飲茶さんの本だから。
(2) ニーチェの概要を知りたい。
(3) 次にニーチェの話しを聞いたら理解できる状態
になりたい。

3 構 成
5章構成249頁
「哲学とはなんなの?」から始まり、5章のまとめで「全ての人が自分なりの芸術(楽しみ)を持って生き
ていけます様に」と終わる。対話形式で各章ごと
まとめもあってとてもわかりやすい構成になった
いる。

4 著者の問題提起
現実に存在しない価値観、現代のマイナールール
(常識とか思い込み)に苦しんでいる人がたくさん
いる。

5 命題に至った理由
ニーチェが本当に届けたかった事をガツンと伝
えたいという熱い思いから。

6 著者の解
実存を蔑ろにする非現実的な価値観の正体を暴
きたて破壊して、芸術(生きがい)を見つけて幸福
に生きて皆幸福に生きるべきだ。

7 重要な語句・文
(1) 本質哲学、実存哲学
(2) 永劫回帰
(3) 偉大なる正午
(4) 背後世界
(5) 奴隷道徳
(6) ルサンチマン
(7) ニヒリズム
(8) 生の高揚
(9) 奴隷道徳(架空の価値観を持ち出して現実の気
持ちを無視して無いか?)
(10) 超人
(11) 末人
(12) 芸術
(13) 力への意志

8 感 想
とても分かりやすくて楽しかった。著者の人柄
が伝わって来てとても素敵な読書になった。
刺さったのは奴隷道徳。私は明らかに末人の時期
があった。
深く知りたい事はニヒリズム。「俺どうせバカ
だし。勉強しても意味ねーし。」みたいな事も
かな?
人に勧めるなら末人。そんな奴が周りにたくさん
いる。
図で背後世界等とても分かりやすかった。
タイトル通り入門書として最強(最高)だと思
った。

9 TODO
(1) 次のニーチェの本の購入
(2) 子育てに活用(考え方を提示、本の勧め)
(3) 自己の芸術を高める。

10 問 い
常識とは?

11 答 え
地方ルール(やらなければいけない事なんか無い)

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2023年01月16日

Posted by ブクログ

いま自分が持っている価値観は親、世間から得た価値観でそれが正しいものなんて言えない 
今を大切に生きる 

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2022年09月05日

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