魚豊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ良かった
旬な陰謀論を当事者とインテリ側で戦わすシーンや「いかにも」な先生のキャラクターのせいで陰謀論漫画の印象だったが、最終巻まで改めて最初から通読した時、弱者男性の葛藤のストーリーで、陰謀論はむしろその素材に過ぎないのだとも感じられた。
憧れた女性との現実的なギャップに耐えられず、自分自身の容姿や能力を否定する過程が0.5巻までの表層弱者男性パートで、
ギャップを形成する社会そのものを否定しようとする過程が3.5巻までの陰謀論パートで、
陰謀論を失ってからの半年間は自分の容姿や能力を認めて(諦めて)、好きだと思う気持ちそのものを否定して(先生が定食屋で言わなかったことが本当はもうわかっていた)包み隠すことで、真に社会から不可視化される純粋弱者男性パートに落ちかけるが、告白を通して好きになる気持ちを受け入れて清算することで心に従って生きる道(仕事で小狡く立ち回らない)を選べる。
身を預けられるほどの大きなストーリーも持たずに仕事というルーティンだけをこなす毎日に居ると本当に大袈裟でなく毎晩「ずっとこのままでそのまま死ぬのか?」と思う。先生の姿が年齢不詳で同じ物語を延々繰り返し続ける人物であることも意味深い。表層弱者男性(先生)も純粋弱者男性も惨めなことには変わりない。
と、読後すぐには思っていたものの、たまたま別の本でピザゲート事件についての言及があって、事件について思い起こされ、一巻冒頭からのピザ屋のくだりは実際に死者が出た事件をわざわざ引き合いに出してることに今さらながらに気がつく。やっぱり反陰謀論の姿勢は一貫してるなとも思った。故に自身を能力が低いと悟ってからの主人公が陰謀論の否定として「人が死んでいるから」を理由にする等身大さとほんとの真実さは重い。 -
Posted by ブクログ
新たな探究者のもとに、地動説が引き継がれました。
地球は神がつくった特別な存在で、その周りを天体が動いていると考えられていた時代に、異端・禁忌である地動説に触れて、「天界は崇高で荘厳で偉大で広大で、そして地球と調和している」と感動する聖職者の姿は印象的です。
一方で、ネットには「地動説は数理的な理論の一つとして協会も理解していた面がある」という記述も見られ(それが正しいかどうかはわかりませんが)、本書で描かれているように地動説=異端・悪魔の手先ということで片端から火あぶりにされる、ということではなかったのかも? という気もします。
C教(キリスト教)を、旧来の考え方に凝り固まった「悪」として描いた方がストーリーとしてはわかりやすいですが、歴史的な事実をどこまで反映させたものなのか、というところは検証が必要かもしれません。 -
無料版購入済み
ひさしぶりに見る本格派歴史コミ
転生や魔法ものばかりが多い歴史ファンタジーの中でひさしぶりに見る本格派歴史コミックである。命と名誉をかけてまで真実をそして何より「美しさ」を追求するやむにやまれぬ情熱を描き出している。
残念なことに絵柄が稚拙で動きが硬い。ストーリーがいいだけに惜しい作品である。