森村誠一のレビュー一覧
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楠木正成が後醍醐天皇の勅文を受け取ったシーン、泣けました
そもそも生き残っていることが奇跡のようなものですし。
北条高時が赤橋守時に見せた人間的な優しさもよかったです。
幕府のトップに立つ者としては能力に欠けていたのでしょうが、とても人間らしい素朴で情に深い心を持った人だったのかもしれません。
それにしても、この時代における、自ら腹を切ることに対する美学や、徹底した主従関係には考えさせられるものがありますね。
少しだけ登場する吉田兼好がかっこいいです。
広く穏やかな心を持ちつつ、争いごとにはめちゃくちゃ強い。
まさに、正義の味方ですね!
「徒然草」の著者がこんな面白い人物だった -
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本の帯に「驚愕のラスト!!」などと書いてあったので、逆にあまり期待せずに読みました。そもそも、そんなコピーを言われれば言われるほど、逆につまらなく読んでやろうという先入観(意地悪?)が働いてしまいますので・・・。
本編は、いわば「たわいもないごく普通の推理小説」。時刻表が出てくるも、トリックは特に無く、2行ぐらいで解決。「なんだこりゃ」と思ってしまいました。時刻表が出てきた時点で、松本清張の「点と線」のような壮大なトリックを期待していたのですが・・・。
しかし!!
本当に驚愕のラストが待っていました。こんな読者に対する「良い意味でのトリック」があったのか!!と思います。具体的には読 -
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映画・ドラマで幾度も映像化されているヒューマンミステリーのよく知られた作品。映像も原作も知らずに来たのですが、やっとの初読でした。
敗戦から復興してきた昭和30~40年代。都内で発生した黒人青年刺殺事件を巡って、その裏に潜むもの悲しいヒューマンドラマが、日米を舞台に展開していきます。
その中で触れられる、家族・夫婦、人種差別、戦後混乱などにまつわるエピソードに、心をえぐられるような衝撃を受けました。
単純な娯楽エンターテインメント作品とは異なる読後余韻が残ります。
映像化のたびに賛否分かれる評価がなされているようですが、私個人は時をおいて再読してみたいと思いました。(映像を見るかどうかは -
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死の器
民間家出人捜索会社を営む片山竜次は、娘の藤倉麻利が行方不明になったと、母親から捜索を依頼される。相模新報の記者である平野達志は、幼いころのただ1人の友、麻利を偶然見かける。
麻利を探す片山と平野は、とあるところで出会う。2人は、麻利が犯罪に巻き込まれた可能性を強め、協力して探索にあたる。
仲村慶子という麻利の同僚も登場し、行方不明者の探索は、細菌兵器、核燃再処理基地、関東軍第731部隊などがからむ複雑怪奇な人間模様のストーリー展開となる。著者の後書きから、ストーリーのヒントを紹介しておく。
著者のあとがき。
、、、、「死の器」とは狭義には、核の開発、広義には、民主主義と平和を脅すすべて -
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未踏峰
未踏峰(上)
本書前編は、八ケ岳で知り合った若者たち、男女各4人ペアのおりなす出来事が語られる。
雪吹晋平
中里秀樹
恋塚良行
印東浩
面川純子
市毛京子
真野美紀
牧村梨枝子
雪吹と純子は恋に落ちるが、純子の家柄から叶わぬ恋となってしまう。純子は、北上財閥の御曹司、北上栄二と政略結婚に追い込まれてしまい、辛い日々を過ごすことに。
京子は銀座のクラブでアルバイト中に、岡林に囲われの身となり、優雅な生活にハマっていく。
恋塚は父親と同じ職業である警察官になり、ふとしたきっかけで、新宿署の牛尾と懇意になる。
本書前編で事件は起きない、前編の九割は事件のプロローグと言えるが、最後に事件 -
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雲海のの鯱
白馬岳の白雲山荘は、山小屋ではなくホテル並みの規模を持つ。栗田正雄とむすめの有紀子が経営している。組織暴力団の六道会が白雲山荘の乗っ取りを企む。栗田は六道会の息がかかったホステス上がりの絹代に手玉に取られ、絹代と結婚する。
白馬岳を目指した2人がいた、中富が有村と別れた後、有村は白雲山荘の経営者栗田とともに死体となって発見される。落石による事故とされてしまう。
中富はこれに疑問を持つ。山岳常駐隊の小林警部補も同様であった。中富は絹代が勤めていたクラブ花梨へボーイとして潜入し、六道会の槻村と絹代の関係をつかむ。
白雲山荘の経営権を持つ有紀子の身に危険が迫る。
三人組が再び登場し、暴力団六 -
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山の屍
川名純子はカルチャースクールで小説の書き方を学ぶうちに、小説家としての意外な才能に気づき始める。そんななかガンで余命宣告された高見から「山の屍」なる小説の原稿を託される。
高見が西穂高岳付近の岩稜で登山中に転落死する、山岳警備隊員で刑事でもある熊耳と曾田は転落死に疑問を持つ、登山の同行者である升田の住まいである新宿を尋ねる。新宿署の牛尾の案内で訪ねたが、升田は遺体となって発見される。
小説「山の屍」に書かれてある殺人事件は、実際の出来事を書いたのではないか? 熊耳、曾田、牛尾、に捜査一課の那須警部、棟居刑事が加わって真実に迫る。陰の大物人物が浮かび上がる。 -
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レッドライト
対向車線からトラックが飛び込んできて、玉突き事故が発生する。被害となった車は炎上、ドライバーの女性は車内に閉じ込められ焼死する。偶然なのか炎上する車を撮影したカメラマン、炎上車の後ろ玉突き車に乗車していた女性タクシードライバーと曰くありげな客、さらに後続車の定年退職後の人生をおくる運転手等が、この事故の不可解さに関わっていく。
その後、このカメラマンが殺害される。
焼死した女性の車には同乗者がいたのではないか?
さらに玉突き事故の原因となったトラック運転手が殺害されるにいたり、複雑な人間模様が展開されていく。
捜査一課棟居刑事、新宿署の牛尾刑事、玉川署、狛江暑、小田原署の各所轄刑事が登 -
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堕ちた山脈
山を舞台にした短編が五編である。
北アルプス悪天で遭難しかかった2つのパーティ、実力登山家組と経験浅き登山家組が織りなすストーリー、「堕ちた山脈」。
北アルプス山小屋で発見された遺体。3人の容疑者から犯人を絞り込むアリバイ崩し。「虚偽の雪渓」
北アルプス山小屋の売上金を狙う犯人達。急ごしらえの登山者となって犯行を犯すが、山の厳しさの報いを受ける。「失われた岩壁」。
毎年、シーズンになると渓谷の宿へ学生が数名アルバイトに集う。この学生達の間で殺人事件が起きる。「増悪渓谷」
異母姉妹の姉が奥多摩川苔山で遺体で見つかる。妹が犯人に迫る、丹沢経ヶ岳で姉と犯人の痕跡を見つける。「犯意の落丁」 -
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棟居(むねすえ)刑事の凶存凶栄
短編小説が7編である。本の表題「凶存凶栄」は、ゴーストライターのお話し。
後半3編は、胃がんで余命を宣告された山葉が主人公。残された人生に思いを馳せつつ暮らす山葉の日常体験が、棟居刑事を通して事件を解決する。
余命の責任
余命の私刑
余命の休戦
が興味深い。 -
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凶水系
高崎市のマンション八階の居住者が転落死しているのを九階の居住者が発見する。八階の居室は密室を構成していたが、遺体からは睡眠効果を持つ薬であるテグレトールが検出される。九階の居住者が関わる殺人事件が疑われ、高崎署による捜査、謎解きが始まる。
八高線の鉄橋から男が転落死か、熊谷署や寄居署による捜査がはじまる。被疑者が浮かび上がるが完璧なアリバイがあった。捜査陣によるアリバイ崩しが始まる。
両事件の被疑者の関わり合いがまた謎を呼ぶ。 -
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死海の伏流
物語は出版社に勤める亜希子を中心に展開する。姉の美樹子が、厚木から広沢寺温泉に向かう途中行方不明になり、山中で遺体となって発見される。
銀座エトランジェのママ邦子が、伊豆下田の間道で殺害される。これら2つの事件の犯人探しが進展する。
物語りの後半になって、美樹子が国家機密のスパイ活動に利用されていたことが判明する。スパイ防止法の立法をめぐる暗躍、陰謀が浮かび上がる。
この小説には「あとがき」(昭和61年)があり、著者が民主主義や報道.表現の自由について語っているのが興味深い。
今は、令和6年12月。折しも経済安全保証(特定秘密防止)の記事が新聞紙面を賑わしている。 -
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森村誠一。高層エレベーターの中で黒人が胸にナイフを刺されて死亡した。被害者は別の場所で刺されてかなりの距離を移動していた。犯人は誰か、彼はなぜここまで移動したのか?被害者の住居があるニューヨークの警察にも協力してもらい、捜査を始める。また同時期にとある男の妻が行方不明となる。彼女は誰かと不倫していたようだが、男はその相手を探し求める。
多くの登場人物が現れ、事件を中心に群像劇のように物語が進む。主要人物は全員人間不信で心の奥に闇がある。その上で最後に犯人が見せた人間の証明とは。途中地方まで調べに行くところは正直ダレたが、クライマックスはとてもよかった
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