森村誠一のレビュー一覧

  • 精神分析殺人事件

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    古い本の整理をしていたら本書が出てきて、内容が少し気になったので読み始めると最後まで一気に読んでしまった。読みやすい文体とその面白さに引きつけられたのだ。昭和46年から47年にかけて小説誌に掲載された五編を収録した短篇集だが、何れも精神の病理研究をテーマにしている。「精神分析」「催眠術」「精神分裂」「麻薬分析」「児童心理」の各殺人事件を、精神医学・心理学・犯罪学の観点から事件解決に導く筋書きである。ヴァン・ダインのファイロ・ヴァンスものや、江戸川乱歩の『心理試験』など、犯罪者の心理に事件の鍵を置く小説は珍しくないが、本書の五編は練られたプロットと作者の心理研究が活かされており、作風の暗さと合わ

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    2023年09月30日
  • むごく静かに殺せ

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    "事故処理屋"星名五郎を主人公とした森村最初期の異色サスペンス連作集9編。星名は"事故処理屋(「トラブルエイジェント」と読む)"を名乗るが、その実体は殺し屋である。「退屈で仕方がないので自分をむごく静かに殺してほしい」なる特殊な依頼もあるが、多くは恨みを晴らしてほしいというもの。この男、虚無的でビジネスライクではあるが、金さえ貰えば誰でも殺す冷血漢とは必ずしもいえない。端々で義理堅さや人間味も垣間見せる。殺さずに依頼を遂行することもあるし、その逆に依頼主の求めに応じて、手間暇と費用をかけて残酷に葬ることもある。当世風にいえばアンチヒーローといったところか

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    2023年09月30日
  • 砂漠の喫茶店

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    森村誠一さん、亡くなって間もないことを思い出し、20年前の本だが読んでみた。
    最近読んだ警察物に比べると、淡々と語られている感じ。例えば、意地の悪い?なんでも反対する上司とか、その一言だけで、感情的な背景をはさまない。
    事件は複雑で、読み応えあり。行きつけの喫茶店の常連が、全員、解決への糸口を持っていたことが、面白くもあり、出来過ぎでもあり…

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    2023年09月14日
  • 完全犯罪の使者

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    完全犯罪の使者

    女性がホテルの一室で殺害される。疑われた不倫相手の男には、まもなく棟居刑事らの追及が及ぶ。しかし彼はシロの感触であった。物語はこの不倫相手の男を主人公として進展していく。

    主人公へ新聞記者がコンタクトをとってきた。この新聞記者が水死体となって発見されるにいたり、主人公も犯人探しへと動き出す。期せずして新聞記者の義理の妹と知り合い、協力して犯人に迫る。

    棟居刑事らへ情報を提供しつつ、二転三転しつつ犯人へ迫っていく。過去ひき逃げ犯との関わりが。複雑な悪の連結輪が、一つずつ解けていく。


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    2023年08月05日
  • 老いる意味 うつ、勇気、夢

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    朝日新聞の売れている本で紹介された。作家が書いたエッセイである。文字も大きく字間も十分にとってあるので老眼でも簡単に読める。80歳過ぎたら読む本かもしれない。

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    2023年06月17日
  • 喪失

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    妻に男がいる。「許せない」。夫婦をつづけていても、もはや村井の妻は失われている。その〈喪失〉を埋めるものが殺意であった(「喪失」より)。夫婦、不倫、恋愛、過去の愛の傷……男と女の諸相から生み出される7つの事件と謎に挑む、警視庁捜査一課棟居刑事! 初文庫化推理傑作集。

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    2023年05月27日
  • 人間の証明

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     原作、角川映画楽しく観たし読んだのですが、今だにタイトル『人間の証明』がわからない。どういった行動が『人間』の『証明』なのか。

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    2023年05月09日
  • 復活の条件

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    復活の条件

    タイムマシンで過去へタイムスリップの物語りではないが、それに類するストーリーである。主人公はオリジナルの世界で喪失したものを、鏡像の世界へ身を移し取り戻していく。鏡像の世界というユニークな舞台で、社会派推理作家の巧みなストーリーが繰り広げられ、森村ワールドへ深く引き込まれてしまう。

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    2023年04月16日
  • 深海の夜景

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    深海の夜景、弔辞屋

    短編集とは気づかずに購入した。いずれの作品も社会派推理作家の本領発揮といったストーリー展開に引き込まれる。

    最初の弔辞屋は、題目からは想像だにできない、若き日の男女のすれ違いが、往年になって紐解かれる、涙を誘うラブストーリーといえる。

    ✳︎出版社へ
    文字化けが多数。なぜか「噂」という文字が、突如現れる、意味不明、存在しない熟語となっていたり、誤植と言うより電子データに起因する文字化けのように思える。

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    2023年04月02日
  • 名誉の条件

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    名誉の条件

    政権にいる悪を牛尾刑事らが追い詰める。暴力団組織も登場するが、このフロント企業のトップについたのが、組織の中にあって暴力を否定する特異な主人公である。主人公と様々な経歴を持つその部下たちは、個々の際立った能力を発揮つつ、牛尾らと連携して事件を追う。

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    2023年03月10日
  • 老いる意味 うつ、勇気、夢

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    良書。
    現代を代表する作家だけあり、老してこそ書ける本。
    誰も避けることの出来ない老いることを怖がらず、やれることをする。勇気づけられる。

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    2023年02月11日
  • 老いの希望論

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    ネタバレ

     森村誠一「老いの希望論」、2015.10発行。目に留まった所は: ①シニアの二極化、「有用老人」vs「お荷物老人」、「好かれる老人」vs「嫌われる老人」。好かれなくてもいいけど、嫌われないようにはしたいですw ②高齢者は「負けること」「諦めること」も学ぶ必要が。若い頃から学んでいます。③人生を豊潤にする濃密な時間を持つ。著者は、喫茶店で過ごす時間。私は読書。④「独居老人」でなく「独立老人」の誇りを!
     声かけで積極的に社会に参加している横丁の隠居。私もそうかもしれませんw。森村誠一「老いの希望論」、2015.15発行、再読。①リタイア後こそ、1日のスケジュール表が必須。同感です。私のはスケス

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    2022年10月12日
  • 砂漠の駅(ステーション)

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    いくつかのストーリーが中盤くらいから交わり
    結末へって感じで楽しめました
    ちょっと、でも設定に多少無理があるような
    感じがしないでもなかったけど
    いろんな人がでてきて人々の交わりもよかったと思う

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    2022年08月18日
  • 人間の証明

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    今更ながら初めて読んだ。原作では序盤から場面があちこち飛ぶのでややこしい気もするが、それらのストーリーがひとつに繋がっていく面白さがある。
    奥の深い作品。読んでよかった。

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    2022年05月05日
  • 老いる意味 うつ、勇気、夢

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    私は21歳で正直に老いることを全く気にしていなかったし、この本を手に取るのももう少し後でもいいのかなと感じていたのですが、この本を今のタイミングで読むことができてよかったと感じました。
    人生100年時代といえど、人生は有限でその中で自分は何ができるのか、何ができなくなるのか、その中で今私は何をするのかを考えさせました。
    自分が森村さんと同じ様な年齢に差し掛かった時、この本を読めてよかったと感じれる様に、今から生きようと思います。

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    2022年04月09日
  • 魚葬

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    森村誠一『魚葬』角川文庫。

    5編から成るミステリー短編集。たまに昭和を背景にした古いミステリーを読むのも面白い。男女の思考や欲望は今も昔も変わらない。予想以上に捻ったミステリー短編が並ぶ。

    昭和は遠くなりにけり。

    『魚葬』。なかなかタイトルとストーリーとが結び付かず、何かを象徴するタイトルなのかと読み進めば、タイトルがミステリーの解答であることに気付く。学費を稼ぐために今で言うパパ活から銀座のホステスに転身した女子大生の杉村加代は高額の給料に惹かれ、中堅製薬会社の社長秘書になる。だが、それは表向きで実は女の身体を武器にした特殊接待が本業であった……

    『神の怒色』。運命は神のみぞ知る。身

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    2022年04月07日
  • 老いる意味 うつ、勇気、夢

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    この本は、森村誠一が88歳の時に出版している。森村誠一は、100歳まで書き続けるという。
    著者の本は随分と読んだ。『高層の死角』で、ホテルマンらしい目の付け方に感心してのめり込んだ。『腐食の構造』そして『青春の証明』、『人間の証明』『野生の証明』。圧巻だったのが『悪魔の飽食』の切り口の凄さに驚いた。続編で、画像問題で躓いたけど。いつの間にか森村誠一から離れてしまった。そんな著者が老いる意味をエッセイで書いている。読まざるを得ない。
    私が、考えていた老人と今の私が老人になっているのと全く違った。なんでこんなに忙しのか。そして、サクラが満開だというのに、家に巣篭もり、パソコンを前にして、字を打ち込

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    2022年04月01日
  • 復活の条件

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    森村誠一では珍しいSF小説-パラレルワールドもの。それでも棟居刑事は出てくる。
    幸せな家庭が、飼い猫の死をきっかけにあれよあれよという間に不幸のどん底までいってしまう。亡き母の示唆で、不幸になる前のパラレルワールドに戻った主人公が不幸になった要因を阻止すべく活動する。その過程で以前の世界で起こった事件が新たな展開を見せ、新しい人間関係も生じる。そして家庭崩壊は免れるが、、、ミステリーの要素もあり通常の棟居刑事ものとしても楽しめる。

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    2022年03月22日
  • 人間の証明

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    かなりの長編小説だったが寝るのも惜しんで一気に読みたくなる本だった。
    ややご都合主義的な点はあったが、幾多の人間のストーリーが次第に繋がっていく様は見事だと思った。
    人間の弱さ、醜さ、卑しさの中に残る一抹の愛が印象的だった。
    登場人物が多いので、人物相関図を描きながら読むのもおすすめです。

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    2022年02月26日
  • 老いる意味 うつ、勇気、夢

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    ネタバレ

    森村誠一氏は昔の人気作家で人間の証明などの代表作があり、サスペンスものなどの書き手と認識していた。
     この本は新聞の書評にのっていたので、読んでみました。
    冒頭は老人性うつとの戦いの戦記である。
    今は克服されて、執筆活動も再開されているようである。
    健康のこと、人生のこと、老後の過ごし方、米寿を迎え、なお盛んに取り組んでいる姿に頭が下がる思いがした。
     趣味のこと、食事のこと、執筆のこといろいろ考えているんですね。
     森村誠一氏の作品はひとつも読んだことがないのでいつか読んでみたいと思った。

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    2022年02月26日