森村誠一のレビュー一覧

  • 垂直の死海

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    垂直の死海

    千野が素人探偵の如く事件を追う。ひき逃げ事件の犯人は誰か、その恐喝者が他殺体で発見される、若き日に想いを寄せた女性との再会もつかの間、この女性が殺害される。

    これらの事件に絡む4人の高齢者が明らかになってくる、彼らは戦時中の仲間であった、遠い過去の悪事が露呈する。

    大手自動車会社が絡んで、複雑に絡み合った事件が、千野の協力もあり、所轄署や県警により解明されていく。

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    2024年11月28日
  • 天の白骨

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    森村誠一さんのあとがきにヤラセでなければいけない性質のものに本物を導入しようとする悲劇と危険を描きたいと
    作品を模倣したり応用したりしないことと
    ともすれば小説の中であることを忘れて現実にあったことなんじゃないかと錯覚するようなそんな
    ギリギリな読書体験をできたと思う

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    2024年10月25日
  • 人間の証明

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     何かで面白いという評判を目にして読んでみた。時代設定は70年代か。ホテルのスカイレストランへ向かうエレベーター内で死亡した黒人男性の事件の謎を、西條八十の詩をキーワードに追っていく。情景描写が豊かで目に浮かぶように想像が膨らみ、実際に自分もその場にいるかのように感じられる。伏線はここまで繋げるとやり過ぎに感じるが、これを差し引いても俄然面白い。失踪した妻の行方を、警察顔負けの捜査で真犯人まで辿り着いた小山田が凄い。因果応報は唯一ジョニーには当てはまらない点が切ない。

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    2024年10月20日
  • 暗渠の連鎖

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    暗渠の連鎖

    清家は恋人と車内デート中に、近頃頻発している強盗強姦魔に襲われた。これをきっかけに恋人悠子とは別れてしまう。鋭い洞察力を発揮する清家、屈辱を晴らしたい清家の犯人探しが始まる。

    同じ被害者に接触していくうちに、房子と知り合い、連携して犯人を追求していく。房子はこの事件を担当する刑事、露木の娘であった。

    犯人は警察によって突き止められたが、富士山の樹海の中で死体となって発見される。

    清家は、強盗強姦犯はもう1人いる、それはかつての恋人悠子などと関わっているのではないか、との疑いに行きたく。

    捜査陣、露木刑事も動く。清家は露木も驚くような発想で犯人に迫っていく。

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    2024年10月13日
  • 鍵のかかる棺(下)

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    鍵のかかる棺(下)

    下巻では、殺された中条希世子、新聞記者深谷、細川清恵の謎が解き明かされていく。陰のA国国務長官や凶悪犯が少しずつ姿を現し、深谷が探っていた政界の不正も見えてくる。ホテルマンの名高と佐々木は、警察の力をかりながら、危険な凶悪犯に立ち向かっていく。

    上巻では、名高が深谷から預かった写真に写っていた上司の不倫現場に端を発して、ストーリーが展開していった。下巻では、名高がその写真のネガの末端に、中条希世子のコマを発見して、別の物語へ進展していく。

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    2024年05月04日
  • 鍵のかかる棺(上)

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    鍵のかかる棺(上)

    ホテルに宿泊していた記者の深谷は、何者かに狙われている危険を察知し、一介のホテルマンである山名へ写真を預けた後、殺害されてしまう。写真は、ホテルの実質的な経営者である支配人の久高の不倫現場が写っていた。

    佐々木は山名の同僚である。佐々木は、過去に久高から屈辱的な仕打ちをうけていた。こうして二人は、共同して久高へ対峙していく。

    また佐々木は、記者深谷の殺害者の女性が、ビルから突き落とされて殺害された現場を目撃する、女性の手には、犯人からむしりとった万年筆が握られていた。

    殺された記者深谷からフィルムを預かった山名、ビルから女性を突き落とした犯人の万年筆を入手した佐々木へ、得体の知れない人物

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    2024年04月10日
  • 人間の証明

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    ネタバレ

    母が若い頃に読んで衝撃的だったと話していたので、すぐに買って読んでみた。
    棟居刑事の子どもの頃の描写が読んでいてつらくて、一瞬諦めそうになった気持ちを堪えた甲斐がありました。全部繋がった。
    設定が所々変わっていそうだけど、映画も観てみたいと思いました。

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    2024年03月30日
  • 異型の白昼

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    異型の白昼

    コルト45口径M1911A1を入手した人物を取り巻く人間模様と付随して発生する事件を描く。拳銃を持ったことによる自信、心の余裕が、その人物の人間模様に改善をきたし、引き金を引くことなく手放す。拳銃を駅のコインロッカーへ預けて、キーを見ず知らずの人物へ気づかれぬまま渡してしまう。

    思いもかけずそのコインロッカーのキーを入手した新たな人物が拳銃を手にする。そしてまたその人物を取り巻く人間模様と付随して発生する事件が描かれる。やはり拳銃の引き金が引かれることはなく、拳銃は先と同様にして手放される。

    拳銃は再び駅のコインロッカーを経由して、次の登場人物への物語へと進展していく。このようなストーリー

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    2024年03月07日
  • 60歳で小説家になる。

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    現役作家の言うことには説得力がありますよね。
    自分は今21歳の就活生ですが、読んでよかった。これからの人生で小説家を目指す人には知っておいてほしいことがたくさんありました。
    どうやら60歳から作家になりたい方は短編よりも長編を鍛えた方が良いらしい、短編は倍率が宝くじ並みだそうですね。じゃあ裏を返せば若いうちは短編目指してもいいのでは?
    短編なら仕事との両立はできそう、若いから長い時間かけてやれる。宝くじを当てる確率高いお金(ここでは時間のこと)がある。そんな解釈ができるかと思います。

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    2024年02月21日
  • 新版 悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像!

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    わたしが中学生の頃 赤旗に連載された読み物ですが、どこまでが事実で、どこからが間違い(Fiction)なのか色々議論のある作品である。森村誠一の取材協力者は「赤旗」の記者だったそうだ。731部隊に関係しない写真が含まれていたことが後に判明したらしい。
    九州帝国大学の米軍捕虜生体実験(「海と毒薬」のモデル」となった) と並び日本軍による加害事件として記憶にとどめるべきと私は思っている。しかし米軍が731部隊の生物兵器データ提供の見返りに731部隊員を免責したのが事実なのか否かは私の思い込みか否か再検証してみようと思った。

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    2024年02月18日
  • 老いる意味 うつ、勇気、夢

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    前向き、チャレンジ。
    日々のひとつひとつの生活が大切。
    森村誠一さんが包み隠すことなく語ってくれている。
    自分も読み終わる時に風を拗らせ
    うつが身に沁みた。

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    2024年01月25日
  • 小説の書き方 ──小説道場・実践編

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    小説の書き方
    小説道場・実践編
    著:森村 誠一
    角川Oneテーマ21 B-119

    けっこうおもしろかった

    ■アイデアと構成

    ・小説のプロット(筋)やアイデアはどのようにして考えるのか
     百作あれば百作とも、スタイルやプロットの練り方がちがう
     カフェでぼんやりコーヒーを飲んでいるときもあり
     仕事場でデスクに向かって脂汗を流すようにおもいつくこともあり

    ・登場人物が勝手に動き出す、始めにつくった青写真が全く役にたたなくなることも

    ・推理小説では、途中で予定変更はできないが、連載小説であれば、ゴールが変わっても問題はない

    ・作家としての蓄積があればあるほどいい
     それはまず読書、続い

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    2024年01月15日
  • 異型の街角

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    異型の街角

     街角で働く人々が遭遇した5つの事件。気がかりな事件を彼らが解決していくストーリー。
     スーパーマーケットの後方処理担当課長の川地はさまざたな苦情処理係であり、お詫びのためにある女性を訪ねると....。
     ゴミ収集が仕事の清掃作業員平川は、ある女性を見かけ密かに憧れを寄せるようになるが...。
     テレビ番組「会いたいな、あの人に」のプロデューサー樋笠は、生放送のご対面番組中に、遠い過去の女性放火殺人事件に迫っていく。
     有線放送の技術員である佐古は自転車で狭い坂道をくだっている時、登ってきた対向車と接触しそうになり口論となる。それを目撃していた女性が殺害される...。 
     高層ビルの窓拭き業を

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    2024年03月07日
  • 東京空港殺人事件

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    東京空港殺人事件

    航空機墜落事故二件で物語は展開する。過去の飛行機事故は、アラスカ雪山への不時着である。わずかな生存者の1人の男が、羽田沖へ原因不明の墜落に関わる。この男が東京空港のホテルで殺害される、それは密室殺人の様相を呈していた。

    羽田沖墜落原因をめぐって、那須警部らが殺人事件の核心に迫っていく。

    この事故では、出張中の航空会社社員がまきこまれる。この社員や、アラスカ雪山不時着の生還者の人間模様が、密室殺人や墜落事故の真相をおりなす。

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    2023年10月22日
  • 夢の虐殺

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    昭和46年初頭から、翌々年半ばまでに発表されたものから自選した短篇集。表題作ほか全六編を収めている。現在、森村作品群から五冊が「角川ホラー文庫」から刊行されているが、実際はただのサスペンスが選ばれている。本当にホラーと呼べるのは本書だろう。作者は"怨念の作家"と評されることがあるが、それはホテル勤務時代の非人間的な扱いへの遺恨に由来しているという。本短篇はそのような情性が存分に発揮された作品ぞろいになっており、作者だけが表現できる"凄み"が描かれている。

    表題作『夢の虐殺』と『高燥の墳墓』は山岳を舞台にしたもの、『高燥の墳墓』と『派閥抗争殺人事件』は4

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    2023年10月11日
  • シンデレラスター殺人事件

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    六編を収めた短篇集で、うち四編が今はなき学研の学年誌『中三コース』に昭和44年から46年に連載されたジュブナイル・ミステリーである。連載誌のカラーに合わせ作者お得意の濃厚な情事は描かれないし、おなじみの救いのない結末ではない。うち三編では中学生が探偵の役割を果たしている。連載分をそのまま載せたのか、ふりがなが多くつけられているのも特徴。中学生向けといってもそこは小説職人の森村誠一だから、大人が読むに堪える水準は維持されていて、いずれも最後にどんでん返しを用意している。それにしてもいろんな仕事を引き受けていたのにも驚くが、この時期の多作ぶりは鬼神のごとくである。しかも六編とも独自のトリックを下敷

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    2023年10月10日
  • 虹への旅券

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    昭和49年4月から翌年1月まで女性週刊誌『ヤングレディ』に連載された、この時期の作者の作品としては異色作と云える。主人公が若い女性というのもそうだし、トラベルミステリーであり、ロマン派推理小説でもある。ハッピーエンドが少なく、いつもラストは苦いのが作者の作風だが、本作は希望のあるエンディングになっている。それも連載誌のカラーを考慮したものだろう。次々と起こる事件に、最後まで息がつけない一作。

    恋人に捨てられ傷心を癒やすため、団体での海外旅行へ出かけるヒロイン裕希子が、旅行中に様々な事件に遭遇する。同行の旅行者たちもいずれ曰くつきの人々であり、次々と勃発する不可解な事件に振りまわされるはめに。

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    2023年09月30日
  • 暗黒流砂

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    本書は昭和48年に『週刊ポスト』に連載され、同年末に刊行された著者の初期作品である。近年は政治改革の成果か、政界を揺るがす疑獄事件は起きなくなっているが、昭和期は腐敗が酷かった。著者は「悪徳政治家をせめて小説の中で弾劾しようとしてこの作品を書いた」と述べる。次期総理の有力候補・玉置森堂が政治的野望を実現するために計画した国有地売却計画。ある投書から、その背後にある不正の捜査をはじめる刑事・中津和男。上からの圧力に屈せず地道な捜査を続けるが、虎の尾を踏んだ彼は罠にはまり、辞職を余儀なくされる。そんな彼に一本の電話が入る。罠を仕掛けた女・久田芙美代の居所を教えるものであった。その場所はある高級ホテ

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    2023年09月30日
  • 真昼の誘拐

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    昭和47年に『週刊小説』(実業之日本社)に連載された作者の初期の作品。いかにも森村作品らしい構成の妙があり、その設定と展開には多少の強引さも感じられるが、登場人物の関係の糸が少しずつ明らかになっていく巧みな筋書きが一気に読ませてくれるサスペンスだ。必然にあらがおうとする人間たちの懊悩と苦闘、虚構の愛を覆い隠せなくなり、静かな悲しみが漂うラスト、すべてが森村が奏でるいつもの色調である。

    主人公の大学助教授・宮本洋一郎が、人気清純派女優・八木橋紀子との情事の後に帰宅すると妻が死体と化し、息子の姿が消えていた・・・。誘拐されたと判断した宮本は息子を案じるがゆえに警察には連絡せず、愛人の紀子に助けを

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    2023年09月30日
  • 科学的管理法殺人事件

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    表題作のほか、「公害殺人事件」「殺意の架橋」「虫の息」「電話魔」「虚無の標的」の六篇を収録した短編集である。初版は昭和50年に発刊されているが表題作は45年に『小説現代』に掲載されたもの。前年の44年に作者は江戸川乱歩賞を受賞し、推理作家としてデビューするが、当時、乱歩賞受賞者はまず同誌に短編を発表するのが慣例となっていた。だが何度提稿しても、なかなか掲載のOKが出ず、ようやく六本目にして掲載になる。作者は同作品を「当時の苦悩が滲んでいるような作品」と回顧する。

    作者は当時、自身の推理小説観を問われ「エンターテインメント。ストーリーに重点を置いた、読んで面白い小説でないといけない」と哲学を披

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    2023年09月30日