森村誠一のレビュー一覧

  • 人間の証明

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    初出版当時に悪魔の飽食を読んだ。最近になって再読したのだが、ついでに他の代表作を読もうと思い、初めて原作を読んでみた。この頃の日本映画は名作ぞろい。近年リメイクが盛んだが、超えたものはないように思われる。ってか感想になってないねw

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    2026年08月14日
  • 人間の証明

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    ネタバレ

    昭和ミステリーの代表作。50年近く前に書かれているが今でもじっくりと読ませる名作だと思います。終戦直後は体験していないが混迷の中、様々な理不尽を受け入れるしかない時代に受けた体験から人間を信じることが出来なくなった棟居刑事。
    わずかな手掛かりから少しずつ真相に迫っていくが最後の場面で人間性に懸ける展開はまさにタイトル通りで涙を誘う。
    それにしても西条八十の詩のなんと素晴らしいことか!

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    2026年08月10日
  • 殺人の組曲

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    行きずりのホテルで出会った女性と意気投合し、来週も会いましょうという約束をして別れた。次の週に約束の場所に行くも、1時間経っても女性は現れず、手元には女性が忘れていったフィルムが1本残っていた。その後女性が殺されたことを知り…。

    森村誠一の、おそらく大半は初期の短編を集めた短編集。子供2人を戦争でなくしたおばあさんの話なんかは、昭和30年代くらいの話ではないかと思われる。

    森村誠一の真骨頂である、細かい残存証拠という話ではなく、もっと荒い証拠の話だったり、犯人を追い詰めるという話ではなかったりと、ショートショートレベルで短くともオチは多様で、『世にも奇妙な物語』のようなものでも採用されそうな話が多い。

    1990年代以降の小説では、「読者がわからないから」と削られてしまったような語彙がそこそこ含まれているあたりも、読みやすくて印象が良い。

    難を言うなら、小道具が写真のフィルムだったりして古さは否めないのだが、それは若い人は調べて読んでみて欲しい。詩を小道具にする話も良い。

    短編集というと、次の話を読むときに前作が引っかかって頭に入ってこないことがあるけれども、本作は結末のキレの良さと、冒頭の引きつけ方も良いので、前作に引っ張られることも少ない。

    短編ミステリの教科書になりうる良い作品集だった。

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    2026年06月04日
  • 死媒蝶

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    今の日本の裏社会で起きてる?のでは、とかなりリアルな作品です。先を読みつつ考えながら読みましたが、そうきたか!!という部分があり、あっと言う間に読み切りました。

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    2026年05月07日
  • 棟居刑事の情熱

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    棟居刑事の情熱

    棟居刑事は多忙ななか休暇が取れて穂高岳を目指す。若い女性を偶然にも上高地で見かけ気になっていた。登山初心者のようである。軽装備で頼りない足取りながら、棟居の後ろをついてくるのである。棟居は彼女をさりげなくガイドするかたちでサポートする。とうとう彼女は穂高岳山頂に立てたのである。2人は意気投合したのだが、連絡先も交換せず帰途の新宿駅で別れる。彼女の名は本宮桐子。

    この小説は、棟居と桐子の出会いの小説でもある。以降、森村氏の作品では、棟居登場の陰に桐子あり、の場面が幾度となく設定される。2人は相思相愛の様相であるが、プラトニックな関係をあえて崩さない。棟居刑事シリーズなどでは、桐子は、たびたび登場し棟居に事件解決のヒントを授けることとなる。

    物語は、新宿署の銀座ホステス殺人事件、厚木署のライフル射殺事件、碑文谷署の料亭従業員の失踪事件、八王子署の赤坂料亭従業員殺人死体遺棄事件、の関わりが、各署の刑事たちの執念によって紐解かれていく。新宿署には警視庁捜査一課那須班も投入される。新宿署の牛尾刑事、那須班の棟居刑事の活躍も描かれる。

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    2026年02月25日
  • 人間の証明

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    時代を感じさせるのだけど、その事も気にならないほどの普遍的なテーマの物語です。
    様々な立場の登場人物からの視点で語られていきます。
    戦争や差別、家族、親と子、今の時代にこそ読むべき作品だと思いました。

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    2026年02月13日
  • 腐蝕の構造

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    「これくらいなら大丈夫」
    という軽い気持ちから、どこまで連れていかれるのか。

    人が都合よく目を逸らす瞬間とか、
    正しい顔をしながらちょっとズレた選択をするところが、じわじわ怖いミステリーでした。

    登場人物はみんな、
    一見ちゃんと社会生活を送っていそうなのに、どこか怪しい。
    守っている“つもり”、誠実な“つもり”が重なって、
    気づいたら空気がどんよりしてくる感じ。

    「自分やったらどうする?」
    と考えたくなる一冊でした。

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    2026年01月22日
  • 社賊

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    ホテル業務の危ういところが、要領よく描かれていて面白い。そこに入っていったのが、商社をやめて、退屈しのぎに入った、というのは会社の争い事に飽きていてあまり本気でやる気はなかった、畑中だ。事件は起こり、アマポーラというバーになにかあると、たまたま入社前から、早朝マラソンで知りあった仲のおじさんがたまたまホテルの社長だったこともあるからか、事件をホテルの社長に調べるよういわれたので調べたらそこに行き着くのである。社長との関係や、社長の要求がコロコロ変わるところが、読みどころで、畑中が、自分の立場をある種開き直って考えるところが考えかたとして、社賊なのかもしれない。

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    2026年01月19日
  • 人間の証明

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    これほど読書の高揚感を感じられた作品ってあっただろうか。名作と呼ばれる理由も納得できる。発表から年数は経過しているが読みやすくて途中読み終えるのがもったいなく感じた。読後の余韻は凄まじく少し放心状態になるくらい自分自身の内側に深くきた。各所に散りばめられた伏線が終盤で見事に回収され、点と点が線に繋がる過程が圧巻だった。社会派ミステリーと人間ドラマが見事に両立しており記憶に残る一冊となった。

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    2025年12月26日
  • 人間の証明

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    もう何度も何度も観た大好きな映画の原作。もはや言う必要が無いかもしれませんが、森村誠一の代表作であり不朽の名作。
    わたくしこれは、劇場公開時、鑑賞直後に読んで、(観てから読んだやつです)その後かなり経ってから一度再読、そしてそれっきりだったのではないかと思いますが、なんと今回、角川のキャンペーン、「あの頃流行ったベストセラー」に乗っかってつい買い直しちゃいました。(バーコード無しの、当時の文庫も持ってるのにw)
    さて、観てから読んだ場合、あぁこの人はこうかかわってくるなとだいたい分かりますが、逆の場合、真相が徐々に解明していくに連なって、怒涛の伏線回収になるかと。
    あらゆる登場人物の、あらゆる角度からの表現、著者の丁寧な筆致による
    各登場人物の心の動き。映像より先に読んで見たかったかもなあと思わせてくれた作品です。
    何せ棟居刑事は松田優作感が強すぎて。全く違う印象を受けますね。どちらが正解と言う訳ではなく、映画の棟居、原作の棟居、という解釈をしたい。
    麦わら帽子、キスミー、西條八十に、ぬいぐるみのくま。
    謎だらけのアイテムが、徐々に、まるでかかっていたもやがなくなって繋がっていく様は、とても心地良い体験ですね。
    脳内であの音楽が流れてきてしまうのはもう仕方ないですよね。

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    2025年12月23日
  • 自選恐怖小説集 人間溶解

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    日常に潜む、決して公にできないヒトコワを凝縮した短編小説。
    個人的には「青の魔性」がイチオシ!小学生の女児に惚れた男性教師は女児の母親に手を出すっていう欲望のグロモヤ!

    森村誠一入門には持ってこいで、とても読みやすかったです。

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    2025年12月12日
  • 老いる意味 うつ、勇気、夢

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    著者自身が古希(70歳)を過ぎて経験した老人性うつ病や「老い」という喪失体験にどう向き合うべきかを綴った体験的エッセイです。
    定年退職、体力の低下、親しい人との別れ……。高齢期に訪れる「うつ」的な気分を、単なる病気として排除するのではなく、「人生を振り返り、次へ進むために必要な心の整理のプロセス」として捉え直す視点は、競争社会に疲れた心に深く染み入ります。
    現役時代は「何ができるか、何を達成したか(Doing)」で評価されますが、老後は「ただそこに居てくれるだけでいい(Being)」という価値観へシフトすべきだと述べられています。実用的な情報はありません。心の持ちようを説く本です。読み終えた後、肩の荷が下りて少し泣きたくなるような、温かい読後感の本です。

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    2025年11月22日
  • 太平記(一)

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    多作の作家・森村誠一が三千枚の歴史大作を『野性時代』誌で初めて発表したのは、平成3年であった。この年、吉川英治の『私本太平記』を原作にした大河ドラマ『太平記』が放映になり、本作は角川映画版「太平記」の原作としてスタートしたものである。結局映画化は実現しなかったが、ドラマ性の高さ、架空エピソードの折り込みなどに映画的演出を感じさせる。作者は初期作品から社会・推理小説作家の印象が強いが、実は多数の時代・歴史作品をものしており、忠臣蔵・新選組・平家物語をテーマにした大作がある。歴史小説の大家・吉川英治や山岡荘八とは違った視点と雰囲気があり、現代的で流麗な文体に特色がある。最終巻までテンポよく読み進めることができた。

    本巻は堕落した幕府を打倒するため、野心家の後醍醐天皇が近侍と密議を繰り返し、いざ挙兵という段になって謀議が露見し、一網打尽にされた1324年の正中の変から、再度の倒幕の画策を密告されて急遽都を脱出、笠置山に籠城、楠木正成がそれに呼応して、赤坂城を舞台に奮戦苦闘する1331年の元弘の乱勃発までを描いている。

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    2025年11月03日
  • 魔少年

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    昭和51年に講談社文庫として刊行されてから、そのあと、角川文庫から角川ホラー文庫へと変遷。作者初期の全七編を収めた短篇集である。ホラー小説と呼べるのは、『空白の凶相』くらいではなかろうか。ほかは作者らしい、ひねりの利いたサスペンス、皮肉な結末を用意している人間ドラマと呼んだほうがいいだろう。『死を運ぶ天敵』や『殺意中毒症』のような推理小説仕立ての作品もあり、いずれも面白い。この時期の作者は多作を極めているが、よくも巧みなプロットを次々とひねり出せるものである。

    表題作の『魔少年』は、悪魔的な悪巧みを企てる少年に不気味さを感じていた母親が、自らの不貞をきっかけに、驚くべき真相を知らされるもの。ひねりがピリッと利いている。『燃えつきた蝋燭』は人生の無常が強調された作品。寝たきりの老人の生への執着、孤独が生む心の荒廃、若者への嫉妬が引き起こす残酷な結末。読後感は実に重い。『雪の絶唱』は女の独占欲の強さ、執念の恐ろしさが、死して男を追い詰めるという作品。異形の愛の完成には言葉もない。一番の秀作には『殺意中毒症』を挙げておきたい。"意外な真相"が明かされたと思いきや、更なるどんでん返しにはさすがの一言。

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    2025年11月03日
  • 人間の証明

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     とても50年前に書かれた作品とは思えない傑作だと思います。
     最後の伏線回収がすごいのと、それぞれの抱える過去と事件のつながり、人が生きているモチベーションって一体何なんだろう?怒り?悲しみ?名声?お金?愛情?それぞれの登場人物の心情描写が素晴らしい。途中でモチーフになっている詩との絡みがこれまた凄かったです。
     

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    2025年10月27日
  • 人間の証明

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    これが自分が生まれた前に書かれた作品なのか?と思ったのが正直な印象である。最高傑作。歴史に残る作品であろう。

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    2025年08月15日
  • 人間の証明

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    「日本のキスミーに行く」と言い残しニューヨークを去った黒人青年が、東京の高級ホテルのエレベーターで刺殺体で発見される。
    NYと日本で交錯する捜査と、並行して進む、ある女性の失踪をめぐる、夫と浮気相手の奇妙な協働。
    全てが繋がる完璧な筋書き。やはり名作。

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    2025年05月02日
  • 吉良忠臣蔵 上

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    本筋の話もそうだけど、江戸文化が花開いた元禄期の、イキイキとした庶民たちの文化と大名や将軍の文化、身分によって分断されている社会の描き方が秀逸すぎる

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    2025年04月05日
  • 人間の証明

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    読書録「人間の証明」5

    著者 森村誠一
    出版 角川文庫

    p9より引用
    “ 食事が豪華であればあるほど、食事本来の目
    的から逸脱してくる。だが、人々はその矛盾にほ
    とんど気がつかない。"

    目次より抜粋引用
    “エトランジェの死
     謎のキイワード
     過去をつなぐ橋
     おもかげの母
     人間の証明"

     思い過去を持つ刑事を主人公とした、長編ミス
    テリ小説。同社刊行文庫改版。
     高級レストランへと向かうエレベーターの中
    で、一人の外国人青年が亡くなった。彼の胸には
    ナイフが根本まで突き立てられており、しかしそ
    んな体でどこからか歩いてきたようで…。

     上記の引用は、亡くなった青年が向かったと思
    われる、レストランに来る客たちについての一
    文。何のために食べるのかを忘れなければ、食事
    に対して変な見栄を張らずに済むのかも知れませ
    ん。
     何度も映像化されている、日本ミステリの傑
    作。私はTV版の連続ドラマで見てから知ったので
    すが、話も犯人も分かっていてなお、後書きまで
    全て読み通せる作品でした。
     初版が1977年と50年近く前で、舞台も昭和40年
    代で現代とは色々と違っていたりする部分もある
    のですけれど、人の感情に訴えかける事というの
    は、今も昔も変わらないのかなと思わされます。
     初版の解説が、「金田一耕助シリーズ」の横溝
    正史という所も面白いというか、日本の小説界の
    歴史を感じられる部分ではないでしょうか。


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    2025年04月04日
  • 星の旗【上下 合本版】

    購入済み

    星の旗(上下)

    戦時中特攻隊の生き残り木島は、今や70歳過ぎの老人であった。警察も当てに出来ない町で、暴力団、大門組や一誠会が政界の黒幕の配下となってうごめく。

    大門組に親族を自殺に追いやられ、知り合った若い娘、香子を廃人同様に犯された木島は、特攻隊時代の仲間七人を集め、暴力団と戦う。平成天誅組と呼ばれるにいたり老人達の生気はよみがえり、戦時中に隠された兵器を入手し、暴力団を相手に活劇風なストーリー展開となる。

    この小説、著者定番の社会派推理からは少し外れ、映画007(初期)の活劇ストーリー風になっていく。

    しかし「終章」では、森村氏の筆がさえる、涙が滲んできた。5つ星である!

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    2025年03月11日