森村誠一のレビュー一覧
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著者自身が古希(70歳)を過ぎて経験した老人性うつ病や「老い」という喪失体験にどう向き合うべきかを綴った体験的エッセイです。
定年退職、体力の低下、親しい人との別れ……。高齢期に訪れる「うつ」的な気分を、単なる病気として排除するのではなく、「人生を振り返り、次へ進むために必要な心の整理のプロセス」として捉え直す視点は、競争社会に疲れた心に深く染み入ります。
現役時代は「何ができるか、何を達成したか(Doing)」で評価されますが、老後は「ただそこに居てくれるだけでいい(Being)」という価値観へシフトすべきだと述べられています。実用的な情報はありません。心の持ちようを説く本です。読み終えた後 -
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多作の作家・森村誠一が三千枚の歴史大作を『野性時代』誌で初めて発表したのは、平成3年であった。この年、吉川英治の『私本太平記』を原作にした大河ドラマ『太平記』が放映になり、本作は角川映画版「太平記」の原作としてスタートしたものである。結局映画化は実現しなかったが、ドラマ性の高さ、架空エピソードの折り込みなどに映画的演出を感じさせる。作者は初期作品から社会・推理小説作家の印象が強いが、実は多数の時代・歴史作品をものしており、忠臣蔵・新選組・平家物語をテーマにした大作がある。歴史小説の大家・吉川英治や山岡荘八とは違った視点と雰囲気があり、現代的で流麗な文体に特色がある。最終巻までテンポよく読み進め
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昭和51年に講談社文庫として刊行されてから、そのあと、角川文庫から角川ホラー文庫へと変遷。作者初期の全七編を収めた短篇集である。ホラー小説と呼べるのは、『空白の凶相』くらいではなかろうか。ほかは作者らしい、ひねりの利いたサスペンス、皮肉な結末を用意している人間ドラマと呼んだほうがいいだろう。『死を運ぶ天敵』や『殺意中毒症』のような推理小説仕立ての作品もあり、いずれも面白い。この時期の作者は多作を極めているが、よくも巧みなプロットを次々とひねり出せるものである。
表題作の『魔少年』は、悪魔的な悪巧みを企てる少年に不気味さを感じていた母親が、自らの不貞をきっかけに、驚くべき真相を知らされるもの。 -
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読書録「人間の証明」5
著者 森村誠一
出版 角川文庫
p9より引用
“ 食事が豪華であればあるほど、食事本来の目
的から逸脱してくる。だが、人々はその矛盾にほ
とんど気がつかない。"
目次より抜粋引用
“エトランジェの死
謎のキイワード
過去をつなぐ橋
おもかげの母
人間の証明"
思い過去を持つ刑事を主人公とした、長編ミス
テリ小説。同社刊行文庫改版。
高級レストランへと向かうエレベーターの中
で、一人の外国人青年が亡くなった。彼の胸には
ナイフが根本まで突き立てられており、しかしそ
んな体でどこからか歩いてきたようで…。
上記の引用は、亡くなった -
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星の旗(上下)
戦時中特攻隊の生き残り木島は、今や70歳過ぎの老人であった。警察も当てに出来ない町で、暴力団、大門組や一誠会が政界の黒幕の配下となってうごめく。
大門組に親族を自殺に追いやられ、知り合った若い娘、香子を廃人同様に犯された木島は、特攻隊時代の仲間七人を集め、暴力団と戦う。平成天誅組と呼ばれるにいたり老人達の生気はよみがえり、戦時中に隠された兵器を入手し、暴力団を相手に活劇風なストーリー展開となる。
この小説、著者定番の社会派推理からは少し外れ、映画007(初期)の活劇ストーリー風になっていく。
しかし「終章」では、森村氏の筆がさえる、涙が滲んできた。5つ星である! -
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指名手配
国本開発を実質的に支配する数久。数久と陰で手を組む詩子。胡桃沢は詩子を手に入れるため殺人を犯すが、それは図られた陰謀であった。胡桃沢は詩子も失い、1人追い詰められていく。
国本開発のおかかえ調査機関である砂木が胡桃沢の前に現れ、彼は救われていくが。
胡桃沢は本当に殺人を犯したのか。
国本開発内部で、数久と詩子を発端とした様々な事件が起きる。砂木は、ときには知人の刑事である草場も交え、事件を解明していく。
はたして、詩子は無事なのか、砂木は本当に胡桃沢の味方なのか、胡桃沢の運命はいかに。。。 -
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今頃になって、初めて読みました
初めて読んだけれども、動機も犯人も知っています。
被害者が言った謎の言葉「ストウハ」の意味も知っています。
中学校の英語の先生が「アメリカ人の発音でストローハットと言っても、日本人の耳にはストウハと聞こえる」とネタバレしましたからな。
当時はネタバレに寛容だったので。
でも知っていたのはマスコミで流れた部分のみ。
実はいくつかの事件が縄を綯うように互いに絡みながら進んでいく話とは思いませんでした。
で、読んだ感想としては「因果応報」。
これに尽きると思います。
森村誠一と言えば社会派ミステリーで、社会はミステリーと言えば刑事が足で証拠をみつけていく話だと思っ -
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虚構の空路
いくえにも施されたトリック(虚構の空路)を捜査陣が、解き明かしていく。犯人のアリバイくずしに引き込まれる。最後にはどんでん返しのストーリーとなる。
東京発新幹線、熱海駅で、座席に女性の薬殺体が。またホテルでは刺殺体が発見される。本庁捜査1課は、2つの事件は関連があると睨んで捜査する、蒲田暑、静岡県警の合同捜査へと進展していく。三立観光に勤める音川は、エンパイアホテルの経営者令嬢である雪子と結婚し玉の輿にのる。捜査1課と蒲田暑は、音川を刺殺体の被疑者として洗い出す。
が、事件当時刻に音川は、フランスのパリで知人の出迎えをうけており、確たるアリバイがあった。捜査陣の執拗なアリバイ崩しが始まる。 -
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暗黒流砂
国土庁の公有地不正交換疑惑を追っていた中津刑事は、罠にはめられ退職となる。それでも中津は、悪の中枢に迫るべく活動する。
国土庁の課長、梅原もまた部下の不正を理由に解雇となる。
ホテルで二件の殺人事件が同時に発生する、中津と梅原は、各事件現場へ何者かに呼び出され、まだ見知らぬふたりは、思いもかけずこのホテルのエレベーターで遭遇する。
悪の中枢の息がかかった料亭「まつ坂」、その女将の娘と中津は恋に落ちる。新たな殺人事件も発生する。まつ坂を舞台の中心にして、那須警部も登場して、中津を中心にストーリーは展開していく。
はたして悪の中枢は暴かれるのであろうか。中津と恋人の仲は、どうなってしまうの -
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銀河鉄道殺人事件
銀河鉄道の旅として企画された列車に、高沢含む見ず知らず男3人と女性1人が同席した。高沢のガールフレンド衣子は列車を見送るが、高沢は帰らぬ人となってしまう。同席の彼らをめぐり、二つの殺人事件が起きるのである。
衣子は事件解明の糸口を見出し、たびたび捜査陣へ進言する。衣子は小説の中で素人探偵のポジションをも与えられている。
銀河鉄道の旅の4人、その他の登場人物がおりなす複雑なストリーであるが、全ての殺人事件は解決したかにみえた。しかし高沢の死に納得できない衣子は、さらに追求していく。はたして交通事故死だったのか。
物語にまだ大きな結末がまっていた。 -
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昭和46年から49年の間に雑誌に発表した全九篇からなる短篇集。初めて読んだのは高校生の時だったが、いずれの作品にも不気味さ、恐ろしさ、陰鬱な空気感が横溢し、当時はこの作風に魅せられてしまい、次々と森村作品を古書店で漁っていたものだ。本書収録作に共通してる要素がひとつあり、それは女の不実、エゴ、いつわりの愛をこれでもかと描いているところだ。女に深入りすると痛い目に合うことを親切にも教授してくれているかのようで、『獣の償い』『褥の病巣』の二編は特にそれが顕著である。結末はいずれも後味の良くないもので、ハッピーエンドがないのも作者の特徴といえよう。しかし短期間に良くこれだけ斬新な着想が湧くものだと今
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細菌兵器の研究開発のため人体実験を繰り返したと言われる731部隊の全容がまとめられている。戦争の足音が近づきつつある今日こそ読んでおいた方がいいかもしれない本。小説的な表現があるためやたらと映像的で生々しく、戦時中の異常さが疑似体験できた。
マップや写真などが豊富で、内容も興味深いため、想像の中でホルマリン液や消毒液にまじる寒天の腐臭にまみれながら、ロ棟を連れ回されたような気分だ。
予想以上に闇が深い。人間こんなにも共感性を失えるものかと思う。でも、残念ながら、731部隊はよだれをたらした頭のおかしいサディスト集団ではなかった。実験体が人間でさえなければ、有能な研究者や技術者たちが立ち働く -
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新.オリエント急行殺人事件
オリエント急行の旅ツアーに参加した5組9人が、旅を終えた1年後も関わりを持つ。利害関係が発生した2組がおり、隠れた男女関係に発展した者がいる。ひき逃げ事故の弱みにつけ込んで恐喝する者がいる。
オリエント急行の旅に参加した男が殺される、捜査陣は、この旅の参加者から犯人を絞り込む。そんな中、意外にも犯人候補の男も殺害される。
「1年前のツアーは仕組まれたものではないか?」。捜査陣は、ツアーに参加した、9人(残り7人)以外の人物へと疑いを切り替える。思いもよらない人物が浮かび上がる。
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