森村誠一のレビュー一覧
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指名手配
国本開発を実質的に支配する数久。数久と陰で手を組む詩子。胡桃沢は詩子を手に入れるため殺人を犯すが、それは図られた陰謀であった。胡桃沢は詩子も失い、1人追い詰められていく。
国本開発のおかかえ調査機関である砂木が胡桃沢の前に現れ、彼は救われていくが。
胡桃沢は本当に殺人を犯したのか。
国本開発内部で、数久と詩子を発端とした様々な事件が起きる。砂木は、ときには知人の刑事である草場も交え、事件を解明していく。
はたして、詩子は無事なのか、砂木は本当に胡桃沢の味方なのか、胡桃沢の運命はいかに。。。 -
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今頃になって、初めて読みました
初めて読んだけれども、動機も犯人も知っています。
被害者が言った謎の言葉「ストウハ」の意味も知っています。
中学校の英語の先生が「アメリカ人の発音でストローハットと言っても、日本人の耳にはストウハと聞こえる」とネタバレしましたからな。
当時はネタバレに寛容だったので。
でも知っていたのはマスコミで流れた部分のみ。
実はいくつかの事件が縄を綯うように互いに絡みながら進んでいく話とは思いませんでした。
で、読んだ感想としては「因果応報」。
これに尽きると思います。
森村誠一と言えば社会派ミステリーで、社会はミステリーと言えば刑事が足で証拠をみつけていく話だと思っていましたが、この作品に関していえば、確かに社会派で、足で証拠を探していますが、ラッキーな偶然が多すぎます。
それというのもこの作品は、通奏低音として「因果応報」が存在しているからと思いました。
表立った意見の被害者と加害者だけではなく、関係者の心の中で消せない、事件とならなかった事件が、その無念を晴らすかのように偶然を連れてきたのかな、と。
作者あとがきで、当時この作品が「情念のミステリー」と言われていたことを知りましたが、確かにこれは情念の物語です。
黒人青年を殺した犯人は、今でいうサイコパスのように描かれていますが、多分心から大切にしていたのが黒人青年との日々だったのだと思います。
その後の人生は犯人にとって何の意味もない、興味もない、形だけの人生だったのかもしれない。
ただその形だけの人生が成功してしまったから、大切だった心から愛していた過去と形だけ成功した現在との相剋の中の一瞬の躊躇が、すべてを終わらせてしまったのではないでしょうか。
だとすると、哀しい物語だなあ。
ママは思い出しはしなかった。
だって忘れてなかったのだから。
読んだ気になってパスしなくてよかったなあ。 -
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虚構の空路
いくえにも施されたトリック(虚構の空路)を捜査陣が、解き明かしていく。犯人のアリバイくずしに引き込まれる。最後にはどんでん返しのストーリーとなる。
東京発新幹線、熱海駅で、座席に女性の薬殺体が。またホテルでは刺殺体が発見される。本庁捜査1課は、2つの事件は関連があると睨んで捜査する、蒲田暑、静岡県警の合同捜査へと進展していく。三立観光に勤める音川は、エンパイアホテルの経営者令嬢である雪子と結婚し玉の輿にのる。捜査1課と蒲田暑は、音川を刺殺体の被疑者として洗い出す。
が、事件当時刻に音川は、フランスのパリで知人の出迎えをうけており、確たるアリバイがあった。捜査陣の執拗なアリバイ崩しが始まる。菅野部長刑事が、音川の使った同じ便でパリへ飛ぶ。菅野の活躍でアリバイはくずされた。
音川が犯人なのか? この物語には、さらに驚くべき結末が用意されている。 -
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暗黒流砂
国土庁の公有地不正交換疑惑を追っていた中津刑事は、罠にはめられ退職となる。それでも中津は、悪の中枢に迫るべく活動する。
国土庁の課長、梅原もまた部下の不正を理由に解雇となる。
ホテルで二件の殺人事件が同時に発生する、中津と梅原は、各事件現場へ何者かに呼び出され、まだ見知らぬふたりは、思いもかけずこのホテルのエレベーターで遭遇する。
悪の中枢の息がかかった料亭「まつ坂」、その女将の娘と中津は恋に落ちる。新たな殺人事件も発生する。まつ坂を舞台の中心にして、那須警部も登場して、中津を中心にストーリーは展開していく。
はたして悪の中枢は暴かれるのであろうか。中津と恋人の仲は、どうなってしまうのか。彼女の父親は、いったい誰なのか。 -
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銀河鉄道殺人事件
銀河鉄道の旅として企画された列車に、高沢含む見ず知らず男3人と女性1人が同席した。高沢のガールフレンド衣子は列車を見送るが、高沢は帰らぬ人となってしまう。同席の彼らをめぐり、二つの殺人事件が起きるのである。
衣子は事件解明の糸口を見出し、たびたび捜査陣へ進言する。衣子は小説の中で素人探偵のポジションをも与えられている。
銀河鉄道の旅の4人、その他の登場人物がおりなす複雑なストリーであるが、全ての殺人事件は解決したかにみえた。しかし高沢の死に納得できない衣子は、さらに追求していく。はたして交通事故死だったのか。
物語にまだ大きな結末がまっていた。 -
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昭和46年から49年の間に雑誌に発表した全九篇からなる短篇集。初めて読んだのは高校生の時だったが、いずれの作品にも不気味さ、恐ろしさ、陰鬱な空気感が横溢し、当時はこの作風に魅せられてしまい、次々と森村作品を古書店で漁っていたものだ。本書収録作に共通してる要素がひとつあり、それは女の不実、エゴ、いつわりの愛をこれでもかと描いているところだ。女に深入りすると痛い目に合うことを親切にも教授してくれているかのようで、『獣の償い』『褥の病巣』の二編は特にそれが顕著である。結末はいずれも後味の良くないもので、ハッピーエンドがないのも作者の特徴といえよう。しかし短期間に良くこれだけ斬新な着想が湧くものだと今さらであるが感心する。
表題作『青の魔性』は妖しい魅力を持つ教え子の少女の虜になった小学校教師の悲劇と狂気を描く、ロリータ文学ともいえる作品。この魔性の少女がとにかくコワい。『獣の償い』は一方通行の愛に殉じた竹田伸二の償いに哀れみを覚えると共に、女のエゴと残酷さが鮮烈。『鉄筋の猿類』は団地の隣人に恨みを持つふたりの男女の復讐譚だが、ラストに皮肉が利いている。これも女のエゴを描く。『共犯の瞳』の三杉先生も『褥の病巣』の島崎靖子も、その美しい容姿の裏にいかがわしいものを持っていた。男性の登場人物は一途で純粋なだけに、女の狡猾・エゴ・二面性がより強調されている。 -
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細菌兵器の研究開発のため人体実験を繰り返したと言われる731部隊の全容がまとめられている。戦争の足音が近づきつつある今日こそ読んでおいた方がいいかもしれない本。小説的な表現があるためやたらと映像的で生々しく、戦時中の異常さが疑似体験できた。
マップや写真などが豊富で、内容も興味深いため、想像の中でホルマリン液や消毒液にまじる寒天の腐臭にまみれながら、ロ棟を連れ回されたような気分だ。
予想以上に闇が深い。人間こんなにも共感性を失えるものかと思う。でも、残念ながら、731部隊はよだれをたらした頭のおかしいサディスト集団ではなかった。実験体が人間でさえなければ、有能な研究者や技術者たちが立ち働く活気のある職場だ。そう、まるでプロジェクトX。あのノリと使命感で、正気のまま、平気で人間を解体するところに本当の闇がある。
合理的に運営されている清潔な最先端研究施設で、人間が人間に「丸太」と名付けて番号管理、毎日2〜3人をシステマティックに生体解剖し、細菌入り饅頭を与えて観察し、死体の山を築きつつ確実に研究成果をあげる。それと同時にテニスや盆踊りで福利厚生を享受し、同僚の戦死に心から手を合わせる。
こんなもの全員イカれた悪魔のサイコパスだろうと思いたくなるが、そうではない。訓練され慣れてしまった普通の人たちだ。アイヒマンも731部隊員も、我々と同じ勤勉な働き者だったところに戦争の禍々しさがある。しかも、研究成果は戦後もアメリカや日本で活用されているという。
今でも「死刑囚は生体実験に回せ」だのいう言葉がネットに書き込まれており、死刑囚自身の残虐性により特に問題視されてはいないが、731部隊の理屈がまさにこれだったのを考えると、非常に憂鬱になる。誰かを非人間化することに麻痺するのはとても危険だ。その先には731部隊の犯罪が待っているのではないか。
戦時下においては、我々全員が非人間化される。つまり焼いても殺してもいい「マルタ」として互いに殺し合うよう上から命ぜられる。そうでなければ人は人を殺せず、人が死ななければ戦争も成り立たない。その意味で、戦争自体もともと人道に反する犯罪だ。
また、本物の戦時下になくとも、誰かを非人間化して攻撃している時点で、一種のバーチャルな戦争に参加し、自分をも非人間化していると言える。つまり「ひとでなし」に。もちろん、ひとでなしは人間じゃないのでマルタという消耗品だ。
命ぜられたターゲットに群がって憎悪を焚きつけるという意味で、SNSの炎上は戦争のイメトレとしてもってこいだろう。国民の番号管理という非人間化もすでに始まっている。あとは敵の設定と味方の犠牲という付け火があれば、あっという間に恐怖と怒りの火は燃え広がる。731部隊は忘れたらそれで終わる例外ではない。日常から続く道の先にある。 -
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新.オリエント急行殺人事件
オリエント急行の旅ツアーに参加した5組9人が、旅を終えた1年後も関わりを持つ。利害関係が発生した2組がおり、隠れた男女関係に発展した者がいる。ひき逃げ事故の弱みにつけ込んで恐喝する者がいる。
オリエント急行の旅に参加した男が殺される、捜査陣は、この旅の参加者から犯人を絞り込む。そんな中、意外にも犯人候補の男も殺害される。
「1年前のツアーは仕組まれたものではないか?」。捜査陣は、ツアーに参加した、9人(残り7人)以外の人物へと疑いを切り替える。思いもよらない人物が浮かび上がる。 -
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ネタバレ久しぶりに読後に感無量の気持ちを味わった。
読むきっかけは著者の森村誠一さんの訃報のニュースをテレビで見たことから。自分より半世紀以上年上の方が書いた本、特に当時は戦争について興味を持っていたので悪魔の飽食を読むつもりだったのだが、こちらの方が先に目につき何気なく手に取った。
昔の人が書いた本だから読みにくいだろうかという心配は驚くくらい杞憂に終わった。
インターネットとスマホがないことを除けば全く不自然なことはない、どんどんと物語に入り込んでしまう巧みで魅惑的な文体。読みづらいなどと感じることは一切なかった。ああ世間は惜しい人を亡くしてしまったと思わされた。
作中にもある通り、西条八十の麦わら帽子の描く世界は誰の瞼の裏にも写る幻の母親だろう。初めて詩読んで感動してしまった。
そして本作で描かれる実際の母親「八杉恭子」はそんな一面を持ちつつも冷酷である。しかし文明やSNSが発達した現代では、子供を売りにSNSで有名になることを狙うなど、誰もが八杉恭子になり得る、またなりやすい時代となってしまった。
彼女は最後、非常に母親らしい一面をみせて終わったが、現実はもっと酷なのではないだろうか、救いがないのではないだろうかと、最後に思ってしまったのは欧米化し機械的になってしまった現在に生きる故のものだろうか。
また棟居の過去父親が殺された際の描写は非常に生々しく、文章なのに脳裏に焼き付く。薄まってきたところで最後にもう一度同じように描写されうっと生々しさにやられる。しかしこの描写は、戦争・戦後を経験した著者の実体験に近いものがあるのかもしれない、と感じた。実際戦後は米兵による性犯罪は多かったと聞く。そのような背景を考えるとフィクションとも割りきれず、嫌な不快感だけが作中の加害者たちに残った。
しかし、それだけで終らせないのがこの著者のすごいところなのかもしれない。作中でアメリカで独自に、積極的に捜査を行ってくれた割りに好感を持っていた刑事がその加害者だったことを知ったとき、言い表せない感情に苛まれた。許しがたいのに憎みきれない、これこそが人間の持つ二面性、人間の証明なのかもしれない。
シリーズもののようなので、ぜひ全て読んでいきたいと思う。もちろん悪魔の飽食も読みたい。 -
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超高層ホテル殺人事件
イハラ.ネルソンホテル竣工パーティーの最中、16階部屋の窓から、人が突き落とされのが、人々により目撃される。当該部屋への訪問者は認められず、密室殺人の状況である。
さらに二件の殺人事件が発生する。大阪で発見された被害者。被疑者は浮かんだが、東京に住んでおりアリバイ崩しが困難をきわめる。
時を同じくして東京で被害者が発見される。こちらの被疑者は大阪に住んでいる。
警視庁那須警部らは、二件の殺人事件の関連性を疑い、被疑者のアリバイ崩しを展開する。
密室崩しやアリバイ崩しが読みどころの一つとなっている。 -
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新.新幹線殺人事件
新幹線の座席に生きたえた男が。新幹線ダイヤのトリックに、誘拐事件が、詐欺事件が、2人目の殺人事件が、複雑に絡み合う謎が紐解かれる。詐欺事件に関連して、思いもかけない人物が浮かび上がる。
詐欺に加担する単身赴任の男、およびその家族が、どちらかというと脇役的に描かれている。これについては、作者後書で解説されている。
最近、ご逝去された森村誠一氏へ、つつしんでお悔やみ申し上げます。 -
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高層の死角
東京にある巨大ホテルの経営者が密室殺人。その秘書の女性も遠隔地で殺された。女性は主人公刑事の愛した女性であった。ライバルであるホテルの人物が浮かび上がる。主人公ら捜査陣の鬼気迫るアリバイくずしが描かれる。
数十年ぶりに読みかえしたが、ホテルマン出身の著者、社会派推理作家の原点が宿る。 -
匿名
購入済み殺人の赴任
安定のおもしろさの森村誠一の作品ですね。始めからぐいぐいと読者を引き込んでいきます。細かい描写も素晴らしく、はりめぐされた伏線の回収も見事です。最後のどんでん返しもいつもワクワクします。
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分水嶺
初期の作品であるが、タイトル「分水嶺」がまさに作品の内容を表している。ときには生命をかけた山仲間、ザイルパートナーの二人であったが、そのご分水嶺に降った雨の雨粒のごとく相反する人生をおりなす。
二人の女性との愛、昭和の時代背景(広島被爆者やベトナム戦争時代のアメリカ)もからませ、主人公二人の数奇な生き様や葛藤を描いた物語である。
数十年ぶりに読み返してみた。私の中では「分水嶺」が最初に出会った森村作品であり、その後、森村作品に魅せられ没入していくこととなった。 -
匿名
購入済み殺人組曲
森村誠一特有の鋭い観察力と精密な描写で 読者をぐいぐい引き込んでいきます。張られた伏線に興味が深くなり最後のどんでん返しが見事に読者にはまります。