森村誠一のレビュー一覧
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実に素晴らしかった!!
この本は、6編からなる短篇集なのだが、いずれも人間の心の闇というテーマで統一されている。
『夢の虐殺』は、毎日ひたすら繰り返される、没個人の社会生活に嫌気がさしたサラリーマンが主人公だ。彼は、一旦は、今の生活を捨て、かつて思い描いていた夢を実現させようとするのだが・・・。
よく、サラリーマン生活を捨て、自分らしく生きる!!それがよいのだ!!と言ったテーマの本をみかけるが、この話はそういった類の本より、もう一歩踏み込んで書かれている。
会社の歯車として働き、決して一個人としては認識されることのない生活を送るサラリーマンが、今まで培ってきたもの(社会的地位、家庭など) -
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悪の条件
山科刑事は、休暇中に期せずして、後に担当する殺人事件に関わる女性、香川(竹野美紀)と、上高地にて一夜を共にしてしまう。新宿署の牛尾刑事とコンビを組んで殺人事件の捜査にあたる。山科は、牛尾に内緒で事件と香川の関わりを探る。牛尾は山科に不信を感じてくる。
さらに山科は、悪に身を染めてしまう。山科の内に眠っていた悪の本性が目覚め走り出してしまう。正義と渡り合うためには、悪の条件を全開しなければならない。いま山科を支配しているものは刑事の魂ではなく、悪の魂である、
狛江署の古参刑事石井と牛尾は、山科の悪を見破って本人に告げた。山科は悩む。そして壮絶なエンディングが綴られる、森村誠一著。 -
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30年ほど前に読んだはずが、内容はまったく覚えておらず、まるで初読のようだった。
清純派女優八木橋紀子との逢瀬後、自宅マンションに戻った助教授宮本洋一郎は、妻の死体を発見し、一人息子が見当たらない事態に遭遇する。
身代金誘拐かと疑い、警察に通報することを躊躇う。
やがて犯人から連絡があり、身代金を払うが・・・
一方、不倫の帰り道で作家の牧野啓介は交通事故を起こし、子供をはね死なせてしまう。
同時別個に発生した誘拐事件と交通事故が、どのように関連してくるのか、興味津々に頁を捲る。
宮本と紀子が恰も探偵のような役割で犯人追跡を行うサスペンスミステリー。
初出は1973年と、50年ほども前の小説だが -
Posted by ブクログ
【2025年118冊目】
一人暮らしのOLである邦枝の楽しみは、マンションの窓から双眼鏡を使って世界を見ることだった。拡大することで暴かれてしまう人々の躍動。ところがひょんなことから邦枝は殺人事件を目撃してしまい――「残酷な視界」の他6作の短編集。
病原体ミステリーということですが、実際に病原体を題材にしているものが全てではなかったような印象を持ちました。どちらかと言うと男女の関係性に重きを置いたものが多かったような気がします。短編集に共通するのは、多くの作品において殺される前の被害者の視点が書かれていることでしょうか。読者としては突如視点を失うことになりますが、作者の手腕でしっかり物語は続 -
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親の反対を押し切って上京した七条由香が、死体となって発見された。
第一発見者は、隣室の住人・北前真司。死亡推定時刻の曖昧なアリバイ、靴の中敷から被害者の体液が検出されたことが元となり、彼は重要参考人として連行される。
留置所に拘留されてしばらくして、北前は犯行を自供し殺人罪で起訴されるのだが、警視庁捜査一課の棟居弘一良は釈然としないものを覚えるのだった。
兄の無実を信じる北前の妹・友美と棟居は真犯人を探し始めるのだが、その最中、疑惑の男がレストランで服毒死を遂げる。
この男はなぜ死んだのか。二つの事件は関連しているのか。複雑な事件の真相は――.
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昔から祖母の本棚にあった森村誠一さんの本。森 -
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夕映の殺意
小民沢から満州に渡り、桜花屯を開拓した中心人物志沢真二郎と志沢一族。戦争という時代が、匪賊が、桜花屯に対して行った略奪や殺りく。
時代は変わり、私立探偵事務所の片山竜次が、アメリカの実業家ハサウェイから、桜花屯の生存者の調査依頼を引き受ける。志沢真吉、真三、高の今が、複雑な関係が解明されていく。そしてハサウェイが、なぜ、いまだに桜花屯を気にしているか明らかになってくる。
当時、志沢一族の中に裏切りものがいた。匪賊を手引きして桜花屯を破壊した。その時、ハサウェイは何をしていたのか。
志沢真二郎は、いまだに裏切り者の彼らを許していなかったのである。
過去の事件が、現代まで尾を引いている。探 -
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花の骸
出稼ぎ三人組が、お金に窮して高級住宅地のとある邸宅へ忍び込むが、そこで女性が殺害される現場を目撃してしまう。三人組の1人である島村は消息不明となり、もう1人の山根は死体となって発見される。
所轄の碑文谷署の下田刑事、本庁の太田刑事が事件を追って活躍する。本庁の那須警部も登場する。
三人が忍び行った邸宅で行われていたのは、国際人身売買シンジケートがからむ、女性による接待であり、それを取り仕切る悪の人物達が浮かび上がってくる。接待役のある女性がお客とのトラブルにより殺害される。
この現場を3人組が目撃したために、消されたのか? 捜査は停滞する。
太田刑事は、殺された山根の妻、克子に目を向け -
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棟居刑事の複合遺恨
中学の同級生、古田と芳賀、憧れの的だった若い教師、佐倉が織りなす「複合遺恨」の物語。
佐倉は悪の毒牙に合い若くして学校を去る。古田と芳賀はこんな佐倉のために仇討ちを果たすが、それは結果的に完全犯罪となった。
時は流れる。
棟居刑事と桐子は、穂高縦走登山中に古田と弓子のペアと知り合う。その後古田と弓子は、結婚するが、いまだ密かに佐倉への憧憬を持つ古田に違和感を感じるようになり別居する。
古田が裏高尾.陣馬山の山中に埋められた遺体となって発見される。捜査に当たった棟居、増成の両刑事は、保険金目当ての殺害を疑い、妻を訪ねる。なんと過去に穂高登山中に出会った弓子だった。
佐倉はクラブシェトワ -
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未踏峰(上)
本書前編は、八ケ岳で知り合った若者たち、男女各4人ペアのおりなす出来事が語られる。
雪吹晋平
中里秀樹
恋塚良行
印東浩
面川純子
市毛京子
真野美紀
牧村梨枝子
雪吹と純子は恋に落ちるが、純子の家柄から叶わぬ恋となってしまう。純子は、北上財閥の御曹司、北上栄二と政略結婚に追い込まれてしまい、辛い日々を過ごすことに。
京子は銀座のクラブでアルバイト中に、岡林に囲われの身となり、優雅な生活にハマっていく。
恋塚は父親と同じ職業である警察官になり、ふとしたきっかけで、新宿署の牛尾と懇意になる。
本書前編で事件は起きない、前編の九割は事件のプロローグと言えるが、最後に事件は起きた。牛尾と
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