森村誠一のレビュー一覧

  • ミッドウェイ

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    森村誠一氏の作品は、どちらかというと選ぶ対象外であった。多分、あまりにもステレオタイプの情報に染まっていたのかもしれない。偶然に書店の本棚で本書と出会えて刮目せざるを得ないというのが正直な印象である。
    大して先の大戦の戦史を知るわけではないが、先の大戦に突入する大いなるきっかけは、開戦を望む軍部(どちらかといえばカーキ色の印象)により既成事実を積み上げられ、アメリカとの開戦に追い詰められた帝国海軍が最善の戦略として真珠湾攻撃を敢行、アメリカとの全面戦争に突入したと記憶していた。山本五十六元帥は、アメリカとの工業生産力や資源量さらには人的な面からも差異が大きく短期決戦ならばと、決断に踏み切ったと

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    2016年07月29日
  • 南十字星の誓い

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    シンガポールでの日本軍の所業の数々は許し難いものであり、当時の軍政に腹正しさを感じた。
    武士道の崩壊と明治維新が悔やまれる

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    2016年02月14日
  • 人間の条件(上)

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    ネタバレ

    オウム事件や統一教会を想起させるような内容
    当時なぜ警察はこんなに手ぬるいのかと歯がゆい思いをしてたけど警察官の視点で描かれた本作を読んで今更ながら警察官も悔しい思いをしていたんだと思い至った
    フィクションではあるけれどオウム事件や統一教会がらみの事件に様々な形で当時関わった方たちに思いを馳せた

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    2015年12月21日
  • 悪道

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    悪道シリーズ、1作目。

    大御所さんながら、初読みの森村作品。警察小説のイメージが強かったけど、時代モノも結構描いておられるようで。

    内容は、将軍綱吉を巡る秘密を知ってしまった忍者末裔の英次郎と女医のおそでが、柳沢吉保の命を受けた刺客から命を狙われ、逃亡の旅に出る、というもの。
    正直言って、よく似たストーリーを読んだことがあるかなと思った。影武者がすり替わって、本物以上の本物になってしまうところは、隆慶一郎の「影武者徳川家康」をつい思い出してしまった。さらに、逃亡の道中、昨日の敵は今日の友と言わんばかりに、どんどん味方が増えていく、、、。相手の動きを察するのも神懸っていて、全体的にご都合過ぎ

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    2015年08月29日
  • 吉良忠臣蔵 下

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    浅野=善・正義、吉良=悪・不正と色分けされて描かれることがほとんどだが、この「吉良忠臣蔵」は浅野の大石他の47士からでなく吉良方にも主君を守って討ち死にした忠臣が数多く存在したと言う視点から作者の森村氏が描いている。

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    2015年05月28日
  • 科学的管理法殺人事件

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    箸休め(って、ここんとこ箸休めばっかりかも)の1冊。こちらは予想通りに軽く読める。短編6篇を含む、森村誠一の初期短篇集。
    初期の作品だけあってか、とにかく淡々と話が進む。特に表題作は「実はこうだったのだ」というのがどんどん出てくるのだけど、情報の隠し方がイマイチなので、淡々とした記述に「ああそうだろうねえ」という感想以外抱かず。

    しかし、2作目からは森村節の反体制(巨大企業)や残存証拠などの話で、しかも一捻りふたひねり入れてくるので、犯人もオチも読めていても、引き込まれる安定感がある。

    1編の長さ的にも、電子書籍に向いた1冊と言えよう。

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    2015年05月13日
  • ミッドウェイ

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    国境を越えた男女の愛が、時代に翻弄され、やがてたどる皮肉な運命。戦時中ゆえに愛も夢もあきらめなければならなかった悲劇の青春を描いた物語¨かと思ったら、実はがちがちの戦争史でした。
     資料を入念に読みこんで書かれているので、ミッドウェイ海戦に関わるくだりはほぼ事実。ものすごい迫力である。こんな恐ろしいことがあの美しい海の上で繰り広げられていたのかとぞっとする。まるで映画かゲームだ。恐ろしい反面、かっこいいと錯覚さえしてしまう。
     1942年6月5日、パールハーバー以降負け知らずだった最強の日本海軍が陥落した日だ。当時は日本の零戦に勝る戦闘機は存在せず、日本有利とされていた。なのになぜミッドウェイ

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    2015年05月11日
  • 高層の死角

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    ネタバレ

    『高層の死角』
    ホテル経営者・久住の毒殺事件。ホテルの部屋で起きた密室殺人事件。合鍵は4つ。どれもアリバイがある鍵。事件前夜、久住の部屋でルームサービスを依頼した秘書の有坂冬子。テーブルに置かれた久住の鍵。容疑がかかった有坂冬子のアリバイとなった平賀刑事。冬子と過ごしたホテル。アリバイに利用された平賀の捜査。冬子のホテルの部屋の鍵の秘密を解明した平賀。逮捕直前に行方をくらまして殺害された冬子。冬子が犯人を庇うために隠そうとした紙から容疑者の名前が国男としる平賀。久住のライバルホテルに勤める林田国男の浮上。福岡で起きた冬子の殺害。林田がいたと主張するホテルのチェックイン表。

    『春の流氷』
    八島

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    2015年03月21日
  • ミッドウェイ

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    たかだか80年前の話なのに、この国はなんでこんなに変わってしまったのだろう。今の時代の感覚では理解出来ない思考が多く、小説的な誘導や解説がなければ、登場人物の心情に入り込みない所があった。昔学生時代に知覧にある特攻記念館に行ったことがあるがその時は同世代の特攻隊員達が書いた遺書に圧倒された。今は親の立場で読んでいるが、文中に出てくる与謝野晶子の君死にたまふことなかれの詩に激しく同感した。

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    2015年02月22日
  • 殺意を飼う女

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    時代を感じる表現が多い(特に女性への表現、ハイミスって…)けれど、内容はおもしろかった。一筋縄では終わらなくて、著者の他の作品も読んでみたい。

    ・殺人環状線
    小気味いいラストが好き
    ・ステレオ殺人事件
    殺人環状線の対のような話?好きなJ-POPに時代が出ている。そもそもステレオ。
    ・孤独の密葬
    帰るところのない手紙って素敵な表現だと思った。
    ・残酷な視界
    上手く行きすぎな気はするけどまあまあ。処女設定はいらないような…?
    ・飼い主のない孤独
    流れもいいけどラストが綺麗でいちばん好き。
    ・情熱の断罪
    ラストにふさわしい。短編集が締まった。

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    2015年02月06日
  • 新版 悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像!

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    事実であろうがなかろうが人間はこのくらい残酷になれるのは本当だと思います。
    モキュメンタリーだと思えば立派なホラーですね!

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    2015年01月11日
  • 誉生の証明

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    面白かった。
    2006年の本なのだが、まさに今の現実の問題を炙り出している感がしました。
    宗教と政治と軍隊。
    この3つが手を握ってやがてこの国を戦争へと導こうとする画策。
    憲法9条をなきものにして、平和を壊し、国民を戦争へと駆り立てて行く、、、
    そんな恐ろしい陰謀が、5人、いや最後は6人の人間の知恵と勇気で砕かれて行く様は小気味よかったです。
    が、
    少々、ご都合主義のところもあるかな、、、
    と、不満もありますが、全体に優しくて爽やかで読後感心地よいものでした!

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    2014年12月15日
  • 新版 悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像!

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    四半世紀を経て読み返し。記憶の訂正になる

    10代と40代では受け止め方に変化あり。

    現代医学の恩恵を受けている身としては複雑な心境である。

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    2014年11月05日
  • ミッドウェイ

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    太平洋戦争開戦前からミッドウェー海戦までの時代を背景に架空の主人公の生き様を描いた小説です。書名から戦史物と一見思われますが、どちらかといえば「永遠の0」のような史実を舞台にしたフィクションです。詩を愛する青年が時代のうねりの中で海軍士官学校に進み、戦闘機の搭乗員となって戦場に送り出されてゆく…。その戦場で、自らが愛した女性と関わりのある米軍パイロットとの遭遇。
    開戦前の次第に言論を統制されてゆく息が詰まりそうな時代背景や海軍士官学校での訓練の日々など当時の青年が自らの夢を捨てさざるを得ない時代背景などがより重苦しく伝わってきます。史実に基づく戦記物としての部分と、主人公の生き様を描く人間模様

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    2014年09月28日
  • サランヘヨ(愛する) 北の祖国よ

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    こんなに偶然が重なっての事件解決はあり得ないと思いつつも、「過去に学ばない者には未来はない。過去に学ぶことが未来の志(ビジョン)の拠点となるのである」というメッセージは心に重くのしかかる。

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    2014年09月15日
  • 新版 悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像!

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    本当にあったことなのか?
    と思うほど現実離れしていて、実感が湧かない。ただ知らないよりは、知るべき内容だと思う。

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    2014年09月27日
  • 大都会

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    「ホテル1泊10万円、サラリーマンの2ヶ月分の給料」なんていう表現が出てくるので、さぞかし古いのだろうと思って調べてみたら、なんと森村氏の1967年のデビュー作だそうである。登山と家電企業の熾烈な競争を2本柱のテーマに、デビュー作でも近作と同じように緻密な取材と知識に裏打ちされた盤石なストーリーで、自ずとどんどんのめり込んでしまう。推理小説を期待していると、株価操作などの経済ネタに面食らうかもしれないが、そこがこの作品の醍醐味とも言える。しかし少々辟易とするのは、女絡みの描写が異常に多いところか。あと、80年代以降のリベラルな森村誠一では考えられない主婦論なんかを展開しているところも、小さい見

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    2014年05月20日
  • 魔性ホテル

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    森村誠一さんの十八番、ホテルを舞台にした殺人ミステリーです。本書に収められた作品、すべてがホテルものです。

    何度も何度も再読してきた本書ですが、森村誠一の描くギラギラした野望が好きで、読んで飽きることがありません。昭和の高度経済成長と、それに伴う人間性の欠如。当時、にょきにょきと建設されるマンモスホテルは、権力の象徴で、ホテルで働く人はそうした権力を押し付けられる奴隷の様な存在。その中でやましいことを考えるホテルマンが作品の主人公です。

    現実にそうしたホテルマンがいたら、怖くて宿泊出来ないなぁ~(笑)

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    2014年02月24日
  • 魔少年

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    この作者の本は初めて読んだが、特別読みやすく感じた。波長が合うというか、他の作家との違いを聞かれたら困るけど、とても読みやすかった。
    でも救われないラストの話ばっかなので、ハッピーエンド好きの私からしたら大変惜しい。
    サラリーマン社会をよく知らないのでわかりにくい部分もありながら、どの話もお気に入り。
    しっかし不倫の話すっきゃな〜!!笑

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    2014年01月28日
  • 悪道

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    悪道というタイトルから想像するおどろおどろしい物語ではない。悪役は多く出てくるが、実はその多くが心の奥に正義を秘めた優しい人たちだ。時代や運命に翻弄されながらも、世のため人のために尽くし生きようとする登場人物たちの姿がすがすがしい。

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    2014年01月21日