【感想・ネタバレ】人間の証明のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年01月08日

推理に、情念といった人間的要素を加えている本。
構成が極めて美しく、交響曲が最後ハーモニーを解決するような構成。私にとっての麦わら帽子はなんだったであろうか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月28日

久しぶりに読後に感無量の気持ちを味わった。

読むきっかけは著者の森村誠一さんの訃報のニュースをテレビで見たことから。自分より半世紀以上年上の方が書いた本、特に当時は戦争について興味を持っていたので悪魔の飽食を読むつもりだったのだが、こちらの方が先に目につき何気なく手に取った。

昔の人が書いた本だ...続きを読むから読みにくいだろうかという心配は驚くくらい杞憂に終わった。
インターネットとスマホがないことを除けば全く不自然なことはない、どんどんと物語に入り込んでしまう巧みで魅惑的な文体。読みづらいなどと感じることは一切なかった。ああ世間は惜しい人を亡くしてしまったと思わされた。

作中にもある通り、西条八十の麦わら帽子の描く世界は誰の瞼の裏にも写る幻の母親だろう。初めて詩読んで感動してしまった。

そして本作で描かれる実際の母親「八杉恭子」はそんな一面を持ちつつも冷酷である。しかし文明やSNSが発達した現代では、子供を売りにSNSで有名になることを狙うなど、誰もが八杉恭子になり得る、またなりやすい時代となってしまった。
彼女は最後、非常に母親らしい一面をみせて終わったが、現実はもっと酷なのではないだろうか、救いがないのではないだろうかと、最後に思ってしまったのは欧米化し機械的になってしまった現在に生きる故のものだろうか。

また棟居の過去父親が殺された際の描写は非常に生々しく、文章なのに脳裏に焼き付く。薄まってきたところで最後にもう一度同じように描写されうっと生々しさにやられる。しかしこの描写は、戦争・戦後を経験した著者の実体験に近いものがあるのかもしれない、と感じた。実際戦後は米兵による性犯罪は多かったと聞く。そのような背景を考えるとフィクションとも割りきれず、嫌な不快感だけが作中の加害者たちに残った。
しかし、それだけで終らせないのがこの著者のすごいところなのかもしれない。作中でアメリカで独自に、積極的に捜査を行ってくれた割りに好感を持っていた刑事がその加害者だったことを知ったとき、言い表せない感情に苛まれた。許しがたいのに憎みきれない、これこそが人間の持つ二面性、人間の証明なのかもしれない。

シリーズもののようなので、ぜひ全て読んでいきたいと思う。もちろん悪魔の飽食も読みたい。

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Posted by ブクログ 2023年04月29日

「ストウハ」、「キスミー」というキーワードが何とも言われぬ哀愁と情愛を含んだ西條八十の「母さん 、僕のあの帽子、どうしたでせうね。 ・・・」という詩によって見事に紬合わされていく。 何十年振りかの再読だけど、読後の感動は今回も変わらない。 ♫「Mama,Do you remember〜」(^_^)v

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Posted by ブクログ 2023年01月26日

映画を鑑賞後に読みましたが、それぞれの良さがありますね。捜査の論理は映画の方が優れているように思いましたが、小説は人物描写が優れていると思いました。脇役的な登場人物も背景から心情まで丁寧に描かれています。時代背景や家庭環境など、さまざまな重荷を背負って生きてきた人たち、そしてその中で事件を起こしてし...続きを読むまった人たち。それも悲しい人間の姿なら、人の心さえ失わなければ、いつか立ち直れるのもまた人間、という、希望を失わない作者の思いが感じられます。

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Posted by ブクログ 2021年12月17日

小さい頃、父親の本棚にあったハードカバーのを読み、面白く三部作全て読んだ。
棟居と、アメリカの刑事と、棟居の父親と、ジョニーと、八杉恭子が本当に絡み合って戦争の大変な時代を想像させてくれる感じにすごいなぁと当時思った。


そして、親と子の色んな関係とか思いとか人それぞれあるのだし、やっぱり慕うとこ...続きを読むろも切ってもきれないものもあると感じた。

あのホテルは、もうストウハには見えないのかな?

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Posted by ブクログ 2021年10月19日

それぞれの登場人物が最終的に棟居の生い立ちの中に関係していることがわかり、途中の段階でも物語の展開が気になって一気に読みました。

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Posted by ブクログ 2021年08月17日

棟居刑事は刺殺された黒人の事件を捜査するが、次第に過去の因縁や様々な人間の業をも手繰り寄せてくる。
緊張の高まりに伴って、徐々に謎が明らかになり、最後には周到に用意された意外性が待っている。
名優、松田優作さんが出演してる映画版もいつか観てみたいな。

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Posted by ブクログ 2020年10月11日

「麦わら帽子」の詩の印象が強烈にあったが、映画の印象だったようだ
原作は初めて読んだが、力強いミステリーであっという間に読み終わった

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Posted by ブクログ 2020年06月01日

これは凄い小説だ。
読後、思わず心の中でつぶやいてしまった。

「Mama do you remember?」という印象的な音楽と、黒人の子ども、そして風に舞って落ちてゆく麦わら帽子のシーンを、昔TVで見たことを鮮烈に覚えているが、映画も観ておらず、小説も読んだことがなかったが…。

特に最終章に向...続きを読むかうクライマックスは、登場人物のモノローグで語られ、少しずつ真実に迫ってゆき、最後に一つの大きな物語を終結させる。

読み手は結末に向け、隠された真実を刑事と共に追い続けるかのような気持ちになってくる。そして徐々に明らかにされてゆく過去、それぞれの切羽詰まった思いに胸を打たれてしまう。
とりわけ、人間の情愛、怨恨、欲望や自己保身が計算されたように交差し響き合う後半部分は、引き込まれるかのように読み進んでしまった。
いつの時代にも共通する人間の哀しさと、自分の中にもある醜さを呼び起こされるような作品だった。

本書の初版は1977年。50年近くも経過した作品とは思えない。
考えてみると、「事件発生に続く後半の謎解き」という流れは、本書への解説として寄稿している横溝正史の作風にも通じるものがある。この頃はこのような骨太な作品が多かったように思う。

文句なしの星5つだ。

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Posted by ブクログ 2017年05月13日

2013年6月から真面目に読書を始めて200冊目!!
古いながらも映画やドラマその他もろもろ映像化された名作!!
読破して理解した。淡々と物語と進む…でもどうつながっていくのか…
冷静に興味をそそりながら最後は安心と共に悲しい気持ちになった複雑な作品。
私はオススメします。200冊目に相応しい作品で...続きを読むした!!

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Posted by ブクログ 2023年05月09日

 原作、角川映画楽しく観たし読んだのですが、今だにタイトル『人間の証明』がわからない。どういった行動が『人間』の『証明』なのか。

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Posted by ブクログ 2022年05月05日

今更ながら初めて読んだ。原作では序盤から場面があちこち飛ぶのでややこしい気もするが、それらのストーリーがひとつに繋がっていく面白さがある。
奥の深い作品。読んでよかった。

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Posted by ブクログ 2022年02月26日

かなりの長編小説だったが寝るのも惜しんで一気に読みたくなる本だった。
ややご都合主義的な点はあったが、幾多の人間のストーリーが次第に繋がっていく様は見事だと思った。
人間の弱さ、醜さ、卑しさの中に残る一抹の愛が印象的だった。
登場人物が多いので、人物相関図を描きながら読むのもおすすめです。

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Posted by ブクログ 2021年06月13日

有名タイトルだが読んだことがなかったので改めて。
初版が1977年とのことで、さすがに古さは感じるものの、最後まで一気読みできる面白さは不朽の名作たるゆえんか。

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Posted by ブクログ 2021年05月23日

「人間の証明」のタイトルが出てきたときはゾクッとしました。
犯した罪は許されないし、犯人が殺人を犯してまで守りたかったものは全て喪ったけれど、人間だと証明はされた。
母の思い出だけに縋って日本までやってきたのに、生活と地位を守りたい母に殺されてしまうのは悲しい。松本清張「砂の器」に動機が似ている気が...続きを読むします。
全ての人間を憎む棟居さんを始めとする警察の執念も凄かったけれど、まさか棟居さんの父親が彼女を庇ったことで亡くなった原因の女の子が八杉恭子で、父親を殺した米兵のひとりがアメリカで事件を追ってくれていたケン・シュフタンだったなんて…因果因縁、と思いました。
妻に蒸発された男が、妻の不倫相手を突き止めることから始まるエピソードはいきなり始まって何の話?となりましたが、こちらも男と不倫相手の執念がすごい。メインの事件との絡みも。
古い作品なので男女観など相容れないものがありましたが、面白く読みました。西条八十の詩が印象的でした。

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Posted by ブクログ 2020年05月09日

全体的にストーリーの組立が良く出来てるなーと思いました
最初読んでる内はどう言う風に進んで行くんだろう?と思ってましたが、登場人物それぞれの人間性が出てきてリアルな展開に引き込まれていきました
最後はまさにタイトル通り「人間の証明」となり、今一度人の心の底にある物を改めて考えさせられる内容でした

...続きを読む「全て失ったが1つだけ残したものがあった」この一文がこの作品のタイトルに込められた思いの全てを表しているんだろうなと深く心に刻まれました

事件の真相ばかりに気持ちが行ってましたが、終わりに向けての複数の伏線の回収も見事でした

ただ、難しい表現が多かったのと、性的な表現が好きじゃなかった、、、と言うか多く感じたので☆-1で

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Posted by ブクログ 2022年09月07日

ずっと昔から読みたいと思っていたが、救いがない作品だった。DNA鑑定やNシステムが無い時代の捜査は大変だったなぁ。

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Posted by ブクログ 2022年01月26日

子どもの頃に映画のテレビCMで何度も聞いた「母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?」の詩だが、想像以上にストーリーに重要な意味を持っていた。

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Posted by ブクログ 2019年10月24日

有名な台詞、森村誠一への勝手に親近感により、いつか読まなくてはと思っていた作品。
読み始めは「推理小説だったのか」と残念に思ったが、時折描かれる棟居刑事の奥底にある怒りの熱量に触れ、犯人と動機だけでなく、人間を信じないこの刑事のことももっと知りたくなってくる。

人間は心がある。人間は人間を信じる。

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Posted by ブクログ 2017年11月26日

お、面白そうだな、という感覚が読めば読むほど削がれていく感じでした……。あとまあ、男性作家の書く男女関係のテンプレートみたいな。女から見たら胸クソ悪いだけのやつ。伏線しいて回収したとこまではいいけど回収の仕方は平凡。

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Posted by ブクログ 2017年07月31日

名作の誉れ高き本作だがいまいちピンと来ず。作品としては十分に面白いとは思うが、どうもストーリー同士の関連や伏線に唐突感やとってつけた感が否めない。利己的かつ刹那的な判断を繰り返した者とそれに人生を狂わされた者たちとのストーリーであるが、重厚な人間ドラマと言うには一歩及ばず。サブストーリーを絞り、棟居...続きを読むとジョニー、八杉の心情にもう少し深く入り込んだほうが味わいが出たように感じる。

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