あらすじ
人間老いれば病気もするし悩み苦しむ。老人性うつ病を告白し克服した作家の壮絶な闘いの日々。老後は勇気をなくして乗り切れない。今までの人生の経験を凝縮して明日に立ち向かうのだ。老後の生き方の意味を提言する森村誠一渾身の話題作。
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Posted by ブクログ
著者自身が古希(70歳)を過ぎて経験した老人性うつ病や「老い」という喪失体験にどう向き合うべきかを綴った体験的エッセイです。
定年退職、体力の低下、親しい人との別れ……。高齢期に訪れる「うつ」的な気分を、単なる病気として排除するのではなく、「人生を振り返り、次へ進むために必要な心の整理のプロセス」として捉え直す視点は、競争社会に疲れた心に深く染み入ります。
現役時代は「何ができるか、何を達成したか(Doing)」で評価されますが、老後は「ただそこに居てくれるだけでいい(Being)」という価値観へシフトすべきだと述べられています。実用的な情報はありません。心の持ちようを説く本です。読み終えた後、肩の荷が下りて少し泣きたくなるような、温かい読後感の本です。
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まず文章がとても美しい。ユーモアもあり、最後まであっという間に読みました。
お母様を亡くされた時の喪中欠礼の文も素晴らしく、つい真似したくなります。
そして、様々なアドバイスより前に、ご自信がうつ病を煩ったときの体験談があって、これがすごく参考になりました。
後半のアドバイスも、年を重ねていくうえで参考になるものばかりです。
五木寛之さんや、北方謙三さんのお洒落さを褒めていました。
森村誠一さんを含め、格好いい年の取り方をする人達に憧れます。
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老いることを後ろ向きではなく前向きに受け止め、体力の現状維持に、常に努めながら、生きがいや目標、責任感や役目を意識して生きることの必要性を感じましたー。
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【老いる意味】
私の好きな作家、森村誠一さんの体験談、思いがしっかり記されている著書。
老人性うつを発症して、認知症も併発した時の心の動揺や葛藤から始まり、それがあったからこそ今を大切に生きることが読者に訴えられています。
著者は1933年生まれなので、88歳米寿、それでもガラスペンを原稿に走らせる気力体力が素晴らしいです。先に書いた困難を乗り越えて、その過程では、クスリをもらっていた薬剤師さんから、「84歳や85歳なんて充分若いし、うつから立ち直れば、また青春が始まる」と言われたことが、著書にとって心の支えになったりしたこともあったとのこと、まだ50代の私たちにも心に響く言葉です。
『道が続いている限り歩みはとめない』
『老齢になっても、やること、学ぶことはいくらでもあるし、退屈している場合ではないはずだ』
私も著書のような気持ちで120歳に向けて今を大切に生きていこうと、また森村誠一さんの作品をもっと読みたいと思いました。
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前向き、チャレンジ。
日々のひとつひとつの生活が大切。
森村誠一さんが包み隠すことなく語ってくれている。
自分も読み終わる時に風を拗らせ
うつが身に沁みた。
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朝日新聞の売れている本で紹介された。作家が書いたエッセイである。文字も大きく字間も十分にとってあるので老眼でも簡単に読める。80歳過ぎたら読む本かもしれない。
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良書。
現代を代表する作家だけあり、老してこそ書ける本。
誰も避けることの出来ない老いることを怖がらず、やれることをする。勇気づけられる。
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私は21歳で正直に老いることを全く気にしていなかったし、この本を手に取るのももう少し後でもいいのかなと感じていたのですが、この本を今のタイミングで読むことができてよかったと感じました。
人生100年時代といえど、人生は有限でその中で自分は何ができるのか、何ができなくなるのか、その中で今私は何をするのかを考えさせました。
自分が森村さんと同じ様な年齢に差し掛かった時、この本を読めてよかったと感じれる様に、今から生きようと思います。
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この本は、森村誠一が88歳の時に出版している。森村誠一は、100歳まで書き続けるという。
著者の本は随分と読んだ。『高層の死角』で、ホテルマンらしい目の付け方に感心してのめり込んだ。『腐食の構造』そして『青春の証明』、『人間の証明』『野生の証明』。圧巻だったのが『悪魔の飽食』の切り口の凄さに驚いた。続編で、画像問題で躓いたけど。いつの間にか森村誠一から離れてしまった。そんな著者が老いる意味をエッセイで書いている。読まざるを得ない。
私が、考えていた老人と今の私が老人になっているのと全く違った。なんでこんなに忙しのか。そして、サクラが満開だというのに、家に巣篭もり、パソコンを前にして、字を打ち込み、ZOOM会議を頻繁に行ってる。勿体無い人生をおくっている。もっとサクラを見たい。サクラの木の下で酔っ払いたい。老人の夢だ。
テレビを見ていたら、年金は75歳から受け取るとトクすると説明している。おぉ。国は老人が74歳まで働くことを想定しているようだ。確かに、全く死ねない時代になったのだ。でも男子の平均寿命が81歳というからあと10年もない。そんな時間しかないと自分のやりたいこともやれない。やっぱり100歳まで働かないと、やりたいことができない。
森村誠一のエッセイを読みながら、実に健康に心がけ、食べるものに気をつけている。優秀老人である。でも、老人性うつ病になったという。そこを脱出することの難しさを書いている。朝起きたら、やる気がなくなっているというのは、困ったもんだ。私はいつも朝の2時から3時に起きて、本を読み始める。この本も、今日の朝から読み始め読み終えた。そして、レビューを書いているのである。
森村誠一は、散歩をすすめ、散歩の道順に病院巡りをして、人が少なければ病院に入るという。健康ケアに力を入れ、便器のうんちまでデジカメで撮って、健康さを確認している。うん。それもおもしろいなぁ。うんちインスタなんかやったら、おもしろいだろう。でも、顰蹙をかいそうだ。うんちで炎上していたら、世話ないなぁ。
かっこよく老人したいと思っているのもいい。五木寛之、北方謙三をかっこいいと言っている。
散歩して、気に入った風景を見て、俳句を読み、ブログにあげるのがいいそうだ。
老人のことを「濡れ落ち葉」というのを知っていたが、箒ではいてもくっついているという意味を知り、粗大ゴミよりひどい言葉だと思った。濡れ落ち葉になりたくはない。やはり適度に乾燥していたほうがいい。
森村一はいう。「老人よ大志を抱け」と。いいなぁ。残り生きている人生を本当にかけるべきことに費やす。あぁ。やるべきことは、いくらでもある。老人よ、さらに暴走せよ。本を読み尽くして、未来を見通せ!
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森村誠一氏は昔の人気作家で人間の証明などの代表作があり、サスペンスものなどの書き手と認識していた。
この本は新聞の書評にのっていたので、読んでみました。
冒頭は老人性うつとの戦いの戦記である。
今は克服されて、執筆活動も再開されているようである。
健康のこと、人生のこと、老後の過ごし方、米寿を迎え、なお盛んに取り組んでいる姿に頭が下がる思いがした。
趣味のこと、食事のこと、執筆のこといろいろ考えているんですね。
森村誠一氏の作品はひとつも読んだことがないのでいつか読んでみたいと思った。
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家族で認知症の介助が必要になったタイミングで何かの書評でこの本を知り拝読した。老人性鬱病・認知症を患い3年で克服された88歳の作家森村誠一さんが赤裸々に実体験と老いに対しての生き方や考え方を語られていて、自分も10数年後に迎える心構えを学べた。いつまでも好奇心を持ちチャレンジする精神と実行力を年相応に持ち生活していくことが人生100年の生き方だと感じた。読書時間延べ4日
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この作者の本は若い頃夢中になって読んだのだが、中年以降になったら読みたくなくなった。そんな作者は結構いる。内田康夫や赤川次郎などもそうです。
この本は、小説と異なり、現在の心境や心がけについて淡々と綴ったものであり、とてもわかりやすい。五木寛之の大河の一滴のようなものであるが、それよりも気負いがなく、自然で無理がない。
これからの生き方に参考になったので、60代の人にオススメ
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高齢の親が無気力になりつつあり、高齢者の心理を学びたく読んだが、この方は執筆時88歳でもとても前向きでエネルギッシュ。このような心持ちで歳を取りたいと思った。
・自分は絶対枯れないという意志を強固にして、そのための生き方を考える
・役割を持つ、社会参加する
・外に対する緊張感を失わず、かっこよく武装する
・老いて重要なのは、何かをやり続けるようにして、張り合いをなくさないこと。目標をなくさず、未知に挑戦していく心もなくさない。
・自分で終わりを決めつけてしまわない限り、人は楽しく生きていける。
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森村誠一(1933年~)氏は、県立熊谷商高卒業後、自動車部品会社勤務を経て、青学大文学部英米文学部卒、ホテル勤務の傍ら、サラリーマン生活に関するエッセイやビジネス書を書くようになり、1969年に執筆した本格ミステリー『高層の死角』で江戸川乱歩賞を受賞して注目され、その後数々の推理小説を発表してきた。日本推理作家協会賞、角川小説賞、吉川英治文学賞等を受賞。
本書は、2015年から3年に亘った老人性うつ病と闘いを克服し、2021年に米寿(88歳)になった著者が、老人性うつ病罹患時の様子と、「老い」への向き合い方について綴ったものである。
私はアラ還になり、近年、五木寛之、斎藤孝、佐藤優、出口治明、弘兼憲史、黒井千次等による、人生後半の指南書的な本を読むようになったが、数年前にベストセラーとなった本書についても、今般新古書店で偶々目にし、読んでみた。
この類の本は、当然ながら、その年齢を過ぎた著者が、自らの経験に基づいて書いているため、(多少の)違いはあるのだが、本書については、極めてオーソドックスな内容であり、いくつかの類書を読んでいると、最初の老人性うつ病に関する記述以外では、気付きになるようなことは、残念ながらあまりない。(裏を返せば、初めて読むには向いていると言えるかもしれない)
目次と、気に留まったセンテンスを挙げると以下である。
第1章:私の老人性うつ病との闘い
第2章:老人は、余生に寄り添う・・・過去に目を向ければ、いまの自分がいちばん年老いているが、未来に目を向ければ、いまの自分がいちばん若い。/余生にまで倹約を続ける必要はない。
第3章:老人は、死に寄り添う・・・余生には「何をしてもいい自由」と「何もしなくていい自由」がある。どちらを選ぶかということは「精神の自由」を取るか「身体的な心地良さ」を取るか、或いは、「生きがい」を取るか「居心地の良さ」を取るかの選択でもある。そして、それらを両立することは残念ながら難しい。
第4章:老人は、健康に寄り添う・・・「人間らしい生活」のために贅沢品や嗜好品を求めるのもいい。
第5章:老人は、明日に向かって夢を見る・・・外に対する緊張感を失わないこと。それはすなわち武装である。武装している男には、武装している格好良さがある。隙がないのに、さりげない。そういう男でありたい。/誰かの役に立つことは、心の筋肉を動かす。/「気くばり」、「心くばり」、「目くばり」をする。
この類の本を読んだときの常ながら、自分に合うところを取り入れたいと思う。
(2023年2月了)
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あの森村誠一さんが88歳になっているとは、少し信じがたいものがあった。新たな発見等はなかったが、読んでいてしみじみと人生を感じさせてくれるエッセイであった。同氏が元気で良かった。
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老人の生き方のついての部分は、かの森村誠一さんがわざわざ語らずとも、一般的に考え得る内容だし、医療関係者や専門家が語った方が、説得力があったかと思う。しかし巻頭の老人性うつについては、ご自身の体験がありのままに書かれていて、迫ってくるものがあった。この部分の闘病記をもっと読んでみたい。
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さすが森村誠一さんのエッセイと思った。文章力が素晴らしい。サクサク読めて頭に入る。
自分自身も老いを実感しているからか…
うつを克服したとある。うつは克服できるんだ、と思った。
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森村誠一氏といえば、かつては赤川次郎氏と並んで飛ぶ鳥を落とす勢いで売れていた社会派ミステリ作家。88歳の今でもバリバリの現役の重鎮である。
そんな森村氏が老人性うつ病を患い、軽度認知症の診断を受けてからの日々を赤裸々に綴った話題の書。タイトルは「老いる意味」だが、別にそのような哲学的な話が書かれているわけではない。要は老いに対する氏の健康法と心構えが書かれているのである。あの森村誠一の文体で書かれているのだから、とても読ませる。
医師のアドバイスもあるようだが、氏の個人的な感想も多い。万人に薦められるものではないことは本文でも断りがある。
ただ、森村誠一ほどの人が、老いに、病に苦しみ、悪戦苦闘をしている様を示すことはとても大きな意味がある。散見される昭和マッチョな考え方に頷けないところもあるが、このような本を出す決断をした森村氏と担当編集さんに拍手しかない。
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遥かに先を行く人。そうか、この世代は最後の戦争体験者だったんだ。
共感できるわけもない。それこそ理解しようという努力でしかないけれど。
Posted by ブクログ
すらすらと読んだ。
今年83歳の母から薦められた本。
今腰痛と膝痛で弱っているところで読んだので、漠然と考えていた老後の輪郭が見えてきた感覚。
老後を前向きに捉えられそう。
Posted by ブクログ
老後のこれから、訪れるだろう幾つかの身体的、精神的障害を予め先輩から教わった。
あとは、それらと向き合ったときに森村さんがどう対処したか、それを受けて自分はどう向き合い、「なるほど」と頷くか、「ちと違うぞ」と思いながら、それを味わい後陣に残していくか。
いずれにしても、長くなった人類の老後は、自由の利かない身体を抱えながら、多くの悲しみと向き合わなければならない。
その覚悟を肝に据えたら、あとは自分の目指すものを探求するのが良い。という自分の信念に誤りがないことを確認した。
Posted by ブクログ
老人性うつ病を克服した作家の森村誠一さんが「老いる意味」について語った一冊。森村さんが老人性うつ病になってから、克服するまでの奮闘や、人生100年時代と言われる現代、仕事が終わった後の20~30年をどのように生きるかのコツが語られる。森村さんの実践してきた食事法や習慣、睡眠・運動の話など、健康本かと見間違う内容もあり、盛りだくさんで面白かった。
Posted by ブクログ
森村さんのような方でも鬱になることがあるのかと思い、誰でも鬱になる可能性があって、その克服は並大抵のものではないのだなと感じた。
老いについては、この本を書くことで自身を奮い立たせているのかと思ったが、書いてあることは一般的で刺激は少なかった