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Posted by ブクログ
昭和46年初頭から、翌々年半ばまでに発表されたものから自選した短篇集。表題作ほか全六編を収めている。現在、森村作品群から五冊が「角川ホラー文庫」から刊行されているが、実際はただのサスペンスが選ばれている。本当にホラーと呼べるのは本書だろう。作者は"怨念の作家"と評されることがあるが、それはホテル勤務時代の非人間的な扱いへの遺恨に由来しているという。本短篇はそのような情性が存分に発揮された作品ぞろいになっており、作者だけが表現できる"凄み"が描かれている。
表題作『夢の虐殺』と『高燥の墳墓』は山岳を舞台にしたもの、『高燥の墳墓』と『派閥抗争殺人事件』は40年代の猛烈社員ぶりが狂気に達している風潮を背景にしており、トリックを利かせた作品だ。『侵略夫人』『殺意の造型』『人間溶解』は完全にホラーで、憎悪の対象をどう葬り去るかに知恵を働かせているが、登場人物はいずれもものの見事にイッてしまっている。サイコな者がひとり混じると、周りがすべて染まってしまい、正常だった人間まで恐ろしい犯罪に走ることが現実にもあるが、そんな典型例である。
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