長月天音のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『仕事』をする意義が見出せなくなって、お気に入りだった『キッチン常夜灯』シリーズ新作でさえ、しばらく積読していたけど勇気を出して読んでみた。
あがりの気持ちが手に取るように分かる。慣れない役割に四苦八苦して周りを見ることが出来なかったり、クレームにお客様が怖くなったり。飲食業はマルチタスクな故にチームワークの大切さが沁みた。
千明のブラック発言も実は肯定したい。だけど千明は本社が店舗よりやりがいが有り、充実して働けると思い込んでいて、他の場所での働く苦しみを無視しているように思えて、まだ子供の気分なんだろうかとも思えた。あかりが千明を常夜灯に連れて行ってあげたら、少しは何か変わったのだろうか。
本作を読んで少しだけ『仕事』の初心を思い出せた気がする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんだか心がほっとする一冊だった。
ミステリーや大どんでん返しのある小説ばかり読んでいたから、ストーリーが平和に流れていくこの感覚は少し新鮮。
料理が体を温めてくれるのと同じように、読んでいる自分自身の心までじんわりと温めてくれる感覚があった。
■ 事実ではなく「捉え方」で世界は変わる
仕事や環境との向き合い方について考えさせられた。与えられた役職や置かれた環境をどう捉え、どう行動するかは自分次第。
理不尽な状況に立たされたとき、
不貞腐れることもできれば、
立ち向かうことも、
別の道に進むこともできる。
「世界をどう捉えるか」によって、見える景色や人生はいくらでも変えられるのだと教えてくれている気がした。
■ 料理とは、誰かを大切に思う気持ちの表れ
作中にはたくさんの魅力的な料理が登場する。
「大切な人を思いながら作る料理は、心を穏やかに満たしてくれる」という言葉の通り、料理はその味を楽しむだけでなく、作り手の思いやその場の空気感も含めて味わうものなのだと実感した。
「作る」という行為そのものが、誰かを大切に思っている証なのだと思う。
■ 自分の居場所を持つ大切さ
一番心に響いたのは「自分の居場所」についての描写。
自分はバーという場所が好きでよく行くのだが、そこは職場でも家庭でもない別の自分でいられる場所だ。
作中でも店長という「鎧」を着て気を張るみもざが登場するが、日常で感じるあの感覚に近い。
役割が会社や家庭だけに偏りすぎていると、そこが崩れたときに自分自身まで倒れてしまう。
自分が心地よくいられる居場所と、そこで生きる自分が複数あること。
それこそが、人が強くしなやかに生きるための糧になるのだと感じた。
みもざがキッチン常夜灯での出来事を糧に新たな気持ちで歩み出したように、自分自身も心が解きほぐされるような大切な居場所を、これからたくさん作っていきたい。
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シリーズ5作目。
今回は新入社員のあかりちゃんが主人公。
大学を卒業して研修を経て、いざお店に配属。想像以上の忙しさに身も心も削られていく様子に、昔の自分を思い出してしまった。
学生の頃に思い描いていた社会人と、現実はやっぱり違う。そのギャップに苦しむんだよね。
そんな時、同期や先輩と美味しいご飯を食べに行ったことを久しぶりに思い出して、「一緒、一緒!」と共感した。
常夜灯みたいなアットホームなお店をその頃に知っていたら、私も通い詰めていただろうなぁ。
体も心も元気になれること間違いなしのメニューは、読んでいるといつも食べたくなってしまう。
まっすぐに育って、素直で一生懸命なあかりちゃん。お仕事頑張って!と応援したくなった。 -
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夜から朝までが営業時間のビストロ「キッチン常夜灯」。
ここに集まり始めたチェーンレストラン「シリウス」の従業員たち。
1冊目は女性活躍で
を運営する株式会社オオイヌに入社したかなめは、店舗でやりがいのある日々を送るも、数年後に製菓部への異動を告げられる。製菓部は製菓工場内にあり、どこか閉鎖的な部署だ。頭の固い製菓部長のもと、早く仕事を覚えて戦力になりたいと思うものの空回りする日々。偶然再会した幼なじみの柊太はカフェで楽しそうに働き、しっかり自分の夢を持っていた。異動願いを出すべきか踏ん張るべきか、30歳を前にして焦りが増していく。ある日、デザートの打ち合わせに神保町の本社を訪れたかなめは、新田つぐみと出会い、「キッチン常夜灯」を教えてもらう。シェフたちとの交流と丁寧な料理を通じて、仕事のやりがいや働く環境、そして自分自身にじっくり向き合うようになる。 -
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夜から朝まで営業の「キッチン常夜灯」。職場の同期のみもざに連れて来られて以来、つぐみはこの店にくることを仕事のモチベーションにし始めた。
つぐみは本社営業部に所属し、みもざのように女性が店長になったかわりにそれまで店長だった男性社員が本社勤務になるなど、仕事環境に疲弊する毎日。そんななかで秋のデザートメニューの開発にまでかかわることに。
働く女性目線でのお仕事ストーリー。
20代から30代、そしてその先、一度は考えてしまう、この先どうなるんだろう。
どうしたいんだろう。悩み多き世代。
心の中のもやもやがなんとなく解消されてしまう常夜灯の日々。癒しの食と時間を糧につぐみの明日につながっていく。
同じ主人公で話が続くのかと思っていたら、別の人で驚き。
でもこういいう展開もありか。
3冊目にも期待。 -
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善光寺を題材に書かれていたので手に取りました。
長野市にある善光寺の参道から入った小路にある『おやすみ処にしさわ商店』で人と人が繋がっていく物語。
そのおやすみ処には『旅の思い出』ノートが置かれていて、ノートに今の気持ちや出来事を綴ることで、それを読んだ人が共感してくれたりアドバイスをもらえたりする。
舞台はおやすみ処にしさわ商店なので、第一話から五話まで主人公は変わるけれどお話は繋がっていくので読み飽きない。
人は、自分の力ではどうにもならない時がある。そんな時は何かに縋りたくなり、お寺や神社を訪ねるのではないだろうか。私もその一人だとあらためて思った。
旅の思い出ノートの一番最初の書き込みには名前がない。他の書き込みには書いた人のニックネームや名前がある。一番最初の書き込は誰なのか、それを書いた思いが最後に明かされる。
読むと心温まり活力をもらえるのと、一番最初の書き込は誰なのかというミステリーも味わえる二度おいしい本でした。