長月天音のレビュー一覧
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ネタバレ読み始めた時、銀座で、雑貨屋で、たい焼き屋?と。何が始まるんだ?と思いながら。
読めない展開ですね。
読み進めると、それぞれの価値観、個性の大切さ、銀座の歩き方までが、お客さんとのやり取り、たい焼きを齧ることを通して描かれている。
潔い祖母の口調からは読み取るのが難しいけれど、たしかに感じる愛情。
祖母と孫。18年会っていなくても、絆はある。
そう無条件に考えてしまった私は浅はかで。
絆以上の愛情と秘密を持って、祖母は「ちぐさ百貨店」を孫へと考えたのに。
最後の手紙には泣きました。
愛情深い、秘密があるたい焼き。
私も食べてみたい。
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Posted by ブクログ
続編。
美空が就職して1年後が描かれている。
美空の成長を感じつつ、漆原も美空も、なんと情が深く、優しい人なのだろうと思う。
訳ありの故人さまは安堵し、遺族は、2人の言葉かけで前を向き、これからを生きていく。
おそらく、その言葉の力に気づいている遺族は少ないと思うけれど、2人はそれでいいと考えている潔さがあって、尊敬してしまう。
文字が滲んで読みにくいことこの上ない。
生きている今、どこかで誰かが亡くなり、その死を悲しむ遺族がいる。
普通に過ごしていると忘れてしまうけれど「死」は身近にあるということ。
今更ながら、そんなことに気づき、考えさせられる。 -
Posted by ブクログ
キッチン常夜灯シリーズ以来の長月天音さん作品。
この作品も料理の描写がたっぷりで、とってもスパイス料理を食べたくなりました。
いままでスパイス料理に馴染みはないつもりでいましたが、カレーはもちろんジンジャーエールやソーセージだってスパイス料理だったのだと、この作品を読んで改めて分かりました。
あとこの作品で一貫しているのが、「料理でお客さんを元気にしたい」ということ。
その思いが料理にスパイス同様たっぷり込められていて、お客さんが元気に笑顔になって帰っていってくれるという所がとても気に入ったところです。
スパイス・ボックスが近くにあったら絶対に常連になる自信が湧いたほど、この作品を楽しむ -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近読んだ本で1番心に残った
記憶を消してまた読みたいし、消さなくてもまた読みたい。
自分が医療に関わっているからこそ、緩和ケアを受ける患者さんとその家族にとって1日1日がどれだけ大切なものかを感じて、尚更涙が溢れた。
先が見えなくても、幸せな記録残して、幸せに居ることがどれだけ心の安らぎになるのか、と考えさせられた。
私は病気を受け入れた2人のシーンがとても好きで、お互いを思いやるからこそすれ違っていた2人が、心が重なったなと思った。
幸せだけど、どうしてもとても悲しい話。病気に向き合うってこういうことだよね、悲しくも思った。 -
Posted by ブクログ
『「今日、東京の感染者が四千人を超えましたって。どうなっちゃうんでしょう」「四千人?」思わず訊き返してしまう。これでは、どこにウイルスがあってもおかしくないのではないか』。
2020年に突如世界を襲ったコロナ禍。このレビューを読んでくださっている方で、このコロナ禍と無縁だったという方はいないでしょう。学校に、仕事に、そして家庭に…と私たちはコロナ禍によって間違いなく人生の一時期を翻弄されました。しかもその期間は数週間、数ヶ月というものではなく、実に三年もの間におよびました。
これだけの長い時間影響を与え続けられる中には、望まぬ転職を余儀なくされた方もいらっしゃるかもしれません。特に飲食業に -
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しっとり
丁寧な絵柄が情感を盛り上げている。題名からして泣かせる要素を十分に持っている。ヒロインが霊感を持っている という設定であるが、このようにしっとりとした足が地についたエピソードが中心の作品ならば、霊感設定を無しにしたほうがよりリアル感がましていいのではないか。