長月天音のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
善光寺の仲見世通りから脇道に入った先にある、臙脂色ののれんが掛かった〈おやすみ処にしさわ商店〉。
本格的なアップルパイやガレット、パフェやランチだけでなく、信州らしいおやきが食べられる喫茶店。
三十代くらいの若い店主・茜が一人で切り盛りする店には様々な思い悩む人々が導かれてやって来る。
亡き妻との約束を果たすために善光寺にやって来たは良いものの、そのあとどうすれば良いのか途方に暮れている男性
夫とペットの犬も亡くし、犬友たちと出会うのが辛くて家に籠りきりだったのが、久しぶりに外に出てきた女性
父親の転勤で見知らぬ土地に引っ越してきて、新しい学校に馴染めるかどうか不安でたまらないのと、前の学校で友達に別れを告げられなかったことを後悔している女の子
亡き祖母が買ってくれたお守りと祖母が編んでくれたお守り袋を失くしたために仕事もプライベートも上手く行かなくなった青年
こういう話では登場人物たちが再生するきっかけとなるのは、店主の対応だったりお料理だったりというのが定番だと思うが、この作品でのそれは『旅の思ひ出』という雑記ノート。
昔はよくいろんなお店や宿に置いてあったが、すっかり見なくなった。
〈にしさわ商店〉は仲見世通りの脇道にあるため、観光客だけでなく常連客が多い。『旅の思ひ出』というタイトルではあるが、雑記ノートには常連客のコメントも多い。夫と愛犬を失くした紗雪や、引っ越してやってきた雛乃もそうだ。
雑記ノートに書き留めた想いを誰かが受け止め、返してくれる。何かしらのアドバイスをくれたり、似た境遇の人が自分なりの思いや状況を伝えてくれることもある。
SNSとは違う、アナログなやり取りというのが良い。
手書きだから文字の感じでその人となりも伝わってくるし、イラストが描かれている場合もあって温かくなる。
雑記ノートなので本名を書く必要はないという気楽さもあるのかも知れない。
旅で訪れた第一話の男性のコメントも、その後訪れる誰かの心に触れ共感を読んだり勇気を与えたりするものにもなっていて、そういうつながりも良いものだと思った。
最終話は店主・茜の物語。東京でカフェをしていたという彼女がなぜ長野にやって来たのか、なぜ雑記ノートをつづけているのかが描かれる。
切なくも温かい話だった。
作家の長月さんの作品は「ほどなく、お別れです」シリーズしか読んだことがないが、『死』にまつわるお話が多い。ご主人を亡くされたというご自身の人生が関係しているのだろうか。
タイムリーに、BSの番組で善光寺を取り上げていたので、作品の余韻と共に興味深く観ることが出来た。 -
Posted by ブクログ
老若男女、様々な立場で様々な喪失を抱えた主人公達が、不思議な喫茶店で店主を初め美味しい料理や人と出会い、心を癒していくお話。
お話に出てきた「旅のおもひで」という訪れた人が好きに書いていいノートの存在素敵だなと思いました。書き出すことでぐるぐると苦しめられている自分の想いを書き出すことで、思いもしない人から助け舟が出されたり、出会いがあったり、歴史があったり。
私もこういう心を充電できる行きつけのお店を持てたら、生活が柔らかいものになるのかもしれないなと羨ましく思いました。
短編が繋がっていく本なので、1章ずつ寝る前に読むと優しい気持ちで眠れておすすめです。 -
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シリーズ4弾。
葬儀社「坂東会館」で働きはじめて4年になる美空の成長の日々を描く。
コロナの影響で葬儀のあり方も変わり戸惑う社員たち。美空も葬祭ディレクターの資格試験が延期となりなかぬか資格を取れずにいた。
そんな日々でも死者は出て規模は小さくなっているが葬儀はある。
離婚を考えていた夫の死に向き合う妻、夫の突然の事故死に悲しむ家族、以前坂東会館で葬儀をあげた人物から再び依頼された葬儀、そして美空の恩師の葬儀。様々な葬儀の姿があり、人の思いがある。
そしてベテラン社員の引退とその生前葬を頼まれた美空。彼女はたくさんの葬儀から様々な事を学ぶ。
美空の成長が楽しい。 -
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昔、一瞬だけ付き合った人が、「俺、向上心だけはあるからさ」とあまりにドヤァとした顔で言い出したので、つい「口だけでは言えるよね」と言ってしまったことがある。
本当に向上心がある人は、その向上心を持ってなにかに取り組んでいて、まさにその取り組んでいることについて語るんだよ、と思ったんだけど、あれは失言だったなと反省はしている。
そのあとすぐにお別れすることになったのも当然の帰結ではあるし、私の失言がその一因ではあるけれども、もともと相性がよくなかった。
せっかくのキッチン常夜灯の2作目で、出てくる料理はどれも魅力的でおいしそうで仕方がないのに、どうにも主人公にざわざわするのは、かつての自分のやらかしをザラザラと撫でられている気がするからか。
彼女はここまでやらかしてないし、恋人とももっとちゃんと向き合っているので、一緒にするのは申し訳ないんだけど、過去にしたい黒歴史をうっすらと思い起こさせられるところがある。
会社における真の男女平等は、「イマイチできない女性管理職」が現れてから、とは言ったものだけれど、女性だからと下駄をはかされて、「できない」の余波をくらうのは、全体的に大変すぎる。
まぁ、立川店の店長になっていた女性は、仕事をする人としてありえないとしても。
常夜灯の料理に癒され、励まされながら、自分の苦労や悩みを乗り越えていくのは、ちょっとすっきりする。
私も若いときにこういうお店があったら、もっと違う未来があったんだろうか…………いや、きっとなかったな。
そういえば、20代前半くらいに、一時期毎週のように通っていたロイヤルホストがあって、そこに時々、ものすごく仕事のできる男性スタッフがいた。店長だったか分からないけれど、多分管理職かなにかで、その人がいるだけで、店の雰囲気が変わるのが分かるほどだった。
女性活躍の裏で、店長から本社営業部に異動することになった三浦さんが、手伝いで店頭に立ったときのシャキッとした感じに、ふとその人を思い出した。
あんな風に仕事ができる人になりたい。 -
Posted by ブクログ
2026/09/27
新社会人の、希望や不安で胸がいっぱいで、戸惑いながら焦りながら毎日仕事を覚えて、出来ることが少しずつ増えてきた頃に失敗して落ち込んで、それでも頑張って達成感を得て。その頃の気持ちを思い出しました。なんか甘酸っぱくて小っ恥ずかしい。。。
配属されたシリウス池袋店での、あかりの成長物語。
あかりの奮闘が清々しい。
頑張る姿が眩しい。
あかりの素直な性格は、まっすぐに育ったからなんだと思う。
疑問や不満を「察してちゃん」にならず、ちゃんと言葉にして伝える。そして、経験して知っていく。自分の世界が狭かったことを知り、周りを見ることが出来るようになる。不満に思っていたことが、仕事を覚えるための段階だったことに気付く。
気付くって、素直じゃないと出来ない。
すごく真面目で良い子だなぁ。可愛いなぁ。
いろんなことに気が付いていくあかりを、みんなが応援したくなる気持ちがわかる。
頑張ってる子は手助けしたくなるもん。
周りに「助けよう」って思ってもらえる子は、伸びる。
いろんなことを経験して吸収して、あかりはもっともっと人として大きくなっていく。
そんな予感しかない爽やかなラストでした。
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Posted by ブクログ
長野駅の近くにある善光寺参拝を終え少し奥まった所にある、「にしさわ商会」茜は東京から長野に来て先代の店を続けている、長野の季節に合った料理 コーヒ パフエ 茜は東京でカフェをしていた。それに店ではノートが置いてあり、悩み 思い出 を書いて人の手に渡る 夫が生まれ育った街その夫がこの長野に来たとき死んだ、具合が悪くても1日休むとその売り上げがなくなる商売をしているとその方が怖い気がする。実家の長野では母親が1人で店を回していた。あかねが行った事により自分の好きなようにしたら良いと母親が言った。東京の友人はノートに「ここに来たら、いつもも素敵な出会いがあり、前向きな気持ちになる」友人紗雪。