藤井太洋のレビュー一覧

  • マン・カインド

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    藤井太洋(大洋ではない)、初めて読むSF作家。普通、初めて読む作家の場合は短編小説から読んで様子を見るのだが、今回はタイミング良く早川書房から新刊書が出版されたのをきっかけに思い切って読むことにした。帯を見ると、第53回星雲賞日本長編部門受賞作という華々しい勲章付き。例によって、素晴らしい作品は読む速度に加速度が付く。読み始めて早速、藤井太洋の書籍を集めにかかり、読み終わる頃までには殆ど揃えた。余りにも強烈な感動が私を襲ったので、この勢いで他の2つの長編に行くか?ちょっと待て。明後日、東京創元社から叢書短編集が出るとのこと。読むならそっちだな。

    この小説の重要なテーマの一つに「公正戦」があり

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    2024年11月27日
  • マン・カインド

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    「マン・カインド」(藤井太洋)を読んだ。

    これは見事!

    近未来の戦争のあり方に「公正的戦闘規範」で答えを出したのかと思っていたら実はさらにその先を見据えていたのだな。

    藤井太洋さんが描くちょっと先の未来って(変な言い方だけど)地に足がついた揺るぎないものに思えるんだな。

    意思を強く持たないと徹夜をしていまいそうな面白さなので要注意。

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    2024年11月05日
  • マン・カインド

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     舞台は2045年。2030年代に横行した自動機械による殺戮応酬、非対称戦争への反省から、ORGAN(限定銃火器行使単位)という兵士部隊を運営する組織は、あらかじめの約束事に従う公正戦なるハンデを自らに課している。

     そんな公正戦という概念が一般的になった世界で、独立宣言した企業都市〈テラ・アマソナス〉の排除の依頼を受け、公正戦を受諾したのが、アメリカ最大の軍事企業〈グッドフェローズ〉。公正戦の終わり、〈テラ・アマソナス〉の公正戦コンサルタントであるチェリー・イグナシオが捕虜の兵士を虐殺する。明確な戦争犯罪の真意を、その第一報を届けようとしたジャーナリストが追う。
     
     というのが物語の導入

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    2024年11月05日
  • オービタル・クラウド 上

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    SFをベースにした大スペクタクルエンタメ小説。シーンの速度感や構成する技術要素の緻密さによってありありと場面を想像させるので一気に読めた。サイエンスやエンジニアリングの楽しさと素晴らしさが詰まった作品。

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    2024年09月03日
  • ビッグデータ・コネクト

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    長らく積んだままになっていた本書に取り掛かってみたが、「誘拐殺人事件」の謎で興味を引っ張りつつ、個人情報照合システムの問題点に切れ込んでいく構成が素晴らしい。
    もっと早く読んでおけばよかった、と思う面白さであった。
    ギークの生態もよく描写されており、個人情報保護法の問題点の指摘も的確である。
    また、IT業界で横行しているといわれる多重請負問題についても、中抜きやブラック労働だけが問題なのではなく、個人情報の取扱いについても問題があることが指摘されている(本書では明示されていないが、政府や企業の秘密情報も同様であろう)。
    それにつけても、日本そのものが巨大な虎にのまれることがないように願いたいも

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    2024年06月10日
  • 銀河英雄伝説列伝1

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    なんとも豪華な公式トリビュート。執筆者は、石持浅海、太田忠司、小川一水、小前亮、高島雄哉、藤井太洋。
    それぞれの作家の持ち味がしっかりと出ていて面白い。キャラクター重視のものと世界観重視のものがあるのも面白い。
    それら全てを飲み込めるのが銀英伝の魅力だろう。表題作の視点には驚き楽しんだ。

    勿体なくて勿体なくて、ついつい長い間眠らせていましたが、ついに読んじゃいましたよ。
    本伝も様々な作家がそれぞれの視点で書かないかしら。アニメやコミカライズがやっていることを小説でもやれれば面白いのに。三国志とかみたいに。
    なんて思ったりして。

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    2024年05月29日
  • Gene Mapper -full build-

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    2010年代に行われた“遺伝子組み換え作物”は既に時代遅れとなり、作物の性質や色・形までも完全に遺伝子設計された“蒸留作物”が食卓の主役となった近未来の世界。
    遺伝子デザイナーの林田は、自分が設計した稲が遺伝子崩壊した可能性を告げられ、原因究明のために発注元のエージェント・黒川と共にベトナムへ向かう。


    藤井太洋さん、初読。
    うわわわ、カッコいい!
    めちゃくちゃ面白かった!

    仮想現実やアバター同士のやり取りなどが日常としてありながら、ベトナムの蒸し暑さや甘すぎるコーヒー、データが直接送り込まれる感覚の気持ち悪さなどがリアルで、この世界にあっという間に没入して、酔える。

    黒川さんの本当の肉

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    2024年02月06日
  • ハロー・ワールド

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    Hello, World!プログラミング齧った人なら、みんな知ってるこの言葉。
    そこから始まるインターネットの自由を守る大冒険。
    僕は藤井太洋さんの描くチームがドライブしてゆく姿が大好き!!

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    2023年06月21日
  • ハロー・ワールド

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    先端技術を扱うソフトウェアエンジニアの短編集。
    扱うテーマはドローン、SNS、仮想通貨など様々。なんでも屋を自認する主人公の万能っぷりがスゴくて、スパイ小説のよう。具体的な人物像を想い浮かべづらい。
    自由闊達、単純明快なビジョン、ソースコード書けてナンボ、プロダクトが動いてナンボ、速い意思決定とリリース、尖った技術をよってたかって面白がるコミュニティ、国境など無いかのように広がっていく技術者とアーリーアダプターの世界。
    インターネットが理想とした目指した世界というか技術者のユートピアというか、そんな感じの世界がこの本にはある。

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    2023年04月17日
  • アンダーグラウンド・マーケット

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    リアリティがすごい。すぐそこにある現実みたいで大変面白い。
    ただ、藤井さんの小説の主人公はみんな有能すぎて、
    そんなSEそうそうおらんじゃろ笑ってなる。

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    2023年03月21日
  • ハロー・ワールド

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    エンジニアなんでも屋の主人公•文椎(フヅイ)に降り掛かるネットワークの問題点に自身が納得出来る方法を提案していく短編集5本+番外編。
    プログラミング知識が無い私でも読み進めることが出来る。帯に書かれている通り「インターネットの自由と豊かさを守り世界を少しだけ良くするための熱く静かな闘いの物語」。現実的な内容が興味深い。
    現在において文椎のようなエンジニア達が居てくれることを祈ります。

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    2022年09月27日
  • 東京の子

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    「考える事」の大切さを考えさせられた。
    SF小説だと思って購入したら仕事小説だった。
    主人公が使う“パルクール”の緻密な描写文面が映像で浮かんだ。是非とも映画にして欲しい。

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    2022年09月18日
  • ワン・モア・ヌーク(新潮文庫)

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    解説にも書かれているが、この小説はリアリズムである。であるが故に非常に怖い。現実に起こり得る出来事が描かれている。
    東京オリンピックに向けた中で核爆弾によるテロが計画され実行されていく。現実ではコロナにより延期されているが、小説内では予定通り2020年に実施される予定となっている。
    テロリストはISの生き残りと日本人デザイナー。日本人デザイナーの動機は、日本に核の説明責任を果たさせる事。
    デマの廃絶は現実世界でもまだまだだが、説明する事でしか解決出来ないと思う。

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    2021年08月29日
  • アンダーグラウンド・マーケット

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    ネタバレ

    日本のFintechの未来…ifルート的な話で、非常にリアリティのある小説だった。至る所に伏線が散りばめられ、起承転結の転結に結びついていくさまはストーリーの練り込みを感じる。ぜひシリーズとして続きを読みたい。
    IT・マネーの基礎知識があるおかげか、読んでてとてもワクワクした。恵さんが、生き残ったedコマンドを駆使して汚染された他のコマンドを正常なものにコンパイルして置き換え、ピタットの全貌を暴いていく……ソフトウェアに関わるものとして痺れました。こういう凄腕エンジニア、憧れる。

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    2021年08月07日
  • Voyage 想像見聞録

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    気兼ねなく、旅行ができなくなってから、どれだけの月日が流れただろう。ほんのたまに行く旅行でさえ、近場であっても感じてしまう後ろめたさ。

    現実に旅行ができなくても、家の中での読書なら、マスクを外してできるという気持ちで読みはじめましたが、とんでもない異世界が待ち受けていました。


    個人的なオススメは、『ちょっとした奇跡』と『シャカシャカ』。(星新一の影響か、SFものの短編に、ついハマってしまいます。)

    特に、『シャカシャカ』は、最初、意味がわからないのだけれども、なるほどこの世界はそういう仕組みなのか、と納得して、そしてまた置いてけぼりにされるという、読後感が不思議な話でした。


    登場人

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    2021年07月05日
  • ワン・モア・ヌーク(新潮文庫)

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    あぁ、素晴らしい!
    緊張感、交錯する正義、実在するけど見てこなかった現実、そして希望。
    僕はもうとにかく、この藤井さんの描く、多様な出自、バックボーンを持つメンバーがチームとなって目的をなそうとするところが大好きです!

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    2021年06月30日
  • 銀河英雄伝説列伝1

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    ネタバレ

    銀英伝のトリビュート短編集。ラインハルトがルアーフィッシングをするなら、ヤンは2人劇で女装で役者をする。キャゼルヌ婦人の名探偵っぷりは堂に入ってるし、フェザーンと地球教はなるほどなるほど…

    田中芳樹のすごいところは、あれだけ売れてあれだけ続編を書きやすそうな「銀英伝」を正伝10巻、外伝5巻できちっとけじめをつけたところだと思う。これは真逆の方向性だが、死ぬ間際までグインサーガを描き続けた栗本薫と同じくらいスゲーことだと、俺は思っている。

    だからこそ、銀英伝の2次創作は枚挙にいとまがない。世の中にあふれたくっているのだが…、深い愛とそれを表現できる技術をもった一流の小説家たちが創る二次創作作

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    2021年05月31日
  • ハロー・ワールド

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    エンジニアのなんでも屋の文椎。日本、アメリカ、ベトナム、中国を渡り歩く。短編集

    slack,ブロックチェーン.シンギュラリティなどのIT用語も登場しますが、最後の「めぐみの雨が降る」はブロックチェーンの仕組みが分からないと理解しにくいなと感じましたが、総じて分かりやすかったです。

    ITで世界を変えるといった時に最後は人との繋がりではないかと感じます。またネットで世界が繋がるということは資本主義や社会主義を越えて世界がより良くなること。理想論もあるかもしれませんが。

    自分のまわりに、主人公の様なコミュニケーション力、技術、英語も話せてなんてスーパーエンジニアがいないのは自分の世界が狭いのか

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    2021年05月04日
  • 銀河英雄伝説列伝1

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    6人の作家による銀河英雄伝説公式トリビュート・アンソロジー。
    原作が完結してから何年?1989年の完結?30年近く経て、トリビュートされるのは衰えない人気の証明。
    嬉しい。
    タイトルに列伝1とあるからには、今後も刊行の予定があるという含みと思います。銀英伝の世界が、銀河の歴史が1ページ、また1ページと増えてゆくわけです。これは嬉しい。

    「竜神滝の皇帝陛下」
    エミールのラインハルトへの心酔っぷりを評して、釣りをしている時も宇宙を釣り上げているようでした、という一文があったことを思い出す。そこからふくまらせた作品。日常生活というか余暇を楽しむことができないラインハルト。彼の数少ない日常の光景を垣

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    2021年04月07日
  • ハロー・ワールド

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    普通にありそうで、でもきちんとSF。
    生活感がリアルだからか、読んでいて違和感なく世界に入っていける。

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    2021年04月03日