藤井太洋のレビュー一覧
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ネタバレ銀英伝のトリビュート短編集。ラインハルトがルアーフィッシングをするなら、ヤンは2人劇で女装で役者をする。キャゼルヌ婦人の名探偵っぷりは堂に入ってるし、フェザーンと地球教はなるほどなるほど…
田中芳樹のすごいところは、あれだけ売れてあれだけ続編を書きやすそうな「銀英伝」を正伝10巻、外伝5巻できちっとけじめをつけたところだと思う。これは真逆の方向性だが、死ぬ間際までグインサーガを描き続けた栗本薫と同じくらいスゲーことだと、俺は思っている。
だからこそ、銀英伝の2次創作は枚挙にいとまがない。世の中にあふれたくっているのだが…、深い愛とそれを表現できる技術をもった一流の小説家たちが創る二次創作作 -
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エンジニアのなんでも屋の文椎。日本、アメリカ、ベトナム、中国を渡り歩く。短編集
slack,ブロックチェーン.シンギュラリティなどのIT用語も登場しますが、最後の「めぐみの雨が降る」はブロックチェーンの仕組みが分からないと理解しにくいなと感じましたが、総じて分かりやすかったです。
ITで世界を変えるといった時に最後は人との繋がりではないかと感じます。またネットで世界が繋がるということは資本主義や社会主義を越えて世界がより良くなること。理想論もあるかもしれませんが。
自分のまわりに、主人公の様なコミュニケーション力、技術、英語も話せてなんてスーパーエンジニアがいないのは自分の世界が狭いのか -
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6人の作家による銀河英雄伝説公式トリビュート・アンソロジー。
原作が完結してから何年?1989年の完結?30年近く経て、トリビュートされるのは衰えない人気の証明。
嬉しい。
タイトルに列伝1とあるからには、今後も刊行の予定があるという含みと思います。銀英伝の世界が、銀河の歴史が1ページ、また1ページと増えてゆくわけです。これは嬉しい。
「竜神滝の皇帝陛下」
エミールのラインハルトへの心酔っぷりを評して、釣りをしている時も宇宙を釣り上げているようでした、という一文があったことを思い出す。そこからふくまらせた作品。日常生活というか余暇を楽しむことができないラインハルト。彼の数少ない日常の光景を垣 -
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普段アンソロジーは手にとらないのですが、銀英伝トリビュートとくれば話は別です。
ファン必読の書と言えるでしょう。
列伝1とあるので、今後2、3と続いてほしいです。
では、簡単なエピソード紹介を。
①竜神滝の皇帝陛下(小川一水さん)
ラインハルトの新婚旅行中の数日が描かれます。
僕は最後の作者自身による注釈を見るまで気づきませんでしたが、原案はあの超有名な漫画の1エピソードらしいです。
冒頭のエピグラフに続いて、史書あるいは史家の論文と思しき記述があってから本編に入るという銀英伝らしさ溢れる構成に、一話目から胸が熱くなります。ラストに年表形式で語られるエピローグもいい。
②士官学校生の恋(石 -
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銀河英雄伝説公式トリビュート作品集の一巻。
六名の作家による六編の短編が収められている。
それぞれに、作家が本編に出てきた一文に着想を得ていたり、好きな人物をこうだったらと掘り下げてみたり、本編には過去の史実として書かれていることがリアルに知れるシーンが描かれていたり、自由で夢がある一冊。書き手から銀河英雄伝説への愛情が伝わってくる。
士官学校に通ってた頃のヤンが女装して舞台に立っていたり、オーベルシュタインに女性の部下がいたり、ラインハルトが良き父親として振る舞おうとしつつ釣りをしていたり・・・。
あれだけドラマチックな物語の中にいた人たちの何気ない日常が描かれていて、読んでいて楽しかっ -
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ネタバレカテゴリは合ってます(歴史だもんね)
作者に太田忠司先生がいるだけで「買います」だが他の作者さんも銀英伝好きが溢れてるお
作者公認の二次創作を嫌う人は多い、イメージが異なるからだと思うが40年も付き合っている作品ともなると別な一面を見る機会を逃す筈がありません
そもそも歴史はそんな一面だけで理解したつもりになってはいけないのです
太田先生の「レナーテは語る」
あのオーベルシュタインが這い上がる基礎を築いた事件です(ネタバレ)突然オーベルシュタインから遺産が当るとなれば人類なら等しく恐怖を覚えるだろう、そんな状況になったレナーテが情報処理課にいた頃「上司で名探偵」でもあったオーベルシュタインとの -
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One More Nuke。こんな文字を書くと、FBIやCIAからこのサイトが監視されそうです(苦笑)。
One More Nukeとは、「もう一度核を」と言う事。それはすなわち、(今のところ)最初で最後の被爆国の日本において、もう一度核爆弾を爆発させると言う事を意味しています。著者は、元々ソフトウェアエンジニアだった経験もあるので、そういうバックグラウンドのなせる業なのか、工学的な描写にすぐれています。
通常核爆弾は、核燃料を90%以上まで濃縮しなければならないとされていますが、この物語では、それよりはるかに低濃度の20%で核爆発を起こす事が可能な設計の核爆弾を設計し、製造してしまったと -
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今読むべき本、というのはこういうもののことを言うのだろう。
2011年3月11日から9年、2020年の3月11日を迎えるまでにこの本に出会い、読み終えられたことには本当になにか運命的なものを感じえない。
私たちの中に未だ深い傷を残すあの地震とあの事故にここまで誠実に大胆に向き合わせ、新しい角度から考えさせてくれたこと、強い言い方になってしまうがあの事故に対して安い感動を与えることでそれらを美化するような小説しか発表されてこなかった9年間を脱却したことを評価したい。
また、あの事故とオリンピックを結びつけ、両者の問題をさらけ出すことこの本を2020年2月という時期に文庫化したことは作者の功