藤井太洋のレビュー一覧

  • 銀河英雄伝説列伝1

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    ネタバレ

    恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもののぞみはしない。だが何十年かの平和でゆたかな時代は存在できた。吾々が次の世代になにか遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和がいちばんだ。そして前の時代から手わたされた平和を維持するのは、つぎの世代の責任だ。それぞれの世代が、のちの世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和がたもてるだろう。忘れれば先人の遺産は食いつぶされ、人類は一から再出発ということになる。まあ、それもいいけどね。

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    2025年11月23日
  • マン・カインド

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    ネタバレ

    名前だけは知っていた藤井太陽を初めて読んでみた。最高、今までなんで読んでこなかったのか猛反省。

    初めてのSF作家って緊張するねんなぁ、理系素養が圧倒的に足りてないので、安易に近づくとバチコーンと跳ね返されてしまう目になり、半世紀に及ぶ読書生活で何度バチコーンされてきたことか…。

    でもこの作品は、杞憂中の杞憂に終わった。遺伝子の事、多次元仮想空間の事、人造マイクロチップの事、究極のマルチタスクの事等々、理系仕草?はたっぷりあるんだけど、なんとなくのニュアンスがつかめてしまえば、それだけで十分作品に没頭できる。ちょっと凝った月村了衛といえば月村さんに失礼か?

    テンポよく読み進めることができて

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    2025年09月02日
  • ハロー・ワールド

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    大抵の章で取り上げられたトピックについて、仕事で得た土地勘もあり、ITよもやま話という内容だがとてもリアリティを伴ってのめりこめました。

    コロナ禍で一度分断されなかった世界はこういうかたちになっていたのかもしれないと、しみじみと思いました。

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    2025年08月19日
  • マン・カインド

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    最高でした! 2045年の戦場ジャーナリストが主人公の、ミリタリーSF、なのですけれど、とにかく近未来への解像度が高くてワクワクする!

    たとえば「年寄りのエンジニアは、音声エージェントをわざわざ名前を呼んで立ち上げがち。HeySiriだのOKGoogleだの、当時の製品名で呼ぶのを好む人も多い」みたいなちょくちょく挟まる『近未来ありそうありそう』がいちいち絶妙。

    ラスボスが『チェ・ゲバラの扮装をしてハバナ葉巻を嗜む現代戦争コンサルタント』なのも、みょーに男心をくすぐる!

    クライマックスの王道的な盛り上がりと、エピローグの余韻もたまらない……。

    専門家同士のよくわからない専門的な会話で妙

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    2025年08月13日
  • マン・カインド

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    活字の本がまだまだ得意ではない自分でもこの本は楽しく読めた。
    ヒデミスで知って買った。ミステリーをあまり読んだことはないけど、こういうミステリーもあるんだなと感じた。
    読み進めながら脳内アニメ化して楽しんでました。いつか本当にアニメや映画になってほしい作品。

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    2025年06月24日
  • オービタル・クラウド 下

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    普段あまりSF小説を読まないけれど、かなり面白かった!読んでいる途中は上・下どちらも多少読みづらい単語があったりしたけど、慣れると気にならないし、読み終えた後おもしろかったーー!しか残らない。笑
    この方の別の作品も読んでみたい

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    2025年06月12日
  • オービタル・クラウド 上

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    おもしろい!!!!
    SF感が強いというわけではなさそうで、宇宙開発に、国家同士の争いに、思想に、大きな野望に、、、、と本当に様々な視点が交わっていて、展開がどんどん気になった。
    普段あまりSF小説を読まないから、とても新鮮でワクワクした。

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    2025年06月12日
  • 銀河英雄伝説列伝1

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    ネタバレ

    読み終えるまでに時間はかかったものの、三作くらい読むと後は毎夜日課になって直ぐ読み終えた。
    各者の銀英愛が眩しい。
    太田忠司の暖かで素直なミステリも素晴らしい。
    小川一水はビジュアル面で印象的に切り取って終わる。
    小前亮の実に正攻法な艦隊同士の大戦は銀英伝の面白みを再確認させる。
    藤井太洋の短編は「これどうなってるのかな…」などと見ていたら実に衝撃的な展開で成程!と。ある意味ニヤリともした。
    激推しは高島雄哉の「星たちの舞台」で、ヤンというキャラクターを見たまんまのパロディやコピーにせず、彼ならばこの状況ではこうもあり得るだろう、という絶妙で繊細なキャラクターに仕上げ、若き日のヤンの繊細さに惚

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    2025年05月13日
  • マン・カインド

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    現在の技術の延長線上にある遺伝子編集でニュータイプを作るお話。作為的な進化という話はエヴァンゲリオンの人類補完計画を思い出させるが、更にその淵源を辿れば「地球幼年期の終わり」にルーツを見出すことができるだろう。
    実はうちの子もIVFで生まれたのだが、文系脳の両親には似ずに読書はあまり好きではなく、理数系を得意としている。いや、まさかね。

    ちょうどこれを読み始める前に映画「シビル・ウォー」を観ており、更に本書を読むのと同時並行的にアニメ「サイバーパンク:エッジ・ランナーズ」を観ていた。
    本書内での政治状況や、「インプラント」などの技術についてはこれらの映像作品と共通するものがあり、これがいわゆ

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    2025年01月30日
  • マン・カインド

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    傑作だった。

    最初は理解できない単語の連発で戸惑ったが、話が進むにつれて少しづづ分かるようになるのが良かった。

    内容は自信を持って満点を付けれます。それほど面白かった。いつか分からないほど遠い未来で実現しそうなテクノロジーに、興奮と少しの怖さを感じました。

    新しい人類が誕生する場合は、自然にではなく人工的に作られる。そう確信させられるほど、本小説に魅入られてしまいました。

    本屋大賞を是非取ってほしい。
    万人受けする内容じゃ無いから難しいかもしれないけどね。

    大おすすめです。



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    2025年01月20日
  • マン・カインド

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    藤井太洋(大洋ではない)、初めて読むSF作家。普通、初めて読む作家の場合は短編小説から読んで様子を見るのだが、今回はタイミング良く早川書房から新刊書が出版されたのをきっかけに思い切って読むことにした。帯を見ると、第53回星雲賞日本長編部門受賞作という華々しい勲章付き。例によって、素晴らしい作品は読む速度に加速度が付く。読み始めて早速、藤井太洋の書籍を集めにかかり、読み終わる頃までには殆ど揃えた。余りにも強烈な感動が私を襲ったので、この勢いで他の2つの長編に行くか?ちょっと待て。明後日、東京創元社から叢書短編集が出るとのこと。読むならそっちだな。

    この小説の重要なテーマの一つに「公正戦」があり

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    2024年11月27日
  • マン・カインド

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    「マン・カインド」(藤井太洋)を読んだ。

    これは見事!

    近未来の戦争のあり方に「公正的戦闘規範」で答えを出したのかと思っていたら実はさらにその先を見据えていたのだな。

    藤井太洋さんが描くちょっと先の未来って(変な言い方だけど)地に足がついた揺るぎないものに思えるんだな。

    意思を強く持たないと徹夜をしていまいそうな面白さなので要注意。

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    2024年11月05日
  • マン・カインド

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     舞台は2045年。2030年代に横行した自動機械による殺戮応酬、非対称戦争への反省から、ORGAN(限定銃火器行使単位)という兵士部隊を運営する組織は、あらかじめの約束事に従う公正戦なるハンデを自らに課している。

     そんな公正戦という概念が一般的になった世界で、独立宣言した企業都市〈テラ・アマソナス〉の排除の依頼を受け、公正戦を受諾したのが、アメリカ最大の軍事企業〈グッドフェローズ〉。公正戦の終わり、〈テラ・アマソナス〉の公正戦コンサルタントであるチェリー・イグナシオが捕虜の兵士を虐殺する。明確な戦争犯罪の真意を、その第一報を届けようとしたジャーナリストが追う。
     
     というのが物語の導入

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    2024年11月05日
  • オービタル・クラウド 上

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    SFをベースにした大スペクタクルエンタメ小説。シーンの速度感や構成する技術要素の緻密さによってありありと場面を想像させるので一気に読めた。サイエンスやエンジニアリングの楽しさと素晴らしさが詰まった作品。

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    2024年09月03日
  • ビッグデータ・コネクト

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    長らく積んだままになっていた本書に取り掛かってみたが、「誘拐殺人事件」の謎で興味を引っ張りつつ、個人情報照合システムの問題点に切れ込んでいく構成が素晴らしい。
    もっと早く読んでおけばよかった、と思う面白さであった。
    ギークの生態もよく描写されており、個人情報保護法の問題点の指摘も的確である。
    また、IT業界で横行しているといわれる多重請負問題についても、中抜きやブラック労働だけが問題なのではなく、個人情報の取扱いについても問題があることが指摘されている(本書では明示されていないが、政府や企業の秘密情報も同様であろう)。
    それにつけても、日本そのものが巨大な虎にのまれることがないように願いたいも

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    2024年06月10日
  • 銀河英雄伝説列伝1

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    なんとも豪華な公式トリビュート。執筆者は、石持浅海、太田忠司、小川一水、小前亮、高島雄哉、藤井太洋。
    それぞれの作家の持ち味がしっかりと出ていて面白い。キャラクター重視のものと世界観重視のものがあるのも面白い。
    それら全てを飲み込めるのが銀英伝の魅力だろう。表題作の視点には驚き楽しんだ。

    勿体なくて勿体なくて、ついつい長い間眠らせていましたが、ついに読んじゃいましたよ。
    本伝も様々な作家がそれぞれの視点で書かないかしら。アニメやコミカライズがやっていることを小説でもやれれば面白いのに。三国志とかみたいに。
    なんて思ったりして。

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    2024年05月29日
  • Gene Mapper -full build-

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    2010年代に行われた“遺伝子組み換え作物”は既に時代遅れとなり、作物の性質や色・形までも完全に遺伝子設計された“蒸留作物”が食卓の主役となった近未来の世界。
    遺伝子デザイナーの林田は、自分が設計した稲が遺伝子崩壊した可能性を告げられ、原因究明のために発注元のエージェント・黒川と共にベトナムへ向かう。


    藤井太洋さん、初読。
    うわわわ、カッコいい!
    めちゃくちゃ面白かった!

    仮想現実やアバター同士のやり取りなどが日常としてありながら、ベトナムの蒸し暑さや甘すぎるコーヒー、データが直接送り込まれる感覚の気持ち悪さなどがリアルで、この世界にあっという間に没入して、酔える。

    黒川さんの本当の肉

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    2024年02月06日
  • ハロー・ワールド

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    Hello, World!プログラミング齧った人なら、みんな知ってるこの言葉。
    そこから始まるインターネットの自由を守る大冒険。
    僕は藤井太洋さんの描くチームがドライブしてゆく姿が大好き!!

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    2023年06月21日
  • ハロー・ワールド

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    先端技術を扱うソフトウェアエンジニアの短編集。
    扱うテーマはドローン、SNS、仮想通貨など様々。なんでも屋を自認する主人公の万能っぷりがスゴくて、スパイ小説のよう。具体的な人物像を想い浮かべづらい。
    自由闊達、単純明快なビジョン、ソースコード書けてナンボ、プロダクトが動いてナンボ、速い意思決定とリリース、尖った技術をよってたかって面白がるコミュニティ、国境など無いかのように広がっていく技術者とアーリーアダプターの世界。
    インターネットが理想とした目指した世界というか技術者のユートピアというか、そんな感じの世界がこの本にはある。

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    2023年04月17日
  • アンダーグラウンド・マーケット

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    リアリティがすごい。すぐそこにある現実みたいで大変面白い。
    ただ、藤井さんの小説の主人公はみんな有能すぎて、
    そんなSEそうそうおらんじゃろ笑ってなる。

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    2023年03月21日