藤井太洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ITエンジニアの誘拐事件を取り扱った警察小説。マイナンバーや公設民営施設といったトピックを物語の中に上手く盛り込みつつ、その裏側を垣間見せられてちょっと恐ろしくなります。IT業界の労働環境って…。
同じ著者の「オービタル・クラウド」ほど仕掛けは大きくないのですが、ディテールが緻密でそれぞれのシーンに物凄く説得力があるのは相変わらず。物語も中盤からは疾走感を持って進むし、キャラも描き込まれていて感情移入できます。
ただ、それゆえに一部の登場人物の動機は「そこまでかなぁ…?」と思ってしまったところも。あと、個人的な好みのレベルですが結末はちょっと残念。
最新のトピックを表層的でない形で(しかも -
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Posted by ブクログ
日本人作家で、ここまで描けますか。
物語上の時代設定は2020年ですが、実態的には2016年頃を目途としているようですので、内容に高い信頼度と高い蓋然性を感じます。この手の作品だと「いやいや、そんな事はないでしょう」と感じることはないですが、この作品の場合は「ありそうだよね」と思えます。
JAXA、NORAD、CIA、その他と様々な国家機関が出てきますが、物語の大きな破綻は見られません。終盤活躍するのは、NORADであり、CIAであったりするんですけどね。あ、「物語に大きな破綻はない」と記しましたが、一点、大きな破綻がありました。CIAって、アメリカ国内での活動を禁じられているんですけど?