藤井太洋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレカテゴリは合ってます(歴史だもんね)
作者に太田忠司先生がいるだけで「買います」だが他の作者さんも銀英伝好きが溢れてるお
作者公認の二次創作を嫌う人は多い、イメージが異なるからだと思うが40年も付き合っている作品ともなると別な一面を見る機会を逃す筈がありません
そもそも歴史はそんな一面だけで理解したつもりになってはいけないのです
太田先生の「レナーテは語る」
あのオーベルシュタインが這い上がる基礎を築いた事件です(ネタバレ)突然オーベルシュタインから遺産が当るとなれば人類なら等しく恐怖を覚えるだろう、そんな状況になったレナーテが情報処理課にいた頃「上司で名探偵」でもあったオーベルシュタインとの思い出話
事件の犯人こそ分かったが名探偵のチェスのような緻密な手腕に感心し、ラストのしゃれた話は気持ち良い
「星たちの舞台」ヤンの女優デビューですww
士官学校戦史研究科廃止阻止署名活動をした行動力を買われ、音楽学校学生寮敗死を阻止すべく立ち上がるヤン・ウェンリー(笑)演劇に使われる謎技術は感心したが、ヤンの性格を高島雄哉先生は見誤っていないか(爆)
目的を達成したか全然読み取れない読者ですまぬ
「晴れあがる銀河」は本編500年以上前で、銀河航路開発に監視&優性保護で我が身が危なく、避難する展開へ(鬼滅の刃の隠し村)を航路上で生み出した蔭にはフェザーン初代自治領主ラープ商会があるという禁断の歴史
「士官学校の恋」ある士官候補生の恋の裏にはとてつもないゴールデンバウム朝銀河帝国の陰謀があった
石持浅海先生、噂にたがわぬ力量の推理小説です
ミスマープルを彷彿させる作中の人物、恋バナを延々読まされたと思いきや!ヤンの先輩キャゼルヌが付き合いだしたオルタンス(本編ではただの良き妻)が紐解く
スパイってこういう陰謀をするものではないのですが、アガサクリスティ作品としてなら満点です -
Posted by ブクログ
One More Nuke。こんな文字を書くと、FBIやCIAからこのサイトが監視されそうです(苦笑)。
One More Nukeとは、「もう一度核を」と言う事。それはすなわち、(今のところ)最初で最後の被爆国の日本において、もう一度核爆弾を爆発させると言う事を意味しています。著者は、元々ソフトウェアエンジニアだった経験もあるので、そういうバックグラウンドのなせる業なのか、工学的な描写にすぐれています。
通常核爆弾は、核燃料を90%以上まで濃縮しなければならないとされていますが、この物語では、それよりはるかに低濃度の20%で核爆発を起こす事が可能な設計の核爆弾を設計し、製造してしまったと言う事が描かれています。(インターネット上の百科事典では核爆弾は20%以上の濃縮度と言う事になっている様ですが)でも、その低濃度核燃料で核爆発を起こす設計で、まぁまぁ高濃度の核燃料を爆発させると、出力が大きくなるんですね。どこまで科学的に正しいのかは知りませんが・・・。
日本が舞台でこの手の物語を描くと、荒唐無稽になりがちですが、この作品ではそんな事はありません。なんか「あるかも」と言う気にさせられます。 -
Posted by ブクログ
今読むべき本、というのはこういうもののことを言うのだろう。
2011年3月11日から9年、2020年の3月11日を迎えるまでにこの本に出会い、読み終えられたことには本当になにか運命的なものを感じえない。
私たちの中に未だ深い傷を残すあの地震とあの事故にここまで誠実に大胆に向き合わせ、新しい角度から考えさせてくれたこと、強い言い方になってしまうがあの事故に対して安い感動を与えることでそれらを美化するような小説しか発表されてこなかった9年間を脱却したことを評価したい。
また、あの事故とオリンピックを結びつけ、両者の問題をさらけ出すことこの本を2020年2月という時期に文庫化したことは作者の功績であり出版社の功績である。
今、日本人が読むべき1冊であると私は思う。 -
Posted by ブクログ
最後まで読まされた。
以下、ネタバレ含みます。注意。
2020年。
原発レベルの濃度の燃料で、原爆を生み出すことが出来るとしたら。
3月11日。
その爆弾を日本の中心地、東京新国立競技場で爆破させるという予告動画が流された。
イスラムから材料を持ち込んだイブラヒム。
ウイグル人であり、かつて被曝実験に巻き込まれた二世でもあるシェレペット。
そして、フクシマの友人を亡くし、この綿密な計画を打ち立てた但馬樹。
追う側より追われる側に惹かれてしまう。
そこに、それぞれの背景があるからだろう。
核爆弾をめぐる緊迫したストーリーも読み応えがあるのだけど、そこには「終わりのない悲劇」が描かれているように思う。
福島第一原発の事故から現在まで、私たちは結局、納得などないまま、時間に任せて風化させられようとしている。
「今」はどういう状況なのか、安全なのか、それさえ、トピックにはなかなか上がって来ない。
時々見る記事には、相変わらず杜撰さを感じさせるものばかりだ。
国が正しい調査の上で「終わりを告げること」には意味があるのに。
勿論、私たちは一定それを疑うべきだとも思う。
けれど、核という巨大な力を扱うことに失敗し、国が放置したまま見えなくなった悲劇が、日本だけではなく多数あることも、この作品では言及している。
「終わりのない悲劇」を終わらせるためには、結局荒療治しかない。そう考えたのが、イツキなのだ。
ワン・モア・ヌーク。
悲劇を以て、改革を為す。
けれど、そこから生み出されるものは、混沌しかないんじゃないかと、私は思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ藤井太洋の送る技術特異点とその先の近未来を描いたSF短編集。量子コンピューターによる量子アルゴリズムとフリーズ・クランチ法という未来予測。クォイン・トスというゲームが彩るセブ島での一騒動を描いた「常夏の夜」が個人的に一番面白かった。近未来的なガジェットがてんこ盛りでありながら、ディストピアめいた悲観的な視野は一度もなく、量子ネイティブへの期待という人類の希望が詰まっている。因果逆転した記事を参考に、暴走するクラブマンからの攻撃をかいくぐる姿は良質なハリウッド映画を見たときのような興奮を味わうことができる。
表題作である「公正的戦闘規範」もドローンにより人類不在になりつつある戦争に公正さを取り戻すという意欲作である。ORGANというオペレーターが直接戦場に立ち、火器や無人機を操作するというのが非常に面白く、殺意を戦場に閉じ込め、その戦う姿に物語を付随させるという結論には膝を打ってしまった。大切なのは誰が血を流し戦っているかであり、そこに物語があるか否かである。戦争の概念が変われば戦場は薄く広がっていき、テロが激化するため、あえて戦争を戦場に固定してしまい、裏を返せばORGANさえ倒せばそれが勝利条件になるため、戦争そのものがわかりやすくなる。この視点は非常に斬新であり、感銘を受けてしまった。人類同士の争いを超えた、人類vs無人機の戦争でもあるのだ。
「第二内戦」はアメリカが二つに分断された話なのだが、アメリカの歴史や開拓者精神、自警団的な発想を考えれば一番ありそうな未来に思えた。古き良き時代のアメリカを取り戻し、マッチョ思考に彩られた白人だけが住む国。FSA「アメリカ自由領邦」という国名がとても良い。
どの短編も、幕引きは常に人類の新たな挑戦と希望に満ち溢れている。本来の技術革新はこうしたワクワク感に溢れているものであり、SFといえばディストピアというイメージを持っている人にこの本書を読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ三年前の小説ですが、ネット社会における個人情報の扱いや、それらに関する世間の認識の甘さだったり、IT企業のブラックぶりなどは、今の世も変わってないなぁと痛感。被害者の月岡、ならびに武岱や内藤といった現場の人たちには(自分も一時期プログラマやっていたので)共感しきり。
著者も開発会社に勤務していたこともあるらしいので、このように現場が困窮している実態を知って欲しかったりもしたのでしょうか。
お話的には……武岱が、ゲーム的に言うと武力も知力も高すぎるので、いざとなったらコイツが自分でなんとかするんだろうという安心感があって、緊張感が欠けていたところが残念ポイント。ありきたりかもですが、武岱は登場直後のヒョロガリのままで、足りない武力を綿貫あたりで補ったりした方がよかったんじゃないかなぁ。素人考えですが。
とはいえ、久々に面白いと思いながら読んでた本な気がします。一番最後のページに書かれている「命を落とした人物」が誰なのか気になりますので、いつかこの続きがあるんじゃないかと、うっすい期待して待つことにします。