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「核の穴は、あなた方をもう一度、特別な存在にしてくれる」。原爆テロを予告する一本の動画が日本を大混乱に陥れた。爆発は3月11日午前零時。福島第一原発事故への繋がりを示唆するメッセージの、その真意を政府は見抜けない。だが科学者と刑事の執念は、互いを欺きながら“正義の瞬間”に向けて疾走するテロリスト二人の歪んだ理想を捉えていた――。戒厳令の東京、110時間のサスペンス。
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Posted by ブクログ
圧倒的な密度だった。圧巻の一作。 「核の穴は、あなた方をもう一度、特別な存在にしてくれる」 原爆テロを予告する一本の動画が日本を大混乱に陥れた。 爆発は3月11日午前零時。 福島第一原発事故への繋がりを示唆するメッセージの その真意を政府は見抜けない。 だが、IAEAの技術官・館埜と警視庁公安部外...続きを読む事二課の刑事・早瀬の執念は、 互いを欺きながら正義の瞬間に向けて疾走するテロリスト イブラヒムと但馬樹の歪んだ理想を捉えていた。 戒厳令の東京、110時間のサスペンス。 核に対する知識が無いに等しいので、細かい設定や描写に 画を思い浮かべるのに苦労はするのだが、緊迫感は十二分に伝わる。 作中でも触れられていたが、自分自身もあの震災、そして原発事故に対し 正面から向き合ってきたかと問われれば、とても向き合ったとは言えない。 そんな無自覚かつ無知な自分が読んでいて情けなくなる。 決して、思想的な何かを押しつけるような作品ではないので ちゃんとエンタメとしても機能している。 こういった類いの作品は希有であり、重要である。 東京のど真ん中、象徴的な場所で原子爆弾を爆発させるという あまりにも想像の斜め上を行くとんでもない設定自体も 何故か荒唐無稽とは言えず、あり得そうなことだと思ってしまうのが 何ともこの先の未来に不安を覚えてしまう部分である。 早瀬が但馬樹に見せたラストの振る舞いで思わず涙してしまった。 人間描写もキチンと描かれているので、感情移入もスムーズにできる。 偶然にも今作を手にしてとてもラッキーだった。この幸運に感謝。
解説にも書かれているが、この小説はリアリズムである。であるが故に非常に怖い。現実に起こり得る出来事が描かれている。 東京オリンピックに向けた中で核爆弾によるテロが計画され実行されていく。現実ではコロナにより延期されているが、小説内では予定通り2020年に実施される予定となっている。 テロリストはIS...続きを読むの生き残りと日本人デザイナー。日本人デザイナーの動機は、日本に核の説明責任を果たさせる事。 デマの廃絶は現実世界でもまだまだだが、説明する事でしか解決出来ないと思う。
あぁ、素晴らしい! 緊張感、交錯する正義、実在するけど見てこなかった現実、そして希望。 僕はもうとにかく、この藤井さんの描く、多様な出自、バックボーンを持つメンバーがチームとなって目的をなそうとするところが大好きです!
One More Nuke。こんな文字を書くと、FBIやCIAからこのサイトが監視されそうです(苦笑)。 One More Nukeとは、「もう一度核を」と言う事。それはすなわち、(今のところ)最初で最後の被爆国の日本において、もう一度核爆弾を爆発させると言う事を意味しています。著者は、元々ソフト...続きを読むウェアエンジニアだった経験もあるので、そういうバックグラウンドのなせる業なのか、工学的な描写にすぐれています。 通常核爆弾は、核燃料を90%以上まで濃縮しなければならないとされていますが、この物語では、それよりはるかに低濃度の20%で核爆発を起こす事が可能な設計の核爆弾を設計し、製造してしまったと言う事が描かれています。(インターネット上の百科事典では核爆弾は20%以上の濃縮度と言う事になっている様ですが)でも、その低濃度核燃料で核爆発を起こす設計で、まぁまぁ高濃度の核燃料を爆発させると、出力が大きくなるんですね。どこまで科学的に正しいのかは知りませんが・・・。 日本が舞台でこの手の物語を描くと、荒唐無稽になりがちですが、この作品ではそんな事はありません。なんか「あるかも」と言う気にさせられます。
藤井太洋の作品は、本当にありそう、と思えるようなリアリティが感じられるところがすごく好きなんだと思う。 何が正しいのかをきちんと説明させるために、汚染を東京で引き起こそうとするテロリストと、事実を説明できる形に残そうとする科学者を中心に、原子力爆弾を巡って複数の立場の主体が駆け引きし合う物語。 忘れ...続きを読むてしまっているだけで、見えなくなっているだけで、偏見の芽はいくらでも残っているのだろう。 200812
今読むべき本、というのはこういうもののことを言うのだろう。 2011年3月11日から9年、2020年の3月11日を迎えるまでにこの本に出会い、読み終えられたことには本当になにか運命的なものを感じえない。 私たちの中に未だ深い傷を残すあの地震とあの事故にここまで誠実に大胆に向き合わせ、新しい角度か...続きを読むら考えさせてくれたこと、強い言い方になってしまうがあの事故に対して安い感動を与えることでそれらを美化するような小説しか発表されてこなかった9年間を脱却したことを評価したい。 また、あの事故とオリンピックを結びつけ、両者の問題をさらけ出すことこの本を2020年2月という時期に文庫化したことは作者の功績であり出版社の功績である。 今、日本人が読むべき1冊であると私は思う。
最後まで読まされた。 以下、ネタバレ含みます。注意。 2020年。 原発レベルの濃度の燃料で、原爆を生み出すことが出来るとしたら。 3月11日。 その爆弾を日本の中心地、東京新国立競技場で爆破させるという予告動画が流された。 イスラムから材料を持ち込んだイブラヒム。 ウイグル人であり、かつ...続きを読むて被曝実験に巻き込まれた二世でもあるシェレペット。 そして、フクシマの友人を亡くし、この綿密な計画を打ち立てた但馬樹。 追う側より追われる側に惹かれてしまう。 そこに、それぞれの背景があるからだろう。 核爆弾をめぐる緊迫したストーリーも読み応えがあるのだけど、そこには「終わりのない悲劇」が描かれているように思う。 福島第一原発の事故から現在まで、私たちは結局、納得などないまま、時間に任せて風化させられようとしている。 「今」はどういう状況なのか、安全なのか、それさえ、トピックにはなかなか上がって来ない。 時々見る記事には、相変わらず杜撰さを感じさせるものばかりだ。 国が正しい調査の上で「終わりを告げること」には意味があるのに。 勿論、私たちは一定それを疑うべきだとも思う。 けれど、核という巨大な力を扱うことに失敗し、国が放置したまま見えなくなった悲劇が、日本だけではなく多数あることも、この作品では言及している。 「終わりのない悲劇」を終わらせるためには、結局荒療治しかない。そう考えたのが、イツキなのだ。 ワン・モア・ヌーク。 悲劇を以て、改革を為す。 けれど、そこから生み出されるものは、混沌しかないんじゃないかと、私は思う。
直訳すると「もう一度核を」。恐ろしいタイトルである。 原爆テロを予告する動画が日本政府に届けられた。その時に向かって、各国の組織が、日本の警察が動き出す。 緊迫感溢れるストーリーである上に専門用語がバンバンと飛び交うハードなストーリーだ。かつてテロリストが米国内で核テロを企てる『ピースメーカー』とい...続きを読むう映画があったが、あれよりもずっとハードで、おまけにサスペンスフルだ。 最初こそ普段触れていない言葉に面食らうかもしれないが、そこを越えてしまえばあとはサスペンスに身を委ねればいい。緊迫感溢れるサスペンス小説だ。
現代東京、しかも時は2020年3月。 東京オリンピックを目前に控えた国内の混乱を具体的に描写しており、舞台描写はこの上なくリアル。 対して、そこで展開されるイスラム圏やCIAを巻き込んだストーリーは壮大で。 このリアルさと壮大さのギャップにイメージを刺激される。 突っ込み処はいくつもある。 例えば...続きを読む女犯人、超人過ぎ問題。 この人が本気出したら大統領選に出馬しながら自前でロケットつくりそう。 また例えば警官・科学者ペアの、察し過ぎ問題。 あの情報範囲からテロ犯の動機と分裂を見抜くのは第六感に近い。 世界を混乱に陥れ、日本経済に壊滅的ダメージを与えた犯人に、この人たちは事件による死者の「数」を日常のそれと比較して慰めたりもしている。 余波を思うと絶対そんな場合ではない。 ただこうしたザラザラした違和感を呑み下して先へどんどん読み進めるほど、魅力的な物語ではあった。 その魅力の主軸になっているのがおそらく、先述のリアルさに込められたメッセージ性。 3.11以降の原発問題や9.11以降のイスラム圏テロリズム勃興、隣国での核実験と人権侵害など、現代日本が抱える社会問題が多く織り込まれている。 読み進む程に、「我々日本人」は、「日本人だからこそ」、核・原爆を遠い国や過去の問題とせず、原発問題を過ぎ去った出来事としないで、学び続けねばならないと思いを強くする。 読後に余韻を引く物語。
良質なノンストップサスペンス。専門用語が多いが、犯人側の目的も、止める側の目的も明確。重要人物は経歴などの背景が過不足なく書かれてて感情移入しやすい。ラストも良い!映画化したら面白いと思う。
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