碧野圭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
野菜を中心にした〈菜の花食堂〉を営む傍ら定休日には料理教室も開いている下河辺靖子先生がタイトル通り「ささやかな事件」の謎解きをする第三作。
シリーズとしての変化は元生徒の香奈が押し掛け弟子として料理スタッフになり、食堂では瓶詰工房が完成して新たな目玉商品が出来ている。
主人公の優希は瓶詰商品の売り込みや新たな営業スタイルに向けての準備にこれまでにない充実感を感じて新たな決意をする。
事件は香奈の彼氏が料理を食べてくれない問題再び。
ピクルスのお酢だけを欲しがる女の子。
野菜の無人販売所で売り上げが増えている。
優希の隣人の謎の行動と臭い。
「ささやかな事件」だけに解決もあっさり。ちょっと強引さが感じなくもないが靖子先生の着眼点とそこから真相にたどり着く鋭さはさすが。
個人的には香奈の話は興味深かった。現代は食育と評して様々な物を食べさせる方向にあるが、それが良いことなのか何なのか、よく分からなくなった。早い段階で特性を見極めるという意味では良いのだろうが。
最終話では靖子先生の過去に触れる話が再び出てくる。店名に「菜の花」と付けているのに菜の花を食材として使わないのは何故か。
店内に菜の花の絵が飾られているのに目立つ場所ではなく隅にあるのは何故か。
靖子先生は語らないので触れられたくないのだろうが、優希は調べ始める。
優希のお節介かと思われたこの話だが、優希の新たな才能の発見とサプライズパーティーへ繋がる。それにしても靖子先生、周囲の人々には穏やかで優しいが自身のこととなると頑固。そして家族もまた…。だがその頑固さがあっての食堂であり開いた才能なのだろう。
二十五周年を迎えた〈菜の花食堂〉がどう変わるのか、優希や香奈がどう成長するのかも楽しみ。 -
Posted by ブクログ
『ちょっとしたヒントから真実を見抜く、日本のミス・マープル』こと下河辺(しもこうべ)靖子先生は、ランチのみの<菜の花食堂>を一人で切り盛りする傍ら、月二度、定休日に料理教室を開き講師を務めている。
そして教室の助手を務めるのが語り手でもある館林優希。無償の助手だが代わりに教室で様々なことを学んでいる。
第一作である前作の終盤、娘のSOSで即行動を起こした靖子先生のその顛末を知りたかったのだが、『いずれ時期が来たら』ということで今回は無し。
代わりに靖子先生のとんでもない過去が明らかになった。
このシリーズ、探偵役である靖子先生が60歳ということで年代としては若いがどうしても吉永南央さんのお草さんシリーズと比べてしまう。
お草さんもかなり壮絶な人生を送られた方だが、こちらの靖子先生もなかなか波乱万丈だ。前作でフランス人と結婚していたが離婚したという驚きの過去が分かったが、今回の驚きはそれ以上。詳細は読まれてのお楽しみに。
今回も様々な事件のなぞ解きをしていくのだが、改めて感じるのはなぞ解きそのものよりも、それとどう折り合いをつけるのかということ。
例えばある事件の犯人が知っている人だったら、あからさまに糾弾するのはかえって拗れる原因になって今後の付き合いにも支障がある。
また人を傷つけたことに気付いていない人にどう気付かせるのかというのも難しい。
人への伝え方、そのタイミング、誰から伝えるのか、どう決着をつけるのか、その難しさと大切さを考えさせられた気がする。
特に昨今ではSNSの発達によりそのトラブルも多くある。私自身も改めて考えさせられた。
靖子先生が優希と一緒に何日もかけて考えたレシピやその料理をアッサリ持っていかれたら『いい気持ちではいられない』どころではないだろう。
同様に、作家さん方が紡ぐ文章も表現も作家さん方が懸命に考え抜いて生み出したもの。
レビュー投稿では作品内の文章を抜き出すときは括弧書き(『』)で囲むよう気を付けているが、改めて大切に扱わねばと気を引き締めている。
作品に戻るが、シリーズとしてはちょっとした動きがある。香奈が新たなメンバーに加わったことで焦る優希だが、彼女には彼女の能力があり生かせる場所がある。
そしてその場が広がった<菜の花食堂>の今後にますます期待したい。
※シリーズ作品
①「菜の花食堂のささやかな事件簿」
レビュー登録あり -
Posted by ブクログ
ネタバレジェンダーギャップをテーマにしてそうだなー男の私には頭が痛い話なのかなー、と読み始める前は心配でした。
けれど、読み進めていくと男・女に限らず、仕事や私生活において考え方の違う人同士、どのように歩み寄って前に進んでいくか、というのが主軸では?と考えるようになりました。特に仕事に対するモチベーションの違いというのは、多くの人が仕事場で体験する悩ましいことなのではと思います。
読んでいて思ったのは「もう少しお前ら歩み寄れよ」という考えですかね? あるいは「相手の状況も考えてあげて」でしょうか。仕事を再開した達彦と駒子さんが家庭内のことでぶつかり合うような場面は、だいたい自分のエゴを相手に押し付けていることが多かったので、そのように思いました。
現実世界でもあるあるなシチュエーションだったので、そうした点で共感することが多かったです。あと、図らずも出世させられるという状況も気持ちがよくわかりますので(笑)、その点も個人的にツボでした。
そんな風に読んでいたので、解説がジェンダーギャップ激推しの内容だったのがとても残念に思いました。 -
Posted by ブクログ
「スタンドバイミー」形式のサスペンス推理小説ですね‼️
東京の書店に勤務する正和は、中学生の時に隣に住む幼なじみ同級生が犯した猟奇的殺人事件に巻き込まれる⁉️
動機解明の謎を主題にした小説ですが、推理小説で「動機」ほど難しい問題は無いでしょう❗
本当の「動機」は犯人にしか分からない、犯人すらも確かな「動機」を持ってない事も有りうるから、本格探偵推理小説では「動機」は後回しにされることも有るくらいです⁉️
難しい課題に取り組んだ力作ですね✨
作家さんの書店員への愛着は並々ならぬものがあるのが良くわかる作風なので、シリアスながら興味深く読み進めました -
Posted by ブクログ
ネタバレ"書店ガール"シリーズの最終巻。これまでに出てきた4人の女性店員たちのその後を描いている。
中学校の司書になった愛奈は、生徒のビブリオバトル開催を手伝うが、子どもたちが周囲から浮かないよう気を使いながら暮らす様子は少し痛々しい気がした。
取手駅の書店閉店後、彩加は地元の沼津に戻り、その地に馴染もうとする。
新興堂チェーンの東日本地区のエリアマネージャー、理子は、仙台店である櫂文堂のさらなる合併を聞き、社員たちの新店舗での雇用に心を砕くが、社員の多くや地元の住民たちは書店名が変わることに最後まで抵抗する。
大型店舗ばかりが増え、特徴のある書店が消えていく今の流れは、本好きにとっては残念なことだが、働く人たちが誇りと自信を持って働ける職場は素敵だと思った。そして、櫂文堂の沢村店長は辞職し、理子の淡い恋心も終わる。
そして、育休後、本部で働いていた亜紀は、吉祥寺店に店長として戻る。
それぞれが新しい場所で、前を向いて進もうとする姿に、少し元気をもらえた。