あらすじ
ベストセラー「書店ガール」シリーズの著者が描く、慟哭のミステリー。書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本があるのを知って驚く。それは、女子中学生が惨殺され、通っている中学に放置された事件で、正和の同級生の友人が起こしたものだった。しかも正和は、犯人の共犯と疑われてしまい、無実が証明された後も、いわれなき中傷を受けたことがあったのだ。書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。出版・書店業界の裏事情を巧みに盛り込んだ、著者渾身の長編小説。
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Posted by ブクログ
実際の猟奇殺人を彷彿とさせる本。
それぞれに葛藤があって、何が正義かわかんな苦なる時があった。
最後のお母さんの言葉たちも間違えじゃないんだろうな。
本や読者をなめるな。
うん、そうね。
Posted by ブクログ
もし、幼少の時に遊んだ友人が殺人事件を起こしたら?
自分の同級生が被害者だったら?
それも、犯人と隣同士で住んでいたら・・・
そして、共犯者にされて、マスコミの餌食になったら?
カリスマ書店員の主人公の店に、
ある日、猟奇殺人の「告白本」を発売することになる。
本が売れなくなっている現代、売れればそれでいいのか。
読み進んでいくうちに、タイトルの意味が徐々に納得していく。
「正義」を貫くことは大事なことか?
加害者の家族の思い、被害者の家族の思い、
一つの事件がたくさんの人を傷つけている。
胸が締め付けられるよう。
Posted by ブクログ
面白かった。面白すぎた。休日に読み始めたのをいいことに、イッキ読みしました。面白かった…。
わたしは西日本の某県に住んでいるので、某事件を彷彿とさせなくもなかったんやけど、もしかして(恐ろしい話やけど)この手の少年犯罪ってわりとどこでもあるんかもしれへんな…。いやほんまそれ恐ろしい話やわ…。
著者の本はどれも好きやけど、今までにないタッチやったような気がする。そもそも、男性目線の本を読むのも珍しいかも? 違う?
たぶん、あのあたりが怪しい…、とか、こういうオチがくるかも…、とか、たしょう予想はできるし、また
「まさかそんな展開!?」
と、いうこともないねんけど、もうページをめくる手が止まらん。
あえて言うなら、最後のページやったかもしれへん。
ここまでこれほどドラマティック(?)サスペンスホラー(?)な展開やったのに、すべてのまとめ方がほんまに著者らしいというか何というか…。
少年犯罪についての話ではなかった。犯罪者の周辺に対するマスコミの圧の話でもなかった。
ノンフィクションに対するモラル。でも、出版の自由は守られるべきやから、それに対して作られた本に対してどう真摯であるべきなのか、そのあたりが深く考えさせられるのが、とにかく著者ならでは。
読む立場のわたしとしては、やっぱり読む自由は守られるべきなんやろうけど……。
今までわたしはこういった「犯罪者の手記」的なものは読んでこなかったので、よくわからん。
たぶん今後も読みたいとはなかなか思わんやろうし…。
自己啓発本もさほど得意でない。よほど面白いと言われてたら手に取るけど、読み始めてもわりと途中で飽きつつ読んでる。(笑。ごめんやで)
物語が好きで読書をしてるから、ノンフィクションに対する意欲はあまりないんよね。
ノンフィクションなんて現実でおなか一杯。そんな現実から逃避するために読書をするのに、現実そのままの本なんていらねえなー。わたしは。笑
(この本はノンフィクション本ではないのよ!)
Posted by ブクログ
書店員さんが出てくる作品てどれも本への愛と、仕事として本を扱わないといけないことの葛藤が描かれていて、ほんとに大変そうだなと思う。この作品の本題はそこではないんだろうと思うけど、やっぱりそこが気になった。親の愛は、世界の正義なんて関係なく子どもを守る。エゴとも言えるんだろうけど。
Posted by ブクログ
私が知っている名古屋弁だ。中山七里の要介護探偵は、どうも名古屋弁というより岐阜弁ぽくてモヤモヤしたから、少しほっとしたというか。内容には関係無いけれど、地元の方言って気になっちゃうよね。
十数年前実際に起こったあの事件は、世間が大騒ぎになったからよく覚えている。本が出たときも話題になったし(本屋さんに行って、その本が並んでいるとガッカリしたものだ)、最近では、裁判記録が廃棄されたことでまた少し話題になった。
小説なので、遺体の扱いがよりエグくなっている。結局、何故事件を起こしたのか、本質が語られる事もないまま終わってしまっていたこと、主人公がこの先救われる、というか幸せになる予感がイマイチないことで、モヤモヤが残った。取材ノートを入手するくだりは、そんなことある? いくらなんでも偶然が重なり過ぎてない? とは思ったけれど、これがないと話が進まないので致し方なし。
書店員さんの話は面白いな。作家のフィクション論も興味深かった。(2023-05-10)(2023-06-03L)
Posted by ブクログ
菜の花食堂シリーズを先に読み知った作家さん
菜の花食堂シリーズはほっこり系だったけど、こちらは社会派ミステリー。
この作品のメインとなる事件は酒鬼薔薇事件を彷彿とさせるし、少年Aの告白本というところは2015年に発売された「絶歌」が思い出される。
件の事件とどうしても重なる部分があるから、恐怖感も強く感じる。文章は読みやすいのに、読み進めるのに気力が必要だった。
書店員として、売上のためには、好ましくない本も置かねばならないという苦悩もよく共感できる。
「本を、読者をなめるな!」
「フィクションは祈り」
というセリフは心に響いた。
その上で、後味の悪い結末であったと思う。
本当にあれでよかったのか。
悔い続けることが己の罰と言うが、本当に、よかったのだろうか。
Posted by ブクログ
最初は映画の「22年目の告白」に近い感じなのかな?と思っていた。主人公は猟奇殺人犯と幼なじみ。映画の被害者の一人の恋人の思うと近いイメージを受けた
しかし、少し読み進めていたら主人公は共犯扱いされていたという話が出てきてなるほど、これは映画のやつとは違うんだなと感じてきた。
書店員として働く主人公は嫌でも告白本と関わらないといけないタイミングもあって、そんな中かつて取材をしてきて最初に共犯説を書いた記者が告白本について自分を取材してきた。ここから事件の真相というより「告白本は本当に本人が書いたのか?」という方向に変わっていく。
そこからは上記の映画とは別物になった印象。
最後には勿論真相がわかるんだけど、それは主人公が犯行のキッカケとなった漫画を教え作中の少女が被害者に似てると言っていた事だった。
主人公は悩むがもう10年以上も経っている。犯人も刑期を終えて出所している。
そんな中で新しい真実をつげ罪を被害者家族に吐露するのは自分の罪を償うための懺悔なのか?はたまた自分が罪から解放されるための自己満足なのか?
これは本当に難しいことだと思う。ある二人はある罪を犯してるが、主人公のこの行為に対しては明確な“違法行為”とは言えない。それを白日の元に晒した所で確かに罪の意識を和らげるための逃げでしかない
しかしそこを黙っていると・・・・難しいね。
Posted by ブクログ
書店員さんの「書店作り」を少し知ることができました。確かに、書店によって置いてある本が違いますよね。
そして本題。少年犯罪… ラスト、そうなるか!
Posted by ブクログ
書店員が中学の時に起こった殺人事件。
その犯人の告白本を書店で手にした時に封印してた彼の心の中は、穏やかではいられず…
そこから書店員を中心に物語は始まるのだが、展開に引き込まれて一気読み。
本屋に関する売り場のことやバイト君の悩みなども挟みながらの少し楽に読める部分もあり…で。
そこは、書店員とタイトル通りなのか、と。
そして、二つの罪も最後に明確となるが、なんとも言えない複雑な思いの残る罪である。
母親の思いがなんともいえず…
消化しきれない。
Posted by ブクログ
展開が気になって、通勤時間に一気読み!
主人公の、書店員としての正義感と、事件関係者としての憤りやトラウマが入り混じって、どんな結末になるのかと、ページを繰る手が止まらなかった。
主人公の母親の気持ちも分かるし、主人公の弟や加害者の弟に同情するが、なんと言っても17年前の事件を蒸し返そうとする犯人と出版社に対して、ムカムカする気持ちが止まらない。
実際の事件でも、被害者家族や、近隣に住んでいたというだけでマスコミに追いかけられる人たちの苦悩は計り知れないものがあるだろう。
主人公の家族たちが出した結論が、正しいかどうかは議論が分かれると思うが、被害者家族のことを考えると、これで最善だったのではと思う。
下世話な暴露本に対する出版社や書店の葛藤も、読めてよかった。
Posted by ブクログ
17年前殺人事件が起きその後17年が経って、この中学の出身である正和は、東京で書店員をしていたが事件で正和も関わる事に成る。弟は事件の後引きこもり正和の実家の名古屋で三人で暮らしていた。父は死に母と弟を見る為名古屋の書店に変わるこの時の母は偉大だ、とにかく母強い、この母の様にはなれない。
Posted by ブクログ
かつて起こった未成年による猟奇殺人事件
遺体発見時の状況
長い時を経て出版された犯人による告白本
実際に起こった事件を想起させる設定に、事件当時の報道やその後の経緯を思い出しながら読んだ。
プロローグに登場した2人は誰なのか。
主人公が覚えていないと言う事件当時の記憶。
元少年の現在。
タイトルにある「2つの罪」とは。
間延びすることなくスピード感をもって展開していき、真相はすべて明らかにされる。
それを踏まえてあの結末をどう捉えるのか。
罰とは何か、贖罪とは何か。
書店は世相を映す鏡。
書店の使命と現実、本への愛情も感じられた。
Posted by ブクログ
なんとなく、誰が関わってくるのかの予想はついたけど、どんなふうに関わり、どう着地するのか気になって、一気に読んだ。
現実の事件をモチーフにしていることは明らかだったので、この結末はこれでよいの?というモヤモヤはある。
書店員だったり、司書だったりが登場するのは、本好きは惹かれるポイント。
Posted by ブクログ
同級生の女生徒を殺害した犯人は隣に住む幼馴染。始めの語り手が誰なのかずっと引っかかっていたけれど終盤でわかる。巻き込まれた者達の苦悩や封印していた心の罪。共感もあればスッキリしない点も残る。書店員として本に向き合う姿勢は興味深かった。
日々、右から左へ流れ、消費されては忘れ去られていく様々な事件事故に対する自分自身の姿勢も振り返り、考えさせられました。
〈心に残った言葉〉
"忘れること、忘れられることは、時に救いとなる。"
Posted by ブクログ
突如発売された猟奇殺人事件の暴露本をきっかけに溢れ出す、ある書店員の忘れ難い過去。
ミステリと言われてはいますがミステリ感はほぼなく、心理描写や周囲の人々とのやりとりがメインの人間ドラマといった印象。
中盤の『フィクションとは』のスピーチには思わず深く共感しましたw
Posted by ブクログ
実際に起きた過去の事件を彷彿させていて、読みながらメンタルがゴリゴリに削られていく。読むのやめようかと思った。
それでも最後まで読み進めた結果、後味の悪い結末でなんとも言えない重苦しい気持ちが残りました。
読むなら気力体力が充実してる時をオススメします。
Posted by ブクログ
リアルに起こった事件を思い出させる内容で、私は当時のことを年齢的にもあまり詳細に覚えていないのでそこまで嫌悪を抱かなかったけれど、苦しい人もいるだろうなとは思った。
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書店員の椎野正和は、ある朝届いた積荷の中に、少年犯罪者の告白本があるのを知って驚く。それは、女子中学生が惨殺され、通っている中学に放置された事件で、正和の同級生の友人が起こしたものだった。しかも正和は、犯人の共犯と疑われてしまい、無実が証明された後も、いわれなき中傷を受けたことがあったのだ。書店業界が「売るべきか売らないべきか」と騒然とする中、その本を読んだ正和は、ある違和感を覚えるのだが……。
Posted by ブクログ
個人的に後味が悪い話で、結末に納得できてないが、理解はできる作品だった。
罪とは、告白とは、と考えさせられる一冊。
自分の感想として、主人公の罪はバタフライエフェクト並でそこまでではないし、被害者遺族からすればたまったものではないだろうが、『罪』というほどだろうか?
犯人に関しては比較的推測されやすいと思うが、今回はフーダニットというよりホワイダニットだろう。
文章に癖がなく、読みやすい。普段読まないミステリーのタイプだったので戸惑ったが、こういう本もあるのか、と勉強になった。
Posted by ブクログ
実際にあった事件をモチーフにしていることは帯を見た時にうっすら感じていて、内容もかなり真に迫るものがありました。
現実味のない残酷な罪を犯した人が何を思い、どう感じながら、なぜ罪を犯したのかという点について、民衆は「自分とは違う何か」を期待しがち。
環境や生まれもったものの違いはあれど、自分と変わりない人間であることに気付かされた作品でした。
作中に何度も、「差別」についての問いかけがあったように思います。
作者の思想が垣間見えるような気もしますが、題材ともマッチしており、良かったと思います。
途中で出てくる「フィクションは祈り」という台詞が出てくるシーンが好きです。
私自身、フィクション作品に対して現実世界のしんどさを救ってくれるものだと思う部分もあるので、とても共感しました。
Posted by ブクログ
「本を、読者をなめるな」
書店員、椎野正和が発する言葉に胸が熱くなる。
きっかけは、いつも通り開けたダンボール。
目に飛び込んで来たのは自分が深く関わった17年前の猟奇殺人事件の告白本だった。
告白本の内容に違和感を感じ真相を追い求めながら、正和は書店員としての自身の在り方を見つめ直して行く。
早い段階で黒幕の正体に気付くがそれよりも人間の心の奥に潜む闇にスポットが当てられ本当の正義と真の贖罪について考えさせられる。
ただ、実在の事件モチーフに矛盾を感じ作者の言わんとするメッセージ性が薄まってしまった1点だけが残念。
Posted by ブクログ
多分初めましての作家さん。プロフィールを見たら、「書店ガール」の方でしたが、「書店ガール」も読んだことはなく…。他の方のレビューを読むと、他の本でも書店員がよく出てくるとか。この本も主人公はカリスマ書店員。
ただ、物語の背景は、世間を震わせる少年犯罪なので、実際にあった事件を彷彿とさせるものがあり、楽しく読めるものではない。いや、物語と思って切り離して読めればいいんでしょうけどね。
とにかく改めて分かったことは、事件の大きい小さい関係なく、被害者だけでなく、その事件の周りの人達は皆ずっと苦しみ、悲しみ続けているということ。そして世間が忘れてくれることを祈ってひっそりと生きている。
と、ちょっと重かったですが、読みやすかったので他の作品も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
内容は、凄惨な少年犯罪を題材としたストーリーだけど、とても面白い真面目な社会派ミステリーだった。主人公の正和さんの人柄が自然体だけど丁寧できちんとした人だからかな。書店員さんの苦悩とか書店で働く面白さとかも垣間見えて興味深かった。私も高校生の時に書店でアルバイトした経験があるけど、その時は気付かなかった書店員からの目線とか面白かった。
ラストは、必ずしも正しいとは言えない終わり方だったけど、母親の立場からみたら私もこの選択に心動かされるかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
ん〜〜
手応え今ひとつ…のめり込めなかった。
正和の仕事が書店員、そこに告白本、関連はあるので書店員としての思想や仕事の様子が多少折り込まれてくるのはありかと思うけれど、本橋君とのやり取りとか必要だったかな?と疑問。
この事件関係者の各々の立場による苦悩や追い込まれていく様が今ひとつ伝わって来なかった。
本当は生きることすら難しい苦しみだったはずなのに…
Posted by ブクログ
神戸の事件を思い出しますね。告白本が出た時、私も書店でバイトしていてうちは置くのかと呆れた記憶があります。だからと言って何もしなかったですが。
正和は関係者でもあるから尚更だけど、葛藤した書店員もいたんだろうなあ。
そういう視点からの事件の進め方は興味深かったです。
子どものためなら正義なんて二の次という正和母の気持ち、私としてはよく分かります。結末にも納得です。
ただ、本の中で「今さらなぜ告白本を」と疑問に思う声がありますが、この本自体も事件を蒸し返すみたいで・・・どうなんでしょうか。
Posted by ブクログ
「スタンドバイミー」形式のサスペンス推理小説ですね‼️
東京の書店に勤務する正和は、中学生の時に隣に住む幼なじみ同級生が犯した猟奇的殺人事件に巻き込まれる⁉️
動機解明の謎を主題にした小説ですが、推理小説で「動機」ほど難しい問題は無いでしょう❗
本当の「動機」は犯人にしか分からない、犯人すらも確かな「動機」を持ってない事も有りうるから、本格探偵推理小説では「動機」は後回しにされることも有るくらいです⁉️
難しい課題に取り組んだ力作ですね✨
作家さんの書店員への愛着は並々ならぬものがあるのが良くわかる作風なので、シリアスながら興味深く読み進めました
Posted by ブクログ
書店員が出てくるお話だとのんきに構えていたら、重すぎる内容に胸焼けをおこした。
過去の事件にとらわれ続ける家族の悲哀。救いがなく、やりきれない連鎖で辛かった。罪を告白することだけが解決ではないという母の言葉には複雑だった。誰も幸せになれない現状を打破できるのは時間なのだろうか。なんともやりきれない。
Posted by ブクログ
書店ガールの作者が書いたミステリー。
書店員と殺人が頭の中で繋がらなくて、ワクワクと不安が入り混じっている感じでした。
サカキバラ事件を元にしているミステリーで今更と思いましたが、絶歌が出版された時の出版、書店の状況を感じられて興味深かったです。売りたい、売りたくないという2面で書店によって対応が分かれたんだろうなと。
主人公と犯人の少年が幼馴染だったという展開で書店員という仕事と無理なく接続され、その後の展開もとても面白かったです。
結末は如何なものか・・・。