二宮敦人のレビュー一覧
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藝代の中でも美校、音校と校舎が分かれており、
それぞれが異なる輝きを放っている。
大きな括りで見れば音校の方が時間に厳しく、その根源は音楽の評価の一過性にありそうだ。
美術は作品として手元に残り、将来にわたって作品として残り続ける。しかし音楽はその時、その場にいる観衆に向けて演奏するものであり評価されるのは今現在である。それゆえに音楽は一過性であり
今この瞬間をベストなものにするために普段から労力を惜しまない。
こう書くと美校はサボっているように聞こえはするが、作品を長い時間かけて己の気持ちや表現を昇華していく姿は決して非難されるべきものではないだろう。
各学部生との対話をもとに展開してい -
Posted by ブクログ
医師を目指し、医学部で切磋琢磨してきた同期3人。
今は同じ病院で勤務している。
院長の息子で副院長の福原は患者を救うことに情熱を燃やす。
一方、桐子は死ぬことが決まっている患者には辛い治療を勧めず、緩和ケアを勧める。それが故に死神という仇名が付けられている。
福原は今やそんな真逆の考えの桐子を疎み、病院から追い出したいと思っている。
そんな2人の間に立ち、なんとか仲を修復しようとするのが音山だった。
音山は2人のように強い信念がなく、患者の死に慣れていく自分を嫌悪していた。
日々関わる患者たちに訪れる死。
それに向き合う医師の誰が、何が正しいとは言えない。それぞれに想いがあるから。
3人の関係 -
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無料のホストクラブと聞いたら、怪しくて近寄ろうとは思いませんが、ヒペリカムのような場所があるなら行ってみたくなりますね。
どう表現するのがいいのか難しいですけど、人間臭いというのでしょうか。
表に見えてる顔や言動だけでは、その人を理解することはできない。
かと言って、その本質というか本心というかを見ることは容易ではない。
当たり前のことなんですけど。
ヒペリカムのスタッフも、ヒペリカムを訪れるお客さんたちも、それぞれが悩みを抱えていて。
自分が何を望んでるのか、何を悩んでいるのか、自分のことなのにわからないこともありますよね。
そんな時に誰かと対話することで、見えてくるものもある。
ヒペ -
Posted by ブクログ
上巻から続く桐子医師の幼少期。
入院中に出会った1人の女性との賭け。
諦めていい、に至るまでの葛藤は凄まじかったのではないかと思う。
死に向かうとき、私ならどうするのか?
考えさせられてしまうし、考えておくべきなのだろうなと。
後半は前半の流れを汲みながら、過去と現在を行き来するが、この過去と現在の行き来がとてもスムーズ。過去と現在が同時に描かれているのに違和感がない。
むしろ患者の脆さや悲しみがよく分かる。
上巻、下巻を通し、ある家族を追っていて、正直こんなに偶然が重なる?と、客観的に思ったりしたのだけれど、一気読みするくらい興味深く拝読した。
医師は仕事柄、死に慣れてしまうのではな