二宮敦人のレビュー一覧
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ネタバレ思いがけず、涙がこぼれそうに。
数学科に通う息子のレポートがリビングに散乱していることがよくあるが、理解するどころか読むことさえ、不可能。そんなことから、バリバリの文系の私も数学という文字には興味があり、手にとった一冊。
例として挙げられているような数式らしきものは、やっぱり全く意味が分からず、何度もよみなおしてやっぱりわからない…と、思ったが、数学者の情熱とか思いとかがあちこちから溢れていて、そこに感動したし、数学だからって特別ではないことは感じることができた。
何かに打ち込むって、すごいこと。
でも、少し偏っていて、それが魅力であることも事実。見方を変えれば、変人。
これ読んで、息 -
Posted by ブクログ
東京芸大に関するルポ小説をお書きになった二宮敦人さんのお作。学生競技ダンスについての1冊だ。
身内に競技ダンスの選手がいる。踊りが好きで好きで、バレエにシアターダンス、ジャズ、様々経験して、幼い頃からの踊る生活の後、学連から競技ダンスを始め、ここに書かれている、悲喜こもごもを味わい尽くして、卒部後、アマ戦に進み、現役で踊っている。
身内は一橋大ではないが、学連の競技ダンスというのは、そこに携わる選手の方たち、全部が大きな『競技ダンス選手部』とでも言いたいような、連帯があるように見える。ここに書かれていることは、誇張ではない。勉強や仕事があるにも関わらず、皆さん4時間、7時間、と練習する。睡 -
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『死』を受け入れる生き方を説く医者と、『生』を諦めず死に勝つ闘いをする医者の話。
医療ドラマだけど奇跡は起こらないし、綺麗事フラグはへし折られて行くし、登場する患者さんは漏れなく死にます(ネタバレでなくタイトルで書いてある)
流れる日常の中で淡々と病気と死に向き合うお話。
奇跡を待つのは現実逃避かもしれない。
末期患者に生を望むのは本人の為でなく周囲のエゴかもしれない。
死ぬことは怖いし避けようのない絶望だけど、そこに向かう手段は一つじゃなくて、それぞれに希望する死に方、生き方、闘い方がある。
人が死ぬ話も病院モノも好きじゃないし普段読まないけど、タイトルの響きのように静かで優しい物語で、 -
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ネタバレ久々の二宮作品。
蛍川鉄道の藤乃沢駅を舞台に描かれる若き鉄道員・夏目壮太の物語。
いやぁ、こんなに心が温まるとは思わなかった。
読み終えた最後の医者3部作も良かったですが、本作は読み終えてとにかく温かい気持ちになれます。
そしてW主演的に描かれる就活生の藤田俊平は、何度も就活に失敗する中で、駅員達と地域住民、乗客との心温まる連携を目にし、自ら蛍川鉄道への就職を決意する。
大まかに言えば、藤乃沢駅を舞台に3つの物語が収められていますが、ラストで明かされた事実によりその3つの物語で登場する人物たちが藤田俊平の家族たちであったことも明かされるミステリーの要素までプラスされ、得した気分にもな -
購入済み
すごすぎる、、
本屋さんで見かけて、真っ黒な表紙に赤いタイトルがあってとても惹かれ手に取りました。電子書籍の方ではカバーが違いましたが、やはり内容はとても秀逸です。ダークで人の闇を感じるような作品が好きということと、書簡形式のような作品が読みやすく感じる私にとって、“日記“という人の内面を包み隠さず表現したこの作品は、終始とても心に刺さりました。短編のような形式なので、長編が苦手な方も楽しめるとは存じますが、私は面白すぎて、一気に読了いたしました。本当にどストライクです、、!もし私と似たような方がいらっしゃれば、きっと気に入っていただけるのではないでしょうか。このレビューが少しでも参考になれば幸いです^^
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Posted by ブクログ
「競技ダンス」といえば『Shall we ダンス?』や『ボールルームへようこそ』を思い浮かべるけれど、「学生競技ダンス」ということで始終友人のF氏を連想しっぱなしだった。大学時代、こんなふうに部活を頑張ってきたのかなと。「2人で」作り上げる点や、「競技」であり順位が付くという点は異なるけれど、大学オケにも通じるところが多々あって、どうしたって自分の大学時代の記憶と重ねて読んでしまった。一つ飛ばしで親子関係の代になるとかあるよなあ。それでも競技ダンスは、順位が付く点以外にも、自分の不足やミスは唯一パートナーに向かってしまうとか、固定とシャドーに分かれてしまうとかがあって、流石につらそうだ。オケに
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Posted by ブクログ
筆者の出身、一橋大学の競技ダンス部の経験を基にした小説。ひたすら部活に打ち込みそして悩む姿、現在と過去の交錯した構成は感動の嵐。
ノンフィクションではなく小説とのことだが、おそらく多くは実体験に基づいていると思われる作品。
きっと誰もが心のどこかに抱えているだろう過去に対するほろ苦い思い。封印していた過去。10年以上が過ぎ、ようやく立ち向かう筆者。過去と現在の両方で主人公が成長していくストーリー。
もしかしたら自分がワンタローだったかもしれないと思いつつ、感情移入して終始楽しく読むことができた。「最後の秘境東京藝大」のような楽しいひたすら楽しい展開を想像するも予想外に哀しいストーリーにハ