二宮敦人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『「えっ、全音符に書き順なんてあるんですか?全音符ってあれですよね、数字の0みたいな‥」
「はい、ちょっと潰れた数字の0ですね。その時はわかんなかったんですが、ちゃんと書き順があるんです。二画です」
安井さんが手本を示す。まず上から下へ左側の半円を書き、続けて上から下へ右側の半円を書く。これで二画。』
(本文より)
えー!
そうだったのぉー!
全音符!
一応音楽科を出た者としては、自己の勉強不足に呆れる。
この本は 「面白かったよ」と教えてもらって手に取った本
タイトルも小気味良い
表紙の絵も素敵
『何をやってもOKということは、やりたいことがなければ途方に暮れてしまうということ。やりたいことがあり、それをせずにはいられない‥そんな人たちばかりなのだろう。』
(本文より)
これは絵画科油画専攻の方たちの様子を表した部分
なんか 東京藝大って楽しそう
次、人間に生まれたら入学したいかも‥というのが今回この本を読んで1番強く思った感想
『現代では数学を意味する「マスマティクス(mathematics)」は、古代ギリシャでは学問全般を意味する言葉であり、哲学や数学、自然科学と一緒に音楽も含まれていた。』
(本文より)
なるほど〜
未知だった東京藝大について面白く実情知れる本だった
キングヌーの井口理さんも登場していた
平成31年発行の本だから、今やこの本に登場した他の方たちも様々な進路に進まれているんだろうな‥
今は なぜだか日々自分が不安定なんだけれど
芸術っていいなと改めて思った
音楽を聴きに行ったり、美術館に行ったりしたい
音楽を奏でたり、作品をつくったりもしたい
やりたいと思う気持ちはあるけれど
やる‥に進めない自分がいる
でも 今はこれでいい
そう 思えただけでも 読書ができただけでも
良かったんだと思う
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Posted by ブクログ
変人揃いの東京藝大、なかなかその中に入って実態を知ることはできないので、本書はとても勉強になったし面白かった。
音校と美校の違いや、敷地内の雰囲気など、実際に関係者を伴って訪れないとわからないことがリアルに描かれていて良かった。
学生さんへのインタビューもたくさん掲載されていて、声楽科のページにはKing Gnuの井口理氏も登場していてびっくり。まだ有名になる前だったと思われるが、こんな普通じゃない環境からはやはり有名になる人たちが生まれるんだな、と説得力があった。
井口氏の語る内容もとても興味深い。
「僕ら、知らない人に声をかけるのとか苦じゃないですよ。基本、人が好きですし」(210ページ)
「僕らやっぱり、声が楽器ということを誇りに思ってるんです。人間の体って素晴らしい、人生って素晴らしいと根っから肩じてるんですよね」(225ページ)
こんな人たちもいるんだ。自分の感じ方とは全然違うなと、改めて天才のすごさを思った。
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Posted by ブクログ
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下)を読み終えたあと、私の中に残ったのは「もし自分ならどうするのか」という、簡単には答えの出ない問いだった。自分や大切な人が治らない病に侵されたとき、穏やかな死を受け入れるべきなのか、それとも一分一秒でも長く生きることにすがるべきなのか。本作はそのどちらかを選ばせるのではなく、その問いそのものと向き合わせてくる。そして気づかされるのは、「どう死ぬか」を考えることが、「どう生きてきたか」を見つめ直す行為でもあるということだ。
物語の核となるのは、対照的な二人の医者の在り方である。どんな状況でも生を諦めず、最善の治療を尽くそうとする福原と、死を受け入れ、その人らしい最期を尊重しようとする桐生。上巻では理念の衝突として描かれていた二人の対立が、本巻ではより個人的で切実な問題へと深まっていく。とりわけ、医者自身が病と向き合う場面では、これまで語られてきた信念が揺らぎ、人間としての弱さや葛藤が露わになる。その緊張感は強く、読み進めながら何度も立ち止まりたくなるほどだった。
また、本作で印象的なのは、患者たちが選び取る「最期」の多様さである。一般的には、少しでも長く生きることが良しとされがちだが、この物語はそれだけが正解ではないことを静かに示している。短い時間であっても、自分自身が納得して選んだ生き方の延長にある死は、一つの「達成」とも言えるのではないか。一方で、延命によって生じる苦しみや、家族の葛藤といった現実も丁寧に描かれており、どの選択にも痛みが伴うことを突きつけてくる。だからこそ、この作品には単純な善悪では割り切れない重みがある。
タイトルにある「雨上がりの空」という言葉も、読み終えたあとには違った響きを帯びてくる。死が避けられない「雨」だとするならば、その後にどんな空を見上げるのかは、その人の生き方によって決まるのかもしれない。悲しみや苦しみの先に、それでも何かを願う余地が残されているという感覚は、本作の静かな救いでもある。
二宮敦人は、死という重い題材を扱いながらも、単なる悲劇としてではなく、「生」を照らし出すものとして描いている。読み終えたとき、私は自分が今こうして生きていること、そして明日があるかもしれないという当たり前に、改めて目を向けたくなった。いつか訪れるその時に後悔しないためにも、今日という一日をどう生きるのか——本作はその問いを、静かに、しかし確かに胸に残していく。