二宮敦人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
屋上から飛び降りる寸前、僕は小指の曲がった謎の男と出会った。ネットで評判の「自殺屋」らしい。
僕は彼と共に、自殺志願者たちの最期を見届けることに……。
『最後の医者シリーズ』などの二宮敦人さんの「既刊発掘シリーズ第三弾」として発行された新装本。ちょっと調べたら魔法のiらんどで掲載されていた痕跡が見つかってびっくりしました。なつかしいな魔法のiらんど!
自殺をメインテーマにした1冊ですが、一概に自殺を否定も肯定もせず、自分の存在意義や自我、意識について考えさせるような問答が続くのが特徴的。
登場人物の設定や考え方もめちゃくちゃなんですが、とってもライトな哲学書を読んでいるような気分にもなり -
Posted by ブクログ
二宮敦人さんの最後の医者シリーズ
とある患者の死を引き金に、福原は封じられていた過去の記憶が彷徨い始め、手術の執刀が出来なくなる。
一方で、その患者の遺された愛妻 藤間藍香もまた、生きる気力を無くし、自分を見失っていた。
特徴的なのは、医師と遺族の2つの物語が同時進行しながらも、大切な人を亡くてなお、遺された人の生きる道を描き切っているところ。
本作は、身近な人や大切な人を、どのように亡くしたか、どのような別れ方をしたかといった経験が、読後感に大きく影響しそうな作品だと思う。
遺された人にフォーカスしているので、切なく重苦しい内容になるのは当然だが、描写が軽くて感情移入しずらく、とりわ -
Posted by ブクログ
最後の医者シリーズ第3弾。
明日も生きていると信じて疑わなかった26歳の男性が劇症型心筋炎で亡くなった。喪失の圧倒的な悲しみに打ちひしがれる彼の妻・藍香と、彼の手術を手掛けるも死なせてしまったことで手術が出来なくなってしまった医師・福原がそれぞれの苦闘の末、彼の死を受け入れて次へと進んでいく過程を描く物語。
そこに絡んでくる藍香に恋するチャラい男・尋が変わっていく姿も描かれる。
スーパードクター福原の挫折、藍香の底なしの悲しみのパートが交互に描かれるが、ちょっとぶつ切り感があってひとつの物語としてのまとまりがないな〜と感じた。
福原の同期の桐子の変わりようや、尋の藍香への献身が際立つ。浩平