あらすじ
累計50万部突破!「最後の医者」シリーズの著者、怒涛の4ヶ月連続刊行第3弾!
なぜ殺し、そこに何を思うのか。
これは殺人鬼の記録を集めた残酷で残忍な真実の1冊だ。
【あらすじ】
理想の女性を求めて撲殺を繰り返すホスト。ランナーズハイ殺人鬼OL。子どもの犠牲を正当化する母親。地球を守るために法を犯す女。愛する”肉”を監禁する肉屋。美しいものを”裏返し”続けるテレビマンなど……。それぞれが日本中を震撼させた事件の真実を告白していく。なぜ殺し、そこに何を思うのか? その猟奇的な殺害手段とは? 予測不能の狂気にあなたは必ず戦慄する! 普通の人よりも人間らしい――これは殺人者の記録を集めた一冊。【文庫書き下ろし】
著者について
●二宮敦人
1985年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。代表作『最後の医者は桜を見上げて君を想う』等、フィクションとノンフィクションの垣根を越えて活躍。著書に『18禁日記』『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』『紳士と淑女のコロシアム「競技ダンス」へようこそ』等がある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最近読んだ本の中で、間違いなく一番面白かった一冊。
「殺人鬼」という存在に正面から向き合った作品で、思想の異常さにゾッとしながらも、殺人鬼の妙な説得力に引き込まれてしまう。怖いのに面白くて、知りたくないのに知りたくなる。その相反する感情が、自分の中でせめぎ合いながら最後まで読み切った。
本屋で何気なく手に取ったのが運命だったと思う。冒頭の「殺人の危機にさらされたくなければ、殺人について調べ知り実態を確かめるべきなのです。」
という内容で知りたいと思った。最初の章「故障」を少し読んだだけで、グロテスクな描写や性描写に圧倒されつつも、“怖いけど読みたい”という矛盾した欲望が止まらなくなり、そのままレジへ直行。そこからは仕事の合間や寝る前に夢中になって、気づけば3日で読破していた。
どの章も印象的だったけれど、「選別」だけは読むのがつらかった。戦時中に子どもを自分の手で3人も失う母の話は、単なるフィクションとして切り離せず、娘を持つ自分と重ねてしまい胸が苦しくなった。読みながら「もし自分だったら…」と考えてしまい、手を止めてしまう場面もあった。
それでも全体を通して、この本は“人間の奥底にある残酷さや狂気”を浮かび上がらせるだけでなく、“なぜ私たちは恐怖や死に惹かれるのか”という問いを投げかけてくる。単なるエンタメの枠を超え、好奇心や想像力を揺さぶってくれる体験だったと思う。
読後感は決して軽くはないけれど、ページを閉じたとき「読んでよかった」と素直に思えた一冊。怖いもの見たさを満たしたい人、そして“人間”を深く覗き込みたい人におすすめしたい。
Posted by ブクログ
犯罪心理学に興味があり、手に取りました。
読んでいく中で、「どうして人を殺めることをしてしまう、できてしまう人がいるんだろう」という疑問についての答えが少しずつわかってしまった、そんな感覚になりました。
人それぞれに、信じるもの、大切にしているもの、譲れないものがあり、それが度を超えてしまった「ふとした瞬間」に、私たち人間は人を殺めてしまうのかもしれない、と感じました。
Posted by ブクログ
私は人を殺すのも人に殺されるのも怖いのです。どちらも最悪な事態であって、回避したい。しかし、回避するには殺人について誰よりも知らなくてはいけないのです。ですから、私は殺人についてよく知るために、それらの話を収集しています。
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先日読んだ「文藝モンスター」の作者二宮敦人さんの小説。前作はコミカルなミステリ小説だが、表紙から醸し出される殺伐とした感じからもわかるように、こちらは正真正銘のホラー小説。実際に人を殺した殺人者たちのあらましを独白という形で、内容は狂気の沙汰ばかりだ。
この作者さんの本を読んだのは、まだこれで二冊目なので偏見の極みのような発言だが、この人の本はこれだよな!という感じだった。 殺人者、しかもシリアルキラーや性癖をかなりこじらせている頭のねじが何本も吹き飛んでいるような面々ばかりが出てきて、読んでいるこちらが頭がおかしくなりそう。事件はどれも痛ましく、悲惨という言葉がふさわしいのだが、独白形式だからなのだろう。殺人者の成り立ちと、殺害方法、今まで起こしてきた事件の内容を、何ともない様なあっけらかんとした感じで語るので、深刻さが薄れてしまう。後味はどれも悪いのに、なぜか癖になる。読んでいる間は私も非常に深刻そうな顔をして読むのだが、読み終えると何故か腑に落ちていて納得している。 全く謎である。 以前もこの作者さんの本の感想を述べるとき登場人物たちが個性的で生き生きしている、という言葉を使ったが、もしや、今回の小説もこれが当てはまるからそう感じたのかもしれない。 やっていることは陰惨だし、起こった事件は惨劇でしかない。
普通に殺すだけでは飽き足らず、遺体の損壊や、自分の欲望に忠実に動き独りよがりな犯行を繰り返すシリアルキラーもいた。だが、最初から最後までブレることなく、やり切る様はなんとなく美学の様な物を感じる。もちろん、真似をする気はないし、通常の精神状態の人間ではできるものではないが。 もしこんな事件が実際に起こってそれをニュースで見たり、新聞の一面で見たりしたら、最悪の殺人者としか思えない。なのに、そこ殺人者たちの人間性を加え、なるべくしてなったという背景を加え、それを独白という形で表現し、魅力的なキャラクターに昇華してしまう作者の手腕には舌を巻いた。
そうか、私は彼らのキャラクターに魅力を感じたのか……。(栄光という話に出てくる男はまごうことなきクソ野郎だったが) しっかり犯罪の描写や殺人の描写、人が死んでいく描写が書き綴られているので、読む人によっては、悲惨で、グロテスクで、最悪な一冊かもしれないので要注意。後味は絶対に悪い。 そういえば、人間が与えるバイオレンスは苦手だったはずだが、この本はどうしてだか読めてしまった。 いつもは少し読んだだけでゲェッ、となるのに……。
グロテスクであるのに、グロテスクじゃない。陰惨なのに陰惨じゃない、と感じるこの作者の小説は非常に私にとって癖になる不思議な本。なんて、面白い!
Posted by ブクログ
どういうふうにこの独白を集めたのか気になるところ
インタビューではなさそうだし
細かいところがよく分からなくて気になってしまった
殺人鬼たちの話す内容は面白かった
肉屋の話が一番面白い
Posted by ブクログ
おもしろい!
殺人側の気持ちがわかりやすく独白という形でつらつらとかかれているし、共感しやすい。
ピンとくるところがある。
臓器のやつがリアルタイムで近いので怖かった。
運動系はこういう動機があるんだ。
走った時のみに出てくるておもしろい。
私はラーメン屋でラーメン啜っているときにでてくる。帰宅欲なのか強迫的な礼儀なのか、啜っている最中に心の中でごちそうさまと言っている。こわい
Posted by ブクログ
理想の女性を求め撲殺を続けるホスト、肉を愛しすぎて肉屋になった男、周囲から求められ長距離ランナーになった女性の苦悩、など7人の殺人鬼たちの独白集。それぞれは独立して繋がりはないが、どれも理解不能…とは言えないところが恐ろしい。
Posted by ブクログ
人は殺人するものと殺人しないもののどちらかに分かれる。その分岐点は日常の中にひっそりと、でもあちこちにあって知らずに通り過ぎる場合もあればいつの間にかそこに立たされたりする。らしい。怖かった。
Posted by ブクログ
理想の女性を求めて撲殺を繰り返すホスト、地球を守るために法を犯す女性、愛する肉を監禁する肉屋……。
これは殺人者の記録を集めた一冊。
「自分がいつ殺されるか、あるいは殺してしまうか怖くて仕方ない」という人物が、殺人者について調べ、実態を知るため蒐集した殺人者にに関する記録、という形で語られる、7人の殺人者の話。
一人称視点で、自分の犯行について語る形式で、話によって多少程度の違いはありますが暴力的・グロテスクなので苦手な方は注意です。
どの殺人者も、狂気に満ちているようでいてどこか冷静というか客観的な部分を持っていて、意外と、殺人を犯してしまう人とそうでない人の違いはほとんどないというか、ただ単に些細な切欠からすとんと良くない方向へ落ちてしまう人も多いのかなと、読みながらそんなことを考えました。
私は肉屋の話、『真愛』が一番好きでした。自分の異常性と性癖に向き合ったうえで上手いこと生きていけそうだったのに、惜しいなと思ってしまった。
中には、殺人者とあきらかになっていない人もいそうなのに、収集者はどうやって彼らが殺人者と知ったのか。収集者やその収集方法、また聞き手の正体を考えるとまたそわっとします。
Posted by ブクログ
7人の殺人鬼の独白。
戦時中自分の子供を見捨てた話を見ず知らずの若者に語り出す老女の「選別」(この人だけは殺人鬼ではないな)言ってることが支離滅裂すぎて逆に何かリアルに怖い「信頼」肉を愛しすぎてる肉屋の「真愛」が面白かった。
Posted by ブクログ
自分はいわゆる凡人なので、
散々、サイコパスなホラーな物語を
読んできたはずなのに、
どこか殺人の動機はいつだって、
復讐だったり、怒りや衝動によって
起こりうるのだと思っていたようだ。
あらゆる嗜好の延長線上に殺人があるのだとは
信じがたいと考えていたようだ。
まだまだ摩訶不思議な嗜好が
溢れているのがこの世界か。
スルスルと読めてしまい恐ろしい。
目の当たりにしたら耐えられるはずもないのに
文章ではスルスル理解してしまう。
なんてことだw