ポール・オースターのレビュー一覧

  • サンセット・パーク(新潮文庫)

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    リーマンショック後のアメリカを舞台に、野球、映画、家族(と家族の死)などオースターが一貫して書いてきたテーマに加えてちょっとセックスの要素が多く他の作品ほど感情移入はできなかったけれどもサンセット・パークの住人4人のそれぞれの視点から構成される各章は面白かったです。

    The Best Year of My Life(オフコースじゃない方)観てみたいな。

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    2025年12月11日
  • サンセット・パーク(新潮文庫)

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    リーマンショック後のニューヨーク。朽ち果てた建物に不法居住しつつ毎日を懸命に生きる若者たち。それぞれ苦悩もありつつ若者らしい恋の悩みもあったり、閉塞感のある世界の中でささやかな楽しみも垣間見える。
    国は違えど、就職氷河期をどうにか生き抜いた日本の若者たちに重なる色を感じる。
    この後、4人+αはどんな人生を歩んだのだろうか。

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    2025年12月08日
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)

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    【写字室の旅】

    オチがよかった。あと数ページだけどどうやって物語が終わるんだろうって思ってたところでのそういうことか、と分かった時は快感だった。
    オースターが今まで書いてきた作品の登場人物たちが沢山出てきて、それぞれの作品を思い出しながら楽しく読めた。オースターはそんなつもりで書いてないかもしれないけど、ファンからしたら最早ファンサービスだと思う。
    物語の登場人物が自我を持ったらという題材は色んなところで見るけど、物語を世に生み出すことの責任や畏怖のようなものを感じた。

    【闇の中の男】

    前半の写字室の旅と同じく物語を作ることについてのお話。
    こちらは前半とは違い、作り出された物語の中の人

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    2025年11月20日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    ニューヨークの街並み、96丁目を曲がってとか109丁目の角を曲がってとか、ほとんど街並みのイメージが出来なかったけど、依頼を受けた私立探偵の動向が気になって仕方なかった。ドン・キホーテの解釈や失楽園、新バベルがとうとか難しい話も出てくるけど、そこはあまりこだわらなければ十分楽しみた。物語に著者のポールオースター自身が登場すると言う変わり種の本。のめり込んで自分を失う怖さを味わった。

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    2025年11月15日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    偶然の出会いと別れによる人生の激しい浮き沈みが描かれることで、ストーリーに惹きつけられ、読書中は現実の悩みを一時忘れさせてくれます。必ずしも時系列ではない語りがあり、匠の技を感じました。

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    2025年11月09日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    デビュー作から異彩を放っているポールオースター。先が気になる予想できない展開に加えて類稀なる表現力と文章力。訳者もすごい。最後の物語の締め方も良かったです。

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    2025年10月29日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    アメリカの近代作家オースターのニューヨーク三部作、鍵のかかった部屋と幽霊たち、とで3冊。
    話的には繋がってはいないけれど、3冊に共通するのは、ニューヨークという現実の世界の中で感じる非現実感。読み進むと、幻想的な迷路にはまってしまったような感覚に陥ります。
    どの話も推理小説のようであって推理小説ではありません。主人公は、誰かを探す、観察する、探偵、という体裁をとりながら、ひたすらある人を追ってニューヨークブルックリンの街を徘徊します。
    相手を知ろうとすればするほど他人とは何かと考え始め、他者の不確かさが深まり、延いては自分と他者との境界はあるのか、自分とは何か、となります。
    結論もなければ謎の

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    2025年10月15日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    どこかでグッと掴まれるとか、起承転結がバッチリあるとか、あんまりそういう感じじゃないんだけど(ずっとちょっと変で悲しい話)、なーんか飽きずに楽しく読めて不思議。
    MSフォッグ(と彼女のキティ)、フォッグとエフィング(目の見えない偏屈なじいさん)、エフィングの過去、フォッグとバーバー、バーバーの本の内容、みたいにそれぞれまあまあちゃんとした(どちらかというと重くて悲しい)話がたくさん出てきた。
    でもなんからみんな好き。
    特に最初のフォッグの、お金無いのにその中で謎にやりくりしようと頑張るところがなんか好き。叔父さんの残した本を読みまくって、売って、何もなくなったら公園で生きて…私も助けに行く親友

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    2025年10月02日
  • 4 3 2 1

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    学ぶことがとても多い読書であった。
    ページが進むにつれて、悲しい出来事が起きていき、読んでいるとこちらまで鬱っぽくなる時があった。けれども必ず章の最後の方に。人生において糧となり指標となってくれるような言葉が綴られていて。それを見つけるために頑張って読んでいた気がする。
    神は果たしてどのような意図で肩をすくめたのか?
    自らのちょっとした、あちゃーやってもた、ごめん!というべき策士的失敗にか。それとも、良きことを重ねていれば必ず神は報いてくれる、という人間の思い込みにか。そもそも神はいるのか?
    でも
    神はいないかもだが、生は必ずそこにある。死もまた確実にそこにあり、生と死は一体である。
    自ら選ん

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    2025年10月01日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    一度落ちるところまで落ちた生活から老人と出会い真実かわからない昔話と繰り返される出会いと別れの中で運命の数奇さが散りばめられている。最後はなんだか唐突せ切なくてとても良かった。

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    2025年09月21日
  • インヴィジブル

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    ネタバレ

    アダム・ウォーカーが書き残した彼の人生。ルドルフ・ボルンとの出会いと殺人疑惑。彼に物語を託されたジムはアダムの死後、彼の人生を追う。

    ポール・オースターも村上春樹と同じで、読むタイミングがある作家さん。今は波長が合うらしく、ずっと読んでしまった。アダムの物語やジムに語られる関係者の話が引き込まれる。

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    2025年09月19日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    ポストモダン的な話とかドンキホーテの話とか聖書の話とか教養がないからむずい。これ推理小説なのか?
    ムーンパレスと雰囲気近いけど、ムーンパレスの方が読みやすかった気がする。

    ニューヨーク行く機会あったらもう一回読みたい。

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    2025年09月08日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    不格好で、不器用にもがく滑稽な姿。
    主人公の青年期が見事に描かれています。
    「ムーン・パレス」 ポール・オースター著
    若い頃、何冊も同じ著者の本を読んだのですが強く印象に残ったのはこちらの一冊でした。
    今年に入ってニュースで著者の訃報を受けました。その夜から3日間でこの小説を再読しました。
    物語の前半は、主人公がとにかく極限状態に落ちていく様子、
    後半はそこから回復して、自分のルーツを探すという設定です。
    後半からの話はちょっと奇想天外で、ここが面白い!という方々が多々ですね。
    私は、主人公マーコがどんどん落ちて彷徨うところが、この作品の一番の魅力だと思っています。
    この主人公の精神状態がその

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    2025年08月12日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    ガラスの街など比較的初期のオースターを読んでいたので、今回の作品は少し違う雰囲気ではあるけど、面白く読めました。 準主人公のグラスの周りで起こる悲喜交々、徐々に生きる意味を取り戻しつつある現実に911が暗い影を落としています。後期の作品も面白いです、また他の作品も読みたい。

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    2025年08月04日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    思索の過程に浮かんでは消えてゆく言葉の数々を残らず捉え、文字として残す。それら言葉の連なりは、もしかしたらそれ自体が物語なのではあるまいか。もう一人の自分が居るとして、その存在を捉えることができたなら、僕は彼の人生を同じく歩いて行くことができるだろうか。世の中は不思議で、不思議なものだと決めてかかれば、さほどでもなく、何事にも頓着しなければ、しないなりに、どうにも説明のつかない事態に巻き込まれてしまうこともある。先入観では語り尽くせないのが人生で、世界は、その目に映るすべての物事でしかない。想像はあくまで想像で、現実にリンクしたら、それは想像ではなくなってしまう。あれは、こうだ。それは、ああだ

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    2025年07月06日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    ほぼジャケ買いで購入。
    色々な謎が残り読後何ともモヤモヤする。

    そもそも事件そのものもはあったのか。
    主人公の見ていたものは、全て孤独な彼自身が生み出した幻覚ではなかったか?
    最後に出てきた一人称の「私」は誰なのか、「私」が書いた体になってるが作者はポール・オースターなのはなぜなのか。

    ものすごく自分が落ちたとき、また読みたい。

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    2025年06月07日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    ひょんな間違い電話から探偵家業に手を出し、奇妙な白紙の世界に足を踏み込んでゆくダニエル・クイン。
    この物語は必ずしもバッドエンドではないと憶測する。僕にはクインが、初めからこの謎の世界に憧れていたと思えるのだ。

    映像でしか見たことのない、レンガとガラスの壁に囲まれたニューヨークの街並みが朧げに眼前に迫ってくる。憧れと不思議な懐かしさを覚える風景。

    僕はまた、この本を一種のオジサン文学の萌芽と見たい。勘違いしたクインが、若い女性に蔑まれるシーンがあり、滑稽な笑いをもたらしている。

    この人の作品を、もう少し読みたくなった。

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    2025年06月07日
  • 4 3 2 1

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    ネタバレ

    2段組みかつ余白はほぼなし、そして約800ページという超ボリュームのこちら。2024年に永眠したオースターの最期から2つめの作品である。ファガーソンの4つの物語。激動の50~70年代のアメリカが舞台。メインヒロインはエイミー。(.1.2.3.4でエイミーとの関係はいろいろかわる)愛と性と野球と学生生活、政治がメイン。
    790ページくらいでからくりが判明。それまでパラレルワールド的な感じで読んでいたので、やられたと感じる。つまり.4の作家になったファガーソンが.1.2.3のファガーソンの人生を創作したということなんですよね。途中から白紙になって脱落していくファガーソンもあり。

    2.2 落雷によ

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    2025年05月20日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    探偵小説と言われれば眉をひそめたくなるし、純文学かと言われれば「純文学って何ですか?」と言い返したくなる。
    ほんのイタズラや出来心に端を発した物語を読者は追うだけだが、大きな事件など一個も起きないのに不思議と先が気になって仕方がない。
    一応、謎はあちこちに出てくるが推理小説のようにトリックや伏線として活かしていくわけではない。余白か、あるいは主人公の思考を観察・あるいは描写するものとして登場するのみだ。
    そんな不思議でヘンテコな物語なのに結末では奇妙な寂しさがあった。

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    2025年05月18日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    最後の最後で爆発する「ブルー」の怒りが凄まじい。
    きっちり落とし前をつけて新しい世界へ去っていく。なかなか爽快です。
    それにしても、行動範囲が限れた主要人物たった3人による駆け引き、よくこんな設定を考えたものだと感心した。

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    2025年05月14日