ポール・オースターのレビュー一覧

  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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     突然のポール・オースターの訃報を聞き、長年積読状態だった本書を手に取りました。難解と思い込み本棚で眠っていましたが、オースターってこんなに面白かった?と思わせる小説。10ページ弱のエピソードが怒涛に展開してとても読みやすい。「アメリカ文学」って高尚に構えるのではなく、日本の小説ではないアメリカ的な「物語」を読んでいる、引き込まれて行く感覚。
     結局、人は一人では生きられない。誰かとの繋がりを求めている。オースターの小説の登場人物は、高度資本主義かつ大量消費社会に馴染めないインテリの男が多い。本書もしかり。人間は愚かな生き物だけれども、だからこそ魅力的でもあり愛すべき存在。
     もちろん読みやす

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    2024年05月13日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    誰かのおすすめ本で紹介されていて
    気になって購入後、積読したままにしてたら
    何に惹かれて買ったか、どんな内容か
    さっぱり忘れてしまってた

    わたしの最近の傾向でSFだったかなーと
    思いながら読み進めたが、物語である。

    僕の視点で話はすすむ
    むむむ、最後まで読み切れるかなー
    と不安になりつつ、読み進める

    50ページも過ぎた頃からか
    どんどん引き込まれていく
    彼の中に。
    小説って、また読もうと思うものはなかなかない
    一回読んで、あーよかった、面白かったと

    でも、最後まで、ワクワクもするし
    人生についてすごく考えさせられる
    アメリカ文学って、結構文化的なことを
    知った上じゃないと楽しめないのが

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    2024年04月08日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    お気に入りの本になった!
    波瀾万丈あるけど、喜劇的な要素が多く、悲しいシーンでも文章にユーモアがあり面白いから楽しく読めた。
    主人公ネイサンは基本的には他の登場人物たちを手助けするような立ち回りだったけど本人もしっかり作中で成長していて、人生の明るい部分を思い出させてくれるかのようなお話だと思った。
    ポールオースターを読んだのは冬の日誌/内面からの報告書に次いで2回目。なのでまだ多くを語れる立場ではないけどこの人の書く文章や感性が好きだなと思う。

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    2024年02月23日
  • 冬の日誌/内面からの報告書(新潮文庫)

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    自分の人生を肉体と精神のそれぞれの側面から振り返った本。
    ただの自叙伝ではなく、構成がかなりユニークで面白いと思った。時系列順に並んでなかったり、各章でアプローチ方法が全然違ったりなど。あんまり詳しく書くとネタバレになってしまうけど、私は本を書く人間ではないのに思わずこういう書き方もあるんだって感嘆するようなものだった。
    全く違う国と時代と性別に生まれた人だから、情景を上手くイメージできないこともあったけど、それでも筆者の人生を一緒に辿るのが楽しかった。

    恥ずかしながらポール・オースターのことは知らなくてこの本をたまたま書店で目についたからなんとなく買っただけなんだけど、文章がとにかく面白く

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    2024年02月13日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    何かに導かれるようにして出会ったこの作品は、私にとって今のところ唯一、心の底からおもしろいと感じた翻訳小説である。
    個人的に古典的な翻訳小説で難しいのは、断片的には面白いのに特に章立てがないためストーリーの繋がりが理解できないところだったけれど、「ムーン・パレス」は、それにもかかわらず最初から最後まで夢中で駆け抜けた。まさに青春小説の傑作。本棚に大事にしまって、何年後かにまたそのページを開きたい。

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    2024年02月11日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    そろそろ事件が動く頃だろうと期待するたび肩透かしを食らいながら読み進めていって、最後数ページでようやく自分がこれまで読んできた物語の正体がわかった。アハ体験かよ。

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    2024年01月07日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    村上春樹を彷彿とさせるような、
    非常に読みやすい文体。

    書き出しが本当に素晴らしい。
    この書き出しに、ノスタルジーもワクワク感も凝縮されている。

    再生と喪失を繰り返す人生
    登場人物もみんなチャーミング
    青春小説の傑作!

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    2023年09月11日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    良い本だ。
    M.S.フォッグの生き方に対しては、自分もそうなってしまうのではないかという不安と、羨ましさの感情が混ざる。

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    2023年07月18日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    衝撃。
    あらすじとしては単調なのに面白く読み進められる。奇妙な世界観。
    自己、考えること、書くこと、見ること、幽霊たち、たくさん考えさせられる。

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    2023年04月08日
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)

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    「闇の中の男」作中作と現実世界が交互に進み、どうなるんだろうと思ってどんどん読んだ

    ミステリーではないから伏線があって分かりやすく繋がっているというものではないが、通して読んで本当に良かったと思えた海外文学作品
    特に孫娘に語るソーニャとの日々のところが良かった
    読後感も良い

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    2023年01月05日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    作者の意図は、小説を書くことを見ること。その人間離れした奇妙さを言語化すること。しかし、見ることは、書くことと独立はしていない。クールに見ることは出来ないのだ。見るものは読んでしまう、そこに自分自身を。関与しすぎるものに、自己を見失わせる。

    これはメタ小説だ。

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    2022年06月16日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    人生そのものの価値を改めて感じさせる物語。
    ストーリーも愉しいけれどどこを読んでも面白い語り口が気持ちいい。

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    2022年02月18日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『アメリカの多様性にもがく人達の再生物語』

    離婚・癌・退職と人生を終える場所としてブルックリンに戻ってきたネイサン。甥のトムとの再会をきっかけに、ニューヨークに暮す多様な人達との悲喜劇を描く。オースターにしては明るめなハッピーエンド物語だが、随所に挟み込まれたウィットはさすがオースター!

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    2022年02月13日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    軽易な物語ではない。
    張り込みをする探偵が相手を知る度に自分とその居場所に迷い込む。
    語りの主観と客観が行き来する進行に読者も迷い込む。
    私とは誰なのか。彼は私なのか。
    個の存在に社会が付き纏う...
    その旨を暗に示唆する解釈を孕んでいるのか。

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    2021年11月01日
  • インヴィジブル

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    『真実を求めれば求めるほど、目に見えない物語』

    1967年コロンビア大学での二人の出会いから物語は始まる。複数の語り手が語る物語は、一体何が事実で何が作り話なのか、その境界が『不可視』である。最後まで、物語の全体像は『不可視』である。でも、それが心地良く感じるのが、ポール・オースター。さすがです。

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    2021年07月21日
  • インヴィジブル

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    「一九六七年の春、私は彼と初めて握手した。そのころ私はコロンビア大学の二年生で、何も知らない、書物に飢えた、いつの日か自分を詩人と呼べるようになるんだという信念(あるいは思い込み)を抱えた若者だった。」という主人公アダムの書き出しで、オースター読者ならピンと来る。本作も、ここ最近のオースター小説のベースになっている内省的自叙伝の色合いが濃いのではないかと。(1967年、オースターはコロンビア大学の二年生) もうこの時点でオースター・ファンとしては期待値が一段階アップする。
    語り手がアダムになったり、彼の友人のジムになったり、そして、ジムの語りの中でアダムの残した手紙を読んだり。こうしてアダム像

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    2020年05月04日
  • インヴィジブル

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    Sturm und Drang.

    本書を読み終えた直後の私の心境は、まさのこの一言であった。暴力的なまでの物語の持つ力を見せつけられ、数分の間、茫然自失としてしまう自分がそこにはいた。

    私にとって、現存する作家の中で新作をチェックしてほぼ読むようにしている数少ない一人がポール・オースターである。これまで彼の最高傑作は多くの人々も認めるように1989年の『ムーン・パレス』だと思っていたが、その認識を改めた。本作こそ最高傑作といって良いのではないか。

    物語は1967年、文学を志す20歳のコロンビア大学の男子学生を主人公に幕を開ける。彼が突然巻き込まれる暴力と恋愛をトリガーにして、彼の一生が劇

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    2018年12月30日
  • インヴィジブル

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    物語が物語を呼んで、さらに物語を紡いで、また前の物語に戻っていく。しかも、それらの物語の語り手はみんな異なる(四人もいる)。結局、真実は何だったのか...誰の物語が嘘で誰の物語がほんとうのことなのか。色々考えてしまったり。おもしろいです。す

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    2018年11月09日
  • インヴィジブル

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    ネタバレ

    旧友から送られた回顧録の体裁を取ってるとはいえ、倫理的にも社会的にも結構エグい話。オースターと訳者の品格ある文章に抑えられているのを差し引かなかったら、かなりドン引きしていたのは間違いない。またその話が複雑で流動的な枠構造に彩られ、ドンドン物語世界の深みにさらわれる。読み終わりたくない、と久々に思った。

    主人公アダムはオースターの主人公としては定番なタイプとは言え、美しく聡明な姉グウィンとの関係は、何故かサリンジャーのグラース家を彷彿とさせる。
    更に、一応インテリながら歪んだエゴ炸裂で一皮剥けば変人どころか剣呑なルドルフは、偏執狂気質を露呈するとどうもイマイチ魅力に乏しい一方で、「王妃マルゴ

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    2018年10月11日
  • サンセット・パーク(新潮文庫)

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    ネタバレ

    リーマンショック後の冷え込んだ景気のアメリカで、4人の若者がサンセットパークの廃屋に不法滞在してシェアハウスする物語。

    金融危機で起こった不景気による先行きの見えない不安と未来に対する絶望感は今の日本の感覚とも通じるものがあり、解説でも語られている通りの「いま・ここ」にしかない切迫感が凄まじい。それは立ち退き期限の迫った廃屋の不法滞在という腰の座らなさがそのまま若者たちの「寄る辺なさ」へと繋がっており、夢や目標のために節約しているというより本当に行き場がなくて迷い込んだような感じなのがたまらなく切ない。群像劇視点ながら主人公含む4人ではなく、主人公マイルスの父親であるモリス・ヘラーの視点も混

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    2025年12月14日