ポール・オースターのレビュー一覧

  • ムーン・パレス(新潮文庫)
    誰かのおすすめ本で紹介されていて
    気になって購入後、積読したままにしてたら
    何に惹かれて買ったか、どんな内容か
    さっぱり忘れてしまってた

    わたしの最近の傾向でSFだったかなーと
    思いながら読み進めたが、物語である。

    僕の視点で話はすすむ
    むむむ、最後まで読み切れるかなー
    と不安になりつつ、読み進...続きを読む
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)
    お気に入りの本になった!
    波瀾万丈あるけど、喜劇的な要素が多く、悲しいシーンでも文章にユーモアがあり面白いから楽しく読めた。
    主人公ネイサンは基本的には他の登場人物たちを手助けするような立ち回りだったけど本人もしっかり作中で成長していて、人生の明るい部分を思い出させてくれるかのようなお話だと思った。...続きを読む
  • 冬の日誌/内面からの報告書(新潮文庫)
    自分の人生を肉体と精神のそれぞれの側面から振り返った本。
    ただの自叙伝ではなく、構成がかなりユニークで面白いと思った。時系列順に並んでなかったり、各章でアプローチ方法が全然違ったりなど。あんまり詳しく書くとネタバレになってしまうけど、私は本を書く人間ではないのに思わずこういう書き方もあるんだって感嘆...続きを読む
  • ムーン・パレス(新潮文庫)
    何かに導かれるようにして出会ったこの作品は、私にとって今のところ唯一、心の底からおもしろいと感じた翻訳小説である。
    個人的に古典的な翻訳小説で難しいのは、断片的には面白いのに特に章立てがないためストーリーの繋がりが理解できないところだったけれど、「ムーン・パレス」は、それにもかかわらず最初から最後ま...続きを読む
  • 幽霊たち(新潮文庫)
    そろそろ事件が動く頃だろうと期待するたび肩透かしを食らいながら読み進めていって、最後数ページでようやく自分がこれまで読んできた物語の正体がわかった。アハ体験かよ。
  • ムーン・パレス(新潮文庫)
    村上春樹を彷彿とさせるような、
    非常に読みやすい文体。

    書き出しが本当に素晴らしい。
    この書き出しに、ノスタルジーもワクワク感も凝縮されている。

    再生と喪失を繰り返す人生
    登場人物もみんなチャーミング
    青春小説の傑作!
  • ムーン・パレス(新潮文庫)
    アメリカ文学の人気作家、ポール・オースターの青春小説。
    物語序盤では、主人公は大学で勉学に励む最中、唯一の家族を失い、失望のあまり死を待つようにホームレス生活に身を投じることとなる。
    その後の主人公の転落から再生を描く中には、諦念からの自己認識、そして無我の境地という、どこか仏教的な思考の経過を辿る...続きを読む
  • ムーン・パレス(新潮文庫)
    実存とアイデンティティーを巡る旅が、
    こんなふうに結びつき、
    答えに行き着くとは。

    3人の男性(いや、おじさんも含めて4人か)が己を見出し解き放たれるために、
    それぞれがすべてを得て、
    すべてを失う必要があったわけだが、
    みなそこに一筋の希望が生まれている。

    ポール・オースターが、
    自作のうち唯...続きを読む
  • ムーン・パレス(新潮文庫)
    柴田元幸という翻訳者を知った小説。それ以来、オースターの新作を積読する日々。村上春樹っぽい今作を超えるものは個人的にはない。柴田元幸は翻訳はもちろん、エッセイが面白い。東大でのお仕事はどうなっているのでしょうか。
  • 幽霊たち(新潮文庫)
    衝撃。
    あらすじとしては単調なのに面白く読み進められる。奇妙な世界観。
    自己、考えること、書くこと、見ること、幽霊たち、たくさん考えさせられる。
  • ムーン・パレス(新潮文庫)
    主人公マーコ・フォッグが盲目の老人トマス・エフィングの見回りの世話をするバイトをするところを読んで、これは映画『セント・オブ・ウーマン』ではないかと思いました。アル・パチーノがアカデミー主演男優賞を取った映画、面白かった。1回目見た時はタンゴを踊るシーンしか覚えてないのですが、何十年後かに見た時はア...続きを読む
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)
    「闇の中の男」作中作と現実世界が交互に進み、どうなるんだろうと思ってどんどん読んだ

    ミステリーではないから伏線があって分かりやすく繋がっているというものではないが、通して読んで本当に良かったと思えた海外文学作品
    特に孫娘に語るソーニャとの日々のところが良かった
    読後感も良い
  • ガラスの街(新潮文庫)
    借り物。
    読む前に想像してた結末とは違って少々混乱。
    文は読み易いのに内容は難解で、余韻があるところは村上春樹に似てるような気もする。
    スティルマン父との接触シーンは、ドキドキかつ知的な感じ。ラストはまさに狐につままれたようなという言葉が似合う。
    著者と同名のポール・オースターが作中に登場する。ドン...続きを読む
  • ガラスの街(新潮文庫)
    ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

     ニューヨークの都市が舞台となっている小説です。読んでみると一見探偵ものに見えます。ストーリーは尋ね人の姿を追い街を歩く主人公の視線と彼の自問自答、思考の振れ、感情の起伏が重なりあいながら、推理小説っぽさを醸し出します。
     ストーリーのなかで登場人物の存在や...続きを読む
  • サンセット・パーク
    やっぱりポール・オースター好きです。続けて浸りたいこの感覚。

    10年ほどニューヨークの実家から出て音信不通だった主人公が、たった1人だけ連絡を取っていた同級生に誘われて、ブルックリンに建つ木造の古い廃屋で共同生活をする。金融危機の直後の貧しい主人公や学生男女4人。皆個性的な4人が、それぞれの視点で...続きを読む
  • 幽霊たち(新潮文庫)
    作者の意図は、小説を書くことを見ること。その人間離れした奇妙さを言語化すること。しかし、見ることは、書くことと独立はしていない。クールに見ることは出来ないのだ。見るものは読んでしまう、そこに自分自身を。関与しすぎるものに、自己を見失わせる。

    これはメタ小説だ。
  • ガラスの街(新潮文庫)
    入れ子構造をどう考えるか?
    探偵小説家が探偵をする。
    ドン・キホーテ論から書くということの実在性の持たせ方を立論する。
    ポール・オースターが作中にも登場して、構造を撹乱する。
    虚構の実在。実在の虚構。

    末路は、哀れなようでわからない。非実在なのだ。ノートを除いて。

    現代芸術の意味で、これは現代文...続きを読む
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)
    人生そのものの価値を改めて感じさせる物語。
    ストーリーも愉しいけれどどこを読んでも面白い語り口が気持ちいい。
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)
    『アメリカの多様性にもがく人達の再生物語』

    離婚・癌・退職と人生を終える場所としてブルックリンに戻ってきたネイサン。甥のトムとの再会をきっかけに、ニューヨークに暮す多様な人達との悲喜劇を描く。オースターにしては明るめなハッピーエンド物語だが、随所に挟み込まれたウィットはさすがオースター!
  • 幽霊たち(新潮文庫)
    軽易な物語ではない。
    張り込みをする探偵が相手を知る度に自分とその居場所に迷い込む。
    語りの主観と客観が行き来する進行に読者も迷い込む。
    私とは誰なのか。彼は私なのか。
    個の存在に社会が付き纏う...
    その旨を暗に示唆する解釈を孕んでいるのか。