ポール・オースターのレビュー一覧
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遂に、読み終わった…
1947年生まれのポール・オースターによる自伝的小説
戦後史において恐らく最も激動だった60年代を若者として生きることは、自らの可能性が何通りにも分かれパラレルワールドの如く並行して存在するように感じるのかもしれない
面白かった!
自伝的小説というより、彼の世代の大河ドラマと言うべきか
青春の戸惑いと喜びを書かせたら彼の右に出る者はいない
身体と精神の変化、神との関わり、性愛、クィア、闘争、死…
辟易しないのは、この小説のスタイルと、彼の「小説と思弁的な散文のあいだの微妙な線を歩く術」のおかげだ
そして、
今の制度がダメだからと革命を起こそうとして失敗したのが6 -
Posted by ブクログ
面白い!790ページの物語に一週間どっぷり浸かって、まずはそう言い切れる。が、いやー疲れたってのも本音。
ひとたびファーガンソン君を好きになってしまえば、横溢する詩、書物、音楽、そして映画の固有名詞も、ファーガンソン君を形成していく重要なピースとして愉しく読める。
しかし、教養といってしまえばそれまでだが、誰の本に感銘を受け、どの映画が最高かを論じるのが友情を築く土台だとすると、僕などは全く資格に値しないのは残念なところ。ファーガンソン君は1960年代アメリカの空気を胸いっぱいに吸いこんで青春を駆け抜けていく。
“これまでファーガンソンはいつも、人生は一冊の本に似ているとあらゆる人から言わ -
Posted by ブクログ
オースター初期、ニューヨーク3部作のうち「孤独の発明」と「幽霊たち」は読んだ記憶があるのだが本作は未読。追悼特集で平積みになっていたところでついに手に取った。
探偵小説のような体裁で書かれているが、探偵小説のような謎解きも、事態の進展もない。
馴染みがありそうな例えをするならば、村上春樹的な不思議空間に迷い込み、探偵のようなことをさせられた男の物語といったところだろうか。
いささか実験的小説のような印象も受け、いろんな手法とテーマが混ざり合っているのだが、敢えて軸となるテーマを探し出すとするのであれば「言葉」と「狂気」と「認識」だろうか。
虐待を受けて育ったクライアントが用いる違和感のある言 -
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「それは人類が初めて月を歩いた夏だった」
主人公マーゴの物語が始まる。
敬愛するビクター伯父さんを亡くしてから、隙間から見える「ムーン・パレス」のネオンサインを、ただ眺め、思い浮かべるだけの生活を彷徨う……やがて、友とキティという女性に助けられて、無為の果てから生還する。
そののちに出会ったエフィングという人物が、主人公に生き様を見せる。
「……どこでもない場所のど真ん中の、何もない荒野に、独りぼっちで何か月も……わしはどこへもいく必要なんかないんだ。ちょっとでも考えれば、とたんにもうそこに戻っているんだから。このごろじゃ一日の大半はそこにいるのさ……」
物語は次に主人公マーコとエフィン -
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難解だと感じるのに面白いからかするする読み進められた。
いかにもミステリーといった始まり方だったから途中まではこの事件の真相は一体どこにあるんだろう、どうやって解明されるんだろうとワクワクして読んでいたけどそういう次元の話ではなかった。
最後の方急に物語が動くけどラストシーンであれはあの時の伏線だったのか!と思う瞬間がありそれがとても楽しい。
結局どこに行ったんだろうね。途中で語られてた街にいる様々な人たちと同じようにニューヨークの街に溶けて消えてしまったみたい。
三部作は幽霊たちを先に読んだんだけど本作も同じく書くことの苦悩を感じた。 -
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自己紹介を兼ねた序章で、本書の主人公は3歳の時以来56年ぶりにブルックリンに戻ってきたと書かれている。肺癌を患い、目下のところ小康状態で、生まれ故郷のブルックリンで過ごすことにしたと。病気のためか明らかにしていないが、仕事はリタイアしたと。くしくも、日本でいう定年退職の年頃だ。
定年退職者の日常となると、1か月前に定年退職を迎えたわが身としては他人ごとではないが、平穏なわが身と異なり、主人公はいろいろな人と関わり、周辺でいろいろな出来事が起こる。タイトルのフォリーズ( ”愚行” や”愚かな”) の意味の通り、客観的に見れば、些細で愚かなことかもしれないが、ご隠居の視点から見ると、関わる人 -
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ニューヨーク3部作からオースターを読んでる身としては、
この2作は本当にニューヨーク3部作との関係性で語りたくなる作品。
というのはあの3部作はまさに「作家が小説を書くというのはどういうことか」をめぐる3作だったわけだし、
もちろんその後の作品でもそういった問題意識を提示してきたけれど、
この2作は本当にそこを前面に押し出して「書くものの責任」「書かれた世界への畏怖」みたいなものを強く感じます。
「写字室」はコミカルであり、ファンサービス的な部分を感じたけれど、「闇の中の男」は後半の作家を殺さなきゃならないって部分で緊張感が高まるし、映画化もあるんじゃないかと感じました。
スパイク・ジョーン -
購入済み
オースターファン向けです。
『孤独の発明』を30代の頃に書いたオースターが歳をとり自分の身体史・精神史を振り返ります。個人的には「冬の日誌」の方が好きかな。
ここから大作『4321』に繋がるわけですがこちらはまだ未訳…。 -
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ニューヨークに暮らすダニエル・クインは、かつて探偵小説で名を馳せた作家だった。しかし今では、世間を驚かせるような作品を書く気力もなく、匿名でミステリーを書いて生計を立てている。そんなクインの元にある日、助けを求める電話がかかってくる。「探偵のポール・オースター氏に事件を解決してほしい」という依頼だ。しかし、ポール・オースターなる人物には全く心当たりがない。間違い電話だと思って切ってしまうが、その後も何度も同じ電話がかかってくる。仕方なくクインはポール・オースターという探偵のふりをして、電話の主に会うことにする。
待ち合わせ場所でクインを迎えたのは、ヴァージニアという女性だった。彼女は依頼人の