ポール・オースターのレビュー一覧

  • ガラスの街(新潮文庫)

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    難解だと感じるのに面白いからかするする読み進められた。
    いかにもミステリーといった始まり方だったから途中まではこの事件の真相は一体どこにあるんだろう、どうやって解明されるんだろうとワクワクして読んでいたけどそういう次元の話ではなかった。
    最後の方急に物語が動くけどラストシーンであれはあの時の伏線だったのか!と思う瞬間がありそれがとても楽しい。
    結局どこに行ったんだろうね。途中で語られてた街にいる様々な人たちと同じようにニューヨークの街に溶けて消えてしまったみたい。
    三部作は幽霊たちを先に読んだんだけど本作も同じく書くことの苦悩を感じた。

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    2024年07月30日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    誰が誰を見張っていて、見張り続けていると、見張られているのは自分なのかもしれないと思い出して、そうすると、見張っている男の正体が知りたくなって、後をつけていくとそこにいたのは、ジョン・マルコビッチだった。という話。じゃない。

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    2024年07月06日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    "'人類がはじめて月を歩いた夏だった"
    伊坂幸太郎の重力ピエロ、春が2階から落ちてきた。と並ぶくらいロマンチックな書き出しです。

    大切なものを手に入れては失っていく主人公の苦しむ姿を美しく感じました。
    欲しいものを手に入れるにはそれを欲しがってはいけないなんて、果てしなく青春だ....。羨ましい。
    そして侘び寂び万歳。

    ひとつひとつを見れば悲劇ですが、俯瞰で見ると喜劇です。
    こんなチャップリンみたいな小説がつまらないわけがない。
    雨を感じながら読むのにはぴったりの本でした。

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    2024年06月30日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    人生には時おり、アルコールの方が食物より滋養に富む瞬間があるものだ。

    世界を変えるのは無理でも、せめて自分を変えようと試みることはできる。

    書くということが病だからです。

    物語が続くかぎり、現実はもはや存在しないんです。


    とてもよかった。アメリカ行きたいなぁ。

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    2024年06月16日
  • インヴィジブル

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    話し手がコロコロ変わる構成。最後まで誰が何をしてこうなってるのか分からず、先を知りたくて一気読み。
    伏線は回収されつつも、結局何が本当だったのか。
    しっくりこなくてイラつくというよりもその逆で、完全にやられたという感じ。
    最後まで読んだうえでもう一度読みたい小説。
    ひとりの女たらしで身勝手な男の生き方を書いてるけど、それに否が応でも惹かれてしまう周りの人間も全てクソやったという、、、

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    2024年06月01日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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     自己紹介を兼ねた序章で、本書の主人公は3歳の時以来56年ぶりにブルックリンに戻ってきたと書かれている。肺癌を患い、目下のところ小康状態で、生まれ故郷のブルックリンで過ごすことにしたと。病気のためか明らかにしていないが、仕事はリタイアしたと。くしくも、日本でいう定年退職の年頃だ。

     定年退職者の日常となると、1か月前に定年退職を迎えたわが身としては他人ごとではないが、平穏なわが身と異なり、主人公はいろいろな人と関わり、周辺でいろいろな出来事が起こる。タイトルのフォリーズ( ”愚行” や”愚かな”) の意味の通り、客観的に見れば、些細で愚かなことかもしれないが、ご隠居の視点から見ると、関わる人

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    2024年05月25日
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)

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    ニューヨーク3部作からオースターを読んでる身としては、
    この2作は本当にニューヨーク3部作との関係性で語りたくなる作品。
    というのはあの3部作はまさに「作家が小説を書くというのはどういうことか」をめぐる3作だったわけだし、
    もちろんその後の作品でもそういった問題意識を提示してきたけれど、
    この2作は本当にそこを前面に押し出して「書くものの責任」「書かれた世界への畏怖」みたいなものを強く感じます。

    「写字室」はコミカルであり、ファンサービス的な部分を感じたけれど、「闇の中の男」は後半の作家を殺さなきゃならないって部分で緊張感が高まるし、映画化もあるんじゃないかと感じました。
    スパイク・ジョーン

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    2024年05月06日
  • 冬の日誌/内面からの報告書(新潮文庫)

    購入済み

    オースターファン向けです。
    『孤独の発明』を30代の頃に書いたオースターが歳をとり自分の身体史・精神史を振り返ります。個人的には「冬の日誌」の方が好きかな。
    ここから大作『4321』に繋がるわけですがこちらはまだ未訳…。

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    2024年08月17日
  • 冬の日誌/内面からの報告書(新潮文庫)

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    読むのに時間がかかった。面白いのだけど全てが時系列順に書かれているわけではないので途中少し混乱した。

    第二次世界大戦後のアメリカで育ったアメリカ人少年としてのオースター、ユダヤ人としての自身と家族の心情を垣間見ることができたのは面白かったし、泣けるエピソードもいくつかあった。この当時のアメリカの文化や雰囲気をオースターの目を通して知ることができたとともに、オースターの良くも悪くも普通と違う面も知ることができてとても興味深く読んだ。

    やはり自分はポール・オースターが好きだ。

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    2024年02月11日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    ニューヨークに暮らすダニエル・クインは、かつて探偵小説で名を馳せた作家だった。しかし今では、世間を驚かせるような作品を書く気力もなく、匿名でミステリーを書いて生計を立てている。そんなクインの元にある日、助けを求める電話がかかってくる。「探偵のポール・オースター氏に事件を解決してほしい」という依頼だ。しかし、ポール・オースターなる人物には全く心当たりがない。間違い電話だと思って切ってしまうが、その後も何度も同じ電話がかかってくる。仕方なくクインはポール・オースターという探偵のふりをして、電話の主に会うことにする。

    待ち合わせ場所でクインを迎えたのは、ヴァージニアという女性だった。彼女は依頼人の

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    2024年01月22日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    四半世紀前とはいえ
    様々なルーツ、嗜好、職業や考え方をもつ
    アメリカの、リアルな、普通のひと達の描写がとても魅力的でした。
    名前削除、のバッサリ感や
    オーロラのご主人のイッてる感じにも笑える。
    こういう、笑ってる場合じゃない場面で楽しませるのがエンターテイナーですね。

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    2024年01月20日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ニューヨーク三部作の一作目。
    ポール・オースターに間違われた作家クインが、他人に成り代わり探偵の真似事を始める。
    自分がクインであるという事実が、気が付かないうちに次第に薄れていく。肌身はなさず持っていた赤いノートだけが証拠に。まさか、こんなに儚い話だとは思わなかった。
    オースターの文だから?それとも柴田さんの訳だから?流れるような文体が心地良かった。

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    2024年01月13日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    2つの世界線に生きるオースターさんの邂逅で笑った。ドン・キホーテ自演説を解説し始めた時はなんでわざわざここでそんなことにページ割くんだと思ったけど、最後まで読むとその意味がなんとなくわかった、気がした。
    序盤のピーター・スティルマンの独白がだいぶ狂っていた。

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    2024年09月06日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    あるひとが、そのひと自身であること。
    それは本人がしっかり把握している限り問題にならないのかもしれない。
    が、本人の把握がゆらげば、あっという間に何者かはわからなくなってしまう。
    いや、何当たり前のこと言ってるんだ、と言われそうだが。
    この小説を読むと、このことを考えさせられるのだ。

    主人公のダニエル・クインの視点から語られるこの物語。
    詩人としての活動をやめ、今は探偵小説を書いて、そこそこの評価を得ている。
    ある日、彼のところに、仕事を依頼する間違い電話がかかってくる。
    相手の女性は彼を私立探偵「ポール・オースター」と思っており、義父スティルマンを尾行してほしいと依頼する。
    最初は人違いと

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    2023年12月03日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    ブルックリン・フォーリーズ訳すとニューヨークブルックリンの愚行。オースターの本は始めて読んだ。450頁ほどの本だけど最初本の世界に入っていくのは難儀でした。
    60過ぎて癌を患い、離婚して昔住んだ町ブルックリンでひとり余生を隠居しようとした町での、様々な人たちとの遭遇で色々な経験をしていく主人公を描いている、中高年の本です。

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    2023年10月10日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    最初から最後まで現在形でのみ書かれており、主人公であるブルーの心理状態を想像しやすかった。そして内容にのめりこめた。

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    2023年05月14日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    ブルックリンで晩年を過ごそうと引っ越してきた、失意の男性。だけど…?
    ユーモラスに、成り行きが描かれます。

    60歳のネイサンは癌にかかって会社を辞め、妻とは離婚。娘とはうまくいかず、親戚ともほぼ音信不通。
    いくらか思い出があるブルックリンを終の棲家に選び、自分のこれまでの愚行を書き記して過ごそうか、などと考えていました。
    街の古本屋で、甥のトムにばったり再会。これが親族では一番気が合う甥だった。
    トムから繋がってご縁が転がっていき、トムの妹や娘や母、古本屋の主人など、思わぬ出会いと楽しみが増えていくのです。
    やや上手く行き過ぎ?だったり、中年?男の身勝手さが垣間見えたり、というところも、ユー

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    2024年01月22日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    思っていたよりずっと面白かった。
    もちろん例外はあるにせよ、私は「いろいろなことが起こりすぎる小説」があまり好きではないが、この小説は色々なことが起こりすぎるにも関わらず好きだと思った。
    多分徐々に狂気の方向に傾いていく描写が良かったのと、自分という存在がリアルでなくなっていくことへの内省の描写がよかったからだとおもう。
    クンデラの存在の耐えられない軽さっぽい雰囲気を感じる箇所もあった。
    あと柴田元幸、大変訳がうまい気がする。
    ピーター・スティルマンのおかしな独白など、大変面白く読んだ。

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    2023年01月22日
  • 写字室の旅/闇の中の男(新潮文庫)

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    写字室の旅。
    そんなにおもしろいとは思えなかった。いろんなふうに考えられる、奇妙な話で、評価しづらい。

    闇の中の男。
    こちらは割とよかった。映画のようだ。
    小津安二郎の東京物語を絶賛する数ページがあり、小説としてのおもしろさとは別かもしれないが、非常に興味深かった。ポール・オースター本人が言ってるように思えたから。

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    2023年01月17日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    魅力的でカラフルな人物たちが登場する。語り手がいるが、群像劇と言ってしまってもいいかもしれない。
    特に楽しみもなく暇をつぶしながら老後を過ごすつもりだった高齢男性が、甥に久しぶりに再開したことをきっかけに突如人間関係が広がり、さまざまな事件が起こり、考え方がポジティブに切り替わっていく。まあ、楽しみながら読める。
    フォリーズ(Follies)とは「愚行」という意味で、たしかに登場人物は愚かなことばかりしているように見えるが、愚かな行為は悪いことというわけではないよね。
    多様性に肯定的だが、唯一カルト宗教に関しては強い否定的な書き方をしている。

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    2022年12月19日