ポール・オースターのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
不格好で、不器用にもがく滑稽な姿。
主人公の青年期が見事に描かれています。
「ムーン・パレス」 ポール・オースター著
若い頃、何冊も同じ著者の本を読んだのですが強く印象に残ったのはこちらの一冊でした。
今年に入ってニュースで著者の訃報を受けました。その夜から3日間でこの小説を再読しました。
物語の前半は、主人公がとにかく極限状態に落ちていく様子、
後半はそこから回復して、自分のルーツを探すという設定です。
後半からの話はちょっと奇想天外で、ここが面白い!という方々が多々ですね。
私は、主人公マーコがどんどん落ちて彷徨うところが、この作品の一番の魅力だと思っています。
この主人公の精神状態がそのまま、つたないのに心を打つ、青春時代に重なるように思えて。
前半の主人公は、とにかく不様に、貧困状態に落ちていきます。
ただただ流されて落ちていくマーコに
何をしてるの!とハラハラしながら突っ込みをいれるんですけど、けれどその心理描写が、著者の語り口があまりにも素晴らしくて、ああ、わかると共感さえしてしまうほど。
「青春」って、青い春って表記するんですね。
長い冬を終え、草木が芽生える希望に満ちた季節でありながら、夜は暗く、寒い。
若さの持つ、無茶ぶり、ひたむきさ、希望に幻想、混沌、いろんなことが胸を打ちます。
ニューヨークのどこか都会的な軽さと洒落た雰囲気の感じられる文体もよいですよ。 -
Posted by ブクログ
思索の過程に浮かんでは消えてゆく言葉の数々を残らず捉え、文字として残す。それら言葉の連なりは、もしかしたらそれ自体が物語なのではあるまいか。もう一人の自分が居るとして、その存在を捉えることができたなら、僕は彼の人生を同じく歩いて行くことができるだろうか。世の中は不思議で、不思議なものだと決めてかかれば、さほどでもなく、何事にも頓着しなければ、しないなりに、どうにも説明のつかない事態に巻き込まれてしまうこともある。先入観では語り尽くせないのが人生で、世界は、その目に映るすべての物事でしかない。想像はあくまで想像で、現実にリンクしたら、それは想像ではなくなってしまう。あれは、こうだ。それは、ああだ。皆最初から決めてかかるけれど、ならば答えは、すでに目の前にある。
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Posted by ブクログ
ネタバレそれは人類がはじめて月を歩いた夏だった。という美しすぎる書き出しがいい。音楽的とも評される文章は比喩表現含めてとても綺麗かつ、自嘲と自虐の目立つ語り口ながらニューヨーカーらしい軽快さもあるアメリカ現代文学らしいオシャレさがあった。
内容としては自伝的な青春小説でありながら、これは家族小説でもある。特に第二部の余命いくばくもない富豪の老人と、第三部の息子がそれぞれ主人公の父であり祖父だったという「偶然」と、それが連なって物語となる「必然」は非常に面白く、いずれも互いが関係性を自覚して双方向になったのは束の間で、死による離別となるのはたまらなく切ない。結局ひとりぼっちとなるラストも含めてかなり薄暗い小説ではあるものの、主人公は間違いなく出会った人間のほぼ全員に愛されており、悲しい物語でありながらそこの部分で奇妙にバランスが取れているなと思った。 -
Posted by ブクログ
妄想と現実が入り混じり、
探偵小説の体から始まるが、途中から
己の狂気に閉じ込められた人間像について、
リアルに描かれていて文学作品のよう。
途中、ドンキホーテ論を交わす場面があるが、
最後に主人公のクインの赤いノートだけが残り、またそこで初めて、物語の作者が、
ポールオースターの友人なる『私』の存在が、
明らかになる。
まさにドンキホーテのように、4番目なる人物が
ストリーテラーだったというオチ
同胞たる人間たちの信じやすさを試す愉しみ
とあるように、幾十にもなっている入れ子の
小説になっている。
読書後も、登場人物のあの人は、夢か現実か
はたまたクインの妄想か、不思議な余韻が残る
読書感だった。
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Posted by ブクログ
訳者が後書きの最後で書いたように、この途方もない物語に耽溺、はした…
まぁ、大分的が外れてるかもなのだが、途中、まるでアメリカの大河ドラマのようだなと思った。
日本の大学紛争はニュースや小説等で触りだけの関わり方しかしていないものだから、あちらのそれの描写のシーンでは、ファーガソンに感情移入しているものだから、かなりの迫力と無惨さをもって伝わってきたように思う。
それにしても、そういうことをする年になってから以降は、女も男も相手にするセックスの話も多く、これはこれで興味はあるのだが、寧ろそういう時代を、もう、振り返るだけしかできないような年代になったファーガソンが、回想ではなく、そこからまた何をどうしていこうと考えるものなのかを読んでみたかったように思う。
に、しても買えば6,600円か。手元に置いてまた何年後かに読んだみたいとは思うのだけど…