ポール・オースターのレビュー一覧
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探偵業を営むブルーのところにホワイトという人物がやってきて、ブラックという男を監視するよう依頼してくる。
ブルーはブラックを毎日監査している内に、ブラックに興味を持つようになり、とうとうブラックに話しかけて、会話をするようになる、、、。
現代アメリカ文学の代表的作家ポール・オースターの「ニューヨーク三部作」と呼ばれる初期の代表作の中の一作。
ブルーやブラックという登場人物の名前も、探偵という職業も、この作品はいわゆる「物語」を語ろうとするよりも、「物語」という枠組みを使って、オースターが作品を書くという仕事を楽しんでいるように思える。
丁度大学生だった時にオースターの作品の翻訳が出始めて -
Posted by ブクログ
癌を患い離婚しブルックリンで余生を過ごす50代後半のネイサン・グラス、ネイサンの亡妹ジューン、その息子で将来を嘱望されながら大学で挫折しタクシー運転手になったトム・ウッドと妹のオーロラ。オーロラの夫で新興宗教に洗脳されたディヴィッド、二人の娘でネイサンの家を訪れながら頑なに口を閉ざす9才のルーシー。ネイサンの前妻イーディスと娘のレイチェル。トムが働く古書店の店主でセクシュアル・マイノリティーのハリー・ブライトマンとジャマイカ人でドラァグクイーンの店員ルーファス。トムが慕うアクセサリー工房の美しく完璧な母親 (BPM)ナンシー・マズッケリ。多彩なキャラクターたちの夢、挫折、ロマンス、LGBT、出
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Posted by ブクログ
愚行 というが、思うようにいかない、ままならない
どこかゆったりのんびりとした穏やかな空気をまといながら
不意に降りかかる不幸や思いがけない幸運や転機の訪れ
上手くいくこともいかないことも、そりゃあるさと
それは、ありふれた、どこにでもある、誰にでも起こる普通の
しかしその人にとっては唯一の特別な人生の人々の物語
もしかすると最後の最後に触れられるあの事件は
それ以前・それ以後と、その空気を一変させてしまう転換点なのだろうか
詐欺・犯罪ですら受け入れ取り込もうとする楽観的楽天的で
多少冷笑的でもあり諦念も備えた寛容さをもちあわせた物語が
オーロラの配偶者に対する場面で厳しさをあらわしていた