ポール・オースターのレビュー一覧

  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    「孤独の発明」は別として。ニューヨーク三部作を「孤独」というテーマで括るにはこの作品で。狭い世界で、登場人物の少ないところがうってつけかもしれない。
    オースターの著作を発見したのは「孤独の発明」だった、それからは底に流れるテーマを読み続けてきたが、著作順でなく、この「幽霊たち」を自分なりに初期作品の区切りとして最後に持ってきたことを、自分で誉めたい気分になった。これはどの作品にも流れている「孤独」というテーマの究極の姿を著したものだと感じたからで。

    解説で伊井直行さんは、

    三部作はそれぞれ単独で読んでもなんら支障のない作品群なのだが、他の二編をあわせて読むと、一作だけ読んだときとは随分印象

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    2026年03月02日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    オースターのニューヨーク三部作。これら初期の作品で常に見られる孤独感を、ここでは作家である一人の男に負わせている。彼は自分の影に生きて消えたのか。
    「ガラスの街」はニューヨーク三部作の第一作で、「孤独の発明」「鍵のかかった部屋」「ムーン・パレス」「偶然の音楽」「幻影の書」と読んできて初期の作品を二冊残してしまっていた。中篇であり初期に書かれたもので、「孤独の発明」が次の作品にどういう形で書きつがれたかにとても興味があった。

    ただ既読の5冊の中には、共通する実態の掴みにくい孤独感が相変わらず座り込んでいる、だが表現法は似ているが、それをシーンに置き換えて明晰で分かりやすい内容になっている。

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    2026年03月02日
  • サンセット・パーク(新潮文庫)

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    ネタバレ

    マイルズ・ヘラーを中心人物に置きながらもブルックリンサンセット・パークの廃屋に共に住むビング、エレン、アリスをはじめ、マイルズの父親のモリスに視点人物を移しながら語っていく構成は群像劇のようで個を描く著者の作品の中では珍しい語り口だと思った。

    読み終わった時は著者の作品のなかでは比較的地味な作品だと感じたが、リーマン・ショックによる住む家を失った人々や経済危機に直面している様子が読み取れ、細部を読んでいくと現代アメリカの悲哀や疲弊感のようなものが描かれており、登場人物のドラマ性だけに収まらない主題を持つ作品だと思った。

    リーマン・ショックを背景に作品で語られる三人のメジャーリーガーの訃報と

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    2026年03月01日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    大大大好き
    荒唐無稽なフィクションに人が心を惹かれるのは私たちの想像力と感情を拡張してくれるからである。どんな小説かと言われると「自分探し」の物語だし、ありもしないあの夏の記憶である。

    臆病と傲慢のグロテスクな化合物

    長い不器用な沈黙と度しがたい騒々しさを交互に繰り返していた

    沈思黙考 千思万考

    ジュリアンバーバーがいかに優れた芸術家だったとしても、

    その作品が、トマスエフィングがすでに僕に与えてくれた作品に匹敵することはありえない。

    それはエフィングの言葉から僕が夢見た作品であり、それゆえに完璧にして無限、現実を現実以上に正しく表象しているのだ。

    目を閉じている限り、僕はそれを

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    2026年02月26日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    脳味噌とはらわた、人間の内部。我々はいつも、作品をよりよく理解するにはその作家の内部に入り込まねばならない、とか何とか言っている。だがいざその内部なるものを目のあたりにしてみると、べつに大したものは何もない──少なくとも他人と較べて特に変わったところなんか何もないんだ。

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    2026年02月21日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    それぞれの登場人物の人生の再生を描く温かなヒューマンドラマ。
    柴田元之さんの訳。
    柴田さんのあとがきも素敵でした。

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    2026年01月26日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    全ては偶然の連続だけれども人生はやり直しがきかないから必然なのだろう。
    後になって考えるとその選択は間違いだったのではと思えるものでも、その選択の瞬間では正解でしかなかったということを強く意識しないと頭がおかしくなってしまいそうになる。
    どうして人は罪の意識を抱き、罰を受けたくなるのかな。
    疑いなく自分が正しいと思い込める方が生きやすそうなのに。

    1つの小説というより登場人物が重なるいくつかの短編小説を読み終えた気分。
    翻訳された小説はあまり読み慣れていないけれど、これはとても読みやすかった。

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    2026年01月01日
  • サンセット・パーク(新潮文庫)

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    期待に違わぬ素晴らしい作品でした。リーマンショック後の先の見えない時代を背景に、心が損なわれた主人公と取り巻く人達が、傷ついた心や厳しい生活を抱えながらも互いをいたわりながら日々を懸命に生きていく様は、強い共感を覚え心が癒されます。

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    2025年12月08日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    主人公が愛する伯父を失って泣き腫らし、泥酔・嘔吐し、行きずりの娼婦にホテルに連れ込まれた挙句、脚を開く彼女に子守唄を歌ってあげた一幕は感に堪えなかった
    頁を急く衝動と、ずっと終わらなければいいのに、という一抹の寂しさを胸に同居させられた傑作

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    2025年12月08日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    ジーンと心に染み入るような感動のある小説でした。
    悲劇に振り回されながら生きる登場人物たちはとても人間味があり、僕はなぜか読んでいて救われる気持ちになりました。
    登場する3人の男たちは、ある意味悲劇でつながっている深い関係だと思いました。
    不思議と読後感がとてもよい小説でした。
    また、このような小説を読みたいです

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    2025年11月30日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    移民や多様な文化が交錯するニューヨーク、ブルックリン。ここを舞台に、人生の終盤に差しかかった主人公が偶然の出会いを通じて再び人とのつながりを取り戻していく。過去に何かしらの傷を負った人物の群像劇でありながら、どこか静かに温かい。自分の外に一歩踏み出して他者と関わろうという気持ちがあれば、年齢に関係なく、人生前向きに生きられると思えた本。

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    2025年11月23日
  • 4 3 2 1

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    めっちゃ良かった。ファーガソンの何度も様々な方向に違えて繰り返す人生を、様々に違った方向から読むことができる。同じような人生でも様々に違って見えるのかもなと思った。

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    2025年11月15日
  • 4 3 2 1

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    なんということか、ついにこの大作を読み終えてしまった!深夜2時半の読後とにかく感想を新鮮なうちにおさめたい!

    まず、本屋さんで手に取ったその時の重みと期待は忘れられず、読み進めるほどに考えが深まるこの経験はとても貴重だった。今この時代に20代で、主に60年代波乱の時期を書いたこの作品を読めたこと、著者のポールオースターには感謝しかありません。なんたる贈り物。
    10代後半から20代へと差し掛かる時期に、いつどこでだれがどのようなことをしたのか、自分自身の出来事、社会の出来事、全ての要素が織り込まれて人は成長していくのだなと、俯瞰的に人生を眺めるに至りました。今現在の私に深く深く突き刺さってきま

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    2025年11月02日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    とても時間がかかってしまったけど、読み終わってほんわかする。いや、未来は暗いんだけど、いくつになってもアイデアと気力があれば人生は楽しいんだなって 90

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    2025年09月29日
  • ブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)

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    初めてポールオースターを読みました。面白い。そして読後感も良く癒されました。特に際立ったことが起こらない前半も、魅力ある文体と豊かな表現力に引き込まれました。他の作品も早速読みたくなりました。

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    2025年09月19日
  • ガラスの街(新潮文庫)

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    クインの失われた息子と妻の話は最後まで語られない。その説明の不在こそトラウマの証拠だろう。
    ピーターとヴァージニアは、おそらく彼の失われた家族を暗喩している。
    ダニエル・クインのイニシャルが、ドン・キホーテと同じであるように、これは狂人、あるいは狂人に見える人の物語であり、孤独に陥っていく「浮浪者」あるいは「狂人」の内面を描いた物語だろう。
    最初は、ピーターの父である教授がそのように見える。しかし次第にクイン自身がそれと同じ境地に陥っていくのである。

    教授と同じ顔をした(立派なみなりをした)別の人間は、おそらくそうではなかった別の人生を生きる自分の暗喩である。クインにとってのオースターも同じ

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    2025年09月10日
  • 4 3 2 1

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    これぞ、オースターが遺した
    オースター流の総合小説だ。

    恋愛・哲学・音楽・文学・青春・政治が
    これでもかと言わんばかりの力強さを持って
    オースターの文学的音楽の波にサーフしている。

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    2025年09月03日
  • 幽霊たち(新潮文庫)

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    探偵ブルーはホワイトから、ブラックを見張ってほしいという依頼を受ける。
    ブルーはブラックの真向かいの部屋に住み観察を始めるが、彼の行動はといえば、何か書きものをしているか、散歩しているかのどちらか。
    事件らしい事件も起こらず、ただブラックを見張り続けるほか何もすることのない日々に、ブルーはじりじりと焦燥感を募らせる。
    無機質なニューヨークの街の中で、物語は色彩を失っていく――。

    『書くというのは孤独な作業だ。それは生活をおおいつくしてしまう。ある意味で、作家には自分の人生がないとも言える。そこにいるときでも、本当はそこにいないんだ。』
    『また幽霊ですね。』
    『その通り。』
    『何だか神秘的だ。

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    2025年08月16日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    書き出しの「人類がはじめて月を歩いた夏だった」はあまりにも名文だと思う。

    愛や喪失をテーマに紡がれる物語で文章も相まってとても美しく儚い。

    以下、好きな文章。

    ・「彼女に恋をしないこと なんて不可能だった。ただ単に彼女がそこにいるという事実に酔い知れないこと なんて不可能だった」

    ・「僕は崖から飛び降りた。そして、最後の最後の瞬間に、何かの手がすっと伸びて、僕を空中でつかまえてくれた。その何かを、僕はいま、愛と定義する」

    人生のオールタイムベストに挙げる人が多いのも頷ける。

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    2025年07月24日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    喪失から始まり喪失で終わった。人生は喪失の連続だ。同じ場所に留まり続けることはできないし、自分の意思とは関係なく街の風景は変わっていく。歳をとるにつれてどんどん話のできる人は死んでいく。このような喪失とどのように向き合って生きていけばいいのだろうか。自分だったらどうなってしまうのだろうと考えながら読んでいた。

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    2025年06月12日