ポール・オースターのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
正月に読もうと思って古本屋で買っててやっと読んだ。
ものすごく薄い本だからいつでも読めると思ってたのに大間違い。
私立探偵ブルーが変装した男ホワイトからブラックを見張るように依頼されるが、彼の日常には何の変化も起こらない。
ブルーは次第に不安と焦燥に駆られる…
読み始めたらなんだかどんどんはまっていく、不思議な話。
自分なりにいろいろ考えながら読むけど
とにかくブルーの不安感がものすごく伝染する。
なんだか落ち着かない、イライラしてくる。
ちょっとしたブラックの動きがブルーだけでなく読んでいるあたしまでうれしくなる。
読後はまた、少し考えてしまう。
この話って、「ニューヨーク3部作」の2 -
Posted by ブクログ
オースターの初期作品において、「不可視(invisible)」であるということはイコール「非在」であるということだった、と思う。『見えない男の肖像』では、「不可視」な父親の「非在」が語られ、NY三部作では他者から「不可視」になることで主人公が非在者となって姿を消していく。しかし、そのものズバリ“インヴィジブル”というタイトルが付けられた本書では、不可視であることは必ずしも非在を意味しない。不可視であることが在/非在の境界を曖昧にしていったその先に、真実と創作、事実と願望の見極めがつかない物語だけがただ、在る。
第一章では、語り手のアダムが経験した1967年春の出来事が描かれるが、この章の物語世 -
Posted by ブクログ
詩人を目指す大学二年生の「私」はパーティの席上でフランス人男女と知り合う。次に会ったとき、そのボルンというコロンビア大学の客員教授は「私」に雑誌編集の話を持ちかける。新雑誌の内容から運営まですべてを任し、資金は援助するという嘘みたいな話である。連れのマルゴが「私」のことを気に入ったのが支援を申し出た理由だ。最近、財産を手にしたので、女を喜ばせてやりたいという。
信じられない話だが、ボルンは大金の小切手を用意していた。事件は前祝いの夜に起きる。夜道で黒人の少年が二人を銃で脅したのだ。おびえる「私」をしり目に、ボルンはしのばせていたナイフで少年を刺す。銃には弾が入っておらず、救急車を呼ぼうという