ポール・オースターのレビュー一覧
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様々な人生が凝縮されたような濃い一冊。
六十歳を前に、妻と離婚して静かに人生の結末を迎えようとブルックリンに帰ってきた主人公ネイサン。
街のの古本屋で甥のトムと再会してから、運命の歯車が回り始めます・・。
アメリカらしい皮肉のきいた文章で繰り広げられる悲喜こもごも。
タイトルの“フォリーズ”=愚行という事で、皆何かとやらかしています。
ネイサンをはじめ、甥のトム、姪のオーロラ、古本屋のオーナー・ハリー等々・・。
読みながら、“あぁ、アメリカの人も色々しんどいんだなー・・。”と胸に刺さるものがありました。
内容的にヘビーな部分もあるのですが、ウィットに富んだ文体のおかげで重くならずにすんでいる -
Posted by ブクログ
1967年の春に文学部の学生の私は、コロンビア大学2年生の時にフランス人客員教授のルドフル・ボルンと、その同棲相手のマルゴに出会った。
親族から遺産を継いだというボルンは、一度しか会っていない私に雑誌を作る支援を申し出てきた。
ボルンはその時35歳、皮肉さと頭の良さは持っていたが、どこかしら人と違うおぞましさのようなものを感じさせた。しかし私は魅力的なマルゴと、雑誌援助の話を手放せずそのままボルンとの付き合いを続ける。
破滅はすぐにやってきた。ある晩道で銃を持った男に脅されたボルンは、迷わずナイフで男を刺殺した。
私が警察に言うか言わないかで悩んでいるうちにボルンはパリに姿を消す。
そして4 -
Posted by ブクログ
あることを中心に、たくさんの視点がそのことを語っていく、というスタイルの物語は何度も読んだことがあったけど、
すごく久しぶりに読んだポール・オースターは、
ことに関連して、少しずつ視点もずれていくし、
語り手も変わっていく。
読みなれなくて進むのに時間がかかったけれど、
読後感は気持ちが良かった。
(内容がスカッとする、ということではない)
人の人生の、その時々の交友の厚みが伺える
時にあれほど仲良かったのに、という人と疎遠になってしまった悲しみを感じる時があるけれど、
それは先の人生や、極端な話明日にでも、
全くそんなことを思う必要おもなくなってしまうほど、
違う人生を歩み始めてしまう時 -
Posted by ブクログ
ネタバレこころ震わすような、とか涙滂沱、大興奮、という激しい読後感はポール・オースターにはないのだが、不意にある登場人物や場面がまざまざと浮かび上がって来て自分でもびっくりすることがある。
もちろん、読んでいる最中は夢中になる。あちらの世界からこちらに戻ってくるのにちょっと時間がかかったりもする。
『インヴィジブル』の各章はアダムが見たもの、アダムが見ようとしたもの、アダムが見たかったもの、アダムに見えなかったもの、が書かれている。
でも、書かれたものが真実とは誰が言える?
ボルンは少年を殺したのか、殺さなかったのか。
セシルは島を去ったのかとどまったのか。
見えたものが真実ではないし、見えないから存 -
Posted by ブクログ
海外の現代作家の作品を読むことって、
あまりなかったりませんか?
何かと古典ばかり読むようにしていたりしがちなのは、
僕だけではないはず。
それで、じゃあ、現代の海外の作家にはどんな人がいるのかと調べてみると、
いろいろ出てくるのでした。
その中でも、新潮文庫のメールマガジンに載っていたのが本書です。
よさげだ、と、びびびっと来て購入しました。
思っていたように、やっぱり面白かったですね、現代作家の作品は。
村上春樹さんだとか、日本の現代作家の本が面白いんだもの、
外国人のが面白くないわけがない。
とはいえ、本作は30年くらい前の作品なんですけどもね。
探偵小説の皮をかぶってるオオカミみたい -
Posted by ブクログ
ネタバレある小説家クインがポール・オースターという探偵に間違えられた電話が来て、演じ切ることを決意する。幼少期から言葉を与えずに監禁された子供と、そうすることで神の言語が現れるとした父親に関する事件だ。数年前に父親から殺害予告じみた手紙がきて、もうすぐ精神病院から父親が帰ってくるから監視及び警告してくれという依頼だ。クインはそれに則り数週間スティルマンをつけることにする。最初にスティルマンをみつけ駅でつけていた時に、スディルマンは2人に分裂していた。クインは直感的に古びたように見える方のスディルマンを選ぶ。そこから奇妙な歩き方をし、ガラクタをひろうスディルマンを、赤いノートにしるしながらつける。ストー