小野寺史宜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高校生の時に組んだバンド。約20年後、みんなで集まることになったが、そこで一人亡くなった。湖で、二人でボートに乗ったが、バランスを崩したことにより、一人は助かり、一人は命を落とした。悲しみにふけながらも、生きていかなければならない。学生時代の思い出、社会人での思い出など過去を振り返りながら、「今」を生きていく物語。
小野寺さんの作品というと、「ひと」や「ホケツ」が思い浮かぶのですが、テンポよく会話のキャッチボールをしているので、会話のリズムが心地よい印象があります。
この作品でも、リズムよく会話をしている部分があって、心地よかったです。
冒頭は親友の死から始まるのですが、特にミステリーがあるわけではなく、思いにふけっていきます。
この時点では40代で、その後、10代→20代→30代→40代と小出しにする形で、ループしていきます。
ちょっと読みづらい印象もありました。年代が変わるごとに、
「あっそういえば、このエピソードって、この年代だっけ?」と思ったことが、しばしばあって、戸惑いがありました。
小出しにせず、一気に書けばいいのにと思いましたが、要となる部分が、後半でようやく判明するという構成になっているので、それはそれで粋な構成だなと思いました。
その要となる部分は、
どのようにして出会ったのか?
いかにして、親友が亡くなったのか?
それぞれの年代での空白だった部分を埋めるかのように書かれています。
主人公が、文章から察するに大人しめかなと思いましたが、意外に奥手なことにちょっと驚きでした。
それぞれが別々の人生を歩んでいきますが、特に大きな盛り上がりということはなく、淡々としています。
人が亡くなっても、時間は流れます。生きていかないといけません。読んでいて、ゆっくりと人生に浸っている感覚がありました。
そんな中での最後の結末は、ゾワっとざらつきのある気持ちにさせられました。爽やかに書かれているのですが、中身は「これって・・・。」と思うこともあって、ちょっと複雑な心境になってしまいました。 -
Posted by ブクログ
自分の中にある昏さが顔を出し、それに呑まれてしまいそうになる、そんな夜を描いた作品。
窓から忍び込んできて自分を唆す夜、実態のない、印象としての暗さの元となる夜の粒子、といった、夜に関する印象的な描写がたくさん出てきました。
私自身はにとっての「夜」は、多くの人が1日の仕事を終えて、ゆったりと時間が流れているような、割とポジティブなイメージだったのですが、こういう夜の捉え方もあるんだなぁと。
また、小野寺さんの作品は、『ひと』のような優しくて実直な主人公のイメージが強かったのですが、今作の主人公たちの中には結構わかりやすくダメなやつもいて、話の展開も暗い部分が多くて驚きました。
4人の主人公たちの夜が交錯し、最後にはそれぞれの朝が描かれる、というような割と凝った構成になっていて、最初と最後の一文もおしゃれな感じで好きなのですが、色々な方向に広がった展開が最後にまとまりきってはいないような…。
構成が凝っている分、もっと最後に「おおー!」ってなるような何かがあるんじゃないかと期待しすぎてしまったかな、と思います…。 -
Posted by ブクログ
妻の職場の仲間と出掛けたバーベキューで、川遊びしていた娘が溺れるのを見てとっさに川に飛び込んだ守彦だったが、その腕の中にいたのは娘ではなく一緒に溺れた別の女の子だった。
娘も助かったが、その日から口をきいてくれなくなり、妻との関係もぎくしゃくし始めて、困り果てた守彦はとりあえずの間と家を出る、といった発端。
だけど、なんか、彼の行動には違和感があるなぁ。
家を出るのはまだあるかなと思うが、助けた娘の母親・結衣から連絡が来たからといって、彼女が働く喫茶店に通ったり、家に行ったりするかなぁ…。
下心があるのかないのか、中途半端に生真面目っていう感じで、小池くんでなくこっちこそ度を越えているような気がするぞ。
どういうつもりか守彦の気を惹きながら最後に梯子を外す結衣のほうもどうだかなぁ。
この二人だけでなく出来てくる人物が皆、私にとってはどこか変。
大人の振りして自分が一番大事の妻やバイト先の女性たちに次々と声を掛けていく塚越くんには付き合いきれない感じだし、どうしようもなく性悪女の品田くるみと彼女に首ったけで全く学ばない小池くんのカップルもなんだかな…。
守彦が人事課長に登用されたり、最後の深井さんの登場まで、真面目に悩む話な割には軽い話に微妙な陳腐さや違和感を覚えたのでした。
★は2と3の間くらい。