エラリイ・クイーンのレビュー一覧

  • フォックス家の殺人〔新訳版〕

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     一九四五年発表の作品。デイヴィー・フォックス大尉ーー何人もの日本兵を叩きつぶした「英雄」ーーの凱旋を、ライツヴィルの人々が華々しく歓迎する場面から物語は始まる。しかし実際のところ、彼は戦場で心を壊してしまい帰還したのだった。ミステリー作家として、殺人事件が核となる娯楽小説をずっと書いてきたクイーンだが、戦局が激しくなってきて、改めて「人が人を殺すとはどういうことか」をきちんと示したかったのかな…と思わせる冒頭。
     後半でも、ナチスの強制収容所の話が出てくるが、それ以外はいつもの謎解きエンタメ性バッチリ。ドラマツルギー的にだいたいこういう筋書きだろうなあとは予想ができるものの、どうやってその結

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    2022年08月16日
  • 災厄の街〔新訳版〕

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    ネタバレ

    エラリー・クイーンの1942年発表の本、その新訳。
    災厄の家、という話かと思ったら、災厄は町全体、その人々。
    銀行家のライト氏の美しい3人の娘たちと、
    偶然訪れた小説家、エラリー・クイーン(?都合良すぎ!)アメリカの田舎の富裕層の家庭が、推測ではあるけれど垣間見られて、長閑で平和だけれど悪意に満ちた物見高い庶民達の噂話が大きくこのストーリーを左右している。だけど、年代をみたら大戦前夜。
    この町も国も、そして我が国もやがて時代の大きな波に飲み込まれてゆくんじゃないですか!
    アメリカという大きな国のまた、その一部をみつけてしまった

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    2022年08月14日
  • 災厄の街〔新訳版〕

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    エラリー クイーン作品のなかでも話の展開が大きくてスピード感がありリズムよく読める一冊だった。
    トリック・犯人共に最後までわからなくて焦らしに焦らされた。なんとなく国名シリーズ内のエラリークイーンよりもアクティブな印象を受けた。ちょっと恋愛要素が強めだったのが意外。

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    2021年10月09日
  • 日本庭園の秘密

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    恋愛関係のもつれと人の「欲」が2つの殺害事件へと繋がるのがこのミステリー小説である。この殺害事件の解決が実は最後の最後にことの熾りを作った「知能」犯人像が浮き上がる。それは癌の権威を盾に精神的苦痛を患者にすることで、人は精神的に脆弱な状態で癌「不治の病」だと言われるとどうなるのか、をこの小説では心理的な人間の行先行動までを読み、間接的な犯罪を実現する。 興味をそそるのは日本の伝統「武士の切腹」と「武士の妻の自害」の違いが事件のヒントになる。

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    2021年08月11日
  • 九尾の猫〔新訳版〕

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    ライツヴィルシリーズの「十日間~」の次にエラリーが取り組んだ事件。いやあどこをとってもお見事。
    ライツヴィルでの苦い挫折の経験を経て、探偵の真似事を辞めると宣言したエラリー。彼を再び事件の現場へと引き戻したのは、ニューヨークでの無差別連続殺人事件だった。

    郊外の都市で起こったライツヴィルの事件とは異なり、大都会NYでの事件の描写、特に市民が自警団を編成してパニックから暴動へと至る流れが、ここ2年のコロナでのパニックを見ていると頷ける所が多くて面白い。そしてさらに、探偵の背負う「業」について、精神科医と語り合うところ、シビれました…。

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    2021年06月01日
  • 十日間の不思議〔新訳版〕

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    「自分はたびたび記憶喪失になる。その間、自分が何をやっているのか見届けて欲しい」と古い知人であるハワードに頼まれたエラリイは、三度ライツヴィルへと赴くこととなる。
    大富豪の父親のディードリッチ、若く魅力的な継母サリー、仲の悪い叔父ウルファート――そこでエラリイはとある秘密を知らされ脅迫事件に巻き込まれるが――

    一言で言うと、とてもドラマチック。これはクイーンの作品の中でも上位に食い込むのが納得の面白さ。
    冒頭の登場人物一覧を見ると分かりますが、登場人物はアレだけしか提示されないけれど、そこで繰り広げられる物語がお見事でした。
    ライツヴィルもの3作目ですが、このラストの締め方のビターな感じも併

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    2021年03月09日
  • 災厄の街〔新訳版〕

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    ライツヴィルの名士の家で起こった毒殺事件。夫が資産家の妻を殺そうとしたという実に単純な、しかし考えてみれば奇怪な事件にエラリイ・クイーンが挑むミステリ。
    事件が起こって以降のライツヴィルが本当に嫌です。まあミステリではありがちなんですがこういう閉鎖的な村だとか町だとか。疎外されてしまうほうからすればたまったものじゃないなあ。そんな中でジムの無実を証明しようとするライト家の人々とエラリイ。とはいえ傍から見ればジムが犯人で全然おかしくない、むしろそれ以外にどんな真相があるというのか、と決めつけたくなる気持ちもわかりました。だからこそその事件の後で起こる悲劇と明かされる真相にはやりきれないものが。

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    2020年12月30日
  • 九尾の猫〔新訳版〕

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    (電子書籍)とても面白かった。私にとってこれが初エラリイ・クイーンなので、これを読んで良かったと思った。
    正体不明の殺人鬼『猫』によって不安にさせられ混乱する市民はまさに現在のコロナショックと重なり、それもとても興味深かった。
    これが初めてなので詳細はわからないのだが、これより前に挫折を経験したらしいエラリイ。シリーズの途中でそんな一面を出されると、次より前が気になるというもの。それが少し悔しいが読むと思う。

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    2020年03月28日
  • 最後の悲劇

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    最後の最後で…

    ミステリー小説でこんなに衝撃を受けたのは初めてです。
    最後の数ページは、目が画面に貼り付き、涙も出そうでした。(電車内なので我慢しました笑)
    結末は一言で悲しいとは言えない、色々な感情が渦巻くようでした。
    まさに最後の悲劇というタイトルがふさわしいです。
    Xの悲劇から読み続けてこそ、意味のある1冊です。
    この本含め、このシリーズは一生忘れられないものになりそうです。

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    2018年06月09日
  • 十日間の不思議

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    「名探偵の苦悩」「後期クイーン問題」の極地。なぜだろうこんなに胸が苦しいのは?そうか。エラリーが大好きで、彼は私のスーパーヒーローだったからだ。

    血まみれの友人が記憶喪失で、殺人を犯したかもしれなくて、とりあえずライツヴィルに同行したら、脅迫電話がかかってきて、さぁ巻き込まれて大変!?な話。

    人物紹介、家族関係、そしてライツヴィル。地味に物語は進み、突如破綻する。エラリーはいつもの調子で、論理的に解決する。

    先に待つのは、探偵の終わり。理性の終わりだ。
    エラリーの現実は、これまでの功績など無に帰す。

    知らずに「九尾の猫」を数年前に読んでいた私は、その先の苦悩を知っている。そして光も。

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    2018年11月21日
  • Yの悲劇

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    個人的にはすごく面白かった。
    おかしな一族とか、古典的なのが好みなので笑

    病気の扱いとか、時代遅れな感じはした。
    というか、一族で老婦人だけ陽性で、他はみんな陰性なのが不可解だった。
    病気は持っているのに、陰性なのか?

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    2016年02月14日
  • ダブル・ダブル

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    悪夢的。

    エラリイ・クイーン『ダブル・ダブル』再読了。中盤を過ぎても"何が起きているか判らない"五里霧中状態に、悪夢を見ている様な感覚に陥る。リーマをあんな処に潜入させたエラリイ、要反省。横溝正史の諸作品との関連も興味深かった。

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    2015年03月04日
  • ギリシャ棺の秘密

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    ネタバレ

    国名シリーズでは個人的に一番好きな作品。論理的になるほどと思わせる推理が三つも構築されていてボリューム感がある、かつ本格ミステリとしての針の穴ほどの誤りも許されない厳しさもあらわしている。

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    2014年01月09日
  • 九尾の猫

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    個人的にはクイーンの中で一番好きな作品である。
    推理小説としては正直それほどでもないと感じたのだが、
    後半のエラリーの苦悩、犯人が殺人を犯すまでに至った経緯の描写は圧巻。

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    2014年10月18日
  • 九尾の猫

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    後期クイーン作品で最高傑作。
    連続殺人犯は誰か?だけでなく、被害者の共通点は?動機は?など、現代の作品にもひけをとらない作品だと思う。
    しっかり、犯人は憶えているのに、動機などはぜんぜん憶えていな(笑)
    エラリー・クイーン読本に、ニューヨークが主役だと書いてあったので、再読しようと思う。

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    2012年12月23日
  • Xの悲劇

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     再読。

     ドルリイ・レーンものはなかなか読み応えがあっていい。
    ドルリイ・レーンの人となりは、好き嫌いが分かれるところであろうが、四部作の評価については(ひとまとまりで見たときについてでは)一致するだろう。

     ただ、個々で見て何が一番かと問えば、「Xの悲劇」か「Yの悲劇」かで分かれる。
     私はどちらかと言えば、心情的にどちらも一番だと、言いたくなってしまう(笑)。
     というのも、秀でている箇所がそれぞれ違う為、比較し様がないと思うからである。思うにそれぞれの良さがあるから、このような意見割れが起こるのであろう。
     「Xの悲劇」の秀でている点は、その「簡潔明瞭な論理展開」だろう。成程、と思

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    2012年12月23日
  • Yの悲劇

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    古畑任三郎でも似たようなストーリーを見たけど、初めて読んだ当初は「へぇ~、なるほどね」という気持ち。かなり印象に残る一冊。前情報無しに読めばかなりおもしろい。

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    2012年03月12日
  • Zの悲劇

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    ネタバレ

    XYZのうち、Zが一番好きです。

    サム警視の娘の素人探偵が活躍するので、一番、身近に感じることができ、とても馴染めます。

    Xは、恐る恐る読みました。
    結末までの長い道のりでした。

    Zは、楽しみながら読むことができました。
    ミス サムが、結局誰を好きになるのだろうというのが、一番の興味の対象でした。

    XYZを比較して、みると、3作に共通して出てくる人物を、第三話で客観化したところに、シリーズの起承転結があって面白しろいと思いました。

    シリーズものを書くときの参考にしたいと思いました。

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    2012年03月04日
  • Xの悲劇

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    ネタバレ

    はじめてクイーンを読みました。
    2人の作者の合同著者名であることを始めて知りました。

    アメリカの探偵ものとして楽しめました。
    次はYの悲劇を読もうと思いました。

    ps.
    Yの悲劇を読みました。次はZの悲劇を読もうと思いました。

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    2012年03月02日
  • チャイナ・オレンジの秘密

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    殺人現場の死体の着衣、絨毯、本棚は全て逆向きに動かされ、あべこべになっていた。なぜ犯人はこんな事を?
    傑作です。

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    2012年01月28日