エラリイ・クイーンのレビュー一覧
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戦争で心を病んだフォックス大尉。父が母を毒殺したという過去が彼の心理に関わっていると思われ、父の無実を証明することが彼を救う手段になるのではないか、ということで相談されたエラリイ。十二年前の事件の細部を繙き、真実を明らかにしようとするミステリ。
描かれる事件は十二年前に起こった、一見単純に見える毒殺事件のみ。ということでミステリとしては地味なんじゃないか、読み進むための求心力があるのだろうか、などと思ってしまいましたが。それは杞憂でした。フォックス大尉とその妻の苦しみ、事件が町に落とした波紋、ライツヴィルという町の雰囲気、といった物語性が魅力的。そして丁寧に過去の細部を検証していく中で起こった -
Posted by ブクログ
中学生のころ、エラリー・クイーンのいわゆる"国名シリーズ"をいくつか読んで、「エラリーってかっこいい…」と憧れていたことを思い出した。はっきりと「美形」として描かれていたのか覚えていないが、若く、長身?で、切れ者?で、そして鼻眼鏡だか縁なし眼鏡だかをしょっちゅう磨いていたような(眼鏡萌えだったのかもしれない)。あとなんといっても名前が素敵。エラリー・クイーン。説明が前後したが、これは20世紀アメリカの推理小説作家名=従兄弟同士の二人の共作のためのペンネームであり、作中の探偵役(ややこしいことに職業は推理小説作家)の人物の名前でもある。
それで急に、果たして探偵エラリー・ク -
Posted by ブクログ
ネタバレ作者の代名詞である理詰めのロジックで勝負する物語ではなく、事件の背景にある関係者の心理分析に力点が置かれており、真相の意外性もあるし、物語としての深みを感じさせる作品であった。
(以下、物語のあらすじに触れています。)
<猫>と名付けられた犯人による連続殺人事件が5件続き、エラリイに出馬が要請され、捜査に当たるものの、さらに4件の殺人が続き、なすすべもなく、焦燥に駆られるエラリイ。一見、無差別連続殺人と思われた事件だが、エラリイの分析によって、その特徴が次第に明らかにされていき、物語の約半分ぐらいのところで、被害者間の意外なつながりがわかり、重要な容疑者が浮かび上がる。
無関係と思われた被害 -
Posted by ブクログ
アートというものが投機の対象でしかないならば
戦争もやはりハプニング・アートの一例にほかならない
くだらないことである
表現の自由は存在せず、ただ暴力を煽り正当化するなにか
…たとえば、ありきたりな「物語」
そんなものがでっち上げられているばかりなのだから
クイーン親子は、20世紀最大の武器商人「ボディジェン社」から
強引な「招待」を受ける
「帝王」キング・ベンディゴに殺害予告が届いたからだ
ベンディゴの一族は、社の創業以来
世界中のほとんどあらゆる戦争を、裏からコントロールしている
しかし、事件を追及するにつれ
すべてでっち上げで作り出された「帝国」の真実が
エラリーには見えてくるのだった