エラリイ・クイーンのレビュー一覧
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「猫」と呼ばれる絞殺魔が出現し次々に絹紐で殺人を犯す、という物語の骨組みや、犯人の動機を精神分析からアプローチしていくところはサイコ・スリラーの先駆と言えますし、「なぜ被害者の年齢が若くなっていくのか?」、「なぜ既婚女性は狙われないのか?」、「なぜ電話帳に記載されている人ばかり狙うのか?」という謎が結びつく真相は鮮やかで、ミッシング・リンクものとしても秀逸です。スランプの名探偵が復活するまでを描いたドラマ的な側面もあり、非常に高い水準で纏っている作品だと思います。
ただ、全体的に冗長気味なのと、容疑者が少ないためどんでん返しが分かり易いのが残念です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
ニューヨークで組紐による無差別連続絞殺事件が発生。警察やエラリーの必死の捜査にも関わらず止まらない殺人に、メディアはネコを模した犯人像を書きたて、市民は恐怖を募らせる。やがてエラリーは、被害者の出生にある共通点を見つけ出す。
【感想】
既に何名か殺人が起こった状態で始まり、そこにエラリーが投入されるという展開で始まる。犯人の顔も被害者の関連性もなかなか見えてこず、先の展開を期待しながら読める。
被害者の共通点が判明してから犯人を追い詰める過程は緊迫感があり良い。あっさり終わったと思わせて捻りも用意されているので、読み応えがあった。
あとがきによると、フレデリック・ダネイのベス -
Posted by ブクログ
エラリー・クイーン初読!
どうやら『Yの悲劇』の方が有名らしいですね。何も知らずに『Xの悲劇』を手に取りました……
面白いッ!
すごい描写が細かい。
本当にあった話じゃないかと疑うほど。土地勘もないし、分かりにくい所もあるけれど、それに勝るレーン氏の推理、観察力‼︎
ちょうど並行して、SHARLOCKを観ていたので、「ホームズだ!ホームズだ!」とワクワクしながら読みました。
最後まで、レーン氏は種明かしをしないので読者も一緒に推理できるんですが、もう最初からダメでした。全く追いつけない……
種明かし読んで、「そこかよー」となる。
サム警部になった気分です。 -
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クイーンファンを自認しながら、本書はその梗概すらすっかり忘れていた・・・・・・。もうほとんど初読のような感じで読んだのだが・・・。
いやもう、完成度高い。
パズラーとしてはちょっと薄いけれど、サスペンスとしては超一級。ぐいぐい読ませる。
もちろん、中盤で「なぜこの順番で殺されていたか」を説明するシーンは冷徹なまでにロジカルで、読者はクイーンの真骨頂である論理の快感を味わうことができる。
ラストもちょっと泣けるなあ。ほんと、そのまま法月綸太郎みたいだった。
中盤から後半にかけて、少々間延びしている感はあるが、その瑕疵は本書全体の完成度からして、わずかなかすり傷でしかない。 -
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本格というよりは警察小説の色合いが濃い作品。ミッシング・リンクものなのだが、同時に社会的テーマも扱っていて、既読のクイーン作品とはまるで雰囲気が違う。
チームで捜査したり、また気の遠くなるような広範囲から犯人を絞り込んでいく様は正に警察小説の展開。でも推理のプロセスはばりばりの本格。エラリイが見つけた小さな手掛かり。読者でも容易に気付くそのヒントをどのように発展させるのかと思いきや──いや、参った。これだけきれいに繋がるとぐうの音も出ないわ。作家自身がベスト作品と評するのもわかる。
異色の作品なだけに、生粋のファンから見ればそこが違和感だったりするのかもしれないが、クイーンの別の面を堪能で -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ:
クイーン父子は、旅の途中に唐突に山火事に追われ、山頂に逃げる。
山頂にはザヴィヤー外科医の邸があり、そこでひとまず難を逃れ、一夜を過ごす。
しかし、翌日にザヴィヤー外科医が銃で殺害されていた。
死体の手には破れたトランプカードが握られていて。。。
ダイイングメッセージの謎を解いて行く内容。
クイーン父子の推理が数回、ビシッと解決に導けていないのが
読んでいてもどかしい(笑
シャム双生児の秘密の発表が1933年。
80年近く前の作品でも読みやすいのは、何度も翻訳されてきたのと
エラリー・クイーンの文章自体が丁寧に違いない。