エラリイ・クイーンのレビュー一覧
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ネタバレ主人公は国名シリーズと同じくエラリー・クイーンで、作家で警視の息子という設定は共通している。だがこちらのエラリーは、皮肉屋で理屈っぽい国名シリーズのエラリーとは異なり感情豊かで思いやりがあり、ロマンチスト。さらには武闘派でもある。だからこそ、残酷な運命に翻弄される一家の悲しみがエラリーを通してダイレクトに伝わってくる。
舞台となるライツヴィルはセント・メアリ・ミードのような、隠し事など決してできない小さな町。町の名士であるライト家をめぐる騒動は、ローマン・ホリデーよろしくあっという間に拡散する。口さがない人々はただ陰口を叩くだけでは飽き足らず、それが正義とばかりにまるで集団ヒステリーか魔女狩り -
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ネタバレ冒頭から、EQは不動産屋にて部屋を借りようとするも、いかにもな曰く付きの家(災厄の家)を借りることになり、(エラリイ・スミスという偽名で)珍しい始まり方で面白い。
その後、いつになったら事件が起こるのかと思えば、そこそこ話の進んだp188にて。
著名な作家がやってきたらしいということで町ではちょっとした騒ぎになったものの、パットは最初からスミスではなくEQであることに気づいており、その後、EQとコンビめいたやりとりをしていく。
災厄の家を建てた新婚夫婦だったはずの2人がメインとなる話だが、ノーラはジョンに命を狙われている、ジョンは妻を殺すと言い、ノーラは献身的にジョンを信じて犯人はジョンじ -
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大富豪ヨーク・ハッターの死体が港で発見されるところから物語は始まる。何度も命を狙われる盲目で聾唖の長女ルイーザ、そしてハッター家の支配者であるエミリイはマンドリンで撲殺される。
ドルリー・レーンを探偵役とする「悲劇」4部作のうち、前作『Xの悲劇』に続く第2部。
以前読んだことがあるが、凶器がマンドリンということしか覚えていなかったので再読。
ドルリー・レーンが警部と検察官に事件の概要を説明している時の悲痛さが徐々に増していく雰囲気がとても印象的。『Xの悲劇』の続編だから『Yの悲劇』と言うタイトルなんだろうけど、物語に出てくる「これはまさに『Yの悲劇』だ」というレーンの言葉に深く頷いてしまう。 -
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ネタバレクイーンを語れるほど読んでるわけではない、というひとの感想。コミカルな要素がたくさんあって、テンポよく、面白かった。変人を変人と最後まで書き切ったし、変人だなと受け入れられるほどの描写もあったので、読んでる側の納得感もあった。
とある殺人事件のお話を途中で投げ出し中なのですが、人物描写や劇場感はこちらの方が好みかなとは思いました。変人一家は同じなんですが、人物側の描写が足りてないのか。そちらもいずれ読みますが。
嵌められた人物の言動と結末、ああ、そうか、だから真っ白になってしまったのね、と。真相を知ればなるほど、とても巧妙でした!
なんとなくエラリィが得した感もないわけではなく。いずれに -
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ネタバレ初めて読んだエラリイ・クイーンの小説。
前半では、田舎町の良い面も描かれるが、事件後は圧倒的に悪い面が多く描かれる。
登場人物たちの濃い人間関係によって拗れていく事件が、緻密な人間描写によって、なんの無理もなく展開されていく様子は、圧巻だった。
こうした、ドロドロとした関係のミステリ、そして、探偵が気付くのがあまりにも遅いミステリは、イライラして読むのが辛いこともあるのだが、今作は、エラリイの人柄もあって、スルスルと読めた。
真犯人が被害者となるはずだったノーラであることに関しては、状況的に考えて、わりとすぐわかるのだが、ジムの姉にまつわる謎解きは、最後までわからなかった。
何より、意外だった -
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ネタバレエラリークイーン研究の新書で、エヴァンゲリオンに似ているという説を見て、興味惹かれて読んでみました。(とは言っても、エヴァと親しんだことがないので比較はできず。なんとなしのミーハー心です)
事件前のエラリーの感情が太字で書かれ、意味を勘繰っていたけれど、感情的に入り込むことで判断が鈍って犯人にミスリードされてしまったのかな、、
幕引きの仕方(自害を示唆する)がどこかドルリーレーンのような、自分で用意した舞台を終わらせた感じがしてしっくりこず。本人が法で裁かれることを望んでいないことは理解できたけれど、時代の法制度上、どのみち死刑になるということなのか?
それでも、難しくて正直さっぱりだった -
Posted by ブクログ
一九四三年初版。国名シリーズ→ハリウッド→ライツヴィルときて、またここでニューヨーク市警レギュラー陣わちゃわちゃシリーズへ戻る。わちゃわちゃぶりはだいぶこなれてきた…ヴェリー部長刑事もよく喋るし(昔は影のようだった)、プラウティ医師も少ない出番ながら「(プラウティ医師、退場)」なんて太字の括弧付きで書かれたりするし…と思ったら、解説によるとこうした登場人物たちの性格や“ノリ”は一九三九年に放送開始されたラジオドラマ版エラリー・クイーン・シリーズに寄せたものだとのこと。
なるほど、それだけでもなるほど、なんですが、本作はさらにそのラジオドラマ版に登場するある人物の、前日譚まで兼ねているという