アーサー・C・クラークのレビュー一覧
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ネタバレ物語は、人類誕生期に現れた黒い石板「モノリス」とヒトザルが邂逅する場面から始まる。モノリスとの接触を契機に、ヒトザルは骨を武器として扱いはじめ、知性の芽生えを得る。その進化の延長線上で、数百万年後の人類は再び月面でモノリスを発見する。そこから土星(映画では木星)方向へ発せられた信号を追うべく、人工知能HAL9000を搭載した宇宙船ディスカバリー号が旅立つ。しかしHALは機密保持と任務遂行の矛盾に耐えきれず暴走し、乗組員と対立する。生き残ったボーマンは土星の衛星で巨大モノリスと接触し、人類を超えた存在(スターチャイルド)へと変容していく。
本書は、映画と小説がほぼ同時進行で制作された珍しい作品であり、一般的な「原作→映画化」という順序ではなく、互いに影響を与えながら制作された。小説は科学的描写が緻密で背景描写も豊富だが、それでも理解しきれないまま読まされる印象も強く、それでも続編が気になる余韻は残る。
一方、映画はさらに抽象度が高く、象徴性が前面に出る。特にスターチャイルドへ至る描写は理解というより「受け取るしかない映像体験」に近く、ストーリーとしては小説以上に掴みにくかった。HALの裏切りや、最後の変容の流れは、特に意味がつかみづらい印象。
著者の名言「十分に高度な科学技術は魔法と区別できない」があるが、映画は魔法すぎた。
個人的には映画→小説の順番で触れていれば評価は変わったかもしれないが、小説→映画の順だと「なんじゃそりゃ」感が勝ってしまった。小説版は続編があるので小説はまた読むかもしれない。 -
Posted by ブクログ
数年前に宇宙モノを読んでみたくて手に取ったものの挫折した為、オーディブルにて再チャレンジ。
今読んでも当時期待していた宇宙モノとは大部分が違っていたなと感じた。なんせ未知と邂逅しても何ひとつ分からないまま終わってしまうのだ。そうだったのかというカタルシスもないまま、一体何だったのだろうと煙に巻かれた感じがある。
唯一面白かったのはHALとの攻防だった。やけに自身の正当性を説いて譲らないAIとのやりとりがつい最近自分の身の上にも起こっていたからだ。軽く腹を立ててやれやれとプロンプトを閉じ、何なら履歴から削除して終えたやり取り。自分はそれで済んだ。だがHALとのこのやり取りはどうだろう。地球から遠く離れた宇宙の深淵で命を握られた状態で一対一で対峙しなければならない状況。空恐ろしさを感じずにはいられない。本作は半世紀あまりも前に未来を空想して描かれた内容でその多くが現実とは乖離しているのにも関わらず、そこだけ妙に親近感を覚えたのが強く印象に残った。 -
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日経新聞に早川書房社長のコラムの連載があり、その中で著者のクラーク氏のことが触れてあったのを読んだら無性にクラークSFを読みたくなってしまいました。
未読の本書があったので読んでみる。
人類の月着陸船プロジェクトを詳細に描く本作はもちろんアポロ計画より前に発表されながらも実にリアルに描かれた、あり得たかもしれない宇宙計画だ。宇宙へのあこがれや地上の諸問題をほっぽらかしてなぜ宇宙へ行くのかといった観点を正面から描き清々しい。第二次対戦をのりこえて世界がむかうべき道が宇宙に広がっているとか、成層圏の外側に国境はないとか、今読めば赤面するくらい真っ直ぐに描く。月へ向かう多段式ロケットは原子力エンジンで、オーストラリアの砂漠に建設された長い斜路を核汚染物質を撒き散らしながら滑走していく。原子爆弾の諸問題がまだ尾を引いている最中でもこの設定だよ。だけどそれがなんだ!天の光は全てなんとかで描かれたような独りよがりの胸焼けするようなきもい妄想ではない。クラークには明確なビジョンがあるのだ。この2作あとに「幼年期の終わり」が発表される。クラークはやっぱり最初からクラークなんだね。このストレート感がたまらない。なんだかちからが湧いてくる。もう一回クラーク読み直すかな。
現実世界のアルテミス計画がコスパ優先のしょぼいプロジェクトに終わらないことをお祈りする。 -
Posted by ブクログ
以下の問を、人類よりも発展した種族≒宇宙人の出現というストーリーの中で描きたかった本である。と読んで思った。
・人間というものは、何を希求して生きているのか?
・人類とはどんな世界を目指し、どんな道を選んできたのか?
・人類はどのような発展ないし進化、変化をとげていくのか?
目的意識、論理的発展、科学の発展という現代が希求していることの限界を感じた。
サイエンスフィクションでサイエンスの限界を描くというのはSF名著で共通して見られると思った。
「議論をやめて事実を集めるべきだ。それには行動が必要だ」
「これが人類のメタモルフォーゼの結果なのか。」
この言葉が心に残った -
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ネタバレクラークは昔よく読んだ作家だが、この小説のことは長らく知らなかった。映画「ディープインパクト」の原案とのことで、「悪魔のハンマー」のようなカタストロフィ物を期待して読み始めた。前半はクラークお得意の近未来社会描写の中で、一人の男の努力や挫折が中心に描かれ、「海底牧場」的な感動話になるのかとも思ったが、カタストロフィ物としてはやや緊張感に欠ける。終盤になって彗星の軌道をずらそうとする現場の描写が中心となり、ようやく盛り上がり始める。結局、人類滅亡は免れたが彗星の一部は地球に衝突し多くの人々が犠牲になった。その時の人々の生き様を丹念に描いたのが「悪魔のハンマー」だが、ニーブン&パーネルが1000ページを費やして描写したものをクラークは2、3行ですましたのには笑ってしまった。登場人物は皆善人で自分の命を捨てて地球を守ることに迷いがないのはなんともクラーク的だが、そういった点でも物足りなさを感じる作品だ。
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Posted by ブクログ
あー、「銀河帝国」の続編か。読んでねー。
と思って引いたんだが、「銀河帝国の崩壊」の、作者自炊完成版と言ったところだったのか。
アーサーCクラークは、名作2001年がイマイチと感じたこともあって敬遠していたのだが、面白かった。
全体に古い。だって、1950年代だもんな。
どこかで見たよなあってのも逆で、この辺の大家のアイデアを、昨今の作品が取り入れていると言うか、二番三番煎じで、どうオリジナリティを出すのかってのが、相場だろう。
かつて銀河中に覇を唱えた銀河帝国が崩壊して、地球に閉じこもって数十億年。
コンピュータによる完全管理社会と、仕組まれた異分子はマトリックス彷彿だが、仮想現実ではなく、それをリアルで実現してる。
カウンター社会になる自然に属する社会。とはいえ原始ではなく、むしろ精神感応というアドバンテージを保持。
展開はあれよあれよと。
イデも出てきたな。イデじゃないけど。
社会の根底にある共通文化をひっくり返すのが、ストーリーの根底で、結局は「謎解き」に近いものがあるが、素直に読めた。
今、こういうアイデアを思いついて形にしても、所詮は二番煎じになってしまう。
悔しがってもしょうがない。 -
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ネタバレ映画は何度か途中で挫折したせいで、一応最後まで目を通したはずだが内容はほとんど覚えていない、くらいのインプットで今回読んでみた。
この小説と映画は同時進行で制作、今のメディアミックスの形で作られていたということを、前書きで初めて知って驚いた。1960年代といえば米ソの宇宙開発競争真っ只中。そんな中、製作されたこの作品は、すごい熱量で迎えられたのだろう。
本の半分くらいまではなかなか話が進まないが、第四部でボーマン船長が出てきてからストーリーが急速に展開していく。個人的に一番印象に残ったのは人工知能HALの殺害シーン。人工知能を『殺害』と表現するのはなんだか可笑しな気がするが、まるで人間を解体していくかのように機械をこじ開けて、HALが段々と知性を失っていく様子がの描写された一連のシーンに圧倒された。
ボーマンが土星に向かった後のモノリスとの接触の後は、「え、これで終わり?」感が強い。人間ではない何かになってしまったのはいいが、何をするんだろう…。
シリーズであるとは知っているので、続編を読もうかと迷っている。 -
Posted by ブクログ
スケールも設定も壮大なのに話としてまとまっているのが凄いなと感じた。
何百億年という歳月で起こる宇宙規模の変化に、ダイアスパーという不死を実現させた超科学のユートピア…。
主人公アルヴィンの冒険譚としてもとても面白く、たくさんのロマンが詰まってるなと感じた。
特に好きだった描写は人間のいない惑星で植物が独自の進化を遂げている描写が凄く禍々しくて想像が膨らんでわくわくした。
また、子どもほどの精神年齢の知的生命体ヴァナモンドも印象に残った。
「幼年期の終わり」でもそうだったが、クラークは幼稚な知的生命体描くのが上手だなと思った。
あと訳者のセンスなのかとても文章が読みやすい。 -
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最初に出てきた宇宙船の船長はチャンドラー。ハルを開発した博士もチャンドラーじゃなかったっけ?親戚かな?とハルの生みの親の方のチャンドラーをぐぐってみると、本名はシバサブラマニアン・チャンドラセガランピライだった。たぶん誰もインド系の人の本名をきちんと発音できなかったので、チャンドラー博士と呼ばれていたんだろうな。
3001年には握手という習慣は失われていて、英語はラテン語レベルの死語になっているらしい。特別教養のある一握りの人だけが読み書きできる。おもしろいな。
stir crazy 長い刑務所暮らしで気が変になること。
これは拘禁反応と関わりのある言葉なのかな?
3001年宇宙の旅は2001年と同じくらいおもしろい。
科学的にも社会的にも道徳的にもあらゆる分野で現代よりも遥かに進歩した時代が描かれているけれど、医師や高度な技術者は必ず男性で補佐的な立場の看護師などは全員が女性など、この話が書かれた90年代のジェンダー規範を、作者自身が乗り越えられていないことが透けて見えるところも含めてなかなかおもしろい。
アーサー・C・クラークがスタートレックの大ファンだということがわかった。見たことはないけれど、題名はよく聞くドラマだ。ドラマだよね?
おもしろいのかな?
読み終えてみると、やっぱり2001年が完成度高過ぎた。
奇跡の復活を遂げたプールが、31世紀の世界での生き方を学んで、愛する人を見つけ、社会的役割と地位を手に入れるところまでで本の9割が終わった。
このままめでたしめでたしで終わるのかと思ったら、モノリスを設置した知的生命体が、千年前の情報をもとに人類は野蛮すぎて生きる価値が無いので滅ぼそうと決めたという知らせがフランク・ボーマンとハルの集合体からもたらされる。
人類はその脅威に対して、封じられたコンピュータウイルスで対抗することに決め、とりあえずは千年の猶予を得た、という所で終わった。
全体を通して淡々とスムーズに話が進み、未来の人類は超科学のおかげでものすごく賢くなって感情に振り回されたりしないという設定なので感情的なぶつかり合いなどの描写もなく…だしはしっかり取ってあるけど薄味のおかゆを食べていたら、お椀の底にエビが一個あったという感じの読後感だった。
つまり…めでたしめでたしだということだよね?少なくともフランク・プールにとっては。 -
Posted by ブクログ
あの頃、未知なる未来は希望に輝いていた。
映画「2001年宇宙の旅」が封切られた時、評判は真っ二つに分かれた。
「意味がわからない、独りよがり」
「なんだかわからないけど、なんか凄い」
小説は映像とは違う。
当然、感じ方も異なって当たり前とは思うけど、あまりに映画に感化された者にとっては、文章で説明されてしまうとなんだか……。
あの頃、文明は限りなく進歩するものと思った。
映画を見て、さらに現実にアポロが月へ行き、さらにスペースシャトルが宇宙を飛びまわる。
21世紀に入って、何が進歩しているのか?
確かに、パソコンからスマートフォンへの技術革新、ネットワークの広がりと速度の進歩、画像解析やGPS技術などの精度と応用スピードなど、数えたらきりがない。
でも、この本に書かれたような「未知なるものへの期待」が、人の心にあるとは今は想像できない。
この本を読んで、改めて「希望」の重要性を考えるべきか、それとも「しらけてしまう」のか……。