アーサー・C・クラークのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あー、「銀河帝国」の続編か。読んでねー。
と思って引いたんだが、「銀河帝国の崩壊」の、作者自炊完成版と言ったところだったのか。
アーサーCクラークは、名作2001年がイマイチと感じたこともあって敬遠していたのだが、面白かった。
全体に古い。だって、1950年代だもんな。
どこかで見たよなあってのも逆で、この辺の大家のアイデアを、昨今の作品が取り入れていると言うか、二番三番煎じで、どうオリジナリティを出すのかってのが、相場だろう。
かつて銀河中に覇を唱えた銀河帝国が崩壊して、地球に閉じこもって数十億年。
コンピュータによる完全管理社会と、仕組まれた異分子はマトリックス彷彿だが、仮想現実では -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画は何度か途中で挫折したせいで、一応最後まで目を通したはずだが内容はほとんど覚えていない、くらいのインプットで今回読んでみた。
この小説と映画は同時進行で制作、今のメディアミックスの形で作られていたということを、前書きで初めて知って驚いた。1960年代といえば米ソの宇宙開発競争真っ只中。そんな中、製作されたこの作品は、すごい熱量で迎えられたのだろう。
本の半分くらいまではなかなか話が進まないが、第四部でボーマン船長が出てきてからストーリーが急速に展開していく。個人的に一番印象に残ったのは人工知能HALの殺害シーン。人工知能を『殺害』と表現するのはなんだか可笑しな気がするが、まるで人間を解体 -
Posted by ブクログ
スケールも設定も壮大なのに話としてまとまっているのが凄いなと感じた。
何百億年という歳月で起こる宇宙規模の変化に、ダイアスパーという不死を実現させた超科学のユートピア…。
主人公アルヴィンの冒険譚としてもとても面白く、たくさんのロマンが詰まってるなと感じた。
特に好きだった描写は人間のいない惑星で植物が独自の進化を遂げている描写が凄く禍々しくて想像が膨らんでわくわくした。
また、子どもほどの精神年齢の知的生命体ヴァナモンドも印象に残った。
「幼年期の終わり」でもそうだったが、クラークは幼稚な知的生命体描くのが上手だなと思った。
あと訳者のセンスなのかとても文章が読みやすい。 -
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最初に出てきた宇宙船の船長はチャンドラー。ハルを開発した博士もチャンドラーじゃなかったっけ?親戚かな?とハルの生みの親の方のチャンドラーをぐぐってみると、本名はシバサブラマニアン・チャンドラセガランピライだった。たぶん誰もインド系の人の本名をきちんと発音できなかったので、チャンドラー博士と呼ばれていたんだろうな。
3001年には握手という習慣は失われていて、英語はラテン語レベルの死語になっているらしい。特別教養のある一握りの人だけが読み書きできる。おもしろいな。
stir crazy 長い刑務所暮らしで気が変になること。
これは拘禁反応と関わりのある言葉なのかな?
3001年宇宙の旅は2 -
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あの頃、未知なる未来は希望に輝いていた。
映画「2001年宇宙の旅」が封切られた時、評判は真っ二つに分かれた。
「意味がわからない、独りよがり」
「なんだかわからないけど、なんか凄い」
小説は映像とは違う。
当然、感じ方も異なって当たり前とは思うけど、あまりに映画に感化された者にとっては、文章で説明されてしまうとなんだか……。
あの頃、文明は限りなく進歩するものと思った。
映画を見て、さらに現実にアポロが月へ行き、さらにスペースシャトルが宇宙を飛びまわる。
21世紀に入って、何が進歩しているのか?
確かに、パソコンからスマートフォンへの技術革新、ネットワークの広がりと速度の進歩、画像解 -
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ネタバレ人類が娯楽にふけり、遊生夢死していたときが「黄金世代」と称されていたのを恐ろしく感じた。小人閑居して不善を為すとはまさにこのこと。
人類そのものの存在理由や運命を問いかける作品。作品としては文句なしだが、私の性には合っていなかった。「すばらしき新世界」を読んだ時は著者の物事についての思想が語られていて終始学びのある読書だったが、本書ではストーリー重視といった所だろうか。ただ、これは単に個人の好みであると感じている。
本書では地球の運命の一切をオーバーロードに委ねられている状態である。人自身の手で作られたユートピアと人以外によって作られたユートピアという点で他のSFとの違いを見出すことができる -
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アーサー・C・クラークの想像力に圧倒される作品でした。
2130年、太陽系に突然現れた未知の超巨大飛行物体、通称“ラーマ”に挑む宇宙飛行士たちと人類を描いた長編SF小説です。
こう書いてしまうのもなんだけど、読んでいてけっこう序盤で情景が分からなくなってしまった。
重力がこうなって、宇宙飛行士たちの体がこうなって……、みたいな最序盤のラーマへの潜入シーンはなんとなく想像しながら読めましたが、ラーマの船内、さらに船の中に広がる海や都市の話になると、もう想像が追いつかなくなってしまいました。
これを書いたクラークと、文章だけで情景がパッと想像できる人は、もう人類を辞めているのでは……などと思っ -
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★だが、そのうち思いつくだろう。(p.321)
読んでよかったようなよくなかったような。映画は十回くらいは観てるので読んだ気になっていたが未読だったことに気づいたので読んでみました。映画ほどではないがドライでクールな印象。旧きよきSFで尖ったところがなく読みやすいです。映画版の、混乱をもたらす終盤が小説版ではあるていど理解できるかたちになっています。でもじつのところこれが正解ともいえないのでしょう。謎は謎のまま置いときましょう。
▼簡単なメモ
【一行目】干魃はもう一千万年もつづき、恐竜の治世はとうに終わっていた。
【アリエス1B型月シャトル】宇宙ステーションと月を往還する。三十人乗り。 -
Posted by ブクログ
映画でカットされたナレーション部分が補足されてて、頭の中のハテナが解消された。
特に第一部の猿人類がモノリスによって人類へと進化した過程は、1章丸々割いてくれてる。「現在だけしか知覚しない動物とは異なり、ヒトは過去を手に入れた。そして未来へと手探りをはじめた。」という文章が象徴するように、進化前の猿人類は出来事をすぐに忘れる。米印のように、この記述は今の私たちの感覚であって、彼らは覚えてすらない...という内容の文章がちょこちょこ挟まっているのが、面白かった。
HALが暴走した動機も書かれていたので、映画に比べてHALへの憎らしさは少ない。同情できる分、最期のシーンは切なかった。「チャンドラ博 -
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宇宙エレベーター建設をめぐるハードSFでありながらも、宗教や異星人とのファーストコンタクト、架空歴史ものの要素も盛り込まれた作品。
宇宙エレベーターの建設への理想的な場所が、3000年の歴史を持つ寺院が建つ霊山の山頂。ここで描かれる宗教と科学の対立。思索的な部分や抽象的な話が多くて、前半はかなり苦戦しました。なんとなく読み進めていたらいつの間にか、具体的な建設の話に移ってしまっていた印象で、自分の読み込みが追い付けなかったのがもったいない……
一方で宇宙エレベーターの描写や、異星人とのファーストコンタクトの歴史が語られる場面の壮大さがよかった。人間の技術では測れない異星人との出会いが人類に -
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Posted by ブクログ
映画を観たので、読んでみた。
映画では理解の限界があったところもそういうことだったのか、と単純に分かった部分もあり。。。
人間の理解を超えた領域への想像が掻き立てられ、「神」とは何か、「宇宙」とは何か、知性の行き着く果てはどこなのか、支配者は誰なのか、考えさせられる本。
人類は、ポツンと訳もわからず意味不明に突然誕生させられて、自分が何者かも分からず、この宇宙に投げ出されたと言っても過言ではない訳だ。
そんな私たちは、自らが支配者であると思い上がってはいけないと同時に、畏怖を胸に挑戦し続けなければならない。その先に何かご褒美がある、と思わせてくれるような。
そしてまた、この壮大な物語も限界