【感想・ネタバレ】幼年期の終りのレビュー

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あまりにも壮大過ぎる

2024年03月04日

この作品は間違いなくSFにおける名作の一つだろう。
人知を超越した文明・世界・概念との出会い。
それに触れ合った末、新たな境地へと辿り着いた人類は"人類"でいられなくなる。
それは良いとか悪いとか、単純な価値観で測れるものでなく、
ただただ壮絶な人類史の終焉に圧倒されるばかりであ...続きを読むる。

この壮大なストーリーを巧みに表現し切ったクラーク氏と、
それを訳した福島正実氏の功績を称えたい。

#深い

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Posted by ブクログ 2023年08月12日

最高。読みたかったSF。人類とは広い宇宙のなかの地球に存在する一つの種族であるということ、時は過去から未来に流れて記憶を残していくということ、そういう常識が全く通用しない世界を見せられた。壮大すぎて理解できないのが良い。

―種族的記憶――そうだ、そういったものがあるにちがいない。そしてその記憶は、...続きを読むなぜか時間とは無関係なのだ。そこでは、未来も過去も一つでしかない。だからこそ、すでに何千年、何万年かの昔、人類は畏怖と恐怖のもやを通してオーバーロードの歪んだイメージを見ていたのだ。

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Posted by ブクログ 2023年06月15日

多くの方がマスターピースに挙げておられるのに頷けます。常套句ですが、不朽の名作と言えるでしょう。ソリッドな物語でした。とても良かった。私は好みから、ウェットな作品をどうしても楽しめないのですが、乾いていて、微温的な余地を排していて、とても主義に合いました。

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Posted by ブクログ 2022年11月03日

オーバーロードと出会ったばかりの頃である第一部を読んでいる時が一番楽しかった。まだ幼年期であるこの世代の人々が最も私自身に近いからだと思う。共感しながら読めるのだ。
何が隠されているのだろうと恐れながら読んだが、科学を超えた力がその上に君臨しているなんて考えてもみなかった。たしかに努力ではどうにもな...続きを読むらない世界だ。
地球人類の終わりもそうだが、オーバーロード達のこれまでとこれからのことを考えて絶望感に打ちひしがれた。本当に突然変異でもしない限り、流れを変えるのは難しいのだな。
結果的に、地球人類は自滅の期限を少し延ばしたというだけだった。宇宙規模で見れば。それがまた虚しくもある。
時代によって語り手が変わっていったが、最終的にはカレルレンの背中の哀愁が目に浮かぶようだった。最後の光を放つ星と、静かで深い宇宙のコントラストはきっと美しいだろう。

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Posted by ブクログ 2022年11月01日

ずっと前に読んだことがあるはずなんだけど、後半の展開はまったく覚えてなかった。そのおかげというかなんというか、衝撃の結末だった。人類の未来について書かれた作品は星の数ほどもあるけど、ユートピアとかディストピアとか、希望とか絶望とか、そんな物を超越した未来。種としては高次元の存在になったんだろうけど、...続きを読むそれがいい事なのか私にはわからない。

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2022年09月28日

面白かった。
超有名作品だけど読んだことがなかった。
色んな作品に影響与えるのも納得の面白さ。
素晴らしいSF作品だった。

#深い

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Posted by ブクログ 2022年07月19日

クラークは20代の頃に何冊か読んだが、「幼年期の終わり」は今まで読まずじまいだった。人類の幼年期が終わる様子に結構な衝撃を受けた。でもきっとそうなんだろう。進化は福音であるのと同時に強烈な喪失感を伴うのだ。

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Posted by ブクログ 2022年04月19日

圧倒的存在である地球外知的生命体に支配された人類。その目的が分からないまま平和的な完全統治下に置かれて人類は無目的で安全な時代を迎える。そしてその時期を超えて更なる高次元の存在へと変態するために、まさに人類は幼年期の終わりを迎えていく。圧倒的なスケールと宇宙の情景、ハッピーエンドやバッドエンドを超越...続きを読むしたラストシーンは圧巻だった。

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Posted by ブクログ 2022年02月28日

◯読み終わって改めて考えると、いかにこの本が後世のSFやマンガなどに影響を与えたのかがよく分からる。当日書かれたということは革新的であり、今にしてみれば、まぁありそうな話し…と感じて、何が凄いのか分からないこと自体がすごいのかもしれない。
◯現在のグローバル社会を維持するために必要なのが多様性の尊重...続きを読むだと思うが、その先ににあるものを飛躍させるとおそらくこの本に出てくる人類なのではないかと感じさせる。共感を発達させることによって、個人の境界が無くなり、溶け合っていくのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2022年02月09日

息子に勧められ、初SF。

この作品とんでもない昔に書かれたはずなのに、、この発想、設定が凄すぎる。

私の世界観、価値観、少し変わったかも。
良い意味で。

読後感想書かずいた所、、MARVEL映画にハマりマイティ・ソーを見ていたら登場人物の女性が、アーサー・C・クラークが、、、て言うてた。
...続きを読むで、改めて覚え書き程度の感想(˙꒳˙ก̀)

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Posted by ブクログ 2021年03月23日

題名が秀逸。このタイトルじゃなければ意味が分からなかった。

人間の肉体(または肉体があるという錯覚)を捨てて、より高次のものへと進化する。
解脱する。
神と一体になる。
SFというよりは宗教なので、合わない人には合わないだろう。

人類は何処に向かうのか。
人類の終焉はどうなるのか。

現実には幼...続きを読む年期を卒業すれば、お迎えではなく、より良き未来が築けるのだろう。
けれども温暖化やら争乱やら差別やら、人類はいつまでたってもどうしようもない。
幼年期を脱するのはいつになるのか。。。


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Posted by ブクログ 2021年02月18日

圧倒的な色彩感と、神秘的で幸福と寂しさに包まれた世界観とに没頭して中々ページを捲れなかった。美術館で気付いたら2時間近く経ってた様な感覚。
古い作品ですが古くささは感じず読みやすい。SFの原典の一つ。

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Posted by ブクログ 2021年01月14日

SF小説を初めて読んだのですが、とても考えさせられる作品だった。

進化は良いことだと思っていたが、本当に進化することが全て良いことなのか、私たちが今暮らしやすい世の中になるように進めている“進化”は私たちに楽園をもたらしてくれるのだろうか。

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Posted by ブクログ 2020年11月25日

いやー、凄かった。
中盤以降の怒涛の展開に、後半の章は、ほとんど一気読み。震えたー!

これはSFなのかな?1979年刊行とのこと。
予言書のようでもあるな。

人類は科学が万能であり、
人類は無敵かもしれない、と勘違いをしているようで、宇宙人やUFOはバカげた都市伝説だと笑う人々は、いったい宇宙の...続きを読む何を知っているのだろうか?

カレルレンの言葉が全てを表してる。
「星々は、人類のものではない」

ワンネスとは物理次元の自我にとっての恐怖なのか。なるほど!だから死が怖いのね。

自我の消滅と自我の抵抗。
アセンションと統合。

オーバーロードたちの行きつくさきは…どこなのかな…

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Posted by ブクログ 2020年09月21日

人類より遥かに進んだテクノロジーを持った宇宙人オーバーロードが地球に訪れ、人類の進むべき未来を導いていく。

地球にユートピアを築き上げたオーバーロードだったが、ラストで明かされる真の目的と人類を待ち受ける運命は…。

進化が必ずしも喜ぶべきものではない、ということなのだろうか。

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Posted by ブクログ 2019年05月29日

突如人類の前に飛来した巨大なUFOにより、人類の歴史は一変した。上帝《オーバーロード》と呼ばれる彼らにより、地球上の戦争や飢餓は去り、人類は栄光と繁栄の道を歩みだしたかのように見えたが……。

古典名作のSFだが、今読んでも色褪せておらず、SF初心者が読んでも分かりやすい筋書きとなっている。苛烈な宇...続きを読む宙競争の果てに訪れた、突然のファーストコンタクトという開幕から、第一部は主に人類を管理するオーバーロードの正体とその目的に焦点を合わせているため、読者の気になる部分とストーリー進行上の謎が噛み合わさっているため、ぐいぐいと物語に引き込まれていく。人類が嫌悪感を覚えるような異形異様の姿だから隠している説や、実は人類と同じヒューマノイド型のエイリアンだからという説など、隠された謎に対する議論の数々はオーバーロードの正体に対するハードルを無尽蔵に上げていくが、第一部の最後で明らかになったオーバーロードの正体=悪魔というのには、あれだけハードルを上げていたのに想像に至らず、驚いてしまった。エイリアンの造形が神話や伝説上の姿であることから、はるか古代にも訪れていた可能性を出しつつ、一発でイメージ喚起させる上手い造形である。また正体という美味しいネタを最後まで隠さず、序盤の段階で切ってきたのは素晴らしい。第二部は黄金時代の名の通り、オーバーロードによって変革した人間社会、所謂ユートピアを描いているわけだが、こういう架空の革新的な出来事による未来社会の予想図はいつ読んでもワクワクする。そしてオーバーロードの目的に対する若干の懸念と、冒険を求めて密航とする若者という小さなエピソード、いずれ夫婦になる二人という市民の視点を挟みつつ、物語は終局へと移行する。オーバーロードの支配、それに対する抵抗というには、あまりにも文明力に差がありすぎるため、それは無いと思っていたが、明かされた真実、オーバーロードより上位のオーバーマインドという存在の判明は、一気に絶望と諦観をもたらせてしまう。それはもう人類に分かるレベルの支配とか搾取ではなく、摂理にも似た、圧倒的な矮小さの現れである。宇宙は人類のためにあるのではないという、ごく普遍的な真実はひどく残酷にも映るが、旧人類の繁栄と滅亡という、壮大なテーマの前には塵芥に等しい感情だろう。知的生命体が一段上の進化をするという、壮大なスケールの物語を一冊にまとめた驚異的かつ、アメイジングなSFである。

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マスターピース!

2013年03月01日

クラーク1952年の古典的名作。美しく壮大で残酷な人類の未来が描かれる。さすがに登場するガジェットは古いけど、アイデアやイメージは今も新鮮!読まずに死ねるか〜〜

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Posted by ブクログ 2023年09月28日

SF好きを明言しながら未読なのもどうかと思い、意を決して読んでみましたが、これまで読んでいなかったことを大後悔…!ベストSFに上げる方が多いのも納得の大傑作でした。

オーバーロードという人類を超越する存在との接触を描く前半は、いわゆるファーストコンタクトものとして展開していきますが、後半、オーバー...続きを読むロードの目的が明かされてからは、物語の様相が一気に様変わりします。さらなる上位種の存在、個を消失し進化する人類、道を閉ざされながらも個としての未来を諦めないオーバーロード。これは悲劇なのか喜劇なのか。一言では言い表せない展開と結末に、読後、しばらく呆然としてしまいました。



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Posted by ブクログ 2023年03月09日

ファーストコンタクトを描いたSF古典。圧倒的な技術的優位性を持った存在に人類は管理される。歴史から類似事例を出すならば日本の黒船来航になるだろう。

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Posted by ブクログ 2023年03月04日

読み終わってポカーンとしてしまった。空虚、おいてけぼり、消化不良、うまく言えないがそんな感じ。
圧倒的な科学力で人類を間接支配する「オーバーロード」は、人類にかつてない繁栄と平和をもたらしたが、あまりに圧倒的すぎる力の前に人類はハングリー精神を失う。オーバーロードの真の目的は後半まで明かされない。
...続きを読む真の目的が明かされたとき、「は?」と思った。圧倒的科学力を持つオーバーロードのさらに上位「オーバーマインド」がいて、科学力などではどうにもならない存在だという。
科学力が唯一の宗教となった人類というか我々にはまさに想像がつかない。科学だけでは進化の限界があり、オーバーロードは進化できない。オーバーロードはそれを知っている。だから人類のテレパシー的能力を観察する。
やがて今の人類と地球は消滅して、新たな「子ども」は目的なく個性なく地球上に漂う。
こんな展開というか設定があるのか。ハッピーエンドとかバッドエンドとかそういう話ではないな。前半のファーストコンタクトなエピソードはオマケに過ぎないな。
進化はの果てに何があるのか?進化は真の幸せをもたらすのか?目先のテクノロジー設定が巧みに隠されているおかげで古さを感じにくい普遍的物語になっていると思う。

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Posted by ブクログ 2022年08月09日

宇宙人到来!「インディペンデンスデイ」ばりの衝撃!でも何もしない。宇宙船からじっっっ…と見てるだけ。という入りがまず不気味で一気に引き込まれる。「え…何しに来たん???」「どんな姿なん???」「つかどっから来たん???」という状態から何十年もかけて人類とコンタクトを取っていく。少しずつ少しずつオーバ...続きを読むーロードの正体が分かっていったり、地球文明も宇宙人ことオーバーロードたちと関わっていくうちにいろんな発展を遂げていき、最後はとんでもない所まで話が進んでいくのでじわじわ面白くなっていくタイプの作品。言語化が難しいのだが、現在までSFだけに限らず色んな作品に影響を与えたらしく、発表当時はかなり画期的だったのではないかと思われる。正直、既視感がすごいけど「この作品だとこの展開に対するカウンターがあるな」とか「この作品はここをオマージュしたのかな」など他作品の考察もできてなかなか面白かった。では他作品と比べて元祖とも言える本作はというと、展開に対するド直球さが逆に全然わざとらしくなくてスッキリするし、文章がとっても詩的で美しい。一周回ってむしろ新鮮に思える。

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Posted by ブクログ 2021年12月12日

初読(創元推理文庫版だった)は小学生(中学に上がった頃?)だった筈なので、約50年ぶりの再読。
当時は、作品中に提示されるビジュアル描写に圧倒されてばかりで、作中にちりばめられた諦念や悲哀までは理解できなかったように記憶する。 生物の進化とはすばらしいことだと今でも思ってはいるが、進化の過程から取り...続きを読む残された存在(それが地球人であれ宇宙人であれ)の観念がもの悲しい。 グレッグ・ベアの“ブラッド・ミュージック”と読み比べてみたい。

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Posted by ブクログ 2021年08月09日

カレルレンが主人公って書いてあるあらすじもあったけど、個人的にはいくつかの視点で見つつも人類全体が主人公なのかなと。 人類の進化?を題材にするという読んだことないタイプのSFで、なるほどこういうのもあるのかあと思った。 ビジュアルを表現する文が多いけど、古めの訳語調なのが少し引っかかるところ。

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Posted by ブクログ 2021年06月16日

初読み英SF作家アーサー.C.クラーク1952年S27刊行。
エイリアンの巨大船団が主要都市上空に現れて世界の支配を開始する。彼らの目的は?人類の未来は?
難解映画「2001年宇宙の旅」原作者だけあって、本作も理解するのになかなか難しい哲学的な作品でしたが、神がテーマなのかも。

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Posted by ブクログ 2021年04月29日

前半は伏線。後半一気に結末へ。現代の国家間の覇権争いが小事に感じます。SFらしいSFはほぼ初めてでしたが、世界が広がりました。

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Posted by ブクログ 2020年06月21日

地球に圧倒的な知力技術力を持つ異星人が突然やってきた、しかし彼らは統治することはせずただ上から地球人を眺めて存在を誇示するだけ。圧倒的科学力の前に、宗教が無くなり戦争が無くなり、そして進歩する気持もなくなる。50年経ってようやく異星人は姿を地球人に見せた。さらに80年経って異星人の故郷と超高速移動し...続きを読むたただ1人の地球人が戻ってきたときに地球は様変わりしていた。いったい何のために異星人は地球にやってきたのか?設定が非常に哲学的でSFの傑作であることは間違いないし、第1部だけでも映画化してほしい

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Posted by ブクログ 2020年03月07日

 ある日突然世界中の主要な都市の上空に現れた巨大な飛行物体。そして宇宙人の代表であるカレルランは、人類が全く及ばない科学力と知略を持っており、人類を瞬く間に管理下に置き……

 SF史上屈指の名作と呼ばれる作品ですが、作品からあふれ出る想像力や、全人類のその後を描くスケールの大きさというものはまさに...続きを読むそれを感じさせるものでした。人類は何のために生まれてきたのか? そしてどこに向かっていくのか? そんな壮大な問いを投げかけてくる作品です。

 前半から中盤にかけてはカレルランの目的が全く見えず話全体がまどろっこしい雰囲気だったのですが、三章からの流れは圧巻! 中でも印象的だったのがラストシーンです。その描写の美しさとカレカランの目的が分かってからの複雑な気分も相まって、読後感は絶望と希望とがいっしょくたになった、表現するのが難しい感情を持ちました。

 この未来予想は希望なのかそれとも絶望なのか、それは人間としてこの本を読むのか、人類としてこの本を読むのかで変わってくるのだろうな、と思いました。

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Posted by ブクログ 2023年05月07日

いきなり地球外生命体と出会い、たちまち人類が精神的に支配されていく過程は、リアリティがありとても面白かった。

自分は「成長」という概念に疑問があるので、オーバーマインドなる人類よりも遥かに優れた存在が、成長を望んでいるのが、どこか信じられなかった。

個人の意識が溶け合って一つになるのは、どこか東...続きを読む洋思想っぽくて好きだった。

オーバーロードの住む惑星の描写がとても綺麗で、50年代に描かれたとは思えない。しかし、2020年代には高レベルのCGがあり、アバターのような映画も存在するので、感動が薄れてしまった。もっと前に読めたらよかった。

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Posted by ブクログ 2023年04月08日

人類が娯楽にふけり、遊生夢死していたときが「黄金世代」と称されていたのを恐ろしく感じた。小人閑居して不善を為すとはまさにこのこと。

人類そのものの存在理由や運命を問いかける作品。作品としては文句なしだが、私の性には合っていなかった。「すばらしき新世界」を読んだ時は著者の物事についての思想が語られて...続きを読むいて終始学びのある読書だったが、本書ではストーリー重視といった所だろうか。ただ、これは単に個人の好みであると感じている。
本書では地球の運命の一切をオーバーロードに委ねられている状態である。人自身の手で作られたユートピアと人以外によって作られたユートピアという点で他のSFとの違いを見出すことができる。人以外によって統治された地球はこのような悲惨、壮絶な最期を迎えるとなると、やはり人類の主人は人類でないといけないという結論になるのだろうか。

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Posted by ブクログ 2022年03月08日

フロム・ソフトウェアのゲーム『Bloodborne』を友人に勧められたところ、どハマりしてしまい、同じく友人の紹介で、当ゲームの元ネタとなった本作を知った。

読み始めに想像していたよりも、ずっとファンタジックな展開となった。

科学を一種の宗教であると認めながらも、進んだ科学が全ての宗教を淘汰した...続きを読む世界を展開する前半に対して、後半では、霊的な方向性で人類が進化していく世界を展開していた。

後半の、あまりに超能力じみている展開をファンタジックと捉え、少々げんなりした気持ちになってしまった私は、すでに科学という名の宗教の虜になってしまっているのかもしれない。

オーバーロードと人類の違いの一つとして感情のあるなしが挙げられる。これは、感情が摩耗した種はオーバーロードのように進化が頭打ちになってしまうことを暗に示す筆者からの警句ではないかと思った。

話は変わるが、1974年に想定されていた進んだ技術や文化体系が、どういったものであったのかという視点で楽しむことができた。

昔の(特に半世紀ほど前の)SFで描かれた未来の様子と現在の様子がどれくらい乖離しているかを楽しむことができるのはSFの面白いところだと思う。



以下、Bloodborneとの関連で気づいたところ

カレル文字のモデルはカレルレンではないだろうか。

赤子を失い、求めているという上位者たちは、進化の道を絶たれ、進化した人類の保護を目的としているオーバーロードたちを表現しているように思える。

オーバーロード≒上位者とすると、自然災害からジェフを救けたオーバーロードの構図は、赤子を守っていた(?)メルゴーの乳母の構図にそのまま当てはめることができる。

上位者に赤子を取られたトゥメルの女王ヤーナムは、オーバーロードにジェフを取られたジーンと同じ構図をしている。

ヤーナムの夜明けエンドで目を覚ました主人公は、地球に帰還してカレルレンから説明を受けたジャンが一人で地球上を生きる様子と似ている。

遺志を継ぐ者エンドでゲールマンに代わった主人公は、地球に残って星の終わりを見届けたジャンの様子と似ている。

幼年期のはじまりエンドで上位者となった主人公は、ジャンが地球を捨ててオーバーロードに着いていくことを選んだ可能性を示唆していると思う。

↑の説が正しいとすれば『幼年期の”終り”』という作品に対して「幼年期の”はじまり”」というタイトルを付けることで、〖ジャン«Bloodborneの主人公»がこれから別の星«悪夢»で発生する種の進化«獣狩りの夜»をオーバーロード«上位者»として見届ける〗という構図を示唆しているのではないかと思う。

赤子を倒して入手する「3本目のへそのお」を使用して月の魔物(上位者)と戦闘することになるのは、ジェフをはじめとした子供を死なせてしまうとオーバーロードと対立することになっていたかもしれない可能性を示唆しているのではないかと思う。

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Posted by ブクログ 2020年12月30日

原題 CHILDHOOD’S END

幼年期、に違和感を感じる。
人類は、始まりから終わりまで、救いようがない。

知的生命体との接触は、管理されることでしかなく、終わりは更なる上位の存在による吸収。
オーバーロードの存在意義は面白いけど、オーバーマインドは次元が違い過ぎてうまく想像できない。まあ...続きを読む、アメーバが人類を想像するということなんだよね…。

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Posted by ブクログ 2019年06月01日

SFの二文字がサイエンス・フィクションの略語である、という当たり前の事実をあらためて、それも強烈に再認識させられた気がする。科学的な知見から描かれた物語の規模、テーマの壮大さがずば抜けていて、説得力に殴られている感覚が終始あった。「終わり」を書いた話って多分この世にごまんを越えてありふれているんだろ...続きを読むうけれども、自分が知る限り最も納得のいく形で最期を迎えている作品だった。

……なんて事を書いたあとにこんなこと言うのもなんだけど、やはりSFは決して自分の好みのジャンルではないのだなと……笑
なんだろう、内容自体への興味は決してないわけじゃないんだけど、翻訳として表現された日本語の雰囲気がそもそも肌に合わないのか、ただひたすらに淡々と綴られていく文体が苦手なのか……自分は人の感情が動いていくストーリーが好きなので、地球という星や人類、宇宙という万象にフォーカスされていると感情移入のしどころがなくて困ってしまうのかもしれない。仕事で疲れていたのもあるんだろうけど、寝る前に読み進めていて何度も寝落ちしてしまった。修行が足りない。知性も足りない。

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Posted by ブクログ 2016年08月28日

非常に内容が濃い感じ。
夢中で読み進める章もあれば、なかなか頭に入ってこない章も。
あまり読書の時間をとれず、細切れに読んだせいかな?
時間をおいて、じっくりと再読したい。

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